September 27, 2010

ソフトバンク2010シーズン優勝。
あの高額ダメ物件、城島に手を出さなかったソフトバンク側の選択の正しさが、これで証明された


今シーズンのソフトバンクの優勝を特徴づけるのは、「2ケタ以上勝てる計算のできる先発投手が2人しかいなかったにもかかわらず、優勝できたこと」だ。
これは、現代野球のチームマネジメントを考える上では、非常に画期的な出来事だと考える。

有力投手を同じチームに3人以上揃えることは、けして簡単ではなくなってきているにもかかわらず、アトランタの投手王国時代を作ったグラビンマダックススモルツではないが、優勝チームをつくるとしたら主軸投手はやはり3人欲しい、と、誰しも考える。理由は簡単だ。それが「楽に優勝できる道」だからだ。
そういう楽なことは、プロ、素人に関係なく、誰でも考えつく。その一方で、楽でない状況のもとで優勝するのは、誰にでもできることではない。

今シーズンのソフトバンクは、10勝以上をあらかじめ計算できる先発投手が和田杉内の2人しかいないにもかかわらず、ブルペン投手(ファルケンボーグ、摂津、馬原など)の優秀さで、先発投手の枚数が十分とはいえないチーム状況を補って、チーム防御率をなんとか3点台に収めることに成功し、優勝を勝ち取った。(斉藤和己新垣が2桁勝利を記録したのは2006年まで)
なにも10勝以上できる投手が4人いなくても優勝できる方法はある、という実例を示したわけだ。(もちろん、こうした形の優勝を実現するためにキャッチャーの果たす役割は、日本では大きい)

もちろん、「キャッチャーのせいで10勝以上の投手が2人しかいない状況ができてしまっているどこかのチーム(笑)」とは根本的に意味が違う。
もし今年のソフトバンクに城島がいたら、2線級の先発が打たれまくるシーンや、ゲーム中盤・終盤にブルペンが打たれて逆転される場面が多数見られたに違いないのに。たいへんに残念なことだ(笑)
「SBM」が支えた!合計防御率1・71 - 野球ニュース : nikkansports.com


シーズン終盤ギリギリの優勝決定という事実でもわかるとおり、もし、ほんの数試合クロスゲームを落としているだけで、この優勝はなかっただろうし、また、ソフトバンクが最下位に終わった2008年のようにチーム防御率が4点台に落ちていたら、優勝どころか、クライマックスシリーズ進出も危ういものになっていたかもしれない。
もちろん、逆に言えば、阪神はこの高額ダメ物件に手を出さなければ、3割バッターを5人も6人も抱えていながらシーズンを楽勝できない、などという大恥をかくようなハメにならずに済んだ、ともいえる。
参考)阪神のシーズン打率.289の意味
創設以来チーム打率.268の高率を誇るヤンキースだが、第二次大戦後にチーム打率.289以上だったのは、2007年の1回のみしかない。また非常に打者有利な球場をホームにしてバッティングスタッツが異常に高いことで知られるコロラド・ロッキーズは、創設以来の打率が.277と異常に高いが、チーム打率.290以上を記録したのは98年、2000年、2001年の3回のみ。つまり、チーム打率.289なんていう数字は、ちょっとした天文学的数値。



その意味で、防御率のほんのちょっとした違いは、実に重要だ。もしソフトバンクが血迷ってダメ捕手城島を獲得でもしていたら、この優勝はありえなかった。

優勝決定時点での防御率
ソフトバンク 3.89
西武     4.21


日本のプロ野球セ・リーグではいま、ちょっとやそっとの補強では埋められないほど、チーム別スタッツに大差がついている。
例えば、下位2チームの防御率は4点台後半で、どう打線が頑張ろうと、Aクラス入りはもともと無理だし、それらのチームがたとえ無理して大金を払って10勝できる投手を1人補強できたとしても、優勝などありえない。打撃も、打率やホームラン数をみるだけでわかる通り、チームごとの偏りはひどい。
というか、下位球団が有力投手や強打者をトレードで獲得すること自体が無理になっているわけで、つまりセ・リーグでは、有力先発投手、主軸打者の両方が、ごく一部のチームにのみ非常に偏って存在し、上位チームと下位チームの逆転自体がありえないものになりつつある。

だから、セ・リーグではシーズン順位が上位に来るチームは毎年あらかじめ決まってきている。もちろん日本に逃げ帰るにあたって城島が選択した「阪神」もそのひとつだ。
いまの阪神は、「かつてのような、生え抜きが多く在籍していて、防御率のいい阪神」とはまったく違い、いまや国内の他チームとアメリカの選手を寄せ集めてできた「かつてのヤンキース的な寄せ集めチーム」のひとつであり、城島が阪神を選択したのは「自分が頑張らなくても勝てるチームに行きたかった、というだけの生ぬるい選択」で、寄らば大樹の陰、というだけの話だ。

だが、パ・リーグのチーム別スタッツは、セ・リーグほどの「あからさまな大差」はない。
それだけに、2000年代中期のように先発投手がズラリと揃っているわけではないソフトバンクにしてみれば、どこかの関西球団のような「打撃だけで大勝ちする大雑把な野球」より、「いかにクロスゲームを勝ち越すか」のほうが重要なシーズンだったはずで、ロスターの誰が手を抜いても優勝できなかった厳しいシーズンだっただろう。


ソフトバンクというチームの歴史にとって、2010年の3.89という防御率はけしていい数字ではない。最近の防御率でいうと、城島がシアトルに移籍した翌年の2006年などは3.13と、前年の防御率を大きく上回る驚異的な防御率を残し、その翌年2007年も(斉藤、新垣と先発投手の故障が続いたにもかかわらず)3.18と非常に優れた数字を残している。
ソフトバンクは、計算できる主戦投手がいつもそれなりに揃っていて、抜群の防御率を残すのが当たり前の投手王国だったわけで、当然ながら、城島がいなくなったことは防御率向上にプラスに働いたことはいうまでもないし、城島在籍時の投手王国時代のソフトバンクの防御率がよかったのは、「単に投手陣が優秀だっただけ。城島がいなければもっと防御率は良かった」ことは、なによりチームの歴史が証明している


ソフトバンクの防御率が、かつて先発投手に和田、斉藤、杉内、新垣と看板投手がズラリと揃っていた黄金期に比べれば、少しばかり冴えないのは、いたしかたない。優勝したとはいえ、先発投手の軸といえる投手は結局のところ、和田、杉内の2人しかいないのだから、防御率が4点に近いのも当然だ。

では、先発投手が足りないからといって、トレードで10勝以上できる投手が簡単に獲得できる時代だろうか?
例えば黒田や岩隈(もしかするとダルビッシュも)のように、たとえ優勝の望みの薄いチームの有力先発投手でさえ、国内での強豪チームへの移籍ではなく、メジャー挑戦を選択して流出する時代である。2桁を計算できる先発投手を国内の他チームから獲得してくることは、たとえ予算の豊かなチームであっても簡単には実現しにくい時代になってきている。

それだけに「先発の軸になる投手が2枚しかない状態が今後も続きかねない」ソフトバンクにとって、明らかにチームの防御率を悪くするキャッチャーであるダメ捕手城島に手を出さなかったことの意義は、今後も非常に大きい。

10勝以上を計算できる先発投手を簡単に獲得するのが難しいこの時代に、CERAが悪く、打撃もアテにならない攻撃型キャッチャーには安易に手を出すな」
まさに、若い選手を育成して台頭したタンパベイに煽られているヤンキース(ポサダ)やボストン・レッドソックス(ビクター・マルチネス)などにも言ってやりたい格言である。







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