September 21, 2010

セーフコで始球式をするケン・バーンズセーフコ・フィールドで始球式をするケン・バーンズ
いよいよ映像ドキュメンタリー作家Ken Burns(ケン・バーンズ)の"The Tenth Inning"の全米放送が来週28日、29日に迫ってきた。ちょっとドキドキしながら、復習をかねて、"The Tenth Inning"(10回)に至るまでの9イニング、つまり、ケン・バーンズがMLBの歴史を描いたドキュメンタリー、"Baseball"(Baseball (TV series) - Wikipedia, the free encyclopedia)を見直してみた。
"The Tenth Inning"公式サイト
Baseball The Tenth Inning: Home | PBS

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月11日、イチローも登場するらしい9月末公開のスポーツドキュメンタリー"The Tenth Inning"を作ったケン・バーンズの横顔。彼の考える「MLB史におけるイチロー登場の意義」は、このブログと同じ。


"Baseball"は1994年に9夜にわたって全米で放映されたドキュメンタリーで、9つのパートに分かれている。
第1回は1st Inning - Our Gameというタイトルで、1994年9月18日に放送された。主にこのシリーズへのイントロダクションとして、さまざまなコメンテイターが登場し、野球というスポーツの起源について語るだけでなく、「アメリカ史、アメリカ人にとって、野球とは何か」という困難な問いに答えている。

冒頭部分にコメントを寄せているひとり、Gerald Early(ジェラルド・アーリー)は、1994年に全米批評家協会賞をとっているアメリカ文化批評家で、アフリカ文化の研究者だが、実はケン・バーンズの"Baseball"や"Jazz"の監修者もつとめている。
その野球にうるさい彼が"Baseball"の第1回の冒頭で、アメリカ史にとっての野球の意味について、こんな言葉を残している。

"I think there are only three things that America will be known for 2,000 years from now when they study this civilization: the Constitution, jazz music and baseball. They're the three most beautifully designed things this culture has ever produced."
「2000年後、もし誰かがアメリカの文明を学ぼうとしたら、アメリカが残せるものはたったの3つだ。合衆国憲法ジャズ、そしてベースボール。この3つが、我々の文化が作り出したものの中で、最も美しくデザインされている

この言葉を引用しているサイトの例
Baseball History: 19th Century Baseball
The Importance of Jazz in American Culture - Jazz & Moreなど多数


この言葉がいったいどれだけのウェブサイトで引用されていることか。多くの人々がこの言葉から出発して、野球を語り、ジャズを語り、そしてアメリカを語ってきた。
ケン・バーンズのドキュメンタリーがいかにアメリカ人に影響力があるか。"Baseball"がいかに影響力のあったドキュメンタリーであったかがよくわかるし、そして、このジェラルド・アーリーの言葉の影響力も非常に大きいものがあった。


たとえば、もし日本でMLBの歴史を紹介する番組を作るとしたら「タイ・カッブやベーブ・ルースのエピソードや、ホームランを打つシーンが延々と続くような安っぽい作り」になってしまうだろう。

だが"Baseball"は違う。
第1回1st Inning - Our Gameの冒頭にたしかにタイ・カッブの顔写真はじめ、ベーブ・ルース、サンディ・コーファックス、ジョー・ディマジオ、さまざまなプレーヤーは出てくるが、彼らは名前の字幕さえ全く出てこないし、ナレーターが彼らの名前を連呼することすら、ない。
このドキュメンタリーにとって大事なことは、誰もがわかりきっているプレーヤーの名前を表示することではなく、「アメリカの歴史の背骨に、ベースボールをきちんと位置づけること」である。名選手紹介のような安っぽいものをケン・バーンズが作っているわけではないから、当然だ。

だからこそ、このドキュメンタリーに出てくる選ばれるプレーヤーになることは、単に「成績の良かった選手」ではなくて、ジェラルド・アーリーがいう「アメリカが2000年後の人々に残せる3つ」に含まれている選手かどうかが、厳しく問われる、という意味になるのである。

どうみても「2000年後にアメリカ史の一部として語るべき選手に選ばれること」は、単にクーパーズ・タウンの野球殿堂に入ることよりもずっと難しいと、思う。







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