September 25, 2009

今日のヘルナンデスは8回108球、77ストライク、31ボール。ストライク率71.3%は、この2ヶ月では8月23日の66.3%を抜いて最高値。(調べていないが、シーズンでも、もしかするとストライク率は最高値かもしれない)

8月1日  104球58ストライク 55.8% 四球4
8月7日  113球70ストライク 61.9% 四球6
8月12日 105球67ストライク 63.8% 四球4
8月18日 106球69ストライク 65.1% 四球1
8月23日 101球67ストライク 66.3% 四球0
8月28日 104球63ストライク 60.6% 四球1
9月2日  114球67ストライク 58.9% 四球3
9月8日  113球69ストライク 61.1% 四球4
9月13日 109球65ストライク 59.6% 四球1
9月18日 104球65ストライク 62.5% 四球1
9月24日 108球77ストライク 71.3% 四球2 11三振 

ひさびさに楽にストライクをとれるピッチングにはなったわけだが、「3球に2球ストライクを投げる」、つまり、メジャーの配球術として一般的な67%程度という数値からいうなら、今日のヘルナンデスはかなりストライクが多すぎる。

それだけ、今日のヘルナンデスは三振を意識して取りにいった、といえるだろう。
そのために、一時の不調時によくやっていたシンカーを多用する組み立てではなく、ストライクの多さからわかるように、今日のヘルナンデスはストレートを投げたがった。
その結果、今シーズン最多の11三振をとれたわけだが、その一方ではバーノン・ウェルズに3ランを許した。三振を故意に狙いにいくピッチングというのは、こういう怖さがある。

9月24日のGameDay
Seattle vs. Toronto - September 24, 2009 | MLB.com: Gameday


9月、ヘルナンデスはこれで4勝0敗、防御率0.58。
月間最優秀投手を初受賞した今年6月が「3勝0敗、防御率0.94」だから、遥かに9月のほうが数字がいい。
9月最初の登板のストライク率を見ればわかるように、8月末から9月にかけてのヘルナンデスは、けして調子がいいとは言えないゲームが多かった。もし9月の月間最優秀投手を受賞できれば、それはロブ・ジョンソンの功績でもある。
もし、9月8日のLAA戦でキャッチャーを城島に代えてサヨナラ負けしたりするような馬鹿な真似をしていなければ、2009年9月のア・リーグ月間最優秀投手賞は、間違いなく、今の時点でとっくに、9月5勝のヘルナンデスに決定していた。

コネ捕手城島は、まさに
ヘルナンデスの疫病神である。


2009年9月8日、それまで安定していたローテを壊滅させてまで出場機会増を強行したコネ捕手、再びヘルナンデス登板ゲームに触手。結果、「延長10回裏サヨナラ負け」で、サイ・ヤング賞レースに、ヘルナンデスにとりつきたくてしかたがない厄病神の暗雲が再来。

ヘルナンデスのスタッツ
Felix Hernandez Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

とにもかくにも、8回3失点、17勝目。
防御率はわずかに下がってしまったが、勝ったことでサイ・ヤング賞レースに生き残ることができただろう。

ちなみに、グレインキーとヘルナンデスの比較で面白いデータがある。
2009ア・リーグで200イニング投げている投手のうち、グレインキーは、LAAのウィーバー弟や、DETのバーランダーほど極端ではないにしても、指折りのフライボール・ピッチャーのひとりである。(グレインキーのGround ball/Fly Ballの数値は、ウオッシュバーンと同等程度)
対してヘルナンデスは、ハラデイと並んで、ア・リーグで最も極端なグラウンドボール・ピッチャー。2人はア・リーグで最も極端なグラウンドボール・ピッチャーで、シーズンのダブルプレー獲得数も上位にいる。

Ground Ball/Fly Ball
およびダブルプレー獲得数
(2009年9月24日現在)
ヘルナンデスも、キング・オブ・グラウンドボールピッチャー、ハラデイ同様、ダブルプレー獲得数が多く、また、典型的なフライボールピッチャーのウィーバー弟はダブルプレー獲得数がシーズンで5つしかない。
だが、もちろん、フライボール・ピッチャーのグレインキーの併殺数が16であるように、フライボール・ピッチャー全部がダブルプレーが少ないわけではない。
フライボール・ピッチャーだらけのシアトルの投手だが、下記のデータにあげたように、ダブルプレーに仕留めるのが上手くない。
よくウオッシュバーンをフライボール・ピッチャーだからという理由で、セーフコでしか通用しないだのなんだの、とやかく言いたがる馬鹿がいるが、彼はダブルプレーが必要な場面ではきちんとゴロを打たせているように、単なるフライボール・ピッチャーに留まらない投球術をもつ素晴らしい投手である。
また、グラウンドボール・ピッチャーのヘルナンデスと、ズレンシックが無駄にトレードで獲ってきたスネルやフレンチを比較しれみればわかるように、セーフコは球場が広いからフライボール・ピッチャーを獲ってくれば活躍するなどという迷信ほど、内容の無い馬鹿げた話もない。
そんな単純な話が野球で通用するわけがない。

アーズマ     0.36  2
フレンチ      0.44  4
ケリー       0.49  4
オルソン      0.52  9
モロー       0.58  5
バルガス      0.61  11
ウオッシュバーン 0.64  16(DET含む)
スネル       0.66  4
メッセンジャー   0.67  1
ロウ         0.73  5
ローランド・スミス 0.73  5
フィスター     0.76  6
ベダード      0.80  2
ジャクバスカス   0.85  7
シルバ       0.92  4
バティスタ     0.93  9
ホワイト       0.99  5
ヘルナンデス   1.17  19

グレインキーとのQS数、QS%比較
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN


今日のアンパイアは、もともと際どい球をとらないタイプ。
打たれた6回は、今日ヘルナンデスから2安打しているイヤな先頭打者アーロン・ヒルをサードゴロにうちとって「ヤレヤレ」と思ったら、サードのベルトレのエラーで出塁させてしまった。
さらに追い討ちをかけるように、次打者のアダム・リンドに投げた初球、アウトローのカーブが低め一杯にズバっと決まった見事なストライクを、アンパイアがボール判定された。
さすがに大人になったと評判のヘルナンデスも、これにはさすがに多少イライラしたのだろう、リズムが狂って、バーノン・ウェルズへの初球スライダーが真ん中に入ってしまった。

やはりノーアウトで味方のエラーで出塁されるのは、精神的にこたえる。



ロブ・ジョンソンの打撃はコネ捕手に出場機会を与えすぎている9月のゲーム数が少ないために本来のバッティングの集中力を欠いている心配はあったが、杞憂に終わった。
ツーベースを打ったこともさることながら、なにより2つの四球が素晴らしい。
彼の選球眼の良さのポイントのひとつは、今日のような左投手の投げてくる、きわどい所に来るが最後はボールになり、打っても凡打にしかならないアウトコースのスライダーの見極めができて、しかも、手を出さないこと。だからストレート系をミスショットしてファウルしていても、四球につながる。

ヘルナンデスの全登板

4月6日  6回自責点1  城島 QS
4月11日 5回自責点5  城島
4月17日 6回自責点3  ジョンソン QS
4月23日 7回自責点0  ジョンソン QS 完封リレー
4月28日 8回自責点0  バーク QS 9三振
5月4日  6回自責点6  城島 負け  9三振
5月9日  4回自責点5  城島 負け
5月14日 7回自責点0  ジョンソン QS
5月19日 5回2/3自責点6 城島 負け
5月24日 8回自責点1  ジョンソン QS 10三振
5月30日 6回2/3自責点0  ジョンソン QS
6月5日  7回自責点1    ジョンソン QS
6月10日 7回自責点1    バーク QS
6月16日 9回自責点0    バーク QS
6月21日 7回1/3自責点0 バーク QS 8三振
6月27日 8回自責点0    ジョンソン QS 9三振
7月3日  7回自責点3    ジョンソン QS
7月9日  8回自責点1    ジョンソン QS
7月17日 8回自責点2    ジョンソン QS 8三振
7月22日 7回自責点1    ジョンソン QS 8三振
7月27日 5回2/3自責点7 ジョンソン
8月1日  7回自責点2    ジョンソン QS
8月7日  6回自責点3    ジョンソン QS
8月12日 7回自責点0    ジョンソン QS 10三振
8月18日 7回自責点1    ジョンソン QS 9三振
8月23日 6回自責点3    ジョンソン QS
8月28日 7回自責点3    ジョンソン QS
9月2日  8回自責点0    ジョンソン QS
9月8日  7回自責点1 ジョンソン→城島 QSサヨナラ負け
9月13日 7回自責点0    ジョンソン QS
9月18日 9回自責点1    ジョンソン QS
9月24日 8回自責点3    ジョンソン QS 11三振







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