November 19, 2009

ザック・グレインキーのサイ・ヤング賞の受賞について、FA移籍が予定されるカンザスシティの捕手ミゲル・オリーボ
"I loved him and we had a great relationship, but that's baseball."「彼のことは好きだし、素晴らしい関係が築けたと思ってるよ。(でも、俺、移籍するんだよね)それがベースボールってもんさ」と、そっけないコメントをだした。移籍するにしても、ちょっと大人げない。

一方、ヘルナンデスの球を受けたロブ・ジョンソンは対照的に、あれやこれや、ヘルナンデスのいいところを、いつものように熱心に語った。
彼のロングインタビュー映像はMLBトゥナイトで見た数分程度のものしかないが(そこでも、彼はまずヘルナンデスのことから話を始めている)、今回のヘルナンデスについてのコメントもおそらく、言葉のリズムからして、身振り手振りを交え、あの童顔に笑顔を浮かべながら目をキラキラさせて熱心に語ったことだろうと思う。

シーズンが終わっているというのに、この温度が保てることが、彼の特別な才能だ。

ヘルナンデスが月間最優秀投手を初受賞した翌月、
2009年7月のMLB Tonightによる
ロブ・ジョンソン インタビュー

肉声から彼の人柄のほのぼのさが伝わってくる。
Baseball Video Highlights & Clips | Rob Johnson talks with MLB Tonight - Video | MLB.com: Multimedia


実際、ロブ・ジョンソンに、「数字に表せる」特別な才能があるわけではない。
ブライアン・マッキャンホルヘ・ポサダビクター・マルチネスのように、スタンドにホームランをバカスカ放り込めるわけでもないし、ジョー・マウアーのように、イチローばりのハイ・アベレージでヒットを打ち続けられるわけでもない。ヤディア・モリーナほど、肩が強いわけではない。

彼にやれることといったら、ひたすら投手のやることを面白がり、興味をもつことくらいだ。好奇心というやつである。

今回のヘルナンデスのサイ・ヤング賞選考記事でのロブ・ジョンソンのコメントのトーンは、今年の夏に、ウオッシュバーンの新魔球「ドルフィン」を開発するに至った経緯を話したときのロブ・ジョンソンのインタビューと、トーンが共通している。
投手のやることに常に興味をもち、投手とのやりとりをいかにも楽しそうに話す。それがロブ・ジョンソンだ。
2009年7月6日、ロブ・ジョンソンが準完全試合を達成したウオッシュバーンの新しい魔球「ドルフィン」と、その開発にいたるコラボレーションについて大いに語った。

彼はひたすら投手のやることを、面白がり、驚き、感嘆し、リスペクトし、笑顔で話す。よほど、キャッチャーという仕事が好きなのだろう。わがままな旦那、勝新太郎のことをニコニコ話せる中村玉緒さんのような男だ。

家族。友人。夫婦。恋人。誰でも、一緒にいる相手のことを興味をもつのが普通だと思うかもしれないが、メジャーは欧米のオトナの世界である。必要以上に相手に深入りすることはない。上にあげたミゲル・オリーボのコメントがドライなわけではなく、ただロブ・ジョンソンが人懐っこいだけだ。
この、「人に対する興味、好奇心」というのは、おそらくロブ・ジョンソンのもつ「非常に特別な才能」だと思う。そうでもなければ、これだけのERAを投手から引き出せない。

実際、ロブ・ジョンソンは、「数字に表せる才能」があるわけではないが、「数字に表しにくい特別な才能」をもっている。「人の才能を引き出す才能」である。こういう才は、えてして人の目につきにくいものだ。


今年のヘルナンデスは、たしかに19勝した。だが、ストライク率のグラフで示したことがある通り、常に絶好調というわけではなかった。投手とはそういうものである。負け試合というのに完投してしまいそうになるロイ・ハラデイのような、超然としたオトナは、そうはいない。ヘルナンデスだって、リンスカムだって、まだまだ若い。
2009年10月5日、ヘルナンデスのストライク率と四球数の関係を解き明かす。(ヘルナンデスの2009ストライク率グラフつき)

2009年10月6日、ヘルナンデスと松坂の近似曲線の違いから見た、ヘルナンデスの2009シーズンの抜群の安定感にみる「ロブ・ジョンソン効果」。(ヘルナンデスと松坂の2009ストライク率グラフつき)


そういう若いヘルナンデスと、ロブ・ジョンソンが、2人してやってきたことが、今年の19勝という勝ち星、最多勝というタイトルにつながった。
ヘルナンデスの今シーズンのプレー(動画・MLB公式)
Multimedia Search | MLB.com: Multimedia
ロブ・ジョンソンの今シーズンのプレー(動画・MLB公式)
Multimedia Search | MLB.com: Multimedia

19勝を達成したヘルナンデスとロブ・ジョンソンのバッテリー

投手だけに贈られるサイ・ヤング賞は、たしかに逃したかもしれないが、バッテリーとしてみれば、このバッテリーは、今年のメジャー、ア・リーグで最高のバッテリーだったと確信している。


誰も贈らないのなら、勝手に贈るまでだ。


フェリックス・ヘルナンデス殿。
ロブ・ジョンソン殿。

当ブログより、
2009年ア・リーグ 最優秀バッテリー賞を勝手に進呈する。

from damejima






ハワイ移民150周年
No Ichiro, No watch.

Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です




Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
Categories
ブログ内検索 by Google
Google

livedoorブログ内検索
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month