March 31, 2010

先日イチローを絶賛した文章(参照→ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年3月26日、The Fielding Bible Awards選考委員で、2007年CASEY Awardを受賞しているスポーツ・イラストレイテッドのJoe Posnanskiがイチローを絶賛した記事の翻訳を読んでみる。)を書いたスポーツ・イラストレイテッドのJoe Posnanskiの筆が活発だ。

こんどは非自責点 unearned runsについて、雑感を書いている。
The NL-champion Phillies allowed the fewest unearned runs in 2009 - Joe Posnanski - SI.com



この記事でのJoe Posnanskiの趣旨は、「非自責点 unearned runsの多い少ないで、そのチーム全体の守備がうまいかどうかは、判断できない」というものだ。
彼は、その例証として、「メジャーで最も守備のいいシアトル・マリナーズにおいて『非自責点の得失点差』が、大きくマイナスしている」という事実を引用している。ちょっと、彼のシアトル贔屓が垣間見えて、面白い。


2009年のメジャーでは、チーム単位でみた非自責点 unearned runsはこんな風らしい。

最も非自責点を得たチーム      エンゼルス  87点
最も非自責点を獲得しなかったチーム オリオールズ 39点
最も非自責点を与えないチーム    フィリーズ  36点
最も非自責点を与えたチーム     ナショナルズ 83点

「非自責点の得失点差」、つまり「チームの得た非自責点」から、「相手に与えた非自責点」を引き算した数値が、シアトル・マリナーズにおいては、大きくマイナスになっていて、メジャー30球団で27位なんだそうだ。
Joe Posnanskiに言わせると、メジャーで最も守備のいいマリナーズが、「非自責点の得失点差」がこんなにマイナスなんだから、unearned runsという数値そのものは、チームの守備力を測る指標としては弱点がある、というのである。
Seattle was actually minus-25 in unearned runs last year despite the widespread belief (one I firmly hold) that it had the best defensive team in the league and perhaps in all of baseball. This probably tells you more about the weaknesses of the unearned runs stat than anything else, but it's interesting.


この点について、日本のシアトルファンに言わせれば、Joe Posnanskiがマリナーズの守備を持ち上げてくれるのはたいへん嬉しいかぎりで感謝はするが、「ちょっといい面だけを見すぎだよ」と、苦笑いしたくなる(笑)
そりゃ、イチロー、グティエレスはじめ、ジャック・ジョンソン、エイドリアン・ベルトレ(2010からボストン)など、守備の名手がシアトルの内外野に揃っていたのは事実だ。
だが、残念なことに、シアトルには、ポロリの多いプレーヤー、失点につながるプレーヤーも、同時に、しかも豊富に(笑)揃っていたことを、Joe Posnanskiは見ていない。

例えば(個人的にはそれぞれ好きな選手たちだが)、ショートのベタンコート、セカンドのロペスの二遊間コンビ。彼らのエラーや判断ミスで、どれだけ失点に結びついていたことか(苦笑)
ロペスはセンターに抜ける当たりを捕球するのが苦手で、記録上ではセンター前ヒットになったが、あれがペドロイアなら・・・と、何度思ったことか。これなども記録には現れないが、2009までの二遊間守備の欠陥である。
Joe Posnanskiがいくら2009年のシアトルの「非自責点の得失点差」が大きくマイナスであることに納得いかなくとも、シアトルファンのほうは、むしろ、それは非常に納得のいく話なのである。
だからこそ、ベタンコートをカンザスに放出し、フィギンズを獲ったともいえるわけで、シアトルの守備がホンモノのメジャー・ナンバーワンになるのは、2009年ではなくて、むしろ、2010年以降だと、シアトルファンの誰もが思っていると思う。


自責点 Earned Runsについてもそうだ。
以前に、ダメ捕手城島がDefensive Runs Savedランキングで常にメジャー最悪のキャッチャーとしてランキングされていたことを紹介した。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年12月26日、Fielding Bibleが2008年までの過去6年間、および過去3年間について「メジャー最低」と酷評した「城島の守備」。盗塁阻止は「並」で、Earned Runs Savedは「メジャー最低」。

ダメ捕手城島がDefensive Runs Savedランキングで常にメジャー最下位だった理由は、Earned Runs Savedが常にメジャー最下位ランクだったからである。つまり、城島がキャッチャーを続けている限り、自責点 Earned Runsは、けして「守備のチカラ」によって減ることなどなく、むしろ野放図に垂れ流されるということだ。
このへんが、2009シアトルがメジャー最高の防御率を誇る先発投手陣、サイ・ヤング賞候補の投手を抱える投手陣でありながら、チーム勝率は5割程度をうろうろするという不可思議な現象を起こす最大要因のひとつである。
これは、シアトルが内外野にメジャー屈指の守備の名手を何人も揃えていながら、どういうわけか、チームの守備の巧拙をよく表現していそうな「非自責点の得失点差」が大きくマイナスな現象と、非常によく似た現象である。

この2つの現象、簡単にいってしまえば、
チームの「穴」が、チームに大きなマイナスを与え、チームの足を引っ張り続けていた、ということだ。

Joe Posnanski風にいえば、
チーム防御率/b>の良い悪いだけで、そのチームの投手陣が全体としてうまくいっていたかどうかは、判断できない」。

イチロー、グティエレスがいくら好守備を連発しようとも、ベタンコートが守備でエラーを重ねて非自責失点を増やしたのと同じように、先発3本柱とロブ・ジョンソンがいくら勝ちを重ねても、城島が自責点を垂れ流し、負けを量産していては、チームはリーグ優勝とか、そういう勝率レベルに浮上することができない。2009年のシアトルは、まだまだ守備のチームとして一環してはいなかったのである。


ちなみに、日米の配球論に差があるのと同様に、自責点 earned runsについても、日米で考え方に大きな差がある。これは投手、特に軟投派の投手をどう見るかにかなり影響してくる。
Wikipediaにこんなことが書いてあった。

「日本のプロ野球とMLBでは、投手自責点の決定時期が異なる。
日本では得点が記録された時点でその得点が自責点かそうでないか決定されるのに対し、メジャーでは、そのイニングの終了時まで決定が保留される。イニング終了後、エラーその他の野手のミスプレイが無かった場合に走者はどこまで進むことができたかを検討・推定し、イニングを再構成して、投手の自責点かどうかを決定するという手順をとる。

たとえば、
走者三塁のケースで、パスボールで三塁走者がホームインした場合、日本では即時に非自責点として記録される。それに対し米国では、イニング終了まで自責点 / 非自責点の判断を保留する。これはパスボールの後に打者が安打した場合、たとえパスボールがなくても得点できたことになり、この得点を投手の自責点とするためである。
捕手の打撃妨害により打者が一塁を得たケースなど、それが無かったら打者はどうなっていたかの推定が困難な場合には、投手に有利となる方向で検討・再構成が行われる。」
(以上 Wikipediaの文章に多少手を入れてみた)


加えていえば、いくら日本と自責点の決定方式の異なるアメリカ方式で非自責点が投手側につかなかったケースといえども、ゲームに負けてしまえば、負け数そのものは投手につく。これは忘れてはいけない。
たとえば、2008年から2009年にかけてのウオッシュバーンのゲームでは、自責点が2点以下でQSしているにもかかわらず、非自責点が何点かあって試合に負けたことで、彼が敗戦投手になっているゲームが、シーズンに何試合もある。
だから、見た目の勝ち負けの数だけで、その投手の真価を決定することはできない部分もあることを、頭に入れておくべきだと思うわけである。







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