December 22, 2009

シアトルの2006年のドラフト1位指名選手だったブランドン・モローが、トロントの右のリリーバー、ブランドン・リーグ(ほかプロスペクト2名)とトレードされることになった。
このトレードが、さきごろのクリフ・リーロイ・ハラデイのからむ大きなトレードを補完する意味(=つまり、トロントがやや損なトレードをしたので、それを補完する意味で、シアトルとトロントの間であらかじめ裏約束があったのかどうか、という意味だが)があるのかどうかは、今のところわからない。


このトレードの成否をどう見るか、たぶんシアトル・ファンの中でも意見が大きく分かれることだろう。
ブログ主としては、モローにはまだなにがしかの可能性があったようには感じる。2009年7月末のウオッシュバーンのトレードで大失敗しているように、GMズレンシックが常に正しいトレードをするなどと思ったことは、ブログ主自身は一度もない。ウオッシュバーンと交換したフレンチや、オルソンのような投手こそ、チームに必要ない。
Mariners, Jays to swap Morrow, League | Mariners.com: News

Brandon League Statistics and History - Baseball-Reference.com


ちょうど、2009年4月23日のU.S.S. Marinerのしょうもない記事を笑う記事を書いた(ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年12月20日、年を越す前に今年4月23日のU.S.S. Marinerのナンセンスな城島擁護記事を笑っておく。)ばかりだが、その記事でも扱ったちょっとしたデータを見てもらいたい。2009シーズンにロブ・ジョンソンがキャッチャーをやった投手たちの被OPSである。元記事より投手数を増やし、また、被OPS順に並べ替えてある。

ロブ・ジョンソンが捕手をつとめた投手たちの
2009年被OPS
 (シーズン終了時点・被OPS順)
Seattle Mariners Player Splits: Rob Johnson - Baseball-Reference.com

Rowland-Smith: 26 PA, .359 OPS
Aardsma: 151 PA, .456 OPS
White: 126 PA, .513 OPS
Washburn: 417 PA, .552 OPS シーズン中移籍
Felix: 723 PA, .571 OPS
Bedard: 285 PA, .610 OPS
Fister: 5 PA, .650 OPS
Vargas: 144 PA, .672 OPS
Lowe: 154 PA, .675 OPS
Batista: 106 PA, .686 OPS 契約切れ
Kelley: 62 PA, .825 OPS
Jakubauskas: 178 PA, .856 OPS 移籍
Morrow: 82 PA, .878 OPS 移籍
Silva: 22 PA, .914 OPS 移籍
Olson: 73 PA, .925 OPS
French: 149 PA, .993 OPS
Corcoran: 34 PA, 1.035 OPS 移籍
Messenger: 15 PA, 1.067 OPS 移籍


上のリストでみるかぎり、ロブ・ジョンソンがキャッチャーをつとめた投手たちのうち、被OPS .850あたりをボーダーラインとして、それを越える投手たち(=つまり、かなり打たれた投手たち)が次々とチームを去っていることがわかる。
ロブ・ジョンソン捕手時の被OPSが.850を越える投手で、いまチームに残っているのは、もうフレンチ(被OPS .993)、オルソン(.925)の2人くらいしか残っていない。
ロブ・ジョンソンがキャッチャーをつとめることで投手成績が多少良くなる効果を、仮に「ロブ・ジョンソン補正」とでも呼ぶことにしておくと、このオフのシアトル投手陣に吹き荒れるトレードの嵐は、「ロブ・ジョンソン補正」すら効かない投手、つまり、「ロブ・ジョンソンが球を受けてさえもダメだった投手は、どうやってもダメ」と言わんばかりの、投手トレードの嵐になっている部分があるように見える。


かつてバルガスについて何度も書いたのは、彼が投手として相性の悪いキロス・城島とバッテリーを組まされた不運について、だ。
上のリストでバルガスの被OPSを見てもらうとわかるが、シーズン終わってみれば、ロブ・ジョンソンと組んだときのバルガスは、.672と、なかなかの数字を残した。彼には「ロブ・ジョンソン補正」が大きく効いたようだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:バルガス
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「城島コピー捕手」キロスと「キロス問題」


さて、モローのトレードについて考えてみる。

モローも、2009シーズン、何度かマイナーでの調整を経て、先発復帰しているわけだが、バルガスと同様に、ことごとく最初は城島とバッテリーを組ませられている。
というか、もっと正確にいわせてもらえば、「城島問題」の深刻さについての認識が甘く、城島と無理矢理に組まされる投手たちの死活問題ともいえる苦境をあまりにも理解しない監督ワカマツが間違った判断を繰り返したことで、モローは城島とバッテリーを組まされ続け、成績的に損をし続けた。


そのことを示す証拠がある。
以下の現地のブログ記事を読んでもらいたい。コネ捕手城島のゴリ押しリードの惨状がよくわかるはずだ。

資料:シャノン・ドライヤーのブログ記事
太字はブログによる)
Joh Leaves the Mariners, What Now For Both - MyNorthwest.com
The real eye opener was in the game Brandon Morrow threw right before he was sent down. Don Wakamatsu had said in his post game press conference that it looked like Morrow's breaking ball was shaky the few times he threw it. When we asked Morrow about it he looked at us stunned and said that he didn't throw a breaking ball that game. The plan with Rick Adair and Joh going into the game was to incorporate the breaking ball, it was what he was working on but Joh never called one. His explanation, he couldn't get Brandon into a count where he could throw it.

記事によれば、
あるモローの登板試合で、マリナーズの投手コーチアデアと城島との間では「ブレーキングボール」、つまりカーブを混ぜたピッチングをさせる打ち合わせになっていた。
だが、実際ゲームになってみると、このダメ捕手、なんと、
「モローに、ただの一度もカーブを要求しなかった」
(上の英文の太字部分)
というのだ。
このダメ捕手ときたら、投手コーチと話をしたときにはコーチの方針に従う「フリ」をしておいて、実際のゲームになると自分のダメ・リードを投手のモローに押し付けた
というのである。

この、コネ捕手の、
ちょっと常識では考えられない唯我独尊ぶり。
もうここらへんまでくると、ワガママとかプレースタイルとかを通り越している。こういう馬鹿の押し付けるリードに振り回され続けた若いモローが、本当に哀れでならない。



モローの2009年は、シーズントータルの数字だけを見てしまうと、バルガスのような「ロブ・ジョンソン補正」が効きまくった、とは言えない、という風に見えやすい。
だが、細部で見ると、下記のリンクの記事で解説したとおり、「ロブ・ジョンソン補正」が効いている部分もちゃんとあるわけであって、成績をトータル数字でマクロ的に見るか、ディテールをミクロ的にみるかで、判断が分かれてしまう。それだけに、トレードの成否の判断が難しいわけだが、ブログ主は可能性を感じて、応援し続けてきた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年9月12日、ロブ・ジョンソンはまったくコントロールの無いモローを四苦八苦してリード、チームの6連敗を阻止して、ついにモローに「2009シーズン先発初勝利」をプレゼントした。


一方で、コネ捕手城島がキャッチャーとして球を受けることで投手成績が悪くなる現象を、「城島補正」とでも呼ぶことにすると、この「城島補正」を非常に強く受けた投手のひとりがモローなのは確実である。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年9月13日、モロー先発で四球とホームランが多発するのは、「城島マスク」の場合と判明。ノーコンの速球投手の「三振、四球、ホームラン」の3点セットで惨敗パターンは、まるで「悪いときの松阪」そっくり。


あらためて「城島問題」が周囲に与えた影響の大きさを思わずにいられない。
モローはコネ捕手城島と同じ2006年にドラフトでシアトルに入ったわけだが、もし彼が入団したのが「城島のいるシアトル」でなければ、つまり 「城島補正」 がなければ、彼のシアトルでの選手生活はもっと違った、イキイキと充実したものだったろうに。
悲しいことである。


それはモローだけでなく、他のどの投手にとっても同じことが言える大きな問題である。ウオッシュバーンにしても、ヘルナンデスにしても、 「城島補正」 をまぬがれて数シーズンを過ごせていたら、今はもっと違った選手生活が送れていたに違いない。
そして、それはファンにとっても同じことがいえる。


もし自分がシアトル在籍プレーヤーだったら、とてもじゃないが、自分の選手生命、人生の先行きにかかわる問題なだけに、ふざけるな、バカヤロー、と言いたくなると思う。

モローの苦境と「城島問題」との関連性を十分理解もせずに、モローがマイナーでの調整を終えてメジャーに戻ってくるたびに城島を押し付けた、シアトルの監督など首脳陣の責任は、けして小さくはない。







Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です

Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
Categories
ブログ内検索 by Google
ブログ内検索 by livedoor
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month