June 14, 2010

6月13日現在でシアトルの防御率は4.14で、ア・リーグ5位と、まぁ、なんとかみられる数字にはなってはいるが、それでも「打たれまくっている」とかなんとか、ケチをつけたがる人がいる。

先発投手   3.85 リーグ3位
リリーフ投手 4.82 ワースト2位

数字で明らかなように、打たれすぎているのは主にリリーフ陣であって先発投手たちではないし、さらに言えば、先発投手の中でも打たれているのはローランドスミスとかイアン・スネルであって、他の投手たちはそれぞれの実力相応の素晴らしい数字を残している。
こうした、いい投手とダメな投手でギャップの大きい投手陣、という構図はヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダードの3本柱の頑張りだけで勝ちを拾い続けた2009年とまるで変わってない。また、4番手投手、5番手投手でチームの借金を増やし続けるという悪い構図も、まったく代わり映えしない。


その打たれまくりのシアトルのリリーフ陣だが、投球の74.3%がストレートだというデータがある。なんと4球に3球ストレートを投げているわけだ。
もちろんデータなど見なくても、ストレートを投げる投手ばかり獲りたがるシアトルの歴史的なアホさ加減は十分知っているファンはたくさんいるわけだが、いくら速球投手大好き球団といったって、4球に3球の割合でストレートというのはいくらなんでも配球として多すぎると思うのは、ブログ主だけだろうか。
ちなみに、ストレートばかり投げたがるシアトル投手陣とはいえ、先発投手陣はここまでストレートばかり投げているわけではない。

チーム別スターターの球種
American League Teams » 2010 » Starters » Pitch Type Statistics | FanGraphs Baseball

チーム別リリーバーの球種
American League Teams » 2010 » Relievers » Pitch Type Statistics | FanGraphs Baseball


こういうことを言うと必ず「リリーフ投手の登板場面は走者のいる場面で投げることも多い。だから変化球は投げづらい」だの、なんだの、なんのことやらさっぱりわからない説明をする人が出てきそうなわけだが、数字をみてもらえばわかることだが、「リリーフ投手がこれほどストレートばっかり投げる球団」など、メジャーのどこにも見あたらない。
全30球団で、シアトルのリリーフが最も(というか、異常に)ストレートを投げる率が高いのである。

リリーフ投手がストレートを投げる率の低いベスト3
レイズ      50.2%
ブルージェイス  57.5%
ヤンキース    58.5%
ホワイトソックス 59.0%
エンジェルス   57.5%

リリーフ投手ストレート率の高いベスト3
マリナーズ    74.3%
インディアンス  67.9%
ロイヤルズ    66.8%
レンジャーズ   67.9%
レッドソックス  65.9%


「カットボール多用」のレイズおよび東地区
レイズのリリーバーは、他のチームにはない特徴がある。ストレートのかわりにカットボールを多用するといってもいいほどの極端なカットボール多用である。配球の24.8%がカットボールだから、4球投げたら「2球はストレート、1球がカットボール、残り1球が別の球」という配球ということになる。4球のうち3球がストレートのシアトルと比べると、その違いの大きさがわかる。
「カットボール多用」という傾向は、レイズほど極端ではないにしても、ストレートをあまり使わないチーム2位のブルージェイズ(11.9%)、3位のヤンキース(13.1%)にも同じようにある。つまり、いわば「カットボール多用は、ア・リーグ東地区のリリーバー共通のお約束配球」のようになっている。

「スライダー多用」のツインズ
レイズと東地区にカットボールをやたらと多用する傾向があるのと同じように、中地区のツインズには「スライダー多用」という特徴がある。
ツインズ以外のア・リーグ全球団が13〜16%におさまっているのに対し、ツインズだけが26.9%と、スライダーの割合がほぼ2倍になっている。多少ツインズに近い「スライダー多用リリーフ陣」は、他にオリオールズ(19.1%)くらいしかない。


西地区では、カットボールの多用される東地区と違って、チームごとにリリーバーの配球傾向が多少違う。

「カーブ多用」のエンジェルス ERA4.79
今シーズンは投手陣に難があるといわれていたエンジェルスだが、ストレート(59.2%)の比率が西地区で最も低い一方で、カーブ(16.3%)を多投してくる、という特徴がある。カーブ16.3%という数値はア・リーグでは飛びぬけて高い。また、メジャー30球団をみても、ナ・リーグに12%台のカージナルスやブレーブスがあるだけ。ア・リーグのチームはそもそも2桁パーセントにいかない球団がほとんどだ。
またカットボール9.3%で、西地区のリリーフで最もカットボールを使うのがこのエンジェルスだ。
本来なら、防御率を見るかぎりでは、こうした極端な配球が功を奏しているとは言えない・・・・・と、書きたいところだが、残念なことに、シアトルの貧打線には、ソーンダース、アルフォンゾ、不調時のグティエレス、ロペスなど、「縦に割れる外のカーブを非常に苦手にしている打者」が多く、ことマリナーズ戦に関してだけは「カーブ多用」が効果をあげているといわざるをえない。

エンジェルスにやや近い傾向のレンジャーズ ERA3.72
今シーズンのア・リーグ西地区で最もリリーフ陣が成功しているといえるレンジャーズの球種の傾向は比較的エンジェルスに近い。ストレート66.1%と、3球に2球がストレートで、残りがスライダー15.5、カーブ9.3などとなっている。
大きな特徴はないが、ややカーブの割合が多めな点に、エンジェルスに近いイメージがある。

「平均化して特徴を消している」アスレチックス ERA4.23
ストレート64.1、スライダー15.3、カットボール7.5、カーブ4.4、チェンジアップ8.7。どの球種の数字を見ても、リーグ平均に近い。打者に狙いを絞り込ませないように、あえて使う球種に際立った特徴をもたせないようにしているような感じがする。他の球団にみられない特徴をもつエンジェルスとは、全く逆のイメージである。


そんな西地区の中でマリナーズのリリーフ投手がカーブを投げる割合は、わずか2.6%しかない。その一方で、4球に3球ストレートを投げてくるのがわかっているのだから、打者としてはヤマを張りやすいのは間違いないだろう。
いくらなんでも、これでは打たれる。

もちろん、ロスター枠に野手が多すぎる問題などから投手の疲労度が高いことか、コントロールの悪さからカウントを悪くして、しかたなくストレートばかり投げてストライクを稼ぎに行く、という場面も多々あったとか、さまざまな理由が考えられることだろう。いずれにしても理由はどうでもあれ、打者にストレートにヤマを張られて打たれることに変わりはない。
例えば、まるでスカウティングが頭に入ってないアルフォンゾあたりのキャッチャーが、インコースのストレートくらいにしか強味のないバッター(例えば松井)あたりと対戦しているときに、いくらリリーフ投手が変化球のコントロールに自信がないから、疲れているからといって「ストレートのサイン」ばかり出し続けているようでは、いくらやってもダメなのである。

シアトルのリリーフ投手の極端なストレート偏重配球が、コントロールに自信のない投手側からの要求なのか、それとも、これまで速球派投手ばかり獲得してきたフロントの責任なのか、投手コーチのリック・アデアの戦略なのか、キャッチャーのリードのせいなのか、ピンチの場面ではベンチから投手に配球サインを出す監督ワカマツのミスなのかは、いまのところわからない。
年度別にみると、こうした「リリーフ投手のストレート偏重」傾向が始まったのはなにも今年が初めてではない。2006年までのシアトルのリリーフは、むしろア・リーグで最もストレートを投げない球団のひとつだった。転機になったのは2007年。いきなり急激にストレート偏重配球になり、さらに監督・投手コーチが変わった2009年以降にさらに拍車がかかった。
リリーフ投手がストレートを投げる率の
低い順に数えたシアトルの順位と、リリーフ陣のERA

2005年 61.7%(3番目)3.60
2006年 61.5%(3番目)4.04
2007年 65.3%(12番目)4.06
2008年 63.9%(7番目)4.14
2009年 73.4%(12番目)3.83
2010年 74.3%(12番目)4.96

だが誰の責任であれ、
もういい加減に方針転換しないとダメだと思う。







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