October 19, 2009

ずっとこのブログで取り上げてきた、あのクリフ・リーがNLCS、ナ・リーグ優勝決定戦の第3戦に先発した。黒田には申し訳ないのだが、結果は最初からこうなる、つまり、大差がつくと思っていた。サイ・ヤング賞投手クリフ・リーと黒田では、モノがあまりにも違いすぎる。
まだゲームは続いているが、10奪三振、無四球。クリフ・リー快刀乱麻で、フィリーズの勝ちは間違いない。
Phils back Lee's gem in Game 3 rout | phillies.com: News

LA Dodgers vs. Philadelphia - October 18, 2009 | MLB.com: Gameday

クリフ・リーの素晴らしいピッチングで特に圧巻だったのは、7回の1死2塁から、マニー・ラミレス、マット・ケンプを連続三振にうちとったシーン。たいへんいいものを見せてもらった。

このゲームでクリフ・リーが7回までに打たれたヒットはわずか3本しかないが、うち2本がマニー・ラミレスである。だがマニーにはヒットを打たれた、というより、長打を許さず、ドジャース打線を調子づかせないピッチングを徹底したと言えるわけで、これはこれで成功である。たとえマニーにシングルを打たれても、次の打順のケンプさえ抑えておけば、フィリーズ側にとって何も問題はない。

しかしながら、こと、この7回の1死2塁に関してだけは、マニー・ラミレスに対するクリフ・リーの気合と気迫が違った。「絶対に三振させてやる!」という、なんとも激しいオーラがクリフ・リーから発せられていた。

案の定、ラミレス、ケンプ、2者連続三振。

2009年10月18日 5回無死1塁クリフ・リー ケンプをカーブで三振ナ・リーグ優勝決定戦 第3戦
5回表 無死1塁
マット・ケンプ 三振

これは5回のケンプの三振。最後はインローのカーブで三振していることに注目。この目に焼きついたカーブを、次の打席でこんどはボール球として有効に使い、ケンプを翻弄した。素晴らしい配球。


2009年10月18日 7回クリフ・リー マット・ケンプを三振ナ・リーグ優勝決定戦 第3戦
7回表 2死2塁
マット・ケンプ 三振

7回の2死2塁では、ケンプへの3球目にカーブを真ん中低めに落としておいて、4球目のチェンジアップを同じ軌道で投げて追い込んだ。4球目はド真ん中だったが、5回にカーブで三振している後では、この同じ軌道の球にケンプは手が出せない。クリフ・リーのスーパー・テクニックだ。


カーブはマット・ケンプにだけ投げたわけではなく、他の打者にも投げている。だが、上に挙げた画像からわかるようにを、5回表の無死1塁の打席でケンプは「高めの球で追い込まれ、最後は低めいっぱいのカーブで空振り三振」している。ここが重要。
きっとケンプの目とアタマには「カーブの軌道」が焼きついたことだろう。


7回のケンプの三振でも、3球目にカーブを投げたが、こんどは「真ん中低めに落ちてボールになるカーブ」。使い方が、あまりにも素晴らしい。
ほれぼれするとは、このこと。クリフ・リーの「ド真ん中を打者に振らせない配球」、コントロールの良さ、変化球のキレ、そしてなにより、マウンドでの落ち着きと気迫。全てが素晴らしい。

3球目カーブの次に、4球目としてチェンジアップを、ほぼド真ん中低めのホームランコースに投げているわけだが、打者ケンプはあっさり見逃して、カウントを追い込まれている。
4球目のド真ん中を打者に振らせないで、見逃させることができたのは、3球目のカーブがあるからだ。「5回に三振をとったカーブを、こんどはボール球として利用」して、こんどはチェンジアップを「同じボールの軌道からど真ん中にほうりこむこと」によって、打者にバットを振らせなかったのである。

3球目と4球目は、打者目線で、「ほぼ同じ軌道」で来る。そこがポイントだ
3球目のボールになるカーブが75マイル。そして、4球目の、ほぼド真ん中のチェンジアップが85マイルで、球速にさほど差がない。
「前の打席での三振、そしてこの打席での3球目・・この4球目も真ん中低めに落ちてボールになるのでは・・・?」と、打者ケンプがバットを出しかねて迷った瞬間に、すでにボールはすっぽりキャッチャーのミットに納まっている、という次第だ。

素晴らしい。

このブログで、メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」damejimaノートというシリーズで、「カーブを有効にするための高めのストレートの使い方」という研究例を挙げた。
これは、まず「高めのストレート」を投げておいて、次に「カーブを同じ軌道に投げ」、2つの球の軌道をかぶらせることで打者の目をくらませて、凡退させる、という「軌道のオーバーラッピング」の手法。
この記事はもともと、低めの球を最初から最後まで投げ続けるような低脳なリードを批判し、高めの球を有効に使う例として挙げたものだ。この記事だけでなく、シリーズ全体を読んで意図をしっかり読み取ってほしい。

上に挙げた5回表無死1塁で登場したケンプの三振でも、クリフ・リーはさんざん高めの球を使ってケンプを追い込んでおいて、それから決め球として、インローいっぱいにカーブを投げ、空振り三振させている。高目を有効に使って、最後のカーブに誘導したのである。
コネ捕手城島のごとく、「ピンチではアウトローに投げていれば打ち取れる、かもしれない」などという低脳リードは、意味のわからない迷信、ただの馬鹿リードだ。
今日の黒田にしても、初回1死から連打されたシングルはどちらも「アウトコース、コーナーいっぱいの球」。ハワードの三塁打が「真ん中低めの直球」。ワースの2ランが「アウトコース低めの直球」。臆病さと「低めという迷信」にとらわれている上に、工夫も知恵も足りない。

メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(4)「低め」とかいう迷信 研究例:カーブを有効にする「高めのストレート」

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:カテゴリー:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」damejimaノート

クリフ・リーの使った「投球の軌道を打者の目から見てダブらせるテクニック」は、カーブを真ん中低めに落としておいて、それから同じ軌道をつかって、こんどはチェンジアップ、つまり、カーブほど曲がらない変化球を「ド真ん中に投げて、しかも振らせないことに成功している」のである。

クリフ・リー。さすが名投手である。
アウトローのスライダーしか頭にないコネ捕手城島などに、これほどのハイレベルの配球ができる可能性は、まさに「ゼロ」である。

ちなみにクリフ・リー。114球投げて、ストライクは76球。ボールは、そのピッタリ半分の38球。つまり、「ストライク2に対して、ボール1」。ぴったり、セオリー通りのピッチングである。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年10月5日、ヘルナンデスのストライク率と四球数の関係を解き明かす。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年10月6日、ヘルナンデスと松坂の近似曲線の違いから見た、ヘルナンデスの2009シーズンの抜群の安定感にみる「ロブ・ジョンソン効果」。

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