August 30, 2010
8月26日のミネソタ戦に先発したクリフ・リーは5回5失点、目をこすって「これがあのクリフ・リー?」と見直したくなるような、ちょっと信じられないテンポの悪さにびっくりした。相手先発が今シーズン絶好調のリリアーノだっただけに、このゲーム、およそテキサスらしくない弱々しいゲームになってしまった。
Minnesota Twins at Texas Rangers - August 26, 2010 | MLB.com Wrap
何が「よくない」と感じたかというと、2つある。
1)1回から3回までの配球の単調さ
2)投球テンポの遅さ
1)だが、3回までの投球はほとんどが「ストレート」と「カットボール」のみ。これではさすがにあまりに単調すぎる。どういうわけか、彼の勝負球のひとつで、これまでも肝心なときには頼れる球種だったはずの「カーブ」がまったく使われていなかった。シアトル時代も「変化球はカットボールが中心」にはなっていたが、これほどまでにカーブを投げないクリフ・リーではなかった。
4回以降になってようやくカーブを使いだしたのだが、そのときには既にゲームの流れをミネソタに完全に奪われていて、もうどうしようもなかった。
加えて、シアトル在籍時に、アドバイスを求めたバルガスに「投球テンポを早くしろ。打者に考える時間を与えるな。」とアドバイスしたはずのクリフ・リーの投球テンポが、まるでもう、別人のように遅い。これには本当に驚いた。
短くまとめれば「テキサスでのクリフ・リーは、まったく自分のスタイルで投げられていない」。
なぜ、こんなことになったのだろう?
この8月、テキサスは特にア・リーグ東地区のチームとの対戦が続いているが、この間ずっとクリフ・リーにいいところがなく、彼の8月の月間防御率はなんと6.20、テキサス移籍後の防御率も4.50になってしまっている。
移籍前と後のスタッツの比較
Cliff Lee Split Statistics | texasrangers.com: Stats
今シーズンここまで23ゲームに先発しているクリフ・リーだが、4点以上の自責点のゲームは(シアトル在籍時も含めて)以下の7ゲーム。対戦相手にちょっとした共通点があることに注目してもらいたい。
5月5日 タンパベイ(8回 4失点)
5月21日 サンディエゴ(6回1/3 7失点)
7月10日 ボルチモア(9回 6失点)
8月1日 アナハイム(8回 4失点)
8月11日 ヤンキース(6回1/3 4失点)
8月16日 タンパベイ(7回2/3 6失点)
8月21日 ボルチモア(5回2/3 8失点)
8月26日 ミネソタ(5回 5失点)
Cliff Lee Game Log | texasrangers.com: Stats
タンパベイに2度、ヤンキースに1度、ボルチモアに2度、やられている。そう。つまり、ア・リーグ東地区のチームに特に集中的に打たれているわけである。
いちおう、ア・リーグ東地区のチームと対戦して「3失点以下だったゲーム」も挙げておく。2ゲームだけある。無失点で終われたゲームはない。
6月29日 ヤンキース(9回 3失点)
7月17日 ボストン(9回 2失点)
今年6月の2つの記事で、ア・リーグ東地区の投手たちのピッチングスタイルについて、「カットボール多用」の傾向がある、と書いた。
そして、クリフ・リーの2010年におけるピッチング・スタイルが、2008年までの「打者を追い込んだ後の勝負どころでカーブを多用する緩急のスタイル」ではなくなって、「カットボールを多用する、これまでにないスタイル」に変貌していることを書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月13日、「メジャーで最もストレートばかり投げる」シアトルのリリーフ陣。なんと「4球のうち、3球がストレート」。(ア・リーグ各地区ごとのピッチング・スタイルの差異についてのメモ)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月23日、クリフ・リー「鳥肌モノ」の115球、4試合連続無四球で6勝目。「ストレートのかわりにカットボールでカウントを作って、変化球で仕留める」クリフ・リーの「東地区っぽいピッチング・スタイル」は、実は、2010年シアトルモデル。
こうしたことから、
「2010年にピッチングスタイルを変え、カットボールを多用する配球になったクリフ・リーが、カットボールを多用してくる投手との対戦に慣れているア・リーグ東地区の打者に、かえって打たれやすくなった」
という仮説がいえるかどうか、考えてみることにした。
だが、問題なのはそう単純ではなくて、ちょっと長々と書きたい「わかりやすいクリフ・リーの配球のクセ」の問題があって、ちょっとややこしい。
次回の記事で、クリフ・リーの配球がどういうクセがあるか、具体的な話と、そして、それをメリットに変えて快投に導くキャッチャーとの相性などについて書いてみたい。
そのへんを書くと、今までなぜクリフ・リーがクリーブランドにいる頃からキャッチャーとのコンビネーションに神経を使い、クリーブランド時代にはビクター・マルチネスを拒否してまでショパックを選び、またシアトルではロブ・ジョンソンを専属キャッチャーに選んだりしていたのか、考える道筋がつく、と思う。
Minnesota Twins at Texas Rangers - August 26, 2010 | MLB.com Wrap
何が「よくない」と感じたかというと、2つある。
1)1回から3回までの配球の単調さ
2)投球テンポの遅さ
1)だが、3回までの投球はほとんどが「ストレート」と「カットボール」のみ。これではさすがにあまりに単調すぎる。どういうわけか、彼の勝負球のひとつで、これまでも肝心なときには頼れる球種だったはずの「カーブ」がまったく使われていなかった。シアトル時代も「変化球はカットボールが中心」にはなっていたが、これほどまでにカーブを投げないクリフ・リーではなかった。
4回以降になってようやくカーブを使いだしたのだが、そのときには既にゲームの流れをミネソタに完全に奪われていて、もうどうしようもなかった。
加えて、シアトル在籍時に、アドバイスを求めたバルガスに「投球テンポを早くしろ。打者に考える時間を与えるな。」とアドバイスしたはずのクリフ・リーの投球テンポが、まるでもう、別人のように遅い。これには本当に驚いた。
短くまとめれば「テキサスでのクリフ・リーは、まったく自分のスタイルで投げられていない」。
なぜ、こんなことになったのだろう?
この8月、テキサスは特にア・リーグ東地区のチームとの対戦が続いているが、この間ずっとクリフ・リーにいいところがなく、彼の8月の月間防御率はなんと6.20、テキサス移籍後の防御率も4.50になってしまっている。
移籍前と後のスタッツの比較
Cliff Lee Split Statistics | texasrangers.com: Stats
今シーズンここまで23ゲームに先発しているクリフ・リーだが、4点以上の自責点のゲームは(シアトル在籍時も含めて)以下の7ゲーム。対戦相手にちょっとした共通点があることに注目してもらいたい。
5月5日 タンパベイ(8回 4失点)
5月21日 サンディエゴ(6回1/3 7失点)
7月10日 ボルチモア(9回 6失点)
8月1日 アナハイム(8回 4失点)
8月11日 ヤンキース(6回1/3 4失点)
8月16日 タンパベイ(7回2/3 6失点)
8月21日 ボルチモア(5回2/3 8失点)
8月26日 ミネソタ(5回 5失点)
Cliff Lee Game Log | texasrangers.com: Stats
タンパベイに2度、ヤンキースに1度、ボルチモアに2度、やられている。そう。つまり、ア・リーグ東地区のチームに特に集中的に打たれているわけである。
いちおう、ア・リーグ東地区のチームと対戦して「3失点以下だったゲーム」も挙げておく。2ゲームだけある。無失点で終われたゲームはない。
6月29日 ヤンキース(9回 3失点)
7月17日 ボストン(9回 2失点)
今年6月の2つの記事で、ア・リーグ東地区の投手たちのピッチングスタイルについて、「カットボール多用」の傾向がある、と書いた。
そして、クリフ・リーの2010年におけるピッチング・スタイルが、2008年までの「打者を追い込んだ後の勝負どころでカーブを多用する緩急のスタイル」ではなくなって、「カットボールを多用する、これまでにないスタイル」に変貌していることを書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月13日、「メジャーで最もストレートばかり投げる」シアトルのリリーフ陣。なんと「4球のうち、3球がストレート」。(ア・リーグ各地区ごとのピッチング・スタイルの差異についてのメモ)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月23日、クリフ・リー「鳥肌モノ」の115球、4試合連続無四球で6勝目。「ストレートのかわりにカットボールでカウントを作って、変化球で仕留める」クリフ・リーの「東地区っぽいピッチング・スタイル」は、実は、2010年シアトルモデル。
こうしたことから、
「2010年にピッチングスタイルを変え、カットボールを多用する配球になったクリフ・リーが、カットボールを多用してくる投手との対戦に慣れているア・リーグ東地区の打者に、かえって打たれやすくなった」
という仮説がいえるかどうか、考えてみることにした。
だが、問題なのはそう単純ではなくて、ちょっと長々と書きたい「わかりやすいクリフ・リーの配球のクセ」の問題があって、ちょっとややこしい。
次回の記事で、クリフ・リーの配球がどういうクセがあるか、具体的な話と、そして、それをメリットに変えて快投に導くキャッチャーとの相性などについて書いてみたい。
そのへんを書くと、今までなぜクリフ・リーがクリーブランドにいる頃からキャッチャーとのコンビネーションに神経を使い、クリーブランド時代にはビクター・マルチネスを拒否してまでショパックを選び、またシアトルではロブ・ジョンソンを専属キャッチャーに選んだりしていたのか、考える道筋がつく、と思う。