November 09, 2010

以下の記事のエクセルデータを、こんどは個人別に平面に展開してみる。テンプレートは自作。誰でも同じ作業ができるように、この記事の最後の部分で、作成方法を解説する。まずは、アンパイアごとのデータを4人分みてもらいたい。
Hardball Times: A zone of their own

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年11月6日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (3)アンパイアの個人差をグラフ化してみる

最初に、アンパイアごとの個人差の大きさを実感してもらうために、最もストライクゾーンの大きいアンパイアと、最も小さいアンパイアを比べて見てもらおう。
赤い線が、ルールブック
青い線が、そのアンパイアのストライクゾーン

Jeff Nelsonの広大かつ縦長なストライクゾーンJeff Nelson

Gerry Davisの狭いストライクゾーンGerry Davis


1)Jeff Nelson
1965年ミネソタ生まれ。広大すぎるゾーン。判定は気まぐれで可変

最初にとりあげるのは、2010NLCSで、ロイ・ハラデイの低めに決まるカットボールを「ボール」と判定し続けて物議をかもしたアンパイア、Jeff Nelson

Hardball Timesは、MLBでストライクゾーンが最も広いアンパイア、Jeff Nelsonについて、
against right-handed hitters, the classic “Glavine” call a couple inches off the plate. と、右打者のアウトコースについては、たとえホームプレートから数インチ離れていようとも「ストライク」とコールする「Jeff Nelsonのアウトコースの判定のゆるさ」を評して、「トム・グラビン時代の古典的コールをするアンパイア」と言っている。
前に書いたように、かつてのステロイド時代は、ステロイドを容認し、打者有利な飛ぶボールを使ってホームランを量産させる一方で、バーター的な意味で、投手には「アウトコースが異常に広い、ステロイド時代特有の投手有利なストライクゾーン」を与え、なかでもトム・グラビンはその「アウトコースの広いステロイド時代のストライクゾーンの恩恵」を人一倍上手に使った、という皮肉めいた意味でもある。
参照:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月29日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (1)「ステロイド時代のストライクゾーン」と、「イチロー時代のストライクゾーン」の違い。

大投手ロイ・ハラデイは2010NLCSで、こんな「日頃ストライクゾーンが馬鹿広いことが、あらかじめわかっていたはずの、ゆるんゆるんのアンパイア」に、「低めいっぱいに決まるカットボール」を「ボール」と言われ続けたのである。そりゃ腹が立たないわけがないし、とてもとても、まともなゲームになるわけがない。
アンパイアのストライクゾーンが広いからといって、必ずしも投手有利になるとは限らない、というよい例である。ブログ主は、いまでもNLCSはフィラデルフィアが勝つべきだったと思っている。
Umpire Watch: Postseason Bunting -- MLB FanHouse
ちなみに上のリンクは、2010NLCS Game 5の3回表、無死1、2塁で、ハラデイがバントしたときの誤審についての記事。ハラデイはバントのボールが自分の足に当たったのがわかったので一塁には走らなかったが、キャッチャーバスター・ポージーは三塁にスローした。だが球審Jeff Nelsonは即座にフェアとコールし、結果的にハラデイがアウト。1死2、3塁になった。記事は、Halladay's bunt was clearly foul.と、明確に誤審を指摘しており、本来なら無死満塁になった場面だった。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月21日、ちょっと心配になるロイ・ハラデイの「ひじ」と、「アンパイアのコール」。今日の球審は、今年8月、これまで一度も退場になったことのないニック・マーケイキスと、監督バック・ショーウォルターを退場にしたJeff Nelson。



2)Gerry Davis
1953年ミズーリ生まれ。宇宙一タイトなストライクゾーン。

宇宙で一番ゾーンが広いのがJeff Nelsonなら、宇宙で一番狭いアンパイアのひとりが、2010ALCSでアンパイアをつとめたGerry Davis
この2人のアンパイアのストライクゾーンの大差について、Hardball Timesは、Jeff Nelson calls about 10 more strikes than Gerry Davis in an average game. 平均的なゲームで球審をしたなら、ジェフ・ネルソンは、ジェリー・デイビスより、10個は多くストライクをコールするだろう、と述べている。



3)Jeff Kelllog
1961年ミシガン生まれ。2001年以降のストライクゾーンの規範ともいうべき、正確な判定。

Jeff Kelllogの正確なストライクゾーン


個性を押し出すのではなく、いわゆる2001年以降のMLBが指向する「ルールブックどおり」の正確なコールをできるアンパイア。それが、Jeff Kelllog。その判定の正確さは、上に挙げたグラフにそのままあらわれていて、ルールブック(赤い線)と彼のストライクゾーン(青い線)には、ほとんど差がない。
正確さを表現する言葉にも、いろいろあるが、彼の場合、ただaccuracyというだけより、clockworkと表現したほうがピッタリくる。正確に時を刻み続ける時計のような、狂いの無い連続作業と言うイメージ。
ALCSのテキサスとヤンキースのクリフ・リー登板ゲームでPL(球審)をつとめたが、あのときの非常に正確なコールには感心した。だから、今年のワールドシリーズはぜひこの人に球審をやってもらいたいものだ、と思っていたら、案の定、ワールドシリーズのアンパイアもつとめてくれて、ブログ主としては嬉しく思ったものだ。
ただ、Jeff Kelllogは、塁審をつとめる際にはちょっとどうかな、と思うフシもないわけではない。ワールドシリーズでも、一塁の塁審をやったゲームでちょっと「?」と思った判定があった。
例:Umpire Watch: One Shaky Sixth Inning -- MLB FanHouse
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月12日、クリフ・リー、無四球完投!「アウトコース高めいっぱいのカーブ」を決め球に、11奪三振。テキサスがヤンキースとのリーグ・チャンピオンシップに進出。このゲームを正確なコールで素晴らしいゲームにした名アンパイアJeff Kellogg。

ちなみにJeff Kelllogは、ストライクゾーンが広いことで有名なJeff NelsonのいるCrew G のチーフ・アンパイアでもある。つまり、ひとつのクルーに、正確無比なタイプのアンパイアと、やたらとゾーンの広いタイプが同居しているわけだ。
プレーヤーにしてみたらどうなのだろう。Crew Gにあたったチームは、ゲームごとにしっかりと頭を切り替えていく対処する必要がある。



4)Mike Winters
1958年カリフォルニア生まれ。横長のストライクゾーン。

Mike Wintersの横長なストライクゾーン

ここまで縦長なストライクゾーンのアンパイアばかり扱ったので、この記事の4人目は、横長のストライクゾーンのアンパイアを扱ってみよう。ワールドシリーズでアンパイアをつとめたMike Wintersである。

2009年9月にイチローを退場処分にしたBrian Runge、あるいはEd Hickoxも、このMike Wintersに似た「横長ストライクゾーン派」のアンパイアだが、RungeやHickoxが低めをとるのに対して、Mike Wintersは低めをとりたがらない。だからMike Wintersのゾーンは、RungeやHickoxより、さらに横長な形状になる。

2010ワールドシリーズではテキサスを応援して見ていたが、特にピンチの場面、それも試合の終盤になると決まって、Mike Wintersは低めの判定が辛くなるのには、見ていて非常にイライラさせられた。(下記画像は参照例:Game 4 7回表のポージーのホームランの打席の2球目)
逆に、サンフランシスコのクローザー、ブライアン・ウィルソンが投げるいくつかの球は、どうみてもボールにしか見えない球で、テキサスの打者が非常に気の毒になった。
特にマイケル・ヤングは、明らかにアンパイアに嫌われていて、まるで「狙い打ちされている」かのように、きわどくもないストライクをとられて、バッティングの調子を崩していた。(下記画像参照:Game 4 7回裏の三振の打席の2球目、および9回裏の三振の打席の4球目)
要は、Mike Wintersは、インコース、アウトコースはアホみたいにとるクセに、低めをとってくれないアンパイアなのである。このことに、テキサスのキャッチャーベンジー・モリーナは最後まで気がつくことはなかった。

2010年10月31日 WS Game 4 8回表バスター・ポージー ホームラン2010ワールドシリーズ
Game 4 球審:Mike Winters

7回表 バスター・ポージー
ソロホームラン
2球目の低めいっぱいの
ストレートを
ボールコール


2010年10月31日 WS Game 4 7回裏マイケル・ヤング 三振2010ワールドシリーズ
Game 4 球審:Mike Winters

7回裏マイケル・ヤング 三振
2球目のインコースまっすぐを
ストライクコール


2010年10月31日 WS Game 4 9回裏マイケル・ヤング 三振2010ワールドシリーズ
Game 4 球審:Mike Winters

9回裏マイケル・ヤング 三振
4球目のインコースのスライダーを
ストライクコール



ちなみに、Mike Wintersは、横長派のBrian Rungeと同じ、Crew Hの所属。Crew Hにあたったチームは、アウトコースのストライクゾーンが広いことを覚悟しなければ試合にならないだろう。




おまけ
自分で作るアンパイアごとのストライクゾーンデータ


ストライクゾーン テンプレ

1)このグラフの画像をイラストレーターのようなソフトに、背景画像として取り込む。取り込んだらロックしておくのがコツ
2)赤色でない色(青とか緑とか)の四角形を、仮に書く。太さは3ポイント程度。赤い四角形が見えなくなるので、塗りつぶしは指定しない
3)上のグラフのグリッドごとの距離は12インチ。上下左右の4本の線を、それぞれのアンパイアのストライクゾーンのズレの分だけ、ずらしていく。ずらしたい線を選択する場合、必ず「ダイレクト選択ツール」を使う。通常の選択ツールで動かすと、四角形全部が移動してしまう
4)上下左右をずらし終えたら、保存して1人分が終了。このとき別名保存しないと、テンプレート(=元の画像のこと)がなくなってしまうので注意
5)保存後、線はいくらでもズラしなおせるので、2人目、3人目と次々と作りながら、別名で保存していく







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