June 20, 2010

前の記事で、トロント移籍後のブランドン・モローの投げるストレートの割合が下がり、かわりにカーブを投げる割合が2倍になった、というような「シアトルから移籍した投手の球種の大きな変化」の話を書いたが、シカゴ・カブスに移籍したカルロス・シルバの球種はなにか変わったのだろうか。ちょっと気になって数字を覗いてみることにした。

カルロス・シルバの球種
(シーズン別 % 数字は左から
ファスト・ボール スライダー カーブ チェンジアップ)

2002 82.9 12.7  0  4.4 フィラデルフィア
2003 81.2 15.4 0.9  2.5 ミネソタ
2004 79.3 3.7  10.3 6.7 ミネソタ
2005 83.9 5.0  6.6  4.5 ミネソタ
2006 73.6 10.2 3.0  13.1 ミネソタ
2007 68.3 8.7  0   23.0 ミネソタ
2008 69.1 9.3  0.3  21.3 シアトル
2009 83.1 5.7  0   11.2 シアトル
2010 55.7 14.5 0   29.8 カブス
Carlos Silva » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

いやはや、なんだこれは。

記事を書いているブログ主自身ですら、2009年以前と2010年の数字があまりに違いすぎて、目の錯覚ではないかと何度もファングラフのページを見直したくらいだ。
言うまでもない。理由はよくわからないが
2009年以前のシルバと2010年のシルバは別人である。
別の面から言えば「投手は配球しだいで別人にもなれる」という言い方もできる。さらに言うなら「配球の違いは投手のアイデンティティに関わる一大事、生命線である」ともいえる。


2009年のシルバは、たった30イニングしか登板してないとはいえ、なんとストレート率が83.1%の超高率。なんと使う球種の5球に4球以上ストレートを投げる「ストレートの魔人」だったようだ。また、シアトルに移籍してきて153イニング投げた2008年のストレート率だって、シルバ自身の数値としては低いが、他の投手と比べればけして低くはない。むしろ2009年以前のストレート率はどれもこれも異常な高さである。
以前の記事で、シアトルのリリーフ陣が全体として73%もストレートを投げると批判したが、なんのことはない、シルバはそんな数字を遥かに超越していた(苦笑)

ところが、である。
2010年のシルバは、シアトルに来る以前からあれほど投げまくっていたストレートを異常に減らすと同時に、3球に1球チェンジアップを投げるという、ボストンの岡島ばりの「チェンジアップ・マシン」に変身している。
2009年は1勝3敗。防御率8.60。K/BBは0.91。2010年は、いま現在8勝2敗、防御率3.01。そしてK/BBは、なんと前年の0.91から4.07。
4.07? あまりの変身ぶりに本当にびっくりする。おまえは仮面ライダーか。


どうしてまた、こういうことが起きるのだろう。
理解に苦しむ。

彼が最も良いスタッツを残したのは、200イニング以上を投げ、14勝8敗をあげたミネソタ在籍時の2004年あたりだと思うが、シルバがやたらとストレートを投げたがる投手であること自体は、けして「ストレート王国」のシアトルに来たというのが理由ではなく、シルバが昔からそういう投手だったからだ。
だからモローのケースとは違い、シルバについては「ストレート王国」シアトルでストレートをやたらと投げさせられてピッチングスタイルが安定しなかった、壊れた、などと批判をするつもりはない。


むしろシルバの場合に問題なのは、2008年に彼がシアトルに移籍して来るまでの間、シルバが投げるストレートが、量も割合も年々減りつつあったことにシアトルが気がつかなかったこと、のように思えてならない。
つまり、言いたいのは、近年のシルバは何かフィジカルな理由で昔のようにストレートをビュンビュンほうれるだけのコンディションではなくなりつつあったのではないかということだ。
まぁ、端的に言えば、「ミネソタ時代にストレートを馬鹿みたいに投げすぎたせいか何かで、シアトルに来たときにはもう、昔のようにストレートばかり投げるのを難しくさせる持病のような故障が、身体のどこかにあったのではないか」という推測だ。


この推測、別にたいして自信があるわけではないが、もし仮定の話とはいえ多少は真実味があるとすると、チーム運営上、問題が3つほどある。(というか、3つもある)

1 故障持ちを、なぜ大金払ってまで獲得してきてしまうのか
2 故障持ちで、年々ストレートの威力が落ちてきている投手なのに、
  なぜストレートばかり投げさせたのか
3 故障持ちの選手であるにしても、より負担のかからない球種を中心にしたピッチングスタイルへの変更などで復活させる工夫やアイデアも実行せず、なぜあっさり放出ばかり繰り返すのか

近年のシアトルはどういうものか知らないが、故障持ちの選手に大金を払って獲得してきてしまい、後でお払い箱にする傾向がある。それはGMが、あの劣悪最低なバベシからズレンシックに変わったからといって、特に改善されたわけではないようだ。
やっかいもののシルバの放出の駒になってくれたミルトン・ブラッドリーはともかく、グリフィー・ジュニアだって、ジャック・ウィルソンだって、マイク・スウィニーだって、シーズン通しては働けない立派なスペランカーではある。

結果論だが、カブスはカルロス・シルバのコンディションにあったピッチングをさせて、有効に使いまわしているが、シアトルはシルバに合わないキャッチャーを押し付け、コンディションに合わないピッチングをさせて、無駄に金を払ったとしか思えない。
どうも最近のブルペン全体のかかっている「ストレート病」といい、シアトルの投手管理能力にはどこかに問題がありそうだ。一度コンディションが落ちてしまうと、なかなかどころか、元に戻せなくなることが多すぎる。


ちなみに、もちろんカルロス・シルバが使う球種に関してだって、シルバと城島の間に確執があったことは、ここでも何度か書いたし、地元メディアでも話題になった。メジャーにしては珍しく監督が両者を監督室に呼び出してわざわざミーティングを行って、2人の間の認識の溝を埋めようとしたくらいだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年5月24日、城島はシルバについての認識不足を露呈した。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年6月10日、シルバは城島の悪影響から脱し本来の調子を取り戻す。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年6月28日、クレメント先発のこの日、シルバは7連敗を脱出した。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年8月15日、投手破壊の天才城島はついにシルバを強制DLにした。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年4月8日、城島はシルバに4番モーノーの外角低めにシンカーを6連投させ、逆転負けした。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年4月、同じ失敗に懲りずにシルバにアウトコースのシンカー連投を要求する城島の1年前を振り返る。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年4月25日、シルバは2008年6月28日にクレメントを捕手に勝って以来302日ぶりに、ロブ・ジョンソンを捕手に勝利した。






ハワイ移民150周年
No Ichiro, No watch.

Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です




Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。



Categories
ブログ内検索 by Google
Google

livedoorブログ内検索
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month