June 14, 2020

アメリカのスポーツメディア The Athleticが、ヤンキースのサイン盗み疑惑について新しい情報を報道している。



報道によれば、ニューヨークの裁判所ニューヨークの裁判所の裁判官 Jed Rakoff がヤンキースに「2017年にロブ・マンフレッドがヤンキース宛てに出した書簡の開示」を要求した。

だが、ヤンキース側は、書簡の完全な開示が「ヤンキースの評判に重大な傷をつける」と理由をつけ、完全な開示を拒絶した。ヤンキースは「個人情報を部分的に秘匿した形」で「編集した手紙」を裁判所に開示したらしい。


裁判所側の要求に完全には応えなかったということは、逆にいえば、元の「未編集の書簡」には「ヤンキースにとってよほどまずいことが、具体的な固有名詞とともに書かれている」という意味だ。

そして、これも非常に重要なことだが、こうしたヤンキースの不正情報を、ロブ・マンフレッドは「とっくの昔に知っていて」、「ヒューストンが槍玉に挙げられているときにさえ、ヤンキースの件を今の今まで黙ってきた」っていう意味にもなる。

もし、この件が不正として確定すれば、ロブ・マンフレッドの進退が問われるのは確実だ。
「編集された書簡」が公開されるのは、理由はよくわからないが、「6月19日以降」らしい。おそらくヤンキースの弁護士は「6月19日までに公開を阻止する訴訟を起こす」だろうとThe Athleticの記事は予測しているが、もしそういうことになれば、ヤンキース側に「不正行為に身に覚えがある」ことはかえって確定になる。


2017年は、「アーロン・ジャッジが突如としてブレークした年」でもある。

アーロン・ジャッジは、2016年MLBデビュー直後に、84打数42三振もの「異常な数の三振」をしていた超大型扇風機だ。
その人間が、2017年前半に「突如としてバットにボールが当たるようになって」、ジョー・ディマジオが持っていたヤンキースの新人ホームラン記録を塗り替え、さらにはMLBの新人ホームラン記録さえ塗り替えたのである。(現在では2019年ピート・アロンソの53本がMLB記録)
このときのアーロン・ジャッジのホームラン記録はかなり異常だった。なにせ、ほとんどのホームランが「オールスター前」だったからだ。オールスター後の彼は、2016年と同じ、ただの「扇風機」に戻って、「三振のメジャーワースト記録を更新」しているのである。

「2017年の前半だけボールが見えた理由」を、アーロン・ジャッジ自身にぜひ説明してもらいたいものである。


ヒューストン・アストロズにサイン盗みのテクニックを導入したことがバレて、2020年に指揮するはずだったメッツの監督をクビになったのは、プエルトリコ出身のカルロス・ベルトランだが、彼は2014年から2016年までヤンキースに所属していたのである。

ヤンキース時代のベルトランは、給料にまったく見合わない最悪の数字しか残せていないが、2018年12月にどういうわけか、ヤンキースのGMアドバイザーに就任している。もしも、この「わけのわからない就任」が、かつてのサイン盗みの導入に関する報酬だとしたら、大問題である。

というのも、2017年にMLB機構はボストン・レッドソックスをApple Watchを悪用したサイン盗みで罰しているのだが、ことときボストンは、ヤンキースが傘下のテレビ局であるYESのカメラを悪用したサイン盗みをやっていると反論しているからである。
MLB機構は、この2017年のボストンの要求に対し、「証拠不十分」と判定し、ヤンキースをまったく罰しなかった
電子機器を使用してのサイン盗みは禁止、MLBがレッドソックスに罰金処分 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News


もし仮に、冒頭に挙げた The Athletic が指摘した書簡の存在が、「2017年までのヤンキースのサイン盗みを、MLB機構がとっくの昔から知っていた」ことの証拠で、また、ヒューストンで不正をやったカルロス・ベルトランがヤンキースでも不正に関わったことが明らかになるとしたら、ヤンキース自身の責任が重大なことはもとより、ロブ・マンフレッドは責任をまぬがれないし、ベルトランはMLBから追放状態になるだろうし、ヤンキースGMのブライアン・キャッシュマンの責任問題が浮上し、アーロン・ジャッジは自分の立場を明確にする必要が出てくるだろう。


いずれにしても、「うんざりした」。
MLBの再開問題もそうだが、ロブ・マンフレッドのMLBには、本当にもう、「うんざり」だ。

June 11, 2020

滞在先のホテルで亡くなったエンゼルスのタイラー・スカッグスの「死因」について、日本版Wikiには「とアルコールを併用していて、嘔吐物が喉に詰まって窒息した」と書かれている。

風邪薬でも飲んで寝ていた、とでも言いたいのか。
バカバカしい。

それは真実ではない


事実は、こうだ。
タイラー・スカッグスは、「オキシコドンフェンタニルという代表的なオピオイド」を2種類同時に「麻薬として乱用」していて、窒息して死んだ
のである。

オピオイド乱用には呼吸に不具合を起こす副作用がある。だから、果たして本当に嘔吐物が詰まったことだけが死因なのか、それとも、2種類の薬物そのものも直接の死因のひとつになったのか、Wikiを読むだけではわからない。

いずれにしても、彼の死の原因は「風邪気味だったために、市販の風邪薬と酒を飲み、ホテルで寝ている間に嘔吐で死んだ」などという牧歌的な話ではない。

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オピオイドは、本来なら末期癌患者の疼痛緩和にも使われるような「強い鎮痛剤」だ。「健康な人が風邪をひいたとき使う錠剤」というような軽い意味での「クスリ」ではまったくない。そもそも健康な一般人が処方されることなど、まったくありえない。

ところが、近年アメリカではオピオイドの「乱用」によって万単位の人が亡くなり、社会問題化している。アメリカ疾病管理予防センター(CDC)によれば、オピオイド系薬剤の過剰摂取による死者は33,091人(2015年)にのぼる。
本来なら特殊な医療目的にしか使われない強い鎮痛剤を、目的外の不道徳な形で乱用した人間たちが「ドラッグのひとつにしてしまった」のである。


オピオイドには、天然成分由来のものから化学合成によるものまで、たくさんの種類がある。

オキシコドンは、濫用目的のオピオイドの代表格のひとつで、アヘンの成分からつくられる。トヨタの現役の常務取締役だったアメリカ人女性、ジュリー・ハンプが、アクセサリーと称して偽装輸入しようとして逮捕された薬物も、これである。

オピオイド乱用が社会問題になったアメリカではメーカーへの訴訟が多数起こされており、オキシコドン製造元である米パーデュー・ファーマ社が倒産。その後オピオイド乱用の需要は、ヘロインの50倍もの強さがあるといわれている「フェンタニル」などに流れた。

フェンタニルで死亡した有名人には、プリンス(2016年)、トム・ペティ(2017年)などのミュージシャンが多い。彼らは複数の薬物とアルコールを同時に服用していて死んだ。タイラー・スカッグスは、彼らと同じく、オキシコドンとフェンタニルと酒を「同時に」やっていたのである。

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先日、ミネソタ州で偽札を使おうとして警官に拘束され、亡くなったジョージ・フロイドさんの剖検(=遺体を解剖して検査すること)からも、このフェンタニルが検出されている。また、フェンタニルだけでなく、メタンフェタミン(=いわゆる覚醒剤。日本では昔の俗称でいうシャブ、アメリカの俗語ではMeth)、11-Hydroxy Delta-9(=脱炭酸したマリファナの代謝物)、モルヒネなど、他の薬物も「同時に」検出されている。
彼にはこの20年間で5回のコカイン使用での逮捕歴があり、端的にいえば、逮捕時の彼は明らかにオピオイド中毒で、「かなりラリった状態」にあったといえる。
資料:https://www.hennepin.us/-/media/hennepinus/residents/public-safety/documents/Autopsy_2020-3700_Floyd.pdf
資料:https://thecourierdaily.com/george-floyd-criminal-past-record-arrest/20177/

彼のヘモグロビンS数値は約38パーセントだったが、これはアフリカ、地中海、中近東、インドなどにみられる黒人特有の遺伝性貧血「鎌状赤血球症」が、日常生活で発症するレベルではないものの、例えば酸素分圧低下のような偶発的な状況変化に遭遇することによって発症する可能性があったと考えられる。

なお剖検には、彼が「重度の動脈硬化性心疾患」はじめ「心臓に重い持病をかかえていたこと」が明記されている。(この事実を根拠に、ジョージ・フロイドの死が逮捕時の窒息ではなく、もともとの持病であった心臓の発作による死であると指摘する人も多数いる)

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アメリカ各州で大麻解禁が進んだ背景には、このオピオイド中毒の蔓延がある。対策に手を焼いた州は、「オピオイド依存がこれ以上増えるくらいなら、比較的安全な麻薬である大麻を解禁にすることで、ジャンキーをソフトドラッグである大麻に誘導したほうがマシ」という「屁理屈」に飛びついて、事実上、「社会を管理する責任」を放棄したのである。

そうした州の知事の多くは民主党である。ジョージ・フロイドさんが住んでいたミネソタ州知事 Tim Walz も民主党所属であり、ミネソタは大麻解禁州のひとつだ。

では、大麻解禁という屁理屈で、「ハードドラッグの蔓延」は防げたのか。
ジョージ・フロイドさんがそうであったように、オピオイドと大麻を同時にやるような人が増え、いわば「ハードドラッグにジャンプアップするための『助走路』を作っただけにすぎない」である可能性がある。

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フェンタニルの生産地は中国といわれ、アメリカで何トンものフェンタニルが水揚げ寸前に摘発されたことすらある。トランプ政権はフェンタニル輸入防止のために中国に対処を要求したが、実質なにも実施されていないらしい。

フェンタニル。武漢肺炎。偽ドル紙幣。すべて中国由来ともいわれる「輸入品」だが、それらすべてに侵されていたジョージ・フロイドは、本当に「ロールモデル」、模範的といえる人物なのだろうか。

June 07, 2020

武漢肺炎で10万人もの命が失われたアメリカでは、MLB機構と選手会との交渉がまとまらない。その一方では、ジョージ・フロイドさん事件が起きてBlack Lives Matterスローガンが都市を席巻している。


自分の基本は、「対立にエネルギーを無駄に費やすより、知恵で無駄なエネルギーをかけずに解決する」ということだ。
そういう意味でいうと、例えば、新冷戦といわれだしている中国とアメリカの対立にしても、こと中国に武漢肺炎の責任をとらせるという意味だけなら、(ここにはあえて書かないが)両者のメンツが立つ解決方法は「ある」。

また、MLB機構と選手会の対立の原因は単純に「カネの問題」だろうと思うから、正直にいえば、それは「深刻とは呼べない低レベルの問題」だと、自分などは思う。問題は、事態の複雑さではなくて、「議論のやりかた」であって、「カネを出せ」「元手がないのに出せるわけないだろ」などという「押し問答」にしてしまっては、解決の糸口がみつかるわけはない。
対立を解消できないものにさせてしまっているのは、交渉者のどちらもが肩にチカラが入りすぎているせいだ。論点の設定そのものが間違ってる。りきんでバットを振ってばかりいては、バットにボールが当たらなくなり、空振りばかり増える。MLB機構も選手会も、三振ばかりしていてはダメだ。


また、自分だけがそう思ったのかもしれないが、Black Lives Matter問題にしても、人種差別の問題としてとらえると、アメリカ史の根深い部分がどうのこうと、こむつかしい話になってしまう。

だが、はたして問題のとらえかたは、それだけしかないのか。自分などが思うには、それでは狭すぎる。というか、堅苦しい。


アメリカでいま、さまざまな問題が噴出し、そのどれもが解決に時間がかかっているのは、「アメリカが疲れている」、「解決のための柔軟なランディングのアイデアが不足している」せいで、特に前者の「疲れている」という点にあるんじゃないかと思う。

それはそうだろう。

何十万人もウイルス病の感染者が出て、10万人もの人が亡くなり、慣れないマスクをして、他人との距離に気をつかうような「アメリカ人の苦手な閉鎖的現状」がもう何ヶ月も続いているのである。いくらタフさを売り物にする国民性とはいえ、「疲れるのは当然」だ。


アメリカがいま受け入れるべきなのは、「ずっと人種差別してきたなどというような過度の反省を社会全体に求めるような、大袈裟なこと」ばかりではなく、もっと単純に「自分たちはどうやらちょっと疲れているらしい、という素直な自己認識」だと思う。

アメリカは、「自分たちが疲れていること」を、否定せず、「受け入れる」べきだ。

そうすることで脳をリフレッシュし、柔軟になった脳であらためて隣人と話し合うことが、自分の「2020年疲れたアメリカ」への提案である。

May 22, 2020

武漢コロナウイルスに関して、世界の国別の感染者数、死亡者数を示したサイトはいろいろとあるが、以下のサイトは「人口100万人あたりの各種数値」が明示されているのがいい。
Coronavirus Update (Live): 5,156,791 Cases and 332,493 Deaths from COVID-19 Virus Pandemic - Worldometer

特に、「100万人あたりの検査数」というデータは、他のサイトにないから、モノの見方に斬新な角度を提供してくれる。


人口100万人あたりの検査数」が「6万」を超えている国は以下のとおりだ。(以下すべて日付は2020年5月21日付)太字は、「人口100万人あたりの感染者数が4000人を超えている感染多発国」である。感染多発国ほど「大量検査」をやりたがる傾向にあることは明らかだ。
スペイン 64,977
ベルギー 63,807
カタール 61,031
ポルトガル 66,079
UAE 162,092
クウェート 61,238
イスラエル 60,718
デンマーク 87,093
バーレーン 154,013
ルクセンブルク 104,006
アイスランド 169,000
リトアニア 92,806
キプロス 79,038
サンマリノ 111,399
マルタ 127,373
モーリシャス 77,131
フェロー諸島 183,981
ジブラルタル 173,127
バミューダ諸島 91,793
ケイマン諸島 115,430
フォークランド諸島 122,873


次に、人口100万人あたりの感染者数が多い国を示す。面白いことがわかる。太字は、「人口100万人あたりの検査数が6万を超えている国」だが、検査数の多い国ほど、感染者数は多いのである。
人口100万人あたりの感染者数が
5000人」を超えている国
スペイン 5,991
カタール 13,442
ルクセンブルク 6,370
シンガポール 5,100
アイスランド 5,287
仏領マヨット 5,287
アンドラ 9,864
サンマリノ 19,397
バチカン 14,981

4000〜5000人」の国
アメリカ 4,856
ベルギー 4,855
アイルランド 4,946
クウェート 4,365
バーレーン 4,746
ジブラルタル 4,482


「検査数」と「感染者数」の比較で一目瞭然にわかることは、「検査数の多さ」は「感染者数の少なさ」とはなんの関連性もないということだ。

それどころか、むしろ、「検査数が多い国」は、ほとんどの場合において「感染者数が世界トップクラスに多い国」を指すのである。オーバーシュートした国において「大量検査が、その国でのパンデミックの根本的な防止に、ほとんどなんの役にも立っていなかったこと」は火を見るより明らかだ。

世界のマスメディアが必死になって流布してきた「検査をすることで、武漢肺炎の流行を抑えられるという言説」には、実はなんの根拠もないことが、この数値群からはっきりした。



なぜ、こんな馬鹿げたことが起こるのか。

武漢コロナウイルス感染の検査が、それぞれの国において、どういう「タイミング」で行われてきたかということは、これまで世界中どこでもまったく語られてこなかった。それが「間違った政策がもてはやされる原因」になった。

つまり、簡単にいえば、その国が「検査に必死になるタイミング」というものは決まっているのであり、ほとんどのケースで「パンデミックの発生が見えてきて、『大慌てで、藁をもすがるように』、効果があるのかどうかまったくわからない検査の大量実施に走った』にすぎない」のである。

だが、「慌てた時点」では既にパンデミックは水面下では確定していて、止めようがないレベルにあるのである。例えば、以下のリンクでは「パンデミックの発生源」が主に「クラスター」であり、それを助長する要素には、「場所」、「スーパーインフルエンサーの出現」、「深い呼吸や会話」など「共通の特徴」があったことを指摘している。
Why do some COVID-19 patients infect many others, whereas most don’t spread the virus at all? | Science | AAAS

パンデミック防止に効果があったのは、パンデミックの接近が判明して慌てて行う大量の検査ではなく、むしろ「クラスター潰し」だった可能性は高い。

May 15, 2020

2020年5月14日付BBC日本版によると、アメリカの武漢コロナウイルスによる死者数は「8万4千人を超えた」そうだ。

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トランプ大統領は(感心しない使い方だが、ここではそのことはとりあえず置いておく)この武漢コロナウイルスによる大惨事を、「真珠湾攻撃以上」というアメリカ人独特の言いまわしで形容している。

だが、アメリカの第二次大戦の太平洋戦線における戦死者数を考えれば、「真珠湾攻撃を比喩として引用している場合ではないほど、武漢コロナウイルスの被害のほうがはるかに甚大であること」はわかるはずだ。

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アメリカの太平洋戦線における戦死者数は、そもそもはっきりとはわからないもののようだが、以下のリンクでは「16万5千人あまり」という数字が採用されている。(ちなみに、ヨーロッパ戦線を含めたすべての戦死者数は「41万6千人あまり」という数字が挙がっている。これらの数字について、以下のリンクは次のような注釈を加えて注意をうながしている。『※この場合の戦死者数には、戦闘以外の死者を含んでいる。戦闘以外とは何か具体的に記載されていないが戦闘重傷後病院死、病死、事故死、訓練死、災害死、行方不明、状況不明、自殺などが含まれると思われる』)
徒然cello日記: 第二次世界大戦 太平洋戦線におけるアメリカの戦死者数

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アメリカでの武漢肺炎の死者が8万4千、第二次大戦の太平洋戦線での死者が、その約2倍、16万5千。ならば、第二次大戦のほうがよほど悲惨だと断じる人がいるかもしれないが、ブログ主はまったくそうは思わない。

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ちょっと横道にそれる。

第二次大戦の太平洋戦線における火蓋が切られたのは、日本時間で1941年(昭和16年)12月8日の「真珠湾攻撃が最初」だと思っている人が、日本でも非常に多い。

だが、それは間違いだ。

12月8日未明に敢行された真珠湾攻撃より先に、日本軍はマレー作戦という名称で、同じ12月8日深夜に当時のイギリス領マレー(現在のマレーシアとシンガポール)を攻撃しているからである。ハワイ時間では日本より日付が1日ずれるために、真珠湾攻撃は「現地時間12月7日」で、マレー作戦は日本と日付は同じ「12月8日」となるから、絶対的な日付だけをみると真珠湾が先にみえるが、実際はそうではない。

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話を本筋に戻す。

アメリカの第二次大戦における太平洋戦線の戦死者数16万5千は、主に1941年12月から1945年8月までの「約3年8ヶ月」に生じている。対して、武漢コロナウイルスによる死者数8万4千は、2020年2月上旬から2020年5月中旬までの「約3ヶ月」に集中的に発生している。(2020年4月のロサンゼルス・タイムズによれば、アメリカにおける武漢コロナウイルスによる最初の死者は「2月6日カリフォルニア州サンタクララで死亡した女性」ということになっている)

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もちろん、「約3年8ヶ月にわたる命がけの戦闘による16万5千の戦死」と、「わずか3ヶ月でウイルスで失われた8万4千の死」とを比べることは、生命の重さというものに対する不遜に過ぎる行為ではある。

他にも、一瞬で約20万もの生命が失われた原爆のような「突出した例」があるわけだが、最も優れた音楽を誰にも決められないのと同じように、どの惨事が最も悲惨かを断定することなど誰にもできない。そのことは重々承知している。

だが、あえて言わせてもらう。

たった3ヶ月間で亡くなった8万4千人という数字は、けして小さくない。そこには、戦争という惨事においてすら存在している、名誉も、勲章も、年金もない。ウイルスによる不意打ちと、失意の死。残された人々の悲しみ。ただそれだけである。

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武漢コロナウイルスによるこの惨事を、決死の覚悟とともにあった太平洋戦争を引き合いに語ってほしくない。日本は第二次大戦によって非常に大きな代償を払わされた。例えばアメリカでは民間人の死亡者は1千数百人にすぎないが、日本では80万人以上もの民間人が亡くなっているといわれている。われわれは責任をとったのである。

アメリカは武漢コロナウイルスに対し、どういう代償を求めるのか。それをわれわれ日本人は目をこらして見つめている。そのことも忘れてほしくない。

May 04, 2020

コロナ後」という単語が世界中でもてはやされはじめた。

それは武漢肺炎が世界的な広さで終息に向かいはじめているという意味でもあり、自宅軟禁状態にある人々のストレス発散でもあるが、だからといって、多くの人が「コロナ後」を本当に見通せているわけではない。

なぜなら、武漢肺炎のパンデミックで『社会の機能の一部』がたとえ一時的にせよ「失われた」が、それがこれからの社会においてどういう意味を持つのか、あるいは、「ヒトとヒトの距離」のような「目に見えないもの」が今後どういう価値や意味を持つのか、まだ誰もきちんとした形で語れてはいないからだ。

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例えば、「プロスポーツ」でいえば、いま野球は武漢肺炎によるリーグ停止で大きな打撃を受けているが、だからといって、「野球というスポーツにとって『ヒトとヒトの距離』が持っている価値や意味」がきちんと把握され、「ヒトとヒトが接することの重さや意味」がきちんと評価されたようには、いまだに思えない。

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人は近年、「ボールパークに足を運んでくれる人の意味」を「軽視」し始めていた。

ネットの時代なのだから、プロスポーツはネット上の映像配信で大金を稼げばいい、収入のメインは配信料で稼げるから、ボールパークが満員だろうとガラガラだろうと、そんなの関係ない、などと、タカをくくるようになっていた。最近のロブ・マンフレッドのわけのわからないMLBの改造ぶりも、はたから見て呆れることばかりだった。

fanless game

だが、いざ「無観客」でゲームが行われてみてわかったことは、プレーヤーだけでゲーム自体は行ええるとしても、そこに「観客がいない」のでは意味がないということだった。なぜなら、プレーヤーにとって「観客のいないゲーム」が「とてもやりにくい」ものであることが明らかになったからだ。

つまり、野球における「観客」という存在は「ゲームというイベントにとっての枝葉末節」ではないどころか、むしろ「主要パーツ」そのものであることが、あらためて明らかになったのである。

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仮にMLB全ゲームを「観客抜き」で開催できて、それがネット配信できたとしても、それはもはや「ベースボール」ではなく、ネットゲームと変わらない「ただのショー」に過ぎない。

ベースボールは「観客が存在するスタジアムで行う、世界最大のスポーツ」なのだ。

われわれが「テレビでベースボールを見る」という行為は、ただプレーヤーのプレーだけ見ているのではなく、「たくさんの観客がボールパークでゲームを見ている独特の空気感を含めて、全体を見ている」のであり、プレーヤーは、ただ「プレーしている」のではなく、「観客が見ている状態を前提にしながら、ボールパークがもつ独特の空気感の中で、プレーしている」のである。

April 13, 2020

このシリーズ記事のここまでの展開を一度まとめてみる。

対数グラフ」にすることの意味。
2020年3月31日、「感染者数グラフ」の正しい書き方、読み方。(1)ウイルス感染数の増加はなぜ時間をX軸にした片対数グラフがフィットするのか。 | Damejima's HARDBALL

対数グラフが寝てくる」ことの意味。
2020年4月2日、「感染者数グラフ」の正しい書き方、読み方。(2)なぜ実数が増えているのに「事態は落ち着いてきた」と言えるのか。 | Damejima's HARDBALL

対数グラフのX軸を「相対日数」にすべき理由。
2020年4月4日、「感染者数グラフ」の正しい書き方、読み方。(3)「感染の典型的パターンをみつけだす」ためのグラフの書き方---「日付の相対表示」 | Damejima's HARDBALL

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この記事では、「感染者数の対数グラフが、グラフの開始から寝てくるまでの「日数」において、世界全体に「共通性」がみられること」について論じる。

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よくマスメディアの記事で、ニューヨークの病院に行き、型通りの簡単なインタビューをして「酷い状況だ」と当たり前のことを言わせておいて、その後で、その病院関係者に「この状況は2〜3週間後の東京だ」と「最初から言わせたかったことを、言わせる」式のデタラメな記事がある。

ニューヨークやロンドンが酷い状況なことくらい、わざわざ忙しい現場の人を掴まえなくても誰でもわかっているのである。わかりきっているのに、わざわざインタビューに行って邪魔をして、ただ「とりたいコメントを言わせているだけ」の、どうしようもない取材方法である。

くだらないにも、程がある。

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以下は、ロンドン・カレッジ・ユニヴァーシティが公開しているデータのうち、「アメリカ各州」の「人口100万人あたりの感染者数」の片対数グラフである。

州ごとに医療制度の充実や気候など、さまざまな環境が違うわけだが、共通していることがある。
感染開始からグラフが寝てくるまでの日数が、
約3週間と、「各州共通」であること
である。

CoVID 19 Growth Rate 2020-04-13 US sort by stateソース:CoVID 19 Growth Rate

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他の国で同じことはいえるのだろうか。
同じサイトから「他の地域」のグラフを見てみる。

西ヨーロッパの「人口100万人あたりの感染者数の推移」

西ヨーロッパでは、アメリカ各州と似た傾向が見られ、おおむね「2週間〜3週間」でグラフが寝てきている。

また、同じことは、北欧、東欧、英国各州、英国各地域別、豪州およびニュージーランド、パキスタン、トルコ、イスラエル、チリ、パナマ、ドミニカ、東南アジアと、世界の広い地域で(多少の日数の長短があるにしても)同じことがいえる。
(煩雑な画面になるので、各地域の詳細なグラフは挙げない。リンク先を参照されたい。 ソース:CoVID 19 Growth Rate

CoVID 19 Growth Rate 2020-04-13 Western Europe per millionソース:CoVID 19 Growth Rate

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人口、気候、文化、また医療制度や習俗など、さまざまに異なる世界中の国々で、同じような現象がみられることから、以下のような仮説が可能になる。
武漢コロナウイルスの感染者の「指数関数的な意味での増加」は、
感染の爆発的開始から「一定期間」が経過すると鈍る傾向にある。

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では、その「一定期間」とは、常に一定なのだろうか。
以下に2つの例外を挙げてみる。

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これは西ヨーロッパの「感染者数の対数グラフ」だが、上に挙げたグラフが「人口100万人あたり」という補正をしているのに対して、こちらは補正されていない。

CoVID 19 Growth Rate 2020-04-13 Western Europe, total casesソース:CoVID 19 Growth Rate

こちらの「感染開始からグラフが寝るまでの日数」は、「人口100万人あたり」のグラフでの「グラフが寝るまでの日数」に比べると、わずかに長いように見える。

「感染者数全体のグラフ」と「100万人あたりのグラフ」との間に「微妙なズレ」があるわけだが、この差異が世界の他の地域でもみられるのかどうかについては、残念ながら、ソースのサイトに世界各国のデータがないことなどから確かめられなかった。ご自身で確かめてもらいたい。

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次に、日本を含む別の「100万人あたりの対数グラフ」をみる。

CoVID 19 Growth Rate 2020-04-13 World per million inhabitantsソース:CoVID 19 Growth Rate

日本(茶色)とシンガポール(緑色)が表中にあるが、この両国がここまで見てきた「急激に感染が拡大し、その後、ほぼ数週間で対数グラフが寝てくる」という一般論では語れないことは、グラフの形状から明らかだ。

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日本やシンガポールと似た傾向にある国は、他にバーレーンスウェーデンなどがあり、これらの国々では、
感染者数が非常に少なく抑えられていること感染者数の対数グラフがゆるやかに右上がりを続けていくこと
に他の国にない特徴がある。

これらの国々は「欧米を典型として、世界の広い地域の国々でみられる『急激な感染の拡大開始と、数週間後に訪れる指数関数上のピーク』というパターンにあてはまらない可能性がある。

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ここまで指摘したことから、「東京がニューヨークの数週間遅れた状態」というロジックが根本的におかしいことは、簡単に指摘できる。

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「東京がニューヨークの数週間遅れた状態」と断言するには、次の「2つの条件」が揃わなければならない。

1)東京がニューヨークより「数週間遅れて」感染が開始した
2)東京(あるいは)日本の感染拡大が、ニューヨーク(あるいはアメリカ各州)のグラフが描く曲線と同じ、『急激な感染拡大の開始と、数週間後の指数関数上のピーク』という典型的パターンで示すことができる

言うまでもなく、2つとも、答えは「 No 」である。日本での感染開始はアメリカより数週間遅れてなどいないし、日本の感染拡大は世界でも稀有なパターンで、アメリカとは似ても似つかない。

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日本は、シンガポール、バーレーン、スウェーデンなどもそうであるように、欧米を典型として世界全体でみられるような感染パターンを踏襲してはいない。

ゆえに、
「数週間たてば、東京はニューヨークのようになる」という報道は、ICUの供給の逼迫など、医療体制の緊迫という点を除けば、単なる根拠のないデマと同列の妄言でしかないのである。

April 03, 2020

シリーズ3回目となるこの記事では、「感染者数グラフの正しい書き方」について論じる。

「正しい」などという言葉は、正しさ自体が混迷したいまの時代には、たしかに「きわどい言葉」である。だが「ウイルス感染のグラフ」では「正しい書き方」というものがあるのである。

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いま武漢コロナウイルス感染のさなかにあって世界中の国々が苦しんでいる。だが、その惨状の渦中にあって、たったひとつだけ、光明といえる事実がある。

それは、他のウイルス感染と同様に、このウイルスの感染爆発においても、、どんな国にも共通の『拡大から終息に向かう決まったパターン』があるらしい」ということだ。その「パターン」はどうやら、たとえ生活文化や医療制度が違う国であっても「共通」らしいのである。

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なぜパターンが「存在する」といえるのか。

世界の国での感染の「規模」と「かかった日数」を、「横並びに比較してみること」で、感染拡大から終息までの経過に『共通性』『パターン』があることが判明したからである。

別の言い方をすると、人々は「自分の国がいま、そのパターン上の、どの地点にあるのか」を知ることで、自分たちの環境が今後どうなっていくのか、多少はわかるようになったのである。

それは、対数グラフ化することでパターンを「可視化」したおかげである。

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ただ、やみくもにデータをグラフ化しても、何も見えてこない。
可視化には「有効なやり方」もあれば、「まったく無駄なやりかた」もあるからである。

ウイルス感染の「パターン」を探り当てるには、グラフを「正しく」書かなくてはならない。「『感染の拡大終息のパターン』をみつけだすのに有効なグラフの書き方」の一部を以下で論じてみる。

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さて、具体例をあげる。

最初は、あるメディアの「失敗例」である。例によって、横軸は「絶対表示的な日付」、縦軸は「対数軸による感染者数」である。

このグラフは「3月4日時点」で、まだ「欧米全体での本格的オーバーシュート」は始まっていない。当時はまだダイヤモンド・プリンセス号事件が世界の注目を集め、「日本の感染者が世界的に見て多い」などと間違った批判を受けていた時期のグラフである。

図13月4日付の対数グラフ

3月4日時点の感染者数をみると、感染者数トップは中国が独走、その後ろを、第二グループの「韓国、イタリア、イラン」が追い、そのまた後ろには、第3グループの「ダイヤモンド・プリンセス号、ドイツ、フランス、日本、スペイン、アメリカ、スイス、イギリス、シンガポール、オランダ」が「団子状態」で続いている。

余談ではあるが、上のグラフだけからいうと、「3月4日時点」でのダイヤモンド・プリンセス号の感染者数は、堂々世界第5位を占めている。このグラフがそうであるように、「日々の感染者数」しか見ない、知性に欠けたマスメディアは、「ダイヤモンド・プリンセス号事件が、世紀の大事件に見えた」のだろう。だから必死になって日本の悪評を書いたのである。

だが、その後の1ヶ月で、どの国、どのタイミング、どんな規模でオーバーシュートが起こったか、思い出すべきだ。欧米を中心に、あっという間に世界中で、何十万という感染者、何万もの死者が出現するに至ってようやく人々は、「ダイヤモンド・プリンセス号での感染がいかに、規模の小さい、世界が注目するほどでもない、ささいな出来事だったか」を思い知ることになったのである。

当時日本を批判した人々は、武漢コロナウイルスの感染が一般的にどう推移するか、まったく知りもせず、単に「3月4日時点での、世界第5位という感染者数」という「数字」だけ見てモノを言っていたにすぎない。


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さて、
この「感染者数を、日付順にただ並べただけの、平凡きわまりないグラフ」から、なにか「法則性」読み取ることができるだろうか。

申し訳ないが、自分にはとても無理だ。

「日付順に感染者数をただ並べただけ」では、感染者数の増加がたどる「世界共通のパターン」を探り当てることなど、できない。「日付順に感染者数をただ並べただけ」のつまらない作業から読み取れるのは、ただ単に「それぞれの国で感染者数が、それぞれに増えた」という、なんともつまらない事実のみでしかない。

この3月末のグラフから、その後1ヶ月で、グラフにあるいくつかの国はド派手にオーバーシュートし、いくつかの国の感染が終息に向かうことが4月初頭の今の時点ではわかっているわけだが、このグラフのデータから「その後1ヶ月に起きることの兆し」はまったく見えてこない。

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結論を先に言うと、
このグラフの欠陥は、
日付を絶対表示にしているから
だ。
これでは何の収穫も得られない。


以下において、日時における「絶対表示」とは、例えば「2020年3月4日」というような「リアルな日付」という意味であり、「相対表示」とは、例えば「感染発生から10日目」というような「相対的な日付」という意味だ。

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2つ目の例として、いつもとりあげているUCLのグラフを挙げる。こちらのグラフには、「日付を相対表示する」という違いがある。

ソース:CoVID 19 Growth Rate
CoVID 19 Growth Rate 2020-04-05

「日付の相対表示」について、このグラフの作者(ロンドン・カレッジ・ユニバーシティの研究者)のサイトでのコメントによると、作者は「その国の感染者数が10人を越えた時点」を、その国のグラフの「始点」にしていると発言しているのを見た記憶がある。

だが、上のグラフを仔細に眺めると、「それぞれの国のグラフの始点における感染者数は、国によって微妙に異なっていて、必ずしも『10人』ではなく、『100人前後』から始めて」いる。
それはおそらく「グラフの差異を越えた『共通性の発見』を強調するために、細部では多少妥協しているのだろう。
たとえそうであったとしても、このグラフはたいへんに貴重な情報を提供してくれる。

それが、
世界共通の拡大パターン」の発見である。

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この作者のグラフはどれも、横軸の日付は「3月4日、5日、6日」というような絶対表示ではなく、す「感染開始から何日目」という相対表示であることに特徴がある。
横軸の目盛りはすべて「感染が始まってからの経過日数になっている」のである。


そうすることで初めて、
各国のグラフに「ピッタリと重なりあう部分がある」
ことがわかってくる。

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その「重なり」をもう少し詳しく書くと、以下のようになる。
グラフの始点を「感染の開始」とすると、「感染者数が4000人〜5000人という、1000単位のレンジに達するまで」は、どの国でもグラフは「共通の傾きを」もった「右上がりの直線」になっている。また、「傾きが同じ」であるからには、その特定レンジに達するのにかかる日数も、世界でほとんど「共通」している。

「感染の開始」から「感染者数が4000人から5000人というレンジを超える」と、グラフはそれぞれの国によって異なる展開をみせはじめる。

いずれにしても、「感染の開始」から「感染者数が万単位のレンジに入ってくる」と、グラフは「寝て」くる傾向にある。

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たかだか「日付」を「絶対表示から相対表示にした」だけじゃないかと思う人がいるかもしれないが、雲泥の差とはまさにこのことであって、2つの表現に存在する差はあまりにも大きい。「絶対表示の日付と、絶対表示の感染者数しか見ない」ような馬鹿なマスメディアが日本にも欧米にも数多くいるからこそ、日本を批判したりする馬鹿が続出するのである。

(つづく)

April 02, 2020

「感染者数グラフの正しい書き方、読み方」の最初の記事(2020年3月31日、「感染者数グラフ」の正しい書き方、読み方。(1)ウイルス感染数の増加はなぜ時間をX軸にした片対数グラフがフィットするのか。 | Damejima's HARDBALL)では、自然現象に指数関数的な増加や減少が多くみられることから、ウイルス感染の把握に対数グラフが適している理由を説いた。

2回目のこの記事では、グラフを具体的に書くべきかについて論じてみたい。(以下、常にX軸は「日付」、Y軸は「感染者数」)

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出発点として、まず、目盛りが等間隔にできた、リニアなグラフを見てみる。の2つのデータをプロットしてある。

図1リニアなグラフ(基本図)

赤い線
赤い直線が表しているのは、「毎日、同じ数だけの感染者が増加していく」という状態であり、この例では「1日ごとに2万人ずつ」、「2万、4万、6万、8万、10万」と増えて、5日間で感染者数10万人に到達する。

緑の線
緑色は曲線で、赤い線とは「増加のしかた」がまったく異なる
赤い線のように1日の増加が「毎日2万人ずつ」と決まっているのではなくて、感染者数が1日ごとに「10人、100人、1000人、10000人、100000人」と、「毎日毎日、その前日の10倍に増えていく」。

また、2つのグラフは見た目も違う。緑の直線は「最初はほぼ横ばい」だが、感染の急激な拡大が起こると「いきなり立って」くる。

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どちらのグラフが「現実に即して」いるか。
これは論ずるまでもないので、次にいく。

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通常のリニアなグラフにおいては、「2万、4万、6万、8万、10万」と「決まった数ずつ増加する事象」は「直線」で表される。

対して、「10人、100人、1000人、10000人、100000人」と「増加のしかたそのものが右上がりに増えていく」という増加は、「指数関数的な増加」であり、緑で示したような曲線であらわされる。

武漢コロナウイルスの感染では、「1人の感染者から、2人〜2.5人に感染する」という拡大がみられるという研究結果が中国にある。つまり、武漢コロナウイルス感染の拡大という事象は、前の記事でも書いたように、1人の感染者が2人に感染させ、その2人の感染者が4人に、4人が8人に、8人が16人に、「1→2→4→8→16→32」というふうに、「増加が、時間経過とともに急激になっていく」という、自然界によくみられる典型的な指数関数的増加なのである。

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問題はここからだ。

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典型的な指数関数的な増加である武漢コロナウイルスの感染者数の爆発的増加(オーバーシュート)を図示する最適な方法を探すため、まず「3日おきに感染者数が決まって10倍になる」というグラフを2種類用意した。

図22つならべたグラフ

左:リニアなグラフ
Y軸の目盛りはそれぞれ等間隔でできている。ここではオーバーシュートは、「急激に右上がりになる曲線」として表現される。

右:Y軸が対数でできたグラフ
次に、同じデータを「対数グラフ」で書いてみる。Y軸のみを対数にした片対数グラフである。グラフの横線が均等に並んでいないことでわかるように、Y軸の目盛りは等間隔ではない
すると、「右上がりの曲線」だったグラフが、こんどは「まっすぐな直線」として表現される。


2つのグラフは、データそのものは同じだが、「Y軸の目盛りの並べ方がまったく異なっている」ために、表現されるグラフの形状がまったく異なる。このことから、次のようなことがわかる。

・対数グラフにおける「右上がりの直線」は、「感染の拡大が続いていること」を意味する。

・対数グラフにおける「右上がりの直線」の「傾き」は「増加の激しさ」を意味していて、傾きが「立って」いるほど、増加は激しい。

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次に、上の2つグラフに少し変化をつけてみる。

「1日目から7日目までは『3日ごとに10倍』になったが、7日目以降で感染者数の増加がちょっと鈍り、10日目の感染者数は『7日目の10倍の10000人』ではなく、『3倍の3000人』だった」という状態を、太い青線で示してみた。

図32つならべたグラフ変化型

このことからわかることは、以下である。

・対数グラフにおける「右上がりの直線」の「角度がX軸に平行に寝てくること」は、「感染の増加がやや鈍ってきたこと」を意味する。

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この例によって、「なぜ『見た目の感染者数の増加』にとらわれるべきでないか」がわかる。

数字にとらわれやすい人は「7日目が1000人で、10日目に3000人」と聞くと、「なんと2000人も増えた! 大変だ!」と感じてしまう。増加率の変化にまったく気づかないまま、2000人増加という数字の増加だけにとらわれて、パニックを起こしてしまうのである。その挙げ句に、全員をPCR検査しろだの、都市を封鎖しろだのと無意味に騒ぎたて、買いだめに走るのである。

だが、それはまったくの勘違いだ。

事実は、
対数グラフがX軸に平行に寝てきた」ということであり、それは「感染の拡大が落ち着いてきたかもしれない」といえる状態なのだ
という意味である。

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もう少し説明する。

上の例では、最初に、「感染者数が3日おきに10倍になる」と、「『同じ増加率』が10日間ずっと続く」という「想定」でグラフを作成した。「増加率に変化がないこと」は、片対数グラフでは「右上がりのまっすぐな直線」として示される

その後、変化を加え、「3日おきに10倍という決まった率」ではなく、7日目以降に「3日で『3倍』」としてみる。すると、それまで「まっすぐな直線」だったグラフ形状が変わり、「寝てくる」のである。

この「グラフの形状の変化」が、「もしかすると感染の拡大が落ち着いてきたかもしれない」という近未来の推測につながる。

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もういちど、元の「3日おきに感染者数が10倍になる」という2種類のグラフを眺めてみる。

図42つならべたグラフ3つのパターン

左のリニアなグラフの最大の欠点は、10日目の感染者数が、「9000人」だろうが、「1万人」だろうが、「1万1000人」だろうが、見た目に「ほとんど違いがわからず、どれもこれも同じ、右上がりの急激な曲線にしか見えない」ことである。

こんな雑なグラフでは「事態の推移」を読み取ることはできない。マスメディアが感染者数の増加だけを記事にする無責任な行為は、事実の報道などではなく、パニックを煽っているのと同じなのである。

だが、右の対数グラフでは、実数の変化にとらわれずに、感染の拡大がいまどういう傾向にあるかを「グラフの形状の変化から直接読み取る」ことができる

「1万1000人なら、グラフがやや右上がりに曲がる。右上がりに曲がることは、感染が『より拡大傾向にある』ことを意味する」

「1万人なら、グラフは直線のままで、感染はそれまでと『同じ率』で拡大を続けている」

「9000人なら、グラフは右に寝てくるから、感染は『やや収束に向かいつつある』」


(3につづく)

April 01, 2020

武漢コロナウイルスの世界的感染において、「log scale」の有用性がやっと認識されてきたようだが、その「使い方」、「読み方」は、いまだに満足いくものではない。

なので、「感染者数グラフの正しい書き方、読み方」をもっと理解してもらうために、以下の記事を書く。誰が読んでもわかるようにはしたいのはやまやまだが、だからといって、読む人の努力がまったく必要ないというような過剰サービスをするつもりはない。譲れないところは正確を期して、しっかり書く。

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まず最初に理解しなければならないのは、なにも「対数グラフが見やすくて便利だ」などと、単に視覚的な意味の話をしているのではない、ということだ。
武漢コロナウイルスの感染拡大のような時間とともに変化が急激になる自然現象こそ、対数グラフで表現するのが妥当なのは、なぜなのか」ということを、なにより先に理解しなければ意味がない。

先に簡略化した結論を示せば、
「時間軸に沿って推移する自然現象の動的な変化」には「指数関数的に推移するケース」がかなり多いから
である。

ウイルス感染症の拡大をlog scaleグラフで見ると「より全体を読めるようになる」が、それは、感染症のオーバーシュートが、現象として「自然界では、よくある変化のしかた」だからなのである。

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自然現象、ことに「時間と事象の関係」が、リニアではなく、むしろ、対数的であることが多々ある。

もっとかみ砕いて書くと、時間が「1日、2日,3日,4日」とか、「1年、2年、3年、4年」とか、「決まった数だけ変化していく」間に、現象は、例えば、感染者が「1人、2人、4人、8人、16人」とか、温度が「1度、10度、100度、1000度、10000度」などというふうに、「時間がたつにつれて増加が急激になる」(あるいは「時間がたつにつれて減少が急激になる」)ような事象が少なくない、ということだ。

例えば、モノが冷えるとき、時間の経過とともにみられる「ニュートンの冷却の法則」。時間経過に対する放射性物質の崩壊。細胞分裂。「時間と位置の関係」である雨粒の落下速度。コンデンサーに蓄えられた電気の減衰。 地震の強さを示すマグニチュード。音圧。エントロピー。情報量。大気圧と高度の関係など、とても書ききれない。

だからこそ、自分は武漢コロナウイルスの対数グラフについては、X軸もY軸も対数であるような「両対数グラフ」ではなく、X軸だけが「リニアな時間」、Y軸には「対数で示した感染者数」という「片対数グラフ」を推奨するわけである。


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生物の生理現象ではかなりの部分が指数関数的にできているらしいが、細胞分裂非常に典型的でわかりやすい現象だ。

一般的な細胞は、「ひとつの細胞が2つに分裂して」増えていく。だから、その増え方は「1、2,3,4」という「リニアな増加」ではない。「1、2、4、8」と、倍々に増えていく「指数関数的な増加」なのである。「時間がたてばたつほど」、その数は「急激に」増えるのが特徴だ。
例えば、人間の赤ちゃんは母親の体内で最初はとても小さい。だが、臨月が近づくにつれて急激に発達するから、おかあさんのお腹は急に大きく膨らんで、出産が近いことを知らせてくれるのである。

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ウイルスの増殖そのものは、一般的な生物にみられる「1、2、4、8」という細胞分裂ではない。

というのも、一般的な生物では、細胞は「ひとつが、2つに分裂する「1、2、4、8」的な方式(=「対数増殖」)で数を増やしていくが、ウイルスは「1つのウイルスが、入り込んだ宿主、たとえば人間の細胞内で数を大きく増やし、それを体外に一気に放出して、次の宿主を探す」という感染方式(=「一段階増殖」)だからで、例えば「ひとつのウイルスが、放出時にはいきなり10000個になっている」ような増殖形態だからだ。

だが、
ウイルス感染を、「感染者数」という角度からみてみることで、指数関数的な現象として把握することが可能になる。

なぜなら、感染拡大の、特に初期においては、「ひとりの感染者が2人にうつし、2人の感染者が4人にうつし、4人の感染者が8人にうつす」というふうに、ひとりの感染者から「指数関数的」にウイルス感染して広がっていく。これは一般的な生物での増殖と同じ、指数関数的な増え方である。(1人の感染者が何人にうつすかを示す「基本再生産数」は現在のところ、「世界全体で2から2.5」)

このことは、ウイルス感染の拡大を、「死亡者数」ではなく、「感染者数」でみていったほうが事態の推移がわかりやすいと考える理由でもある。
死亡者数の推移は、自然現象そのものというよりも、その国のふだんの衛生状態、医療制度の整備度合い、国としての裕福さなどのような、人工的個別的な要因に左右されやすい。

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ウイルス感染者数の増加にみられる「自然現象によくある指数的な増加傾向」の「数の変化の特徴」を、もっと平易な言い方になおすと、
最初の段階では変化の量が少ないが、時間の経過とともに爆発的な増大に移行する現象
ともいえる。

最初のうちは、「1→2→4→8」と、数字の絶対値が小さい。だから、人はほとんどその意味の重さに気づかないし、ビビらない。

だが、その数字がやがて、「256→512→1024→2048」となっていくと、事の重大さに気づき、さらに「16384→32768→65536→131072」となると、パンデミックだ!と誰もが気づいて、絶望感が漂うわけである。(いわゆる、日本でいう「将棋盤問題」、西洋でいう「小麦とチェス盤の問題」である)
この「時間の経過とともに、変化が急激になる」という部分は、とても大事な部分で、武漢コロナウイルス感染者の対数グラフが、両対数グラフではなく、X軸が「リニアな時間」になった片対数グラフが望ましいと考える理由のひとつでもある。
自然界の指数関数的な増加現象は、常にリニアでゆっくりした時間変化と対比させながら注視していかないと、その激増や終息の始まりを視覚的に追っていけないのである。

(2につづく)
2020年4月2日、「感染者数グラフ」の正しい書き方、読み方。(2)なぜ実数が増えているのに「事態は落ち着いてきた」と言えるのか。 | Damejima's HARDBALL

March 26, 2020

いまだに武漢ウイルスの感染について、世界のマスメディアはいまだに感染患者数や死亡者数といった、「表面的な数」ばかり追跡して、人の不安を煽り、買い物パニックを誘発し続けている。挙句の果てに、ニューヨーク・タイムズなどに至っては、「日本の感染者数が少なすぎる」とケチをつけ、検査が少なすぎるからだと無理矢理に理由づけして印象操作しようと必死になる始末だ。

本当に、くだらない。
マスメディアには、なんの責任感も、知性のカケラもない。

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いま必要なことは、何か。

事態の推移を見ること」だ。

数字の増加にまどわされてはいけない。

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「日本以外の世界」において、感染症の拡大を決める要素で重要なのは、
人の「密度」と「移動の自由度」だ。

感染者数とか死亡者数といった、「数」にふりまわされてはいけない。「数」というのは、単体では時として意味がないのである。

世界で最も長い歴史をもつ国家である日本の場合は、「人の密度や、移動の自由度」のみで感染症の拡大度合いが決まるわけではなく、加えて、「衛生面を非常に重視して築き上げられてきた文化と、それを維持管理してきた非常に長い歴史」が「加算される」わけだが、そうしたハイレベルな文化的伝統をいますぐ全世界に求めることは残念ながら難しい。

なので、世界全体についてはやはり、「密度」と「移動の自由度」程度の簡単な指標で判断するほかない。

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例をあげる。

その地域に何人の医師がいるか、という「数値」があるとして、では、その数値から、その国や地域での医療サービスのレベルが推し量れるか、というと、それは無理だ。わかるわけがない。

例えば「ある地域に、医師がひとり」といっても、その地域の人口が「100億」なのか、「100人」なのかによって、『医師の密度』は、まったく変わるのである。

人は、「人口100人の過疎の村に、医師がひとり」というと、ものすごく「劣悪な環境」とか、「かわいそうに」とか、安易なヒューマニズムでモノを考えがちだ。
だが、「国別にみた、住民1000人あたりの医師数」は、世界ランキング1位のキューバですら「7人ちょっと」であり、日本全体でも「2人ちょっと」でしかない。だから「住民100人に医師ひとり」、つまり、「住民1000人あたり、医師10人」という状態は、実は「ダントツで世界No.1の医師密度」なのだ。

だから、「医師が何万人」とか「死亡者が何人」というような「」そのものにはたいした意味はなく、なんの比較基準にもならない。

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話をもどす。

日本の住民1000人あたりの「医師密度」は「2人ちょっと」で、世界の先進国でみると、けして高くない。むしろ、かなり低い。

では、武漢ウイルスが感染爆発した国はどうだろう。
イタリアやスペインが「4人」前後で、世界のトップクラス。他に、フランスとかイギリスが「3人前後」だ。アメリカは日本とほとんどかわらない。

先進国を気取っている欧州の方々には、たいへん申し訳ないが、「住民1000人あたりの医師の多さ」は、感染症の防御力にならないということが、こんなに簡単に明らかになる。先進国のみなさんはたいへんデリケートで、理解したがらないだろうが(笑)事実なのだからしょうがない。

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では感染者数を、まずは「リニアなグラフ」でみてみる。
ソース:http://nrg.cs.ucl.ac.uk/mjh/covid19/ =イギリスの大学であるロンドンカレッジユニバーシティの研究者のサイト viewed 03/26/2020

最も下にある「横ばいの、茶色の線」
わが日本である。

CoVID 19 Growth Rate 2020-03-27


このグラフは、縦軸の目盛りが、10000、20000、30000というふうに、「10000単位」でできている。一定の幅でできている「リニア」なグラフだ。
日本の茶色のグラフが「横軸にくっつかんばかり」に横に伸びている。「感染者数の少なさ」は一目瞭然だ。これだけでも、日本がいかにこの感染症をコントロールできているかがわかる。

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では、サービスとして(笑)感染者数を「住民100万人あたり」に直したグラフにしてみる。何か変化があるだろうか。(日本のグラフの位置があまりにもわかりづらいので、赤い丸をブログ側でつけてある)
ソース:Coronavirus Disease (COVID-19) – the data - Our World in Data viewed 03/26/2020

Coronavirus cases 2020-03-27

「人口100万人あたり」でみると、なかなか面白いことがわかる。

無能なライターやマスメディアが、日本をこきおろす目的で日本との比較にやたらと使いたがる「感染者数の少ない国」は、アジアではシンガポール、台湾などだが、それは『感染者の密度』で考えれば、根本的に間違いだ。

だが、(別に武漢ウイルスを発生させた重すぎる責任のある中国を懐柔する意味でなく言うのだが)シンガポールの「100万人あたりの患者数」は、武漢肺炎大国の中国を既に越えてしまっている。
また、(これも友好国である台湾に対して悪意からではなく言うのだが)台湾の「100万人あたりの患者数」は、日本とたいした差はない。
また、欧米メディアが感染への対処成功例として「検査数の多さ」を理由に持ち上げたがるのは韓国だが、その「住民100万人あたりの感染者数」は「中国のほぼ2倍」という、べらぼうな数なのであって、初期対応が見事だ、などとはとてもいえず、各国、特にアメリカでの報道ぶりが事実をロクに見ていないことは明らかだ。

ちなみに、この「100万人あたりの感染者数」は、指数関数の感染者数グラフに慣れた人でも、あまり見ていないと思う。というのも、シンガポールや台湾が「人口あたりでみると、感染者数が想像以上に多く、感染者の密度が高いこと」は、どのマスメディア、どのSNSでも、ほとんど指摘がみあたらないからだ。

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さて、さらにこんどは
グラフの縦軸を対数、log scaleにしてみる。
ソース:http://nrg.cs.ucl.ac.uk/mjh/covid19/ =イギリスの大学であるロンドンカレッジユニバーシティの研究者のサイト viewed 03/26/2020

他のグラフ同様、最も下にある「横ばいの、茶色の線」
わが日本である。

World 2020-03-27



最初に挙げた、同じソースからひっぱった「リニアなグラフ」と比べると、事態の見え方の違いがわかる。

グラフの縦軸が対数で、できている」というグラフの特性で、「感染者数がものすごく多い国」と、「感染者数がものすごく少ない国」が、非常に接近してみえるのである。

であればこそ、さらっと見ただけの人の中には、「日本には感染者が大勢いるんじゃないか」などと勘違いしてしまう人がいるかもしれないのである。

だが、それは「錯覚」にすぎない。

グラフの上のほうの部分の「目盛り」が「1万から10万まで」と「10000が単位」であるのに対し、グラフの下のほうの部分の「目盛り」は、「1、100、1000」と、おおよそ「100単位」なのである。
上と下とでは、目盛りの1単位が「100倍も違う」のだから、「数そのもの」はここでは何の意味もなさないのだ。

対数グラフにすることの主な意味は、
カーブの傾きから、感染拡大の『傾向』がどう変化しているかを読みとること、そしてもし可能ならば、近い将来の状態を予測して、それを対策に活かすこと
だ。このグラフには人数の多さを比較する意味はない。

グラフが「立っている」間は、感染が「かなり爆発的にピークに向かって進む状態」だし、グラフが「寝て」くれば、「感染拡大が止まっていく傾向にある」のである。


特に、人口の多い国、例えば中国やアメリカでは、毎日100人単位、1000人単位で感染者や死亡者が出る。そのため、単に人数だけを追いかけてしまうと、数字の大きさにまどわされ、事態が悪化の一途をたどっているようにしか見えない
それでは、「事態の大きな変化」が見えてこない。

では、対数グラフにすると、何がいいのか。
例えば、ここが最大のボトルネックだが、「グラフが寝てきた、フラットになってきた」時点では、「まだ感染者が多数発生している状態」ではある。だからもし「感染者数の発表だけしか見てない」と、ただ憂鬱になるだけで終わってしまい、不安はまるで解消されない。
だが、対数グラフでは、たとえ「まだ感染者が多数発生している状態」であっても、「グラフが寝てきた、フラットになってきたこと」によって、「その国での感染のピークがやや過ぎつつある段階に入るのかもしれない」という意味であることがわかるのである。

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さて、ついでだから、
こんどはグラフの縦軸を対数、log scale
かつ、「人口100万人あたり」にしてみる。
ソース:http://nrg.cs.ucl.ac.uk/mjh/covid19/ =イギリスの大学であるロンドンカレッジユニバーシティの研究者のサイト viewed 03/26/2020

他のグラフ同様、最も下にある「横ばいの、茶色の線」
わが日本である。

CoVID 19 Growth Rate 2020-03-27


「縦軸を対数にしただけのグラフ」と、「縦軸を対数かつ人口比にしたグラフ」では、ほとんどの国でポジショニングの違いは起こらない。例えば、中国、アメリカ、イタリア、スペインなどの位置付けはほとんど変わらないのである。なぜなら、これらの国が「人口も感染者数も、両方が多い国だから」である。

日本についても、位置付けはほとんど同じだが、その意味するところは、中国やアメリカなどとは、まったく違う
日本は、世界で人口10位と、多いほうから数えたほうが早い国であるにもかかわらず、「武漢ウイルス感染者数では、世界で最も感染の少ない国のひとつ」なのである。この日本の優秀さを認識しようとしないメディアが多いのには、まったくもって理解しかねる。

ちなみに、「縦軸を『対数+人口比』にしたグラフ」で見えてくるのは、むしろ、「人口が少ないからわかりにくい、隠れ感染国」の存在である。いい例がアジアではシンガポール、ヨーロパではスイスだ。
世界の報道ではシンガポールが感染対策で大成功などと宣伝されることも多々あるが、騙されてはいけない。「狭い国土の国」は、たとえ人口が少なくても、「人の密度」は高い。
感染症という事態において、「密度」はとても重要なのだ。世界各国の大都市で感染が大発生するのが当たり前であるように、「国土の狭い国」でも大きな感染は起こる。だが、そんな当たり前のことでさえ、感染者数だけ見ていると気づかないのである。

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ブログ主はなにも、対数で見ないとダメだ、などとは思っていない。適宜、場合と目的に応じて、フレキシブルにさまざまな数字を見ていけばいいとは思う。
だが、毎日のように感染者数が増えました、死亡者がこれこれ、などと、人々の不安を煽るようなことしか言わない無能なテレビや新聞のような馬鹿げた報道ぶりに、あきれてモノがいえないのである。

何度もツイッターで発言しているとおり、今の日本は、「世界でも有数の、感染者数の少ない国」であり、「世界でも稀有な、人口が多いのに感染者数の少ない国」であり、「感染者数の増加傾向の変化を示す対数グラフのカーブが寝てきていることからわかるように、感染の増加のピークを越えつつあるところにある、数少ない国のひとつ」なのだ。

だが、東京という巨大な都市はちょっと別で、今後の推移を見ていかなければいけない、「どちらにころぶか、わからない状態にあること」が、数字の微妙な傾向からわかる、と言っているのである。

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日本全体が無能なマスメディアに踊らされることなく、責任と自覚ある行動、日本人らしい他人を思いやる行動をとることを、心から願っている。

March 20, 2020

フランスの大臣Olivier Veranがさしたるエビデンスもない現状なのにもかかわらず、「武漢コロナウイルスについては、イブプロフェン摂取を控えるべき」と軽率な発言をしたことで、以下にみるように、さまざまなデマが生じるスキを与え、無責任なリツイートによって、たくさんの誤解が生まれた。


英国の国営メディアBBCは3月19日、このところネット上に非常に多くみられていた『新型コロナでのイブプロフェン摂取に警鐘を鳴らす各国の事例』」について、それらが事実かどうかチェックしたところ、多くが「デマ」であることが判明したと発表している。

BBCによれば、以下の事例はすべてデマである。

1)アイルランドのコークで、集中治療室に収容されている既往症のない4人の若者は、全員が抗炎症薬を服用しており、それによって深刻な病気が引き起こされた懸念がある

2)ウィーン大学は、コロナウイルスの症状がある人々に「イブプロフェンを服用しないよう警告するメモ」を送信した

3)フランスのトゥールーズの大学病院で、既往症のない若者4人がコロナウイルスによる重篤な状態にあるが、彼らはいずれも感染初期にイブプロフェンなどの鎮痛解熱剤を服用した

ソース:Coronavirus and ibuprofen: Separating fact from fiction - BBC News


これらの「デマ」は新たな誤解を誘発するという意味で、たいへん悪質である。

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ここからちょっと長い前置きになる。

痛みや発熱を起こす体内の炎症を抑える薬剤は、「ステロイド性」「非ステロイド性」など、いくつかのジャンルにわかれている。ステロイド系は強い副作用の制御が容易ではないため、一般的な用途には多く「非ステロイド性抗炎症薬」が用いられる。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs、NonSteroidal Anti-Inflammatory Drugs)には非常に多くの薬剤があるが、一般的な代表例としては、アスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなどが広く知られている。

このとき気をつけるべきなのは、アスピリンを例にとれば、街のドラッグストアで「アスピリンそのものが商品名として売られている」わけではないということだ。薬局では、「アスピリンを主剤(=主成分)にした薬」が「製薬会社ごとに違う商品名」で売られているのである。

逆にいえば、世の中には数え切れないほどの鎮痛解熱剤が存在しているが、「主成分の違い」だけに絞ってみれば、それらには、アスピリン系、イブプロフェン系、アセトアミノフェン系、ロキソプロフェン系など、おおまかな「分類」があるわけだ。

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では、話を最初に戻す。


もし「コロナ感染を心配している人」が、「新型コロナに感染したら、イブプロフェンを服用すると危ない」と聞いたら、どういう反応をするだろうか。

「イブプロフェンが危ない? ならば、他のタイプの鎮痛解熱薬、例えばアスピリンやアセトアミノフェンを試そう」などと考える人が確実に発生する。


だが、それはちょっと待つべきだ
インフルエンザを例に説明してみる。


まず、これはあくまで推測だが、「新型コロナ感染において、イブプロフェンが症状をむしろ悪化させる」というデマは、「インフルエンザにおいては、イブプロフェンがインフルエンザ脳症を起こすから投与すべきでない」という医学的検証の済んでいる話を「コロナに流用」し、デマとして流布したのではないかと考える。

たしかに、「インフルエンザではイブプロフェン投与は避けるように」と欧米で公式に指導されている。

だが、だからといって、「インフルエンザ感染時に、イブプロフェンでない解熱剤の服用なら安全といっていい」のか。たとえば「アスピリンなら、安全といえる」のか。

そうではない

「アスピリン」に関しては、「水痘やインフルエンザ時に使用すると、(特に小児は)ライ症候群になりやすい」という指摘が、すでに1980年代にアメリカで指摘されている。また、インフルエンザ時に安全と思われがちな「アセトアミノフェン」にすら、死亡率が高まるケースがあるという一部専門家の警告もある。

総じていえば、感染症においては「きつい解熱剤の使用」が、かえって症状を重症化し、死亡率も高めるケースがあることは、多くの専門家が指摘するところだ。

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この「インフルエンザと、各種の鎮痛解熱剤との間でみられる副作用の関係」でわかるように、『イブプロフェン服用がかえって危ない』という言説が一部にあったからといって、それが、『アスピリンなら安全』、『アセトアミノフェンは安全』、『イブプロフェンではない薬は全部安全だ』という意味には、まったくならないのである。

だが、悲しいことに人間は、ツイッターなどで「コロナにはイブプロフェンを投与するな」というロジックを目にすると、アタマの中で勝手に「アセトアミノフェンなら大丈夫、安全」などと話をすりかえて、「専門家への相談もなしに、アセトアミノフェンに手を出してしまう」のである。



薬物のことなどわからない素人のわれわれは、たとえ「イブプロフェンが新型コロナの症状をかえって悪化させる」ことが専門家の調査でわかったとしても、だからといって、「アスピリンなら大丈夫」とか、「アセトアミノフェンなら安全」とか、「何の根拠もない思いつきだけで断定的にモノを言う」ことは許されないのである。

薬物の服用に関しては、たとえそれがインフルだろうと、コロナだろうと、素人が、いわゆる素人考えで、勝手に服用したり、医師の指示した服用を勝手に止めたりすることなく、まず専門家に相談すべきだし、さらにいえば、真実かどうかもわからない「いい加減な情報」の拡散は慎むべきであり、また、いい加減に拡散された情報から「自分の脳内で勝手に情報を拡張したり増幅させたりすること」も止めるべき、なのだ。



追記

WHOは2020年3月20日あたりに、新型コロナ感染者のイブプロフェン服用を控えるよう求める勧告は「しない」などと言い出した。その論拠として「治療にあたっている医師への調査の結果、通常の副作用以外に、症状を悪化させるという報告はなかった」というのだが、WHOのこの無能さ、無責任さは、いったい何事だろうか。

WHOは、世界保健機関との名前のとおり、世界の健康を預かる非常に大事な仕事であるはずだ。にもかかわらず、この人たちはロクに医学的追求もせず、デマにのっかる形で、「武漢肺炎におけるイブプロフェン服用は避けるべき」などと発言し、こんどはそれを撤回したのである。

医学にかかわる立場にある組織が、なぜ最初から風説に踊らされることなく、事実を専門家にたしかめないのか。

このことで、WHOが単なる「素人集団であること」は、もはや確定した。こんな素人の集団に対して、日本は資金を拠出したりするべきではないし、WHOの責任者は、事務局長以下、全員が自発的にこの不祥事の責任をとって辞任すべきだ。

March 18, 2020

CDC、米疾病対策センターがダイヤモンド・プリンセス号事件の経緯の一部を2020年3月17日週報に掲載した。明らかに、この船は横浜に来る途中で既に「武漢ウイルスまみれ」の状態にあったことがわかる。こんな状態の船を受け入れさせておいて、CDC自身、あるいは、日米のマスメディアは「日本の責任だ」などと濡れ衣をきせたのだから、そのいい加減な姿勢、根拠の無い責任追求には、いまさらながら腹がたつ。

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乗客の感染判明は2月1日

まず乗客の感染判明だが、Wikiなどに「1月に横浜から乗船した中国系乗客」で、「乗船直後の1月23日に症状が出た」「下船後の2月1日に感染判明」とある。
船内に「症状のない別の感染者」がすでにいて、その感染者からウイルスをもらった可能性もないわけではないが、感染から発症までに「潜伏期間」があることを考慮すると、この最初の感染者である中国系乗客が「最初は健康だったが、ダイヤモンド・プリンセス号船内で感染した」というよりも、むしろ、最初から感染者で、この人物が「船内にウイルスを持ち込んだ」可能性のほうが高いといえるだろう。

横浜で乗船したこの乗客が、「中国在住の中国人観光客」なのか、「日本在住の中国系住民」なのかはハッキリしていないが、いずれであるにしても、この「中国系の乗客」が最も初期の感染者のひとりであることは疑いようがない。
ウイルスの遷移はDNA解析によって、誰から誰に伝染ったのか、経路を多少なりとも推定できると聞くから、この乗客のウイルスを調査し、他の乗客の感染者や乗員の感染者のウイルスのDNAと比較して、「ウイルスの遷移の経緯を明らかにすべき」だろう。


乗員の感染判明は2月2日

乗員における最初の感染判明は「2月2日」だ。

乗客の最初の感染判明が「2月1日」だから、その翌日には乗員の感染も判明したことになる。「乗客と乗員の感染拡大は、平行して進んでいた」とみるべきだろう。
船が那覇を出て横浜に向かったのが2月1日、横浜沖到着が2月3日だから、横浜に接近する間にはすでにダイヤモンド・プリンセス号の船内では乗客と乗員の両方でコロナ感染が始まっていたわけだ。
これも潜伏期間の長さを考慮すると、乗員への感染についても、那覇から横浜に向かう途上では、感染は、始まったばかりどころか、拡大期にあったとみるのが自然だろう。


乗員の食事担当グループが
乗員における感染拡大の原因


CDC週報によれば、最初の乗員感染者は「乗員の食事担当」であり、後になって判明する「乗員における感染者」の「約75%」が、この「乗員の食事担当乗員」で占められていたという事実がある。

「乗員の食事を用意していた乗員が発症」し、それが、同じ食事担当乗員の間で感染拡大し、さらに他の仕事をする乗員にも感染が広がっっていったのは、ほぼ間違いない。
また、乗員のウイルスが乗客へ感染し、感染拡大を増幅した可能性も十分あるが、これも、ウイルスのDNAを調査することで、「乗客と乗員のどちらの感染が先か」を判明させることが可能なのではないか。


日本側の検疫開始は2月4日

日本側が、最初の検疫を行ったのは、「2月4日」である。

乗客の最初の感染確認が「2月1日」、乗員の最初の感染判明が「2月2日」だから、これも潜伏期間を考慮すれば、2月2日時点では、乗客にも、乗員にも、「感染の素地はとっくにできていて、感染拡大は既に始まっていた」のである。
乗客にも乗員にもウイルス感染が判明した2月2日時点では、まだダイヤモンド・プリンセス号は「横浜に向けて航行中だった」のであり、「船内に目に見えないウイルスが既に充満していたことは明らかであり、日本がこの船が横浜沖に着くのを待って2月4日に検疫を行ったこと自体は、けして遅くなどない。


こうして丁寧に日付と役割を追っていき、さらにDNA鑑定なども加えていけば、ダイヤモンド・プリンセス号における「横浜沖に戻る前の、船内での感染度」というものはかなりの部分が明らかになるはずだ。
ならば、CDCやアメリカのメディアが日本を名指しで批判したことが、どれほど馬鹿げていたかは明らかになるし、日本のメディアがアメリカのメディアの日本批判に便乗したことが、どれほど恥知らずな行為だったかも明らかになる。

March 10, 2020

いま2020年2月末段階でのコロナウイルス騒動を振り返ってみると、日本のコロナ感染の程度について、非常に多くの「デマ」が飛ばされ、いつのまにか日本が世界最大のコロナウイルス汚染国ででもあるかのように「仕立てられてきた」ことがわかる。


デマが根拠にしたのは、「検査は、すればするほど、事態を改善していくはず」という「誤った思い込み」である。だが、そこにはなんの科学的根拠もない。


例えば以下のブログを例にとると、2020年2月末の記事で「韓国と日本は10万人あたり感染者数が、実はほぼ同じだろうと推測」などと、根拠のないことを主観のみで述べたてている。
感染者爆発の韓国と日本が実は人口あたり感染者数がほぼ同じという推測

こんな馬鹿げた主張に何の根拠も、裏付けもないことは、ほんのちょっと事実を並べてみればわかることだ。たぶん、テレビのワイドショーかなにかが無責任な反日報道をするのを見て、真に受けたのだろう。哀れなものだ。


こうした無責任な主張がよりどころにしているベースは、「韓国では大量の検査をしているが、日本ではあまり検査をしていない」という、「あやふやな話」だ。
もし、検査の数がそれぞれの国で異なるというささやかな事実を指摘したいだけなら、そのことだけを指摘して満足していればよかった。だが彼らは、よせばいいのに、そのささいな事実を針小棒大に利用して、大きなこと、つまり、「日本では実際にはコロナ感染が蔓延している! 政府の事実隠蔽だ!」などと、「デマ」を流そうとして墓穴を掘ったのである。


では「事実」はどうか。
簡単にふりかえる。

2月末の時点で、上記ブログが指摘した韓国の10万人あたり感染者数は「1.2人」だが、3月8日〜10日のいくつかのソースからみると、韓国の10万人あたり感染者数は「14人」をこえ、検査をやたらとしていた韓国の感染者数は、たった10日でその10倍以上に激増しているのである。

もし本当に、日米マスコミのデマニュース、素人のデマブログ、デマSNSがいうように、「きちんと検査をしてないことが日本のコロナ対策の重大な欠陥」であり、他方で「韓国がきちんと検査していることが、彼らのコロナ対策成功の証である」ならば、2月末から3月10日には、日本のコロナ患者が激烈に増加する一方で、韓国は封じ込めに成功し、その結果「両国の感染割合は接近してきて」いなければ、ロジックの辻褄があわない。


だが、「事実」はまるでそうではない。

10万人あたり感染者数でみると、2月末に「1.2人」だった韓国は、その後の10日間ほどで10倍以上に膨れ上がって「14人を越えた」のであり、その一方で、3月10日現在の日本は「0.39人」と、月末の韓国や、アジアより遅れてコロナ感染が始まったヨーロッパより、はるかに少なく、おまけに、そのヨーロッパの中でも感染者の少ないイギリス以下の数値にすぎないのである。
新型コロナウイルスによる死亡率 イタリアが世界で最高に - Sputnik 日本


これらの事実が示すのは、単純なことだ。

「数多くの検査をすることが絶対的な感染症対策になる」わけでは、まったくないのである。

軽症の患者をも対象に加えて、検査をしすぎると、医療システムそのものが機能不全を起こして機能しなくなり、重篤な患者への対応をはじめ患者全体への対応が麻痺する事態が起こることは、感染症対策で意識しておくべき基本のひとつであり、韓国の事例で実証されている。


検査そのものはべつに「正義のありかを示す剣(つるぎ)」でもなんでもない。なのに、それを安易なヒューマニズムにかぶれた人間が「検査!検査!」と怒鳴りまくって称揚し、あたかも日本が世界最高のコロナ感染国のひとつであるかのような無責任なデマを飛ばしまくって、国民の危機感を無駄に煽って、トイレットペーパーをはじめとするプチ・パニックを誘発したのが、この「PCR検査デマ」という恥知らずな行為なのである。

付記:ダイアモンド・プリンセス号での感染は
   「日本での感染ではない」


例のダイアモンド・プリンセス号での「700人あまりのコロナ感染者」だが、あの中国寄り発言の連発で悪名高いWHOですら、「日本の感染者数」にはカウントしていない
当然である。なぜなら、あれは、「船籍はイギリスで、所有者はアメリカ」の船であり、感染が起こったのも公海上、いわば「外国での感染」なのであって、「日本での感染ではない」のである。
にもかかわらず、日米のマスメディアなどはダイアモンド・プリンセス号の700人を日本での感染者数にカウントするような恣意的な印象操作報道を意識的に繰り返したために、世界の多くの地域で誤解や日本人差別が生じたのである。彼らは日本に謝罪すべきだ。



March 07, 2020

まずは、以下の2つのNHK(=日本の国営テレビ)記事を読み比べてもらおう。ダイアモンド・プリンセス号事件の記事である。

2つの記事が書かれた日付は、わずか10日間しか離れていない。
だが、短い期間、同じメディアの記事であるにもかかわらず、2つの記事の間には気味が悪いほどの「事実認識の隔たり」がある。(以下の記述において、2つの記事はすべて記事A記事Bと略す)

記事A)2020年2月23日NHK記事
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200223/k10012297661000.html

記事B)2020年3月4日NHK記事
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/31092.html


項目1)アメリカ人乗客を船内にとどめたのは誰か

記事Aに、明確に日本側はアメリカ人乗客の早期帰国を提案したが、船内にとどめるよう要請したのは、むしろアメリカ側で、CDCもそのことを事前に知っていた旨の明確な記述がある。(*CDC=アメリカの伝染病対策にあたる政府組織である「疾病対策センター」)
記事Aからの引用(太字による強調はブログ側による)

日本政府が、当初、アメリカ人乗客の早期下船と帰国を提案したのに対し、アメリカ政府は日本側の対応に謝意を示したうえで、CDCなどと議論した結果、「乗客を下船させ、横田基地などに移動させれば、感染リスクが高まることが予想される。船は衛生管理がきちんと行われており、船内にとどめてほしい」と要請していた

しかしながら、記事Bの記述ぶりはまったく異なる。

まず、記事Bでは「アメリカ側からの要請で乗員乗客を船内にとどめた」ことについて、悪質なことに、すっぽりと記述が抜け落ちている。
そして、記事Bでは「『日本政府の危機感が薄かった』と断定できるだけの記述量が、記事冒頭にまったく欠けている」にもかかわらず、「アメリカ側からの要請にまったく触れない」というレトリックによって都合よくも、いきなり「当初、政府に危機感は薄かった」などと記者が主観的に断定することから記事を始めている、のである。
また、記事Bの要所要所で記者は、「ある政府関係者」「政府高官」など、「曖昧な主語」を故意に散りばめることで、名前すら挙げない不特定の人間をあたかも日本政府自身が、みずからの失態をわかっていて、恥じてでもいるかのように陳述することで、読む人間の印象を操作しようとしている。
その結果、記事Bは記事全体として、あたかも「日本政府の当初の見通しの甘さが、乗客乗員を船内に長く留め置く原因になった」かのような「印象操作」を読者に強いているのである。

項目2)CDCの責任逃れ

記事Bには、CDCのコメントについて以下の記述がある。
5日以降、乗客・乗員を船内に留め置いたことは、むしろ感染を拡大させたのではないか。こうした疑念が国内外に広がった。アメリカのCDC=疾病対策センターも、「乗客は感染するリスクが高い状態に置かれていた」などと指摘。国内外から批判が相次ぐこととなった。

この記事の最初の「項目1」を読んでもらえば明らかだが、「アメリカ人乗客に関して、船内にとどめるよう要請した」のは「アメリカ側」であり、その相談にはCDCも参加していたと、少なくとも記事Aは明記している。
つまり、ことアメリカ人乗客の下船に関する去就に関していえば、「乗客を船内にしばらくとどめるとする決定」は、CDCを含むアメリカ側に主な責任があり、また、全乗客の多数派であるアメリカ人乗客に関する「決定」が、他の国の乗客全体の処遇の決定に大きな影響を与えるであろうことは言うまでもない。
船内にとどめることに当初から同意していたCDCが、船内隔離による感染リスクについて他国の政府を批判できる立場にはないことは明らかだ。


項目3)「船内に乗客をとどめたことが感染を拡大させた、のではない」という日本の国立感染症研究所の指摘

記事Aにおける時系列をあらためて確認すると、日本が乗客を船内にとどめることにしたことには、「理由」がある。それは「『症状がある人』の中に武漢コロナ感染者がいることが明らかになったことで、すべての乗客乗員への検査の必要が生じ、また、たとえ結果が陰性であっても、2週間程度の経過観察を要するという判断が生じた」からだ。
記事Aが記述した時系列
2月1日 香港で下船した男性の感染が判明
2月3日 乗客・乗員3711人のうち「症状がある人」を対象に検査開始。当時の厚生労働省は「検査の結果が判明するまで全員船内に待機させたうえで、無症状者は検査を行わず下船させる方針」
2月5日、10人のコロナ感染が判明。厚生労働省、すべての乗客・乗員を検査し、陰性と確認され、健康状態にも問題がなければ14日間の健康観察期間が終了する2月19日から下船という方針に転換
2月19日〜21日 969人が下船


では、なぜ「2月5日以降に乗客・乗員を船内に留め置いたことで、むしろ船内に感染を拡大させたのではないか」というような「根拠の曖昧な疑念」が生じたのか。
きっかけのひとつは、いうまでもなく、神戸大学教授・岩田健太郎がYoutubeにアップした主観的で独善的な動画(=既に削除されている)だ。そうした根拠のない主張が、アメリカのCDCの責任逃れに「口実」を与えることになり、CDCは尻馬に乗る形で「乗客は感染するリスクが高い状態に置かれている」などと批判を口にできたのである。

だが、記事Bにこういう記述がある。
国立感染症研究所は、クルーズ船内で検疫が開始される前に、ウイルスの実質的な感染拡大が起こっていたと指摘。感染者の数が減少傾向にあることから、5日以降、乗客を自室にとどめたことなどが、有効な対応だった

つまり、日本の国立感染症研究所によれば、「乗客乗員を船内にとどめたことによって感染が拡大した」のではなく、全員を検査するとか、船内での14日間の観察期間を経過するとかより以前の段階で「船内ですでに感染拡大が起きていた可能性が高い」と指摘しているのである。
にもかかわらず、神戸大学・岩田教授の無責任きわまりない動画を見た大衆や日米のマスメディアは、「船内にとどめたことで感染が広がった」などと、無根拠なデマを飛ばしたのである。


項目4)アメリカがチャーター機を手配したことに関する記述

アメリカがチャーター機を手配するに至った経緯について、記事Aは以下のように記述する。
日本側が2週間の健康観察期間が過ぎる19日から下船が順次可能となると説明したのに対し、アメリカ側は日本政府の負担を軽減すべきと判断したとして、19日を待たずにチャーター機を派遣し、アメリカ人の乗客らを帰国させる方針を伝えた


しかしながら、記事Bはニュアンスがまったく異なる記述を、故意かつ主観的に採用している。「日本の国立研究所が『船内での2週間の待機期間を設けたことで感染が拡大したのではない』と指摘した」という主旨の記述部分に続けて、こう書いて、印象操作しているのである。
しかし、懸念は払拭できず、乗客の間にも不安が拡大する。
アメリカは、自国民を帰国させるため、各国に先駆けてチャーター機を手配。

この「事実の断片を部分的に主観で切り取って、無理につなげた文章」だけを読むと、あたかも「世界が懸念を表面化するなかで、何事にも迅速なアメリカが、もっとも早く他に先駆けて動き、自国民をいちはやく救済した」かのような印象を読む人に与える。

だが、「項目1」における記事Aによれば、それは事実ではない。
そもそも「船内にとどめるように要請した」のはもともと日本でなく、アメリカであり、また、アメリカ側がチャーター機を手配して2月19日の待機期限を待たず、アメリカ人乗客を帰国させたこと自体、日米両国間でとっくに了解済みの話なのである。「2週間の船内待機がウイルス汚染を拡大させた。それを危険視したアメリカが急いでチャーター機を飛ばした」という朝日、毎日、ニューヨーク・タイムズなどの下世話な論理は、そうしたメディアがもはやタブロイド紙まがいの三流ジャーナリズムでしかないことを如実に示している。

項目5)たとえ検査結果が「陰性」であっても発症する新型コロナウイルスの特性

記事Bは、アメリカのニューヨーク・タイムズの以下の記事を紹介している。
日本がクルーズ船の乗客を自由にしたが、それは安全なのか?
Japan let's passengers walk free. Is that safe?

中国でのいくつかの事例、また、日本を含めた他の国での事例においても、この新型コロナウイルスについて「大流行のあとからわかった、最もやっかいなこと」のひとつは、たとえ「検査で陰性」だからといって、「いちど感染した人間は二度と発症しない」「症状がない人間は発症しない」「感染したからといって、症状が出るとは限らない」ことだ。

たしかに、「陰性で、2週間の待機を経過した乗客たち」であっても、「公共交通機関」で帰らせたことは迂闊な判断といえる。

だが、だからといって、「陰性の検査結果が、いったいどこまでの『安全』を意味するのか、いまだにはっきりしない」ような曖昧な状況では、「陰性とわかったはずの人間」、「治療が終わったとみなされた人間」の処遇において、「一定の誤り」が生じることは、それが誰であっても避けることはできない。
何が本当に安全といえる状態なのか。それは当分の間、誰にもわからないことだけはわかっているというのに、ニューヨーク・タイムズはいかにも「自分だけは、すべてがわかっている」かのような上から目線の態度なわけだが、そういう無意味で失礼な態度は笑止千万というものでしかなく、やがてくるブーメランの到来に備えたほうがいい。

サンフランシスコ沖のクルーズ船「グランド・プリンセス号」は、日本の「ダイヤモンド・プリンセス号」と同じ会社の所有する客船だが、ハワイで下船させた乗客が既に新型コロナに感染していたことがわかっている。
ニューヨーク・タイムズがいかに「上から目線」で語ろうと、アメリカでの新型コロナの検査が拡大すればするほど、この冬、アメリカでのインフルエンザ大流行と思われ、インフルエンザでの死者と思われていた症例の何パーセントか、何十パーセントかが、実は武漢コロナでしたという話になるのは目に見えている。


以上、同じNHKの異なる2つの記事を点検した。日米両国のマスメディアによるこのところの日本批判が、どれほど恣意的なものか、わかったことと思う。

われわれは常によく目を開けて、報道と事実の差異を点検すべきだ。


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