April 07, 2010

子供の頃よく遊んでもらった年上の従兄弟がいた。
明るい性格で、独特の通る声で喋る、長男らしい面倒見の良い男だった。

建設会社に勤務したとは聞いていた彼と社会人になってから連絡しあうことはなくなっていたが、突然家族から連絡があってたいへん驚いたものだ。かけつけることのできる一番近い親族が自分だというので連絡してきたらしい。



白いベッドに静かに横たわる彼の顎には、病室に通うたびにうっすらとヒゲが伸びていき、まるで眠っているように見えた。手も身体も暖かい。ただ意識だけがなかった。

クモ膜下出血。

脳死状態だった。いつ生命維持装置をはずすか、それだけが家族に選択肢として残されていた。
彼は結婚したばかりだったが、抱えている仕事がたいへんに忙しく、新婚旅行を先延ばしにしてまで仕事を片付けている最中、自宅玄関でバタリと倒れたと聞いた。



あれから何年もの時間が経った。
僕は今年も野球を見ている。

報道されてはいないわけだが、
木村拓也コーチのご家族が実際にはどういう立場にあったか、大体わかる。


あの従兄弟のことを思い出さない年は、一年もない。
うっすらと伸びていくヒゲ。暖かいままの手。白いベッド。
今もありありと思い出すことができる。


僕は今年も野球を見ている。
年を経るごとに父の好きだったものを好きになる自分を見ている。


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