November 09, 2009
シアトル・マリナーズにとっての2009シーズンは、まがりなりにもチームが貯金をし、地区順位も3位と最下位を脱したシーズンということで、「2008年に100敗したのに、翌年にここまでやれば上出来」などと、「ゆるい」評価を下したがる人間は、取材特権を失いたくないアメリカのゴマすり地元メディアや、日本のファンに大勢いる。
だが、このブログでは。そんな評価を感じたことなど「一度もない」。観客動員の上で「2009シーズンは大異変のシーズン」だと確信していたし、スタジアム動員数の危機は去っていない。
事実、下記の記事で書いたように、「平日の観客動員数でみると、本来は観客が増加すべき真夏の8月に、むしろ観客動員数が激減したことは、当然ながら大問題なのだ。。
2009年の8月以降の観客動員はたいへん異常だったわけであって、平日にもかかわらず、スタジアムに足を運んでくれていた熱心なコア・ファンの厳しい視線は、生ぬるいメディアのゴマすり的判断とは違い、コネ捕手城島の出場時間増加の強硬や、プレイオフをみずから諦めるようなウオッシュバーンの放出など、シアトル・マリナーズのチームとしての失態を見逃してはくれなかった。
2009シーズンの平日ホームゲームにおける観客動員数
4月 18,154人
5月 17,777 (前月比 − 377)
6月 21,370 (前月比 +3,563)
7月 26,102 (前月比 +4,732)
8月 20,231 (前月比 −5,871)
2009年8月27日、平日月曜から木曜のスタジアムに陣取るコアな観客層が落胆し、拒絶した「2009年8月のシアトル野球」。(1)
2009年9月14日、平日月曜から木曜のスタジアムに陣取るコアな観客層が落胆し、拒絶した「2009年8月のシアトル野球」。(2)
上の記事で扱った数字は、あくまで「平日のホームゲームの観客動員数」だけだったわけだが、最近になって2009シーズンの総観客動員数が出て、さらに話は裏付けられた。
やはり、というか、2009シーズンの観客動員数は、あの不名誉きわまりないシーズン100敗の昨年2008シーズンさえ、上回ることができなかったのである。
チームは貯金し、順位こそ3位に上がったが、総観客動員数は10万人以上減少した。これは、100敗した2008年の最下位が反映して客足が遠のいたものでないことは、上の記事の平日データから明らかである。客足は2009年8月以降に急速に減少したのである。
元データ:Seattle Mariners Attendance, Stadiums, and Park Factors - Baseball-Reference.com
年度 順位 総動員数 1ゲームあたり動員数
2007年 2位 2,672,223 32,588
2008年 4位 2,329,702 28,762
2009年 3位 2,195,533 27,105
合理性を重んじる欧米社会にあって、打率が2割ちょっとしかないセクソンがいつまでたっても4番打者であるとか、チームのローテーション投手から拒絶され、負けに負け続けるコネ捕手城島が最悪のシーズンの翌年に3年24Mもの長期契約を結ぶとか、ともかく「マトモじゃない」ことばかり起こしてきた球団が、観客の「マトモな評価」を集められるわけがない。
いくら地域のフランチャイズチームに愛着をもつ行為が大好きなアメリカ人とはいえ、そこまでお人よしにはできてない。観客はチームの不合理きわまりない行為に対して、厳しい判断を下している。
2009年9月10日、2009年版「ニセ正捕手復帰工作」がチームに与えた大打撃、ぞして今季4度にわたるコネ捕手の大失態。
これは、球団創設以来の1ゲームあたりの観客動員数の推移。青色のジグザグの線が各年度の動員数になっている。
黄色のグラフ
2次式で表現した「近似式」である。株などをやっている人は良くわかると思う。目先の数字の変化にとらわれず、動員数の「長期傾向」を簡易に眺めるためのもの。
全体として右上がりになっていることから、この数年の単年の観客動員の減少にとらわれず長い目でみれば、増加傾向が継続していることがわかる。
赤色のグラフ 3次式の「近似式」
黄色のグラフの変数の次数を、ひとつ上げて、3次式で表現したもの。長期傾向を示す黄色のグラフよりもより短期の変化をある程度反映する曲線になる。つまり、「短期傾向」を表現する。(なお次数を4に上げても、グラフ形状はさほど変化しない。)
野球チームも、企業同様に、短期には上昇期も下降期もある。
「赤いグラフ(短期傾向)が右上がりである期間」から上昇期がわかるわけだが、1980年代末から2003年にかけての10数年、シアトルマリナーズの観客動員数は上昇期にあった。
黄色のグラフと赤色のグラフの関係
「赤いグラフ(短期傾向)が、黄色のグラフ(長期傾向)を追い越した部分」から、マリナーズの動員数が、本当の意味での増加傾向に転じたのは、「90年代後半」からであることもわかる。
同様に、マリナーズの動員数の動向が、増加から減少に転じたことがハッキリしたのは、赤いグラフ(短期傾向)が、黄色のグラフ(長期傾向)さえ下回りはじめた「2006年以降」、つまり、「城島入団以降」であることもわかる。
日本の野球ファンの間では、大昔からア・リーグで最も観客動員数の多い球団は、ヤンキースやレッドソックスだと勘違いしている人が多い。
しかし実際には、天才イチロー、そして「強打の二塁手」ブレット・ブーンがマリナーズに加わった2001年と、その翌年の2002年、ア・リーグの総観客動員数ナンバーワンだった球団は(球場の大きさに差があるせいもあるが)350万人もの観客をスタジアムに集めたシアトル・マリナーズである。
イチロー入団後の2001年、2002年といえば、ゲームあたりの動員数をみても、2年続けて球団新記録となる4万3000人台を記録して、マリナーズは途方もない数の熱心な観客を毎試合のようにスタジアムに集め続けた。
だから、グラフ上ではなんとなくシアトルの観客が減りはじめたと一見感じられてしまいがちな2004年、2005年だが、実際には、総動員数、ゲームあたり動員数ともに、実際には90年代後半のアレックス・ロドリゲスやグリフィーなどの在籍時とほぼ同じ数字なのである。
たしかに90年代のシアトルにはランディ・ジョンソン、アレックス・ロドリゲス、グリフィー・ジュニア、エドガー・マルティネスといったスター選手が在籍していたが、1ゲームあたりの観客動員数でいうと、ようやく3万人台に乗ってア・リーグ4位になるのは、95年に初優勝して以降、90年代後半になってからの話だ。
90年代前半までは3万人台の観客動員を記録したシーズンは一度もない。なにも90年代にグリフィーがひとりでシアトルを人気球団1位にしたわけでもなんでもない。
チームとしての強さからマリナーズがメジャーで最多の観客を動員する人気球団となったのは、やはりA・ロッドやグリフィーの90年代ではなく、シーズン116勝のメジャータイ記録を達成した2001年前後である。グラフ上の数字もそれを物語っている。
輝ける2001年はもちろんイチローが驚異の新人ぶりでメジャーを驚かせ、リーグMVPをはじめ、あらゆる賞を総なめにしたシーズンだが、同じ年に出戻り加入した名二塁手ブレット・ブーンが打点王、シルバースラッガー賞、この年から3年連続となるゴールドグラブ受賞で、オールスターでア・リーグの4番を打てば、エドガー・マルティネスは2000年の打点王に続き2001年はシルバースラッガー賞・最優秀指名打者賞を受賞、外野手マイク・キャメロンはゴールドグラブ初受賞・オールスター初出場、またジョン・オルルッドは2000年、2002年、2003年のゴールドグラブ受賞と、2001年をピークにしたシアトル・マリナーズは観客を楽しませる要素に満ちあふれ、スタジアムではア・リーグで最も多い観客が好プレーの連続に沸きかえったのである。
シアトルの観客数に陰りが表れだしたのは、城島入団の2006年以降だが、2009年の観客動員数減少が非常に深刻なのには、2つの側面がある。
ひとつには、グロスの数字として、2009年の1ゲームあたりの観客動員数は2万7000人だが、これが「90年代前半の数字」である2万5000人規模に戻ってしまうかどうかの瀬戸際にあるということだ。
もうひとつは、傾向として、赤いグラフ(短期傾向)が、黄色いグラフ(長期傾向)と、これまでになく大きく離れて(乖離して)しまいだしていることだ。
これほどまでに、赤いグラフ(短期傾向)が黄色いグラフ(長期傾向)を下回った、つまり、長期傾向を修正する必要が出るほど観客動員数減少が大きく現れた時期は、球団創設以来、他にない。
本当は、2008年の数字も、長期と短期の乖離がこれまでになく大きかったわけだが、2009年は、2位になったにもかかわらず、乖離が2008年以上に広がった。その「底割れ感」が問題なのだ。
これからの先の傾向として、2009年がいわゆる「底」で、これから回復に向かうのであればなにも問題はない。だが、2009年以降さらに大きく低下するようだと、株価などと同じで、いわゆる「底が割れる」現象が起こりかねない。予断を許さない。
これほどまでに、バベシの悪政と「城島問題」は、シアトル・マリナーズに悪影響を及ぼした。城島を退団させるのが1年遅すぎたことは、数字の上からも明らかである。
だが、このブログでは。そんな評価を感じたことなど「一度もない」。観客動員の上で「2009シーズンは大異変のシーズン」だと確信していたし、スタジアム動員数の危機は去っていない。
事実、下記の記事で書いたように、「平日の観客動員数でみると、本来は観客が増加すべき真夏の8月に、むしろ観客動員数が激減したことは、当然ながら大問題なのだ。。
2009年の8月以降の観客動員はたいへん異常だったわけであって、平日にもかかわらず、スタジアムに足を運んでくれていた熱心なコア・ファンの厳しい視線は、生ぬるいメディアのゴマすり的判断とは違い、コネ捕手城島の出場時間増加の強硬や、プレイオフをみずから諦めるようなウオッシュバーンの放出など、シアトル・マリナーズのチームとしての失態を見逃してはくれなかった。
2009シーズンの平日ホームゲームにおける観客動員数
4月 18,154人
5月 17,777 (前月比 − 377)
6月 21,370 (前月比 +3,563)
7月 26,102 (前月比 +4,732)
8月 20,231 (前月比 −5,871)
2009年8月27日、平日月曜から木曜のスタジアムに陣取るコアな観客層が落胆し、拒絶した「2009年8月のシアトル野球」。(1)
2009年9月14日、平日月曜から木曜のスタジアムに陣取るコアな観客層が落胆し、拒絶した「2009年8月のシアトル野球」。(2)
上の記事で扱った数字は、あくまで「平日のホームゲームの観客動員数」だけだったわけだが、最近になって2009シーズンの総観客動員数が出て、さらに話は裏付けられた。
やはり、というか、2009シーズンの観客動員数は、あの不名誉きわまりないシーズン100敗の昨年2008シーズンさえ、上回ることができなかったのである。
チームは貯金し、順位こそ3位に上がったが、総観客動員数は10万人以上減少した。これは、100敗した2008年の最下位が反映して客足が遠のいたものでないことは、上の記事の平日データから明らかである。客足は2009年8月以降に急速に減少したのである。
元データ:Seattle Mariners Attendance, Stadiums, and Park Factors - Baseball-Reference.com
年度 順位 総動員数 1ゲームあたり動員数
2007年 2位 2,672,223 32,588
2008年 4位 2,329,702 28,762
2009年 3位 2,195,533 27,105
合理性を重んじる欧米社会にあって、打率が2割ちょっとしかないセクソンがいつまでたっても4番打者であるとか、チームのローテーション投手から拒絶され、負けに負け続けるコネ捕手城島が最悪のシーズンの翌年に3年24Mもの長期契約を結ぶとか、ともかく「マトモじゃない」ことばかり起こしてきた球団が、観客の「マトモな評価」を集められるわけがない。
いくら地域のフランチャイズチームに愛着をもつ行為が大好きなアメリカ人とはいえ、そこまでお人よしにはできてない。観客はチームの不合理きわまりない行為に対して、厳しい判断を下している。
2009年9月10日、2009年版「ニセ正捕手復帰工作」がチームに与えた大打撃、ぞして今季4度にわたるコネ捕手の大失態。
これは、球団創設以来の1ゲームあたりの観客動員数の推移。青色のジグザグの線が各年度の動員数になっている。
黄色のグラフ
2次式で表現した「近似式」である。株などをやっている人は良くわかると思う。目先の数字の変化にとらわれず、動員数の「長期傾向」を簡易に眺めるためのもの。
全体として右上がりになっていることから、この数年の単年の観客動員の減少にとらわれず長い目でみれば、増加傾向が継続していることがわかる。
赤色のグラフ 3次式の「近似式」
黄色のグラフの変数の次数を、ひとつ上げて、3次式で表現したもの。長期傾向を示す黄色のグラフよりもより短期の変化をある程度反映する曲線になる。つまり、「短期傾向」を表現する。(なお次数を4に上げても、グラフ形状はさほど変化しない。)
野球チームも、企業同様に、短期には上昇期も下降期もある。
「赤いグラフ(短期傾向)が右上がりである期間」から上昇期がわかるわけだが、1980年代末から2003年にかけての10数年、シアトルマリナーズの観客動員数は上昇期にあった。
黄色のグラフと赤色のグラフの関係
「赤いグラフ(短期傾向)が、黄色のグラフ(長期傾向)を追い越した部分」から、マリナーズの動員数が、本当の意味での増加傾向に転じたのは、「90年代後半」からであることもわかる。
同様に、マリナーズの動員数の動向が、増加から減少に転じたことがハッキリしたのは、赤いグラフ(短期傾向)が、黄色のグラフ(長期傾向)さえ下回りはじめた「2006年以降」、つまり、「城島入団以降」であることもわかる。
日本の野球ファンの間では、大昔からア・リーグで最も観客動員数の多い球団は、ヤンキースやレッドソックスだと勘違いしている人が多い。
しかし実際には、天才イチロー、そして「強打の二塁手」ブレット・ブーンがマリナーズに加わった2001年と、その翌年の2002年、ア・リーグの総観客動員数ナンバーワンだった球団は(球場の大きさに差があるせいもあるが)350万人もの観客をスタジアムに集めたシアトル・マリナーズである。
イチロー入団後の2001年、2002年といえば、ゲームあたりの動員数をみても、2年続けて球団新記録となる4万3000人台を記録して、マリナーズは途方もない数の熱心な観客を毎試合のようにスタジアムに集め続けた。
だから、グラフ上ではなんとなくシアトルの観客が減りはじめたと一見感じられてしまいがちな2004年、2005年だが、実際には、総動員数、ゲームあたり動員数ともに、実際には90年代後半のアレックス・ロドリゲスやグリフィーなどの在籍時とほぼ同じ数字なのである。
たしかに90年代のシアトルにはランディ・ジョンソン、アレックス・ロドリゲス、グリフィー・ジュニア、エドガー・マルティネスといったスター選手が在籍していたが、1ゲームあたりの観客動員数でいうと、ようやく3万人台に乗ってア・リーグ4位になるのは、95年に初優勝して以降、90年代後半になってからの話だ。
90年代前半までは3万人台の観客動員を記録したシーズンは一度もない。なにも90年代にグリフィーがひとりでシアトルを人気球団1位にしたわけでもなんでもない。
チームとしての強さからマリナーズがメジャーで最多の観客を動員する人気球団となったのは、やはりA・ロッドやグリフィーの90年代ではなく、シーズン116勝のメジャータイ記録を達成した2001年前後である。グラフ上の数字もそれを物語っている。
輝ける2001年はもちろんイチローが驚異の新人ぶりでメジャーを驚かせ、リーグMVPをはじめ、あらゆる賞を総なめにしたシーズンだが、同じ年に出戻り加入した名二塁手ブレット・ブーンが打点王、シルバースラッガー賞、この年から3年連続となるゴールドグラブ受賞で、オールスターでア・リーグの4番を打てば、エドガー・マルティネスは2000年の打点王に続き2001年はシルバースラッガー賞・最優秀指名打者賞を受賞、外野手マイク・キャメロンはゴールドグラブ初受賞・オールスター初出場、またジョン・オルルッドは2000年、2002年、2003年のゴールドグラブ受賞と、2001年をピークにしたシアトル・マリナーズは観客を楽しませる要素に満ちあふれ、スタジアムではア・リーグで最も多い観客が好プレーの連続に沸きかえったのである。
シアトルの観客数に陰りが表れだしたのは、城島入団の2006年以降だが、2009年の観客動員数減少が非常に深刻なのには、2つの側面がある。
ひとつには、グロスの数字として、2009年の1ゲームあたりの観客動員数は2万7000人だが、これが「90年代前半の数字」である2万5000人規模に戻ってしまうかどうかの瀬戸際にあるということだ。
もうひとつは、傾向として、赤いグラフ(短期傾向)が、黄色いグラフ(長期傾向)と、これまでになく大きく離れて(乖離して)しまいだしていることだ。
これほどまでに、赤いグラフ(短期傾向)が黄色いグラフ(長期傾向)を下回った、つまり、長期傾向を修正する必要が出るほど観客動員数減少が大きく現れた時期は、球団創設以来、他にない。
本当は、2008年の数字も、長期と短期の乖離がこれまでになく大きかったわけだが、2009年は、2位になったにもかかわらず、乖離が2008年以上に広がった。その「底割れ感」が問題なのだ。
これからの先の傾向として、2009年がいわゆる「底」で、これから回復に向かうのであればなにも問題はない。だが、2009年以降さらに大きく低下するようだと、株価などと同じで、いわゆる「底が割れる」現象が起こりかねない。予断を許さない。
これほどまでに、バベシの悪政と「城島問題」は、シアトル・マリナーズに悪影響を及ぼした。城島を退団させるのが1年遅すぎたことは、数字の上からも明らかである。