November 11, 2009

2009年ア・リーグのゴールドグラブ賞が発表になった。
Ichiro, Hunter win ninth Gold Gloves | MLB.com: News

Ichiro adds to his legacy with No. 9 | MLB.com: News

イチローはこれでメジャーデビュー以来、9年連続ゴールドグラブ受賞。今シーズンも素晴らしい守備を披露し続けたから当然といえば当然だが、めでたいことだ。
9年連続ゴールドグラブ獲得プレーヤーは、メジャーでもグリフィー・ジュニア含めて7人だけしかいない。83補殺(Outfield Assists=外野手補殺)は、2001年以降ではメジャー最多。
またマリナーズの23シーズン連続のゴールドグラバー輩出は、メジャー・レコードらしい。ア・リーグ最多の観客動員数を記録した2001年以降の数年、いかにシアトルに多彩な才能が集まり、勢いがあったかわかる。

シアトル・マリナーズが23シーズン連続で輩出した
ゴールドグラバーのリスト

1987 Mark Langston, LHP
1988 Mark Langston, LHP Harold Reynolds, 2B
1989 Harold Reynolds, 2B
1990 Ken Griffey Jr., OF Harold Reynolds, 2B
1991 Ken Griffey Jr., OF
1992 Ken Griffey Jr., OF
1993 Ken Griffey Jr., OF Omar Vizquel, SS
1994 Ken Griffey Jr., OF
1995 Ken Griffey Jr., OF
1996 Ken Griffey Jr., OF Jay Buhner, OF
1997 Ken Griffey Jr., OF
1998 Ken Griffey Jr., OF
1999 Ken Griffey Jr., OF
2000 John Olerud, 1B
2001 Ichiro Suzuki, OF Mike Cameron, OF
2002 Ichiro Suzuki, OF Bret Boone, 2B John Olerud, 1B
2003 Ichiro Suzuki, OF Bret Boone, 2B Mike Cameron, OF John Olerud, 1B
2004 Ichiro Suzuki, OF Bret Boone, 2B
2005 Ichiro Suzuki, OF
2006 Ichiro Suzuki, OF
2007 Ichiro Suzuki, OF Adrian Beltre, 3B
2008 Ichiro Suzuki, OF Adrian Beltre, 3B
2009 Ichiro Suzuki, OF
元データIchiro wins record ninth straight Gold Glove

先日すでに発表になっている2009年Fielding Bible賞は、サイバーメトリクス系の人々による独自の守備系ベストナインで、MLB全体から各ポジション1人だけを選ぶが、ゴールドグラブはベースボールのプロであるメジャー各チームの監督・コーチの投票によって選出され、リーグごとに各ポジション1人が選ばれる。
(プロが選ぶメジャーと、素人である新聞記者が選ぶ日本のプロ野球のゴール「デン」グラブは、方式がそもそも違う。2つを混同して語る人が多すぎる)

選出スタンスに違いがあるゴールドグラブ、Fielding Bible賞の2つを同時受賞したのは、イチローと、完全試合男、シカゴ・ホワイトソックスのマーク・バーリー、わずか2人だけである。


ゴールドグラブとFielding Bible賞、2つの賞の差

2つの賞の受賞者を比べるかぎり、その差はゴールドグラバーがFielding Bible賞では4位になる程度の「微妙な差」で、プレーヤーの順位がまるで違ってくるかというと、大半のポジションでは、それほどめちゃくちゃな差があるわけではない。
(素人記者が選出することで、日本のプロ野球におけるゴール「デン」グラブに対しては様々な批判があるが、その日本での論点を、そっくりそのままメジャーのゴールドグラブに対する批判に流用して展開しているアホウがいるが、日米の選出方式がまったく違う以上、意味がない。プロである監督・コーチが選出するメジャーのゴールドグラブは、「素人の思いつき」で決定されているわけではない。)

ところが、2つの賞で選手評価に大差が現れるポジションもある。2009年でいえば、「ショート」と「外野手」だ。この2つのポジションでは、ゴールドグラバーがFielding Bible賞では20位だったりする。
Fielding Bibleはジーターの守備をまったく評価していない。シアトルのショート、ジャック・ジョンソンがFielding Bible賞を受賞できたのには、実はそういう背景がある。
外野手部門も2つの賞で評価の差の激しいポジションだが、イチローは、両方の基準を満たし、最高評価を得た。どんな基準で判定しようと、今年も文句なくメジャーの守備の達人として認められているのである。イチローはバッティングのみならず、守備タイトルの面でも、そろそろMLBの歴史的領域に達しつつある。
歴代ゴールドグラブ受賞者(英語) American League Gold Glove Award Winners - Baseball-Reference.com

歴代ゴールドグラブ受賞者(日本語) - Wikipedia

2009年ア・リーグ ゴールドグラブ賞
(カッコ内はFielding Bible賞2009における順位。外野手は2つの賞で選定基準が異なる)
Ichiro, Hunter win ninth Gold Gloves | MLB.com: News
C  Joe Mauer (3位)
1B Mark Teixeira (4位)
2B Placido Polanco (6位)
3B Evan Longoria (4位)
SS Derek Jeter (17位)
OF Torii Hunter (センター部門9位)
OF Adam Jones (センター部門21位)
OF Ichiro Suzuki (ライト部門1位)
P  Mark Buehrle (1位)



2009年Fielding Bible賞
Fielding Bible
C  Yadier Molina
1B Albert Pujols
2B Aaron Hill
3B Ryan Zimmerman
SS Jack Wilson
LF Carl Crawford
CF Franklin Gutierrez
RF Ichiro Suzuki
P  Mark Buehrle


ゴールドグラブがリーグごとに守備のベストナインを選出するのに対して、Fielding Bible賞はメジャー全体からポジションに対して1人だけを選ぶ。(だからといって、Fielding Bible賞のほうがエライ、という単純に言い切れるものでもない。いくら守備指標がいいからといって、ジャック・ウィルソンを選んでもしょうがない)Fielding Bible賞の成り立ちについては、下の記事に多少書いたので参照してもらいたい。
2009年10月31日、2009年Fielding Bible賞にみる「キャッチャーに必要な能力の新スタンダード」。ロブ・ジョンソン、キャッチャー部門9位にランクイン。

ゴールドグラブはバッティング成績やネームバリューを加味しすぎると批判があるわけだが、今回の両方の賞の受賞者をポジションごとに見比べてみるのはなかなか面白い。


ゴールド・グラバーになれなかった
アーロン・ヒル


キャッチャーのジョー・マウアー(2年連続2回目のGG受賞)はFielding Bible賞2009でも3位だし、テシェイラ(GG3回目、Fielding Bible賞4位)の守備がいいのもわかっているから問題ない。ジーター(GG4回目)を選んでしまうのはゴールドグラブの悪い癖だから、あきらめるしかない(笑)

だが、クビをひねる選考は二塁手だ。
先日「2009年11月5日、「強打の二塁手」〜今年最も記憶に残ったプレーヤー、最も注目すべきポジション。」という記事で書いたように、ESPNなど全米スポーツメディアが選ぶ今年のベストナインでは、二塁手にはアーロン・ヒル、ベン・ゾブリスト、イアン・キンズラーといった、打撃のいい選手たちの名前がズラリとあがっていた。
なかでもアーロン・ヒルは2009シーズン、打撃で素晴らしい数字を残しただけでなく、守備でも今年Fielding Bible賞を受賞していて、守備面の評価も高い。打撃面も加味されやすいと噂されるゴールドグラブでは、なおさら攻守のバランスの素晴らしいアーロン・ヒルが文句無く選ばれると思っていたわけだが、どういうわけか、二塁手には2007年に一度受賞しているプラシド・ポランコが選出されている。
どういうわけで、いまポランコなのか?
イマイチ、理解に苦しむ(苦笑)


サイズモアを脇においやった
グティエレスとアダム・ジョーンズ


ゴールドグラブの外野手部門は、クリーブランドのセンター、グレイディ・サイズモアが、2007年、2008年と連続受賞していたわけだが、WBCで怪我をした2009年は106ゲームの出場、打率.248に留まり、その座を元シアトルで、今はボルチモアのセンターを守るアダム・ジョーンズに譲った。まったくトレード要員にするなど、惜しいことをしたものだ。
アダム・ジョーンズのGG受賞について、MLB公式サイトでは、まるで守備が出来すぎるイチローの存在がジョーンズなどシアトルの若手外野手の成長にフタをしてきたような誤った書き方をしているが、他にマトモに外野を守れる人材がいなかった当時のチーム事情のためにイチローがセンターに回っていただけのことだから、イチローに非はない。単なる誤解である。またイチローはセンターでもゴールドグラバーである。
Jones' inclusion is ironic in one significant sense: For two seasons he was one of the young Seattle outfielders whose path was blocked by Ichiro. Ichiro, Hunter win ninth Gold Gloves | MLB.com: News

ゴールドグラブに選出された外野手3人のうち、イチロー以外の2人はセンタープレーヤーで、トリー・ハンターアダム・ジョーンズだが、Fielding Bible賞の選んだメジャー1センターは、現シアトルのフランクリン・グティエレスだった。
グティエレスはシアトルに移籍することで正センターとして定着できてFielding Bible賞も受賞したのだから、イチローの高すぎる才能が若手外野手のフタをしているわけがない。要は、誰が上にいようと上手くなればいい。それだけのことだ。

グティエレスは、元はといえば、クリーブランド時代、正センターのサイズモアの控えだったわけで、ある意味、アダム・ジョーンズとグティエレスの2人がかりで、サイズモアを脇役においやった形にはなった。

ではグティエレスとアダム・ジョーンズ、どちらの守備がいいか。
これは比較基準をどこに置くかによるだろう。(外野手部門では、ゴールドグラブとFielding Bibleとでは、選ぶ選手はかなり異なる。2つの賞で受賞できる守備でも天才のイチローは例外)
グティエレスは打球判断や落下点への到達スピードなど、捕球に高い才能があり、アダム・ジョーンズはグティエレスより肩がマシなのと、打撃スタッツが上回っている。

グティエレスが、イチローやバーリーのように、ゴールドグラブであろうと、Fielding Bible賞であろうと、誰からもケチのつけどころのないセンターになるには、もう少し遠投の肩の強さ、スローイングコントロールをつけることと、バッティングスタッツをもう少し改善する必要があるようには思うが、どうだろう。







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