September 01, 2010

こんなに読んでいてウキウキしてくる野球記事も珍しい。
このところ絶好調のルーク・スコットが、生え抜きの中心選手マーケイキスが、高揚したコメントを発している。ボルチモアのボルテージはますます上がってきているようだ。野球ファンでなくても読むことをおすすめしたい。
Matusz's solid outing carries O's past Boston | orioles.com: News
このまま勝ちすぎてしまうと、ボルチモア(49勝83敗、ア・リーグ最低勝率)は来年のドラフト1位指名権を得られなくなるかもしれないが、彼らはいまドラフト1位指名権などよりずっと価値のあるものを手にしつつあるのだから、その程度のことなど気にしないだろう。
ブログ注:メジャーにあまり詳しくない方への解説
メジャーのドラフトは前年の勝率の低いチームから順に指名していく。例えばジョー・マウアーは2001年の全米ドラフト1位だが、指名したミネソタは前年2000年の成績が69勝93敗、勝率.426で最下位だったから指名できた。2000 Minnesota Twins Batting, Pitching, & Fielding Statistics - Baseball-Reference.com
全米ドラフト1位の選手はこれまでも大スターになる実力の高い選手が続出していて、ドラフト1位指名権は非常に貴重。だから、プレーオフ進出の可能性が最初からないような成績の悪すぎるチームは、有力選手を放出しつつ若い選手中心のスタメンに切り替えるなどして「負け数が増えるように」故意に誘導し、全米ドラフト1位選手の獲得を目指したりすることがある。そこまでする目的はもちろん「チームの根本的再建」。90年代に一度も優勝したことのないミネソタはマウアー獲得の後、2002年から3年連続地区優勝し、今ではア・リーグ中地区で毎年優勝を争える有力チームに変身している)


ルーク・スコット
「みんなで野球やるって、マジ、楽しいぜ」
"Guys [in the lineup] are really working together to protect each other," said Scott, who was followed two outs later by Felix Pie's solo blast. "To do that together as a group, it really has been fun."

マーケイキス
「僕らにはまだ一ヶ月、戦う時間が残されてるんだ。頑張ってもっともっといいプレーをしたいと思う。」
"I've said all along we have great guys, a great clubhouse, great talent. It's just a matter of putting it together," Markakis said of an Orioles squad that has guaranteed its first winning home record against Boston since 1998.
"Over the past month, we've finally been able to do that. ... We got a lot of injured guys earlier in the year. We've got a lot of them back now. It's just adding on and it's fun. We've still got a month left to play, and we're going to go out there and get better."


そう。これなんだ。これ。
日頃、数字を操ってリクツばかりこねているように思われているかもしれないこのブログだけど、僕はシアトルにずっとこれを待っていたのさ。もう何年も。ちょっともう諦めたけど、さ。

野球はチームスポーツだ。野球が本当に熱を帯びるのは、WBCではないけれどもチームが全体として熱くなったとき、ホットになれたときなんだ。
今のボルチモアがまさにその「ホット」だ。「やれば出来るんだっっっ!」っていう強い連帯感が、投手陣はじめ、選手全員が感じてプレーしはじめている。
だからプレーヤーにインタビューすると、だれもかれも、どいつもこいつも、言葉の端々(はしばし)に、togetherとか、each otherとか、そういう単語を出してくる。誰から言われたわけじゃないと思う。自然とクチをついて出て来る言葉なんだと思う。


ああ。ほんとにうらやましいぞ、ボルチモア。
なんでシアトルはいつまでたってもこういう風にならないんだろう。



今日先発したのは2年目のBrian Matusz(ブライアン・マットゥース? 彼の名前の発音についてはボルチモアの地元ファンの間でもとまどいがあるようで、人によってはマトゥーズ、などと発音するらしい。大半の意見は「Matt-us」マットゥース、らしい。)。
ボルチモアの2008年のドラフト1位指名選手(全体4位)だが、MLBの公式サイトのトッププロスペクト50でも、20番目の選手として紹介されている期待の左投手だ。
Brian Matusz Top 50 Prospects Profile | MLB.com: Minors


人間ってのはやっぱり、気分がふさいでいると力が出ないが、嬉しいと、眠っていた力が甦ってハツラツとプレーできるものなんだ。

8月のマットゥースは今日の勝利で、月間4勝1敗。素晴らしい成績だ。
Brian Matusz Split Statistics | orioles.com: Stats
勝った相手も、エンゼルス、テキサス、ホワイトソックス、ボストンと、打撃系の有力チームばかり。ここまでの全体成績が7勝12敗 防御率4.72と冴えないから、この8月の復活ぶりがどれだけ驚異的か、わかる。
マットゥースの5月は成績が特に酷くて、0勝4敗 防御率7.50だが、かえってもっと酷いのは、6月の0勝4敗 防御率3.69だろう。ある意味、5月よりずっと悲惨だ。
Brian Matusz Game Log | orioles.com: Stats

なぜって、マットゥースが7点台だった防御率を3点台にするには色々と努力もしたに違いないのだが、それでも4敗してしまったのである。たぶん、チーム状況が相当悪かったに違いない。実際、5月から6月にかけてボルチモアは10連敗していて、今シーズンのマットゥースへのRS(ラン・サポート)はたった3.7しかない。
経験の少ない若い選手にしてみれば、「結局、頑張っても頑張らなくても、オレたちは負けるんだ」というゲームが続けば、やり場のない脱力感にまみれてしまう。
この「脱力感」というやつがチーム全体に蔓延したら、おしまいだ。
頑張って負けただけなら、まだ「明日」がある。だが、頑張っても、頑張らなくても負けて心を折られると、脱力感にまみれてしまい、人間は頑張らなくなる。だから脱力感の蔓延したチームの負けには、明日への出口がみつからなくなる。

いいときに登板したものだ。チームがいいときに登板する。勝つ。なにより、「勝てる」という気持ちを掴める。勝ったときの気分が自分のカラダに浸み込んでいく。それが若い選手には大きい。

幸せな男である。

若い選手にはやはり、チームがノリノリなとき、いいときにプレーさせてやりたいという想いがある。重すぎる期待、重すぎる責任、そんなものばかり背負わされてプレーしたんじゃ、若い選手は潰れてしまう。
例えば、チームの惨状を救う救世主になるにはまだまだ早いのにローテ投手として使われまくって、結局トミージョン手術を受けることになったストラスバーグには、本当に同情してしまう。


さて、ブライアン・マットゥースがインタビューの中で引用している今年初めのケビン・ミルウッドの言葉がある。

先日の記事で今年ボルチモアに期待されて移籍しながら、成績が酷いミルウッドのことを「大戦犯」などと書いてしまった。
だが、マットゥースによれば、彼はベテランの彼なりに、移籍する前から弱体なのがわかっているボルチモアの投手陣を牽引していこうと、若い投手と色々とコミュニケーションを図ったりして、このチームをなんとかしようと頑張ってきていたようだ。
マットぅースのような若い先発投手が、チーム全体が沈み込み暗いムードのときにいくらあがいても勝てないことはよくあることだが、同じように、いくらベテラン投手だって、どうあがいても悪いチーム状況はひとりだけではどうしようもないし、勝てもしない。

投手陣のリーダーとしてもがきながら戦ってきたミルウッドには、この場を借りて、先日の酷い言葉を謝りたい。

"[Kevin] Millwood said it at the beginning of the year, that's how the rotation needs to be," Matusz said of the Orioles' starters feeding off each successive outing. "We need to be pushing each other each and every start, and I feel like that's what we are doing now."







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