August 09, 2010

19.4 7本


これが何の数字かというと、風呂場でコケで指を骨折してしまうような出来損ないで、高給取りで、スペランカーのショートストップを獲るかわりにピッツバーグに放出されたジェフ・クレメントの今シーズンのホームラン1本あたりの打席数と、ホームラン数である。
ピッツバーグで最もホームランの多いのは、110ゲーム出場で16本の主砲ギャレット・ジョーンズだが、彼のホームラン率は26.1でチーム内4位だ。52ゲーム・7本のクレメントのほうが、実はホームラン率は高い。
ア・リーグの規定打席に達した打者で、ホームラン率が20.0を切る打者というと10人ちょっとしかいない。19前後の打者はユーキリスゲレーロアレックス・ゴンザレスとか、ビッグネームの打者になる。
もちろん160ゲーム出場したらそれだけ同じ割合でホームラン数が増えるとは言わないし、打率があまりにも冴えないのがクレメントの現状のダメな点ではあるが、やはりクレメントの長打力にはまだまだちょっとした可能性がある。


まぁ余談はそれくらいにして、パークファクターが違うのは承知の上で、このクレメントのホームラン率19.4と、シアトルの野手全員のホームラン率を比較してみる。

シアトル ホームラン率ランキング(2010年8月8日現在)
Mike Sweeney 16.5 6本
Russell Branyan 21.3 8本
Ryan Langerhans 22.7 3本
Michael Saunders 23.5 8本
Milton Bradley 30.5 8本
Justin Smoak 31.5 2本
Josh Bard 35.0 2本
Adam Moore 37.0 2本
Casey Kotchman 39.9 7本
Franklin Gutierrez 40.0 10本
Seattle Mariners 2010 Batting / Hitting Statistics - ESPN

なんと、クレメントを上回るホームラン率を記録している選手というのが、先日フィラデルフィアにトレードされてしまったマイク・スウィーニー、たったのひとりしかいない。

それはそうだ。
ア・リーグ全体のホームラン率を参照してみると、スウィニーの16.5という数字は、ジャスティン・モーノーマーク・テシェイラといったオールスター級の打者に匹敵する数字なのだ。
起用されたゲーム数、打席数を考えると、マイク・スウィニーのホームランは、本数こそ6本しかないが、長打の効率そのものは抜きん出ていたことがわかる。

マイク・スウィニーは背筋のけいれんのために6月27日から故障者リスト入りしてしまっていたわけだが、シアトルは彼がリストから外れると同時にウェイバーにかけてしまい、フィラデルフィアにクレームされ、放出してしまった。


しかし、だ。

打線の貧打にあえぐチームなのがわかりきっていて、優先して処分すべき選手は誰だったのか。それはマイク・スウィニーなのか。トレードしないまでも、いますぐにでもスタメンからはずすべき選手が誰なのか。


.375

これはクレメントのSLG(長打率)だが、ホームラン率と同じように、シアトルのSLGランキングと比べてみるとどうだろう。
チーム内2位のソーンダースの進境が著しいことがわかる。その一方で、なにか長打を放っている「印象」のあるグティエレスが、中軸打者として起用され続けてきた割に、実は、主軸を打つにはけっこう頼りない数字でしかない。
そしてクレメントより長打率のいい打者は、トレードされてしまった長打男のスウィニー、打席数の少ない控え捕手バードを含めてさえもシアトルの野手全員の中に、たったの5人しかいない。

シアトル 長打率ランキング(2010年8月8日現在)
Mike Sweeney .475
Michael Saunders .420
Russell Branyan .400
イチロー .390
Josh Bard .386
Franklin Gutierrez .370
Ryan Langerhans .368
Milton Bradley .348
Casey Kotchman .344
Josh Wilson .335
Seattle Mariners 2010 Batting / Hitting Statistics - ESPN

そして、チーム内長打率ランキングでもマイク・スウィニーが抜きん出ている。
マイクの.475という長打率は(規定打席に達していないわけだが)規定打席に達している打者のみのア・リーグSLGランキングに照らしていうと23位から24位あたりに該当していて、例えば25位のジョー・マウアーの.473や、26位のマイケル・ヤング、27位のアレックス・ロドリゲスの.470より上の数字なのだ。
もちろん160ゲーム出場していれば、おのずと数字は下がるだろうが、この長打率においてもスウィニーという選手はチーム内で敬意を表されていい選手であることは間違いない。



.611

これはクレメントのOPSだ。ホームラン7本はいいとして、現状の打率が悪すぎるためにクレメントのOPSが悪いのはわかっているが、シアトルのOPSランキングの酷さをきわだたせる意味で、わざと挙げてみた。

シアトル OPSランキング(2010年8月8日現在)
Mike Sweeney .802
イチロー .753
Ryan Langerhans .740
Michael Saunders .725
Russell Branyan .699
Josh Bard .698
Franklin Gutierrez .684
Chone Figgins .650
Josh Wilson .645
Milton Bradley .641
Seattle Mariners 2010 Batting / Hitting Statistics - ESPN

ここでも、トップはマイク・スウィニーだ。
またも上位に名前が出てきたソーンダースの進境にも拍手を送りたいし、また出場機会をなかなか与えてもらえてないランガーハンズも頑張っている。
スウィニー、ソーンダース、ランガーハンズは今シーズン、常時出場機会を与えてもらってきた選手ではない。それだけに、チームのOPSランキングに名前の出てこないシーズン開幕時のレギュラー野手のたるみきった成績は糾弾されていい。

サードのロペス、ショートのジャック・ウィルソン、ファーストのケイシー・コッチマン。さらに、あらゆる打撃スタッツのベスト10に名前が出てこないDHケン・グリフィー・ジュニア。
これに、シーズンが実質終わってしまってから帳尻しているだけの「使えないチビ」フィギンズを含めると、開幕時の内野手全員の打撃は「全滅」である。


ファーストをコッチマンにやらせるくらいなら、ランガーハンズを使え、と言いたい。そしてジャック・ウィルソンが骨折してくれて、清々した。ジョシュ・ウィルソンにやっとチャンスが巡ってきた。


まぁ、こんな状況の中で実行されたのが、
「チームで一番効率よく打てるマイク・スウィニーのトレード」なのである。

スウィニーに唾をつけたのが、ピッツバーグやワシントン、つまり惨憺たる成績のチームが獲得したのではなく、まだまだプレイオフを諦めてはいない強豪フィラデルフィアだったことの意味が、「素晴らしき見識」をお持ちのシアトル・マリナーズのゼネラル・マネージャーにはわかっているのだろうか(笑)

マイク・スウィニー放出は、チーム内の投手のまとめ役だったクリフ・リー放出と同じように、野手のメンタルなまとめ役を失うという「形のない損失」でもあるどころか、「数字にはっきりと表れた、バッティング面での明らかなマイナスのトレード」でもある。

8月から正捕手にすえたアダム・ムーアのあらゆる打撃スタッツだって、ジョシュ・バードどころか、ロブ・ジョンソンより低い。







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