August 18, 2010

「守れるチーム」を作るとか高言していたはずの「守るしか勝つ方法がない」シアトルは、いまや「ア・リーグで最もエラーの多いチームのひとつ」だ。情けない。
2009年にチームUZRがメジャー断トツの1位だったのが、まるで幻だったかのように、シアトルの守備はダメになった。 (たぶん、このチームの関係者は2009年に城島をスタメンマスクから干して先発投手がようやくマトモに機能するようになって勝率が大幅に改善できた理由の根本をわかっていない。わかってないまま、いじくり倒して2010年に失敗した。その最大の失敗がフィギンズ。)

そしてチームの負けパターンは、春と、どこも、何も、変わってない。それはそうだ。原因をきちんと対策できてない。対策できないから、この勝率なのだ。
いくら先発投手と外野守備だけよくても、打てない、守れない内野手と、ブルペン投手がそのままでは、いくらロブ・ジョンソンに理由のない責任をかぶせても勝率は上がってこない。

8月15日クリーブランド戦では、ア・リーグで最も下手なセカンドの「使えないチビ」フィギンズの「いつものエラー」から、満塁ホームランを打たれて、いつものように負けた。
8月16日のボルチモア戦は、クローザーのストレートばかり投げたがるデイビッド・アーズマの「いつものひとり相撲」「いつもの四球連発」から、9回裏に同点に追いつかれ、いつものように延長でブルペン投手でサヨナラ負けした。

負けるなら負けるで、ドラフト1位獲得の権利を獲得できるところまで潔く負ければいいのだが、かつての城島恒例の「秋の帳尻打撃」のように、最下位が確定した夏を過ぎる頃からしか打てない帳尻ダメ選手たちの意味不明の帳尻ヒットのせいで、意味のない勝ち星を中途半端に挙げてくるから、よけいに始末が悪い。

たぶん、このチームに再建は無理だ。
再建ということのMLB的な意味も方法もわかってない。


もちろん、ゴールドグラブ賞の選考がエラー数だけで受賞者を決めるような単純すぎる決め方をしているのを批判して、セイバー派の人たちがFielding Bible賞を創設した話のように、エラー数の多さだけをあげつらって守備批判するのは意味がない。

だが、フィギンズのセカンド守備は、むしろ逆だ。
エラー数だけあげてフィギンズのセカンド守備の下手さ加減を批判するのでは、むしろ批判そのものが甘くなって、フィギンズに有利になるほどだ。
それほどフィギンズのセカンド守備は、エラー数がア・リーグで最も多いばかりか、「エラーと記録されないミス」があまりにも多い。エラー数のような見かけのデータでなく、シアトルの毎日のゲームを見慣れている人たちはわかっていることだ。
正面をついた強い当たりはグラブからこぼす、グラブが触っていても捕れない、他チームの上手いセカンドなら捕れている軽いイレギュラーは捕れない、よしダブルプレーというプレー場面でランナーのスライディングをかわすのが下手で1塁に送球できない、ライト前に上がったポップフライを追いすぎてテキサスヒットにする。などなど。例を挙げればキリがない。

フィギンズの場合、データに現れる守備の下手さ、データに現れない守備の下手さ、その両方があまりに多いから、彼のエラーの多さだけ挙げても、むしろ批判が足りないくらいであって、彼のセカンド守備の下手さぶりはエラー数だけでも十分にわかる、というのが正しいのである。

セカンドに好打者で守備も上手い選手が揃う今の時代のMLBにおいて、「左打席ではマトモに打てず、スイッチヒッターとは名ばかりで、守備においてもア・リーグ最低クラスのセカンド」それがフィギンズだ。来期いくら打撃が上向こうが、セカンド守備は突然改善できたりはしないだろう。


今シーズンのシアトルの最大の失敗は、チーム編成にあるのは誰の目にも明らかだ。守備のチームとして成功したのは、「ようやくネックだった城島を干すことに成功した2009年」であって、2010年ではない。
ロスターの打順と守備位置をどう構成するかはチームマネジメントの最大の仕事だが、「最大のポイントだったフィギンズのセカンドコンバートと打順2番固定が大失敗に終わったこと」が、攻守両面にわたって大打撃になって、想定したチームコンセプトが完全に崩壊しているのは明らかだ。
にもかかわらず、無能なズレンシックは、結局、監督コーチをクビにして、選手を数人いれかえただけで、さらにクリフ・リーのトレードにも大失敗しておいて、攻守のネックの何人かと自分自身については何の責任もとらせていない。

P 8 8位タイ
C 9 4位タイ
1B 3 12位
2B 14 1位タイ
3B 19 2位タイ
SS 19 2位タイ
LF 6 3位タイ
CF 0 13位タイ
RF 3 9位

これは今シーズンのシアトルのポジション別エラー数と、リーグ内でのエラーランキングだ(8月17日までだが、急いで書き写しているので多少数値に間違いがあるかもしれない)フィギンズはア・リーグの二塁手で最もエラーするプレーヤーのひとりだ。

フィギンズは、今シーズン、ア・リーグで最も出場ゲームの多いセカンドプレーヤーだが、守備の良さを表す指標のひとつであるレンジ・ファクター(RF)でみると、RF/9(9イニングあたりのRF)、RF/G(ゲームあたりのRF)でみて、出場100ゲームを超える5人ほどのセカンドプレーヤーの中で最も数値が悪い。また50ゲームを超える選手10数人の中でも、タンパベイの2人を除けば、最も低い。


ちなみにサードのホセ・ロペスについてだが、「ロペスのサード守備は、フィギンズ並みに酷い」と思いこんでいるシアトルファンは多い。

だが、それはおそらく間違いだ。

たとえば同じ三塁手で守備には定評があるエイドリアン・ベルトレと比較してみると、ベルトレのボストンでのエラー数はホセ・ロペスと同じ16で、RFはロペスのほうがいい。マイケル・ヤングや、ミゲル・テハダもエラー数そのものはロペスとかわりない。ロペスの問題は、彼らほど打てないことであって、エラー数ではない。(だからこそ、ロペスの安易なトレードに、ブログ主は賛成していない)
またシアトル在籍時代のベルトレは、当時の打撃の酷さはともかく守備に関してだけは多くのシアトルファンも認めていたわけだが、それでも1シーズン最低14のエラーを記録していて、多い年には18のエラーを記録している。つまり、シアトルだけしか知らないファンが守備の名手と「思い込んでいる」ベルトレは、ミネソタやデトロイトの三塁手のように、シーズンを1ケタのエラー数で終われるような三塁手ではなかった、ということ。
だから2010年のロペスのエラー数16が、これからの50試合足らずで20もエラーするのでもないかぎり、シアトル時代のベルトレと比べて飛びぬけて多すぎるとはいえない。
シアトルファンは、ちょっとロペスの守備のハードルを上げ過ぎている。

それどころか、100ゲームを越えてサードを守ったア・リーグの今シーズンの三塁手の中で、最もRF関連の数値がいいプレーヤーがホセ・ロペスだったりするのを忘れて彼の守備を批判してもらっては困る。

ベルトレの過去の守備スタッツ
Adrian Beltre Stats, News, Photos - Boston Red Sox - ESPN

規定ゲーム数に達しているア・リーグ三塁手の守備スタッツ

2010 Regular Season MLB Baseball 3B Fielding Statistics - Major League Baseball - ESPN



つい話がフィギンズのセカンド守備の下手さからそれてしまった。守備指標はいろいろあるわけだが、RFでなく(結果はしれているが念のため)UZR(アルティメット・ゾーン・レイディング)でみるとどうだろう。

シアトルのチーム全体の数値はリーグ4位。
勘違いしてはいけないのは、2009年シアトルのチームUZRは85.3で、メジャー断トツの1位であったこと。2010年にチームを意味もなくいじりすぎて、これでもチームのUZRはかなり下がったのである。
「守るしか勝つ方法がない」シアトルのUZRがなんとか4位にもちこたえたのは、たぶん外野守備の良さが大きく効いている。外野手全体のUZRがいいのは言うまでもない(リーグ3位)が、ただ、フランクリン・グティエレスの数値は、2009年の31.0から大きく下がって、2010年は7.5しかない。チーム内UZR1位は今年はイチローの10.0だ。もちろん今年のゴールドグラブも間違いない。
まるで打てず、どうみても来年は必要ないとブログ主が思っているコッチマンだが、見てないが、守備数値だけはたぶんいいはず。ブログ主は別にコッチマンの守備がとりわけいいとは思わない。1、2塁間を抜けていく当たりに弱すぎるし、そもそも守備位置が悪い。ただ無難にこなしてエラーをしてないだけの話。ランガーハンズで十分に代役ができる。
またショートでは、多くの人が守備の名手と「思い込んでいる」ジャック・ウィルソンのUZRは「マイナス」で、-1.4。その一方で多くの人が「エラーばかりしていると思い込んでいる」ジョシュ・ウィルソンは「プラス」で、0.3。(これには日頃からジョシュ・ウィルソンを使い続けるべきと言っていたブログ主は納得)
American League Teams ≫ 2010 ≫ Fielders ≫ Fielding Statistics | FanGraphs Baseball

ところが、セカンドだけを見るとシアトルは大きくマイナスで、LAAについで悪い。RFだけでなく、UZRでみても、フィギンズのセカンド守備がいかにダメかがわかる。LAAの数値が悪いのはケンドリックの-10.8が酷すぎるためだが、もちろんシアトルの数値を大きくマイナスに引き下げているのは、フィギンズの-9.1。(ちなみにサードをやっていたLAA時代のフィギンズのUZRは、たとえば2009年に16.6と、2ケタのプラス)
いかに二塁手フィギンズが「処理できるはずの打球を処理できていないか」わかる。やはりフィギンズは、「目に見えるエラー数だけが多いわけではない」のだ。


フィギンズ -9.1(1047イニング)
トゥイアソソーポ -0.8(8イニング)
ジョシュ・ウィルソン 0.5(13イニング)
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Mariners » 2010 » Fielders » Fielding Statistics | FanGraphs Baseball


RF(レンジ・ファクター)と同様、サードについてもUZRを参照してみると、ロペスはプラス数値(UZRはプラス数値なら、リーグ平均以上の守備であることを示す)で、リーグ6位。やはり「ロペスのサード守備は、フィギンズのセカンド守備と同じくらい酷い」というのは、単なるいいがかりでしかないことがわかる。
American League Teams ≫ 2010 ≫ Fielders ≫ Fielding Statistics | FanGraphs Baseball


監督ワカマツがクビになったのは当然のことだが、それにしたって「打撃も守備もダメで打順降格にされそうになって、監督にベンチで歯向かったフィギンズを何も処分しない」のは、MLBの鉄則に反する。
無能な監督がそれをやったから選手を処分しなくていいとか、そういう問題ではない。審判に手を出したプレーヤーが退場になるのと同じで、それは「ケジメ」である。
「スイッチヒッターとは名ばかりで、ア・リーグ最低の守備しかできない」フィギンズを打順降格にするくらいの処分は当たり前の行為であって、むしろ処分方針として甘いくらいだ。

このまま今後も「使えないチビ」フィギンズになんの処分もしないのなら「シアトルはケジメのつけられない、選手に舐められっぱなしの球団」というレッテルは、永遠にはがせないだろう。






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