January 17, 2010

メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」
『damejimaノート』(10)

「MLB的カウント論」研究 <1>
なぜアメリカの配球教科書の配球パターンは
4球」で書かれているのか?




2009年に、アメリカで教科書的に教えられている配球パターンが日本といかに違うかを紹介する意味で、ウェブサイト上に公開されている「6つの典型的配球パターン」というのを紹介したことがある。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(1)「外角低め」「ストレート」という迷信

Pitching Professor Home Pageを主催するJohn Bagonzi氏によるもの(WebBall.com - Pitch Sequence & Selection)で、ストレート、カーブ、チェンジアップと、3つの限定された球種だけを使い、6つの配球パターンを創案されている。
(彼自身がサイトで公表しているだけでなく他サイトにも転載されているので、記事では勝手に孫引きさせてもらったが、もし問題があればTwitter (http://twitter.com/damejima/)にでもご連絡をしていただければ対応したい)


メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」『damejimaノート』というシリーズの9回目までの部分で扱った「日米の配球の根本的な違い」という話題については、(それを反響と呼ばせてもらっていいかどうかわからないが)ありがたいことに内容に触れていただいた記事を目にしたことがある。
だが、John Bagonzi氏による6つの配球パターンの、ひと目みれば誰もがわかる「ある、わかりやすい特徴」については、残念ながら、いまだどなたも触れた形跡はない。

それは、6つのパターンすべてが、下記の4TH SEQUENCEにみられるように、全てのパターンが「4球」で記述されていることである。
(4TH SEQUENCE以外の5つのパターンは、次のリンクを参照。すべてが「4球」で構成されている。:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(1)「外角低め」「ストレート」という迷信

例:4TH SEQUENCE
Away, away and in


1. Fastball lower outer half
2. Repeat fastball lower outer half
3. Curveball away
4. Fastball up and in


なぜ5球でも、3球でもなく、
「4球」で配球パターンを構成するのか?

もちろん説明しきれるはずもないが、考えてみる価値はある。MLBのバッテリーにとって「カウント」のもっている意味、いわゆる「カウント論」とかいうやつだ。

そもそもカウントは本来、配球論のベースのひとつにほかならないはずだが、日米の間では、以前にいろいろ書いたように「配球」に違いがあるだけでなく、配球以前の「カウント」に対する考え方においても、あらゆる面で大きな違いがあるような気がする。
例えば、日本でカウントごとに漫然と分類されて考えられている「投手有利」だの、「打者有利」「五分五分」だのという話にしても、あまりに感覚的であり、果たしてMLBの実態に沿っているか? 根拠はあるのか? という疑問があった。


たとえば、この「なぜ4球なのか?」という問いに、「メジャーは球数制限があるから、手早く打者を片付けることに目標を置いているから」とか言えば、あたかも話が済んでしまうかのように思うかもしれないが、そんな馬鹿馬鹿しい説明では、まるで説明にならない。
「打者をうちとることのできるパターンをどうしても『4球』で創造すべき必然性」が、たとえ片鱗であっても説明できなければ、なんの意味もない。

さらにもうひとつ、話にならないほど間違った解答例をあげてみると、「2ストライク(つまり、投手有利なカウント)に打者を追い込んだ後、外角に1球外すから、『4球目が勝負』という意味だろう?」などという戯言(タワゴト)に至っては、まったくお話にならない。
(そんなことくらい誰でもわかりそうなものだが、大なり小なり、「0-2カウントが、どこの国でも、投手にとって最も有利なカウント」だの、「打者を追い込んだら外に遊び球」だの、そういうおかしな先入観にまみれたままMLBを見ている人は案外多いから困る)

6つの配球パターンを読むとき、先入観として、「どのパターンでも最初の2球で投手はできるだけストライクをとり、打者を、いわゆる『投手有利な0-2カウント』に追い込むことを目指す」と思いこんで読む人が多いかもしれないが、そんなこと、配球教科書のどこにも書かれてない。

実際「0-2カウントが最も投手に有利」なんていう話自体、ある意味ただの与太話、先入観であって、「打者という他者の存在と、0-2カウントを実現させるための投手側の多大なリスク」を無視した、ただの脳内お花畑以外の何モノでもない。「打者という他者の存在を想定しない配球」など、なんの意味もない。
0-2カウントがいつでも簡単につくれるくらいなら、投手は誰も苦労などしないし、配球論など必要ない。
また、投手に大きなリスクを犯させてまで「0-2」を無理に実現しようとする配球を強要するメリットは、実際にはほとんどない、と考える。わかりやすくいえば、0-2カウントを無理に実現しようとして初球と2球目を打たれまくっていては、なんの意味もないのである。


そんなだから、またぞろコネ捕手城島のような、あらゆるタイプの投手に三振配球を強要したりする、単調で、能の無い、先入観まみれの出来の悪い捕手が、はるばるアメリカにまでやってきてしまうのだ。
城島の他者を想定しない自己満足で非現実な配球のせいで、シアトルの投手がどれだけの「無用なリスク」を背負い、どれだけの失点をしたことか。


メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」『damejimaノート』というシリーズの10回目以降では、イチロー、ボビー・アブレイユなど、実際のMLB好打者たちの例をひきあいに出したりしながら、
「なぜイチローは、リベラの初球をホームランできたのか」
「なぜイチローの唯一の苦手カウントが、1-2なのか」
「なぜメジャーの投手のメッタ打ちパターンは『初球、2球目を連打され続けるのか?」

といった話を
「なぜアメリカの配球教科書に挙げられている配球パターンは、『4球』で書かれているのか?」
「なぜHardball Timesは、カウント1-1を研究したりする必要があるのか?」

といった話題につなげて、「なぜ4球なのか?」という疑問に多少なりとも糸口をつけていければと思う。

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