April 26, 2011

カレッジ・ベースボールでUSCといえば、1970年代までなら、かつての名門で、カレッジ・ワールドシリーズ最多の通算12回優勝を誇るUniversity of Southern California、南カリフォルニア大学を指しただろう。だが、近年ではサウスカロライナ大学、University of South Carolinaを指す。
現在もコーチを務めるRay Tannerが1997年に就任してからというもの、サウスカロライナ大学野球部 South Carolina Gamecocksは、所属するSEC(Southeastern Conference)のチャンピオンシップの常連となり、2010年にはついにカレッジ・ワールドシリーズを制覇して全米No.1に輝いた。Ray Tannerはいま、カレッジの勝率レコード(634勝282敗)を持っている。

South Carolina Gamecocksのロゴマーク South Carolina Gamecocksの
 ロゴマーク

ボルチモア・オリオールズの名選手ブライアン・ロバーツは、このサウスカロライナ大学Gamecocksの出身で、1999年にボルチモアから1位指名されて入団した。
ノースカロライナ州出身のロバーツは、父マイクがノースカロライナ大学のコーチをしていた縁で、最初はノースカロライナ大学のプレーヤーだったのだが、父親が大学野球部のコーチ職を解かれてしまったことからサウスカロライナ大学に移り、そこで名プレーヤーに育った。ベースボールアメリカの選定するベスト・ディフェンス・プレーヤーに選ばれ、通算打率.353。またSECの盗塁カンファレンス記録を作っている。

サウスカロライナ州サウスカロライナ州はイギリスから最初に独立した13州の一つ。ニックネームはThe Palmetto State(パルメット椰子の州)


下に訳出したのは、ブライアン・ロバーツと同じように、父親から野球の楽しさを教えてもらったジャスティン・スモークのストーリーだ。

以前、素晴らしいドキュメンタリーを制作し続けている映像作家ケン・バーンズの野球ドキュメント作品"Baseball" "The Tenth Inning"を紹介したときに、
「ベースボールの楽しみは、まるで遺伝子が親から子に伝わるように、両親から子供に大切に伝えられてきた『家族の文化』である」と書いたが、ブライアン・ロバーツと父マイクにしても、下で描かれているジャスティン・スモークと父キースにしても、ベースボールを親子の絆にした典型的なアメリカの親子であることに注意して読んでもらえると非常にうれしい。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月10日、"The Tenth Inning"後編の語る「イチロー」。あるいは「アラスカのキング・サーモンはなぜ野球中継を見ないのか?」という考察。


Former Gamecock star Smoak
coping with loss of father

By Philip M. Bowman
Former Gamecock star Smoak coping with loss of father | The Herald - Rock Hill, SC
(訳)
まるで映画「フィールド・オブ・ドリームス」のような話だ。だが映画より素晴らしいといえるのは、これが実際にあった話だからだ。

コロンビア市(=サウスカロライナの州都)、2月なかばの日曜日に、父と息子はそれが最後となるキャッチボールと、ひととおりのバッティング練習をした。野球はジャスティンと父の絆である。癌という病がその絆を断ち切ることはない。

24歳のスモークはかつて、ストラットフォード高校とサウスカロライナ大学で野球のスタープレーヤーだった。現在はシアトル・マリナーズの1塁手で、アリゾナで行われるスプリング・トレーニングに向かう準備をしていたのだが、いまは、彼に野球を教えてくれた人とキャッチボールをして、自分のスイングについて意見をもらうのが優先だった。

昨年5月に肺がんと診断されたキース・スモークは、2月なかばのその日、カロライナ・スタジアムで車椅子に座り、微笑みを浮かべながら、自分の息子にボールを投げた。
家族に付き添われたキースは、サウスカロライナ大学の野球部コーチであるレイ・タナーから、背中にK. Smoakとネームが入り、息子スモークがつけていた背番号12番が入ったジャージーをプレゼントされていた。(ブログ注:スモークの背番号はテキサス時代は大学時代と同じ12。シアトル移籍後は17)
「たぶん僕の人生最良の日だったね。家族と一緒にいられたんだから」と、キースは記者に語った。


キース・スモークは、息子とキャッチボールをして2ヶ月と少し経った火曜に、57歳で亡くなった。(ブログ注:MLB公式では54歳となっている)タナーはいち早くジャスティンに連絡した人のひとりだった。マリナーズは彼を忌引リストにいれた。

タナーは言う。
「僕はジャスティンに、キースを悼む気持ちを伝えると同時に、こう言ったんだ。あのカロライナ・スタジアムで過ごした特別な午後は、息子である君と、君の家族、そしてUSCの野球関係者にとって大切な人の人生への祝福の時だったに違いないってね。家族を慈しむ特別な時間さ。彼の父は、スモークの人生にとって欠かすことのできない存在だった。
彼の両親は、試合だけでなく、練習にも来てくれた。キースは彼の息子とチームをとても大切に考えてくれていたんだ。ジャスティンがドラフトされて遠くに旅立つときも、われわれは、ジャスティンがいなくなるのを寂しく思うのと同じくらい、彼の両親との別れを惜しんだものさ。」

ジョン・ローズはジャスティンがダイアモンド・デビルスでプレーしたときのコーチだ。10代の時期というと、父と息子は、とかく荒れた関係になったりするものだが、ローズがいうには、スモーク家の場合にはそれはなかった。
「彼らの関係はそりゃ親密なものだったよ。10代というと、両親、とくに父親のことを疎ましく思いがちなものだ。だけどジャスティンと彼の父の場合はまったくそんなことはなかった。ジャスティンは厳しくしつけられていたと思う。しょっちゅう言葉をかわしていたしね」

ストラットフォード高校での若いスモークは、1年生のときからそこらじゅうのスカウトマンから注目の的になっていた。ストラットフォードのコーチ、ジョン・シャリューはこの若いプレーヤーがとても分別があり、しかも礼儀正しかったと言っている。
「彼の父が、彼に礼儀正しさを教えたといっていいだろうね。キースはジャスティンに、一緒にプレーするプレーヤーへの敬意を教えつつ、コーチした。それは今のような時代には大切なことだ。」

マリナーズの監督エリック・ウェッジは、チームはスモークがチームに復帰する前に、彼が必要とするだけの時間を十分与えると言っている。葬儀は土曜の11時にAldersgate United Methodist Churchで行われ、Carolina Memorial Parkに埋葬される予定だ。

ブログ注:
下記のリンク記事によれば、ブライアン・ロバーツの父マイクは、スモークがマット・ウィータースなども所属していたダイアモンド・デビルスという野球チームに所属していた当時に、スモークをコーチしたことがあるらしい。
For Smoak, the final step | GoGamecocks



サウスカロライナ大学時代のジャスティン・スモークサウスカロライナ大学時代のジャスティン・スモーク







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