October 08, 2010

いやー。これはちょっと酷い。

今日のディヴィジョンシリーズ、ヤンキース対ツインズの第2戦の7回表、ヤンキース先頭ポザダが四球で歩いて、そこからミネソタが2失点したのだが、フルカウントからのボール判定をめぐって、ミネソタ監督ロン・ガーデンハイアーが退場させられた。

見ていた人はわかると思うが、ガーデンハイアーが怒りに燃えたのは、なにもフルカウントからの1球だけではなく、左打者ポサダの打席でインコースいっぱいに決まった球がことごとく「ボール」判定されていたからだ。

後述するYahoo.comの記事(Twins’ misgivings about umpire were justified - MLB - Yahoo! Sports)を読みながら比較するとわかるが、今日のゲームでは、基本的に「一塁側の球(特に左打者のインコースのストライク)をボール、三塁側の球(特に左打者のアウトコースのボール)をストライクとコールする判定傾向」があった。

さらに言えば、このゲームでは、そもそもミネソタとヤンキースのストライクゾーンが明らかに違っている。「ミネソタの投手が左打者に投げるときのストライクゾーンのズレ」が特に酷くて、ストライクゾーン自体が三塁側にボール1個分以上ズレている
ガーデンハイアーはミネソタの投手がヤンキースの左打者に投げるインコースいっぱいの「ストライク」だけが、多数「ボール」と判定され続けていることに怒ったのである

それに、なにも7回のガーデンハイアーは長時間の抗議を行ったわけではなく、ごく短時間抗議してダグアウトに引き上げようとしていた。だが、ガーデンハイアーが諦めてベンチに帰ろうとしているのに、球審は彼の退場をコールしたのである。(もちろん擦れ違うときにでも、ガーデンハイアーが短く何か言い、その言葉が球審の耳に入ったのだろうが、面と向かって言われたわけじゃあるまいし、その程度のことで大事なポストシーズンのゲームを壊す権利は、球審にはないと思う)

ガーデンハイアーが退場させられた7回のポサダの打席以外にも、右打者デレク・ジーターへのド真ん中、明らかに「ストライク」のカットボールが「ボール」判定されるなど、今日の球審は、10をはるかに越えるストライクを誤判定して「ボール」にしている。

ヤンキース対ミネソタ第2戦 7回表 ポサダ 四球2球目のアウトコースにはずれているように見えるシンカーを、球審は「ストライク」とコールしている。そのことからも、そもそも球審のストライクゾーンが三塁側に大きくズレていることがわかる。ゲームの重要なポイントで、ストライクゾーン自体をボール1個半も動かされたんじゃ、ゲームにならない。

3球目のインコースのストレート、6球目のインコースのシンカー、共に、ミネソタの投手の投げたインコースの球が「ボール」判定されていることに着目してもらいたい



アメリカのヤフーcomのJeff Passanは、とてもゲームが終わったばかりとは思えないスピードで、このゲームの「判定の酷さ」について、詳細なデータ画像入りの批判記事を出し、球審Hunter Wendelstedtのアンパイアの判定の酷さを批判した。
Twins’ misgivings about umpire were justified - MLB - Yahoo! Sports

この記事の詳細なデータによると、やはり今日の球審のコール傾向には「大きな歪み」があった。

「ストライクゾーンが、2つのチームで著しく違っている」
「左打者のインコースのストライクの数多くを
 ボールとコールした」
「三塁側寄りにはずれるボール球のかなりの数を
 ストライクとコールした。
 とりわけミネソタの投手の投げた球の場合に顕著」



Yahoo.comのライターJeff Passanはこんな風に書いている。
the width is not some subjective determination. Home plate is home plate. It doesn’t move.
つまり、高低はともかく、ストライクゾーンの幅は、ホームプレートの幅が一定である以上、常に不変なのであって、そこがコロコロ変わるなどということは、「アンパイアの恥」であるはずなのである。

ダメなアンパイアに大事なポストシーズンのゲームを壊されれば、そりゃ怒りたくもなる。いくらインコースの判定が辛いメジャーとはいえ、ディヴィジョン・シリーズ第1戦を負けているミネソタからしたら、取り返しがつかないアンパイアのミスだ。去年もミネソタはポストシーズンでヤンキースに3連敗してポストシーズンを敗退しているだけに、なおさら怒りがおさまらないということもあるだろう。

ゲームを中継しているキャスターも、ガーデンハイアーに同調して、「エクセレント・ピッチ」とミネソタ先発のパヴァーノの球を褒めつつ、フルカウントからの左打者ポサダへのインコースの球を何度もスロー再生してみせた。
そのボールの軌道は、明らかに「ゾーンいっぱいに決まるストライク」。スローで違う角度の映像も見たが、明らかにストライクだった。
今日の球審が「いわくつきのアンパイア」なだけに、対戦相手のヤンキースから今シーズンはミネソタに移籍して17勝を挙げて大活躍だった先発パヴァーノと、ガーデンハイアーが気の毒になった。
New York Yankees at Minnesota Twins - October 7, 2010 | MLB.com Gameday


今日の球審の名は、Hunter Wendelstedt
実はこの人、父親も、1960年代から90年代にかけてナ・リーグのアンパイアで、親子2代にわたってのアンパイア。
そもそもHunter Wendelstedtは、ポストシーズンの経験が豊富なアンパイアではない。2009年10月1日のアリゾナとサンフランシスコ・ジャイアンツのゲームでは、こともあろうに、アリゾナの監督A. J. Hinch(史上最年少34歳でメジャーの監督になった)と、投手コーチのメル・ストットルマイアー・ジュニアの両方を同時に退場させる、などという「禍根の経歴」がある。
ちなみに退場させられたアリゾナの投手コーチメル・ストットルマイアー・ジュニアは、元ヤンキースの投手コーチで、2008年にシアトルの投手コーチも務めた、あのメル・ストットルマイアー・シニアの息子だ。


下記のブログによれば、Hunter Wendelstedtはこのシリーズが始まる前に、既にガーデンハイアーを合計4度も退場処分にしているらしい。
Gardenhire-Wendelstedt: A little history - Rivalry Central | Red Sox -- Yankees

親子でメジャーのアンパイアだから「なにかにつけて上から目線で判定を下す、居丈高なアンパイア」と決め付けるのは良くないかもしれない。だが、ガーデンハイアーは、かねてからトラブル続きの彼について、
Twins manager Ron Gardenhire last season said Wendelstedt believes “he’s God as umpires go,”(あいつはアンパイアが神様かなんかだと信じ込んでやがる)てな事を言っている。
Twins’ misgivings about umpire were justified - MLB - Yahoo! Sports


Yahoo.comで使われているデータの元ネタはBrooks Baseball · Home of the PitchFX Toolというサイトのデータである。元データから抜粋するときの細かいズレも多少あるように見えるが、記事の論調や結論に影響はあるほどではない。
Yahoo.comのグラフは、元データのうち、左バッター、右バッターのデータが混在したものから抜粋し作成されているが、元データでは、左バッターと右バッターで分けたグラフも挙げられており、「左打者と右打者でのストライクゾーンの違い」もわかるようになっている。
元データによれば「右バッターの場合のストライクゾーンは、ミネソタもヤンキースも変わらず、球審の判定の精度も高い。だが、なぜか左バッターになると、突然大きな差ができること」、あるいは「ミネソタの投手が投げた球に限って、左打者のアウトコースのボール球をストライク判定していること」「左打者のインコースのストライクの多くがボール判定されていること」などがわかるようになっている。

下記のYahoo.comのグラフが元資料にした元データ
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool

ヤンキースVSミネソタ第2戦 ストライクとコールされたボール今日のゲームの
called strike

これは「コールド・ストライク」、つまり打者が見逃したストライクだけを図表にしたもの。スイング・ストライク、つまり、空振りは含まれない

2つのチームのストライクゾーンが明らかに違う。ミネソタの投手が投げる場合に限って、三塁側寄りにはずれたボール球の数多くが「ストライク」と判定されている。これでは、ミネソタ側に「ヤンキースとミネソタで、ストライクゾーンがズレている」と思われてもしかたがないし、また、両チームでゾーンが違っていることに気がつくのが遅れれば、守備と攻撃でちぐはぐさが出て大きなハンディになるのは当たり前。


ヤンキースVSミネソタ 第2戦 ボールとコールされた球「ボール」と誤判定されたストライクゾーン内の球だけを集めた図
左打者に対するインコースの球が大半を占める。

7回表の左打者ポサダの打席では、アウトコースにはずれるシンカーをストライク判定し、逆にインコースをことごとくボール判定していることから、あきらかにゲーム終盤、ミネソタの投手が投げるときのストライクゾーンだけが、ボール1個半以上、三塁側にズレていることがわかる。







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