April 30, 2011

なんという偶然なのか。

ボストン遠征第1戦に先発したのはジェイソン・バルガスだったが、球審はなんと、またしても、4月8日のクリーブランド戦で手こずった、あのストライクゾーンの極端に狭いSam Holbrookだったのだ。
バルガスは今日、2010年8月14日以来となる、久しぶりの勝利を得たわけだが、この勝利はSam Holbrookのコールに対するリベンジの意味もあった。
Seattle Mariners at Boston Red Sox - April 29, 2011 | MLB.com Classic

Seattle Mariners at Boston Red Sox - April 29, 2011 | MLB.com SEA Recap

ジェイソン・バルガスが2011年4月8日に、クリーブランド相手にメッタ打ちにあったときの球審が、MLBのアンパイアの中でもストライク・ゾーンが非常に小さいことで知られる、Sam Holbrookだったことは、一度記事にした。彼のコールの特徴は、「高めのストライクをとり」、そして「低めのストライクをまるでとらない」ことだ。
バルガスは4月8日のクリーブランド戦では、低めのボールをことごとくボール判定され、しかたなく高めにボールを浮かせてストライクをとりにいったところを、ことごとく狙い打ちを食った感があった。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月15日、Sam Holbrookの特殊なストライクゾーンに手こずったジェイソン・バルガス。

2011シーズン ジェイソン・バルガスの
アンパイア別WHIP・ERA

Bruce Dreckman 0.900 1.35
Wally Bell 0.900 1.35
Larry Vanover 1.333 3.00
Ed Rapuano 1.800 10.80
Sam Holbrook 1.839 9.58
Jason Vargas 2011 Pitching Splits - Baseball-Reference.com



4月8日と、4月29日
この2つのゲームで、球審のコールはどうだったのか。
同じなのか。違うのか。



2つのゲームを、感覚などではなく、具体的なデータで比較してみよう。

資料にしたのは、以前何度か使ったことがあり、素晴らしいデータ提供で知られているBrooksBaseball.netの提供するデータである。
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool


まず、4月8日のデータを見てみる。
データの見方は以下のとおり。

1) 図の中央、黒線で描かれた四角形が、ストライクゾーン
2) 図はアンパイア視線で描かれている。
  右側がライト側、左側がレフト側にあたる。
3) 四角形のデータはホーム側の投手。三角形はビジター。
したがって、4月8日のデータでは、四角形がシアトルの投手。三角形がクリーブランド。4月29日のデータでは、四角形がボストン。三角形がシアトルになる。
4) 赤い色はストライク判定緑色はボール判定


4月8日 対左打者
2011年4月8日 対左打者 Sam Holbrookのコール
ストライクゾーンが非常に極端なことは、ひとめでわかる。最も大きな特徴は、対左打者のストライクゾーンにおいてSam Holbrookは「まったく低目をとらない」ことだ。さらに「高め、外角を、異様なほど、やたらとストライクコールしている」。
下に挙げた同じ日の右打者のデータと比較してみてもらいたいが、これほど低目をとらず、高目をとるSam Holbrookの極端なストライクゾーンは左右両方の打者に適用されているのではない高めをこれほどストライクコールするのは左打者に特有の現象だ。

4月8日 対右打者
2011年4月8日 対右打者 Sam Holbrookのコール
高めのストライクゾーンはノーマルだ。
だが、低めのゾーンは、なんと、ほとんどのストライクゾーン内の球を「ボール」とコールしている
これでは投手はたまったものではない。
特に左投手で、右打者に対してアウトコースから真ん中低めいっぱいに決まるチェンジアップを多投する配球を得意とするバルガスにとっては、こうした低目をまったくとってくれないアンパイアは、どうみても死活問題だ



では、こんどは、
今日4月29日のコールぶりをみてみる。
4月8日のコールの傾向とだいぶ違うので、4月8日のコールの特徴をあらためて頭に入れてから見てもらいたい。


4月29日 対左打者
2011年4月29日 対左打者 Sam Holbrookのコール
低めについて、やはり「低目をとらないSam Holbrook」の特徴が強く現れており、多数の低めのゾーン内の投球がボールとコールされている
特に、ボストンの投手の右打者への低めへの球は、非常に多くがボールとコールされている。(実際には、ボストンの右投手松坂の左打者への投球が被害にあったと思われる)
また、アウトコースのゾーン外の球(つまり図に向かって左側=レフト側)に、ストライクとコールされた球が多くみられるのだが、これは以前いちど指摘したように、MLBのアンパイアの左打者へのコールはアウトコース側をボール1個か2個分広くストライクコールするのが普通なのであって、これをもってしてSam Holbrookだけの特徴というのは間違っている。むしろ、平均的なMLBのアンパイアのコールといっていい。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月29日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (2)2007年の調査における「ルールブックのストライクゾーン」と、「現実の判定から逆測定したストライクゾーン」の大きな落差。
4月8日にみられたような「左打者の高目をやたらとストライクとコールする」という特徴はまったく影をひそめている

4月29日 対右打者
2011年4月29日 対右打者 Sam Holbrookのコール
低めについてはやはり、「低目をとらないSam Holbrook」の特徴が発揮されていて、ゾーン内への投球なのにボールとコールされた球が多数発生している
同じ4月29日の対左打者のケースではボストンの投手の低めが多数ボール判定されているが、対右打者では逆に、シアトルの投手の右打者の低めへの投球の多くがボールとコールされてしまっている。(実際には、シアトルの左投手バルガスの右打者への投球が被害にあったと思われる)
高めのゾーンについて、4月8日のような「異様に高めのボールをストライクとコールする」ような事態は、まったくみられない。


バルガスの立場からいうと、4月8日と4月29日の球審Sam Holbrookのコールの違いは下記のような意味になる。

1) 4月8日の左右両方の打者にあった「低めの球をまったストライクとコールしてもらえない現象」は、4月29日については、少なくとも、左打者については無くなり、右打者については残った
このため、推定として、4月29日のバルガスがヒットを打たれた打者は、右打者が多いはず
実際に、ボストンの打者でゲームで打点を挙げたのは、2本のホームランを打った右打者マイク・キャメロンと、1打点を挙げたケビン・ユーキリス。下記に、実際にボール判定されたストライクゾーン内の投球例を挙げる。

2) 4月8日にあった「左打者の高目にはずれる球を、ストライクとコールしてもらえる現象」は、4月29日には全く消滅した。だが、もともと低目や左右を広く使う配球をするバルガスにとっては、高めのストライクゾーンが狭まることのデメリットは、ほとんどない。

2011年4月29日 3回裏 ダーネル・マクドナルドへの6球目3回裏
ダーネル・マクドナルドへの6球目

結果:四球

2011年4月29日 3回裏 ケビン・ユーキリスへの初球3回裏
ケビン・ユーキリスへの初球

結果:タイムリーヒット

2011年4月29日 5回裏 ケビン・ユーキリスへの5球目5回裏
ケビン・ユーキリスへの5球目

結果:四球









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