May 11, 2010

打撃コーチ アラン・コックレルの解雇について、いろいろ反応がでているので、ちらほらまとめておく。


まず某巨大掲示板の書き込みで
「コックレルは、シアトルの打者に待球(quality-at-bat)を強く求めすぎて、打者がみんな絶不調に陥った」
というような意味のことを書いている人がいることについて。

どうもコックレル自身がインタビューかなにかで「自分は打撃コーチとしていつもシアトルの打者にquality-at-batを(=四球を選んで行けと)命じていた」とでも発言したソースをもとに、そういう意見を吐いているらしいが、どうもソースの英語の解釈の間違いが根本にありそうな気がする。
そもそもquality at-bat(quality-at-batとも表記する)とは、投手に球数を投げさせることだけでなく、ランナーを進める進塁打を打つことなどを含めたトータルな意味、つまり、日本語でいう記録に表れない「チームバッティング」をさしているはずで、どこでどう間違えて「コックレルがシアトルの打者に四球を選ぶことを強要した」という話になるのかが、どうもわからない。(ソースが見つからないせいもある。ソースが見つかったら書き換えるかもしれない)

たしかに、シアトルの近年の出塁率は酷すぎたのは誰でもわかることで、2010年のシアトルは「出塁率アップ」を図る必要が強くあった。セクソン、ダメ捕手城島、ベルトレのようなフリースインガーの右打者たちは、広いセーフコには全く必要なかったし、そもそも獲得するべきではなかった。
だが、出塁率アップをめざすにしても、その方法が、イコール、四球を増やすことだ、なんていうあり得ないほどの短絡的発想で、とてもじゃないが野球なんかやってられるはずがない。(もちろん、コックレル自身が本当に打者に四球を選ぶように強いていたというのなら、話は別だが)

ちなみに、新しい打撃コーチのアロンゾ・パウエルは、くしくもこのquality-at-batという言葉を使ってこんなことを言っている。
Another Bill Robinson axiom that stuck with Powell: Strive for one high-quality at-bat per day.
“I’ve never forgotten that,” Powell said. “If everybody has one quality at-bat every day, collectively, as a group, you’ll have a chance to win.”
McGrath: Powell will 'try to keep things simple' for Mariners | Seattle Mariners - The News Tribune
もしもパウエルの言うquality at-batという言葉の意味が「四球」という意味なら、パウエルも「打者は毎ゲームひとつは四球を選ぶようにしたほうがいい」と指導しようとしていることになるわけだが、どうだろう。



次に選手たちの反応。

ジャック・ウェイルソンの怪我で、代役としてスタメン起用されはじめたショートのジョシュ・ウィルソンは、コックレルをだいぶ慕っていたらしく、ジャック・ウィルソンの代役でスタメンで出られたLAAとのカード最終戦でホームランを打った後、"bittersweet."と、ホームランを打てた嬉しさと、コックレルの去った辛さの入り混じった複雑な心境を語った。
Steve Kelley | Wilson's big day tribute to fired hitting coach | Seattle Times Newspaper
だが、ブログ主に言わせれば、「ジョシュ、君がスタメンで出場し続けたいなら、コックレルが解雇されるような状態は、むしろかなりプラスなんだよ?」といいたい。
昔なら、セクソン城島、最近ではバーンズなんていうゲテモノ、あるいは力の衰えたグリフィーなんかをスタメンで使い続けるくらいなら、タコマ出身の若手選手にチャンスをやったほうがよっぽどいいとかねてから思っているが、残念ながら、シアトルは若手になかなかチャンスを与えないチーム体質だ。
だから、若い選手がチャンスをつかめるのは、1軍の選手やコーチがクビになるほどの劣悪な状況にならないと難しい。問題を起こすか、怪我でもするかしないと、タコマ出身の若手にはチャンスが巡ってはこないし、チームが変わっていけない。
そういう意味で、ジョシュ・ウィルソンやソーンダーストゥイアソソポなどの控え選手たちにとっては、人情としてはどうであれ、今回のチームの打撃不振にまつわるチームの内部粛清は、プラスのはず。
ジョシュ・ウィルソン、ちょっと人情家すぎる。


マイク・スウィニーは、打線の現状の酷さを認めつつ、「(打撃の低迷は)プレーヤーの責任であって、打撃コーチの責任ではない」と語った。
I know our offense hasn't had a heartbeat, but it's not due to Alan Cockrell. It's us, the players.
Mariners | M's fire hitting coach Cockrell, promote Powell | Seattle Times Newspaper
スウィニーはリップサービスでこういうことを言うタイプの男ではないだろうし、心からそういう風に思って発言している、とは思う。
しかし、男らしさでバッティングが良くなるわけではない。ちょっと楽天的すぎる。スウィニーは、首が寒い、つまり自分の解雇やマイナー行きに怯えているプレーヤーがたくさんいて、クラブハウスの雰囲気が重たい、というような意味のことも言っているが、とにかく打つしかないのである。クビになるべき人はクビになる。それがプロだ。
打たない選手がクビにもならずに、むしろベンチで悠々としていて、年に8Mも給料をもらっている2009年より、クビにならないかとビクビクしている2010年のほうが、チームとしてよほど正常だ。
"Looking around this clubhouse, there's a ton of players that deserve to get fired before he did and I'm one of them. I know our offense hasn't had a heartbeat, but it's not due to Alan Cockrell. It's us, the players.


次に監督、コーチ。

解雇されたコックレル自身は、どういう風に今回の解雇をとらえているだろう。シアトルの地元紙ではなくて、コックレルの自宅のあるコロラドの地元紙にこんな記事があった。
“Baseball is in my blood,” Cockrell said Monday morning while packing boxes at his apartment in Seattle, “but there are other things more important than baseball. The biggest thing in life is your family and the amount of time you spend with your family.“ (一部省略)
He refuses to offer excuses and sidesteps the word “scapegoat.”
“It’s a word that’s going to come up,” he said. “But it was my job to get those batters physically, mentally and mechanically loose and free and when that doesn’t happen, they have to point the finger somewhere.”
Ramsey: Cockrell, fired by Mariners, thrilled to be coming home to Springs | ramsey, cockrell, fired - Sports - Colorado Springs Gazette, CO
コックレルのコメント部分は見た目には「家族と過ごす時間の大切さ」を語っているわけだが、記者のコメント部分も含めて読めば、どこをどう読んでも、「コックレルはチーム不振のスケープゴートにされた」と言わんばかりの記事のつくりではあるわけで、なかなか巧妙ではある(笑)
「シアトルでは、野球以外のことで物事が決まってしまう」という言葉は、これまでも(誰だかは忘れたが)何度も耳にしたセリフでもある。
だが、正直、彼のコーチとしての実力が、メジャーの打撃コーチに見合うものになるのは、もっと先の話だという気がする。


最後に監督ドン・ワカマツの談話。
"No. 1, he's qualified," Wakamatsu said of Powell. "No. 2, he's done a lot in this organization, being the minor-league coordinator, to the Triple-A hitting coach. As you look at this lineup today, several of those guys he's worked with first-hand, so there's a comfort level. I think it is important that you look within your organization first."
Mariners Blog | Mariners dismiss hitting coach Alan Cockrell | Seattle Times Newspaper
organizationという単語を何度も何度も使っているのが、どうも不愉快に感じてしょうがない。
なんというか、会社の中間管理職のオッサンが何か言ってるみたい。長いことorganizationに貢献してきたのが、彼を打撃コーチに昇格させた理由、とでも、語っているようにしかみえないのだが、もっと他に言い方はないんだろうか。


まぁ、とにかく、今のままじゃ、打てないグリフィーを、打てないチームの誰が責められるのか、なんて意味のわからないことを他所から言われてしまう。たいへんくだらないマイナス思考である。
Mariners' Ken Griffey Jr. reportedly dozed off during game, but who could blame him? | OregonLive.com
早く若手が打ちまくって、ご老体グリフィーを引退に追いこんでもらいたい。
そのほうがグリフィーのためでもある。






ハワイ移民150周年
No Ichiro, No watch.

Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です




Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。



Categories
ブログ内検索 by Google
Google

livedoorブログ内検索
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month