May 12, 2010

明らかに雰囲気が変わってきた。

クリフ・リーが112球(ストライク77、ボール35)、無四球で7回1/3を投げ、シアトルにおける初勝利を収めた。MLBの公式サイトのトップにも記事がある。低めに決まる見逃しストライクでカウントを稼ぎ、ポップフライに討ち取るパターンがよく決まった。
8回のピンチでリーをリリーフしたブランドン・リーグがピンチをしのいでベンチに帰ってきたときにクリフ・リーが見せた笑顔が、はじけるような素晴らしい笑顔だった。
打撃コーチが変わっただけでなく、開幕時のスタメンからはかなり打順と出場選手をいじったシアトルに少し活気が戻ってきた。
Seattle Mariners at Baltimore Orioles - May 11, 2010 | MLB.com Gameday

(クリフ・リーのピッチングは)「意図していることが後ろ(右翼)からも見えるし、守っていて楽しいね。ピッチングに立体感があるというか、ちょっとレベルが違う。(力の)入れどころと抜きどころがよく分かっている」(ゲーム後のイチロー)
「ピッチングに立体感がある」(イチロー語録): nikkansports.com

Lee notches first victory for Mariners | MLB.com: News


対戦相手のボルチモアがどうこうより、
チーム内で明暗の分かれるゲームだった。

明るい部分というのは、もちろんリーの好投もだが、シアトルの打者のバットにボールが当たる音が、カキーンと小気味いい音をしていたのがいい。これに尽きる。
野球は音でわかる部分もある。久しく、シアトルの打者のバットからこういう小気味いい快音を聞いてなかった。

このところスタメンで起用されはじめた開幕時の控え選手たちの攻守にわたる活躍がいい。
ランガーハンズは、ソロホーマーで試合の流れを大きく変え、1塁守備でもいいところを見せた。バッターボックスでインコースを待ち構えている様子なども、見ていてなかなか堂々としている。これはコッチマンもうかうかしていられないだろう。競争があるのはいいことだ。
下位の6番ジョシュ・ウィルソン、8番ロブ・ジョンソン、9番マイケル・ソーンダースのタコマ出身トリオがそれぞれシャープな打球音とともに2安打ずつ放って、ボルチモア先発のD・ヘルナンデスに好投されかかったゲームの主導権をガッチリ握ることができた。
ジョシュ・ウェルソンの大胆な空振りは、ちょっとボストンのペドロイアばりなところがあって、胸がすく(笑)今日のジョシュは守備でも、ベアハンドキャッチ&スローなど、好プレーを連発していた。また、インコースの球を鎌で草を刈るようなスイングをするソーンダースのスイングも、なかなか独特で面白い。ロブ・ジョンソンのバットにも本来のシュアさが戻ってきた。爽快な乾いた打球音がしている。
マイケル・ソーンダースのタイムリー(動画)
Baseball Video Highlights & Clips | SEA@BAL: Saunders knocks in a run with a single - Video | MLB.com: Multimedia

また、当たりが止まったままだったフィギンズのスイングにようやく回復のきざしがあったのも収穫。押し出しの四球を選んだこともいいが、それよりもヒットのイチローをランナーに置いた最終打席で、初球のアウトコース低めのストレートをレフト前に運んだ積極性が、なによりいい。初球をすかさずヒットするフィギンズなんて、シアトルでは初めて見た気がする(笑)四球ばかりでは味気ない。

こうした積極的な打撃への変化が、コックレル打撃コーチの解雇の成果なのかどうかは、まだわからない。
だが、少なくとも言えるのは、今日のシアトルの打者は「振っていいカウントや、振り回していいシチュエーションでは思い切りよくバットを強振し、一方で、待つべきときには、ボール球を冷静に見逃す」というシンプルなバッティングの基本が、しっかりできていた打者が多かった。
もちろん、全員の打球音が良かった、とは言わない(苦笑)


マイナス面も、残念ながら、ある。
というか活躍選手が出てくると、そういう負の面は、かえって目立つ。

子供でもわかることだが、ロペスグリフィーのところで、どうしても打線が切れ、得点圏のランナーを無駄にしている。
監督ワカマツは、若手起用を試し始め、打順に手をつけたのはいいとして、ランナーズ・オンの場面でダブルプレーだらけのロペスに4番を打たせ、もはやスイングに全くパワーの無いグリフィーをスタメン起用しつづけるような愚策をいつまで続けるつもりだろう。
打てない彼らにも責任がある。だが、その期待できないバッターを起用しつづけるマネージャーにはもっと大きい責任がある。打てないセクソンを4番に据え続けてファンを裏切り続けたかつてのシアトルを、また再現でもしたいのかといいたい。







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