May 29, 2011
ア・リーグのゲームでピッチャーが打席に立つことは絶対にありえないか? と、聞かれれば、答えは No だ。
ア・リーグでも投手が打席に立つことは、ありうる。
Boston Red Sox at Minnesota Twins - May 28, 2009 | MLB.com Wrap
May 28, 2009 Boston Red Sox at Minnesota Twins Box Score and Play by Play - Baseball-Reference.com
例えば、こういうことだ。
昨日2011年5月27日のシアトル・ヤンキース戦のゲームの球審をつとめたTodd Tichenorのストライクゾーンがやけに狭くて、両軍先発投手ピネダとバーネットが2人で合計10個もの四球を出した、という話をしたばかりだが、奇しくもちょうど2年前の2009年5月28日に、そのTodd Tichenorが球審をつとめたミネソタ・ボストン戦で、こんな事件があった。
この日のミネソタは、これはたまたまなのだが、レギュラーキャッチャーのジョー・マウアーが休養日で、DHとして出場していた。
1-1の同点で迎えた7回表。
先頭打者ジェイソン・バリテックが、珍しくこの日2本目となるホームランを打って1点リードした後、さらに1死1、3塁となって、ダスティン・ペドロイアが犠牲フライを打ち、ボストンがリードを2点に広げたのだが、ホームプレート上でのクロスプレイのセーフ判定を巡って、ミネソタ側が猛烈に抗議した。
球審Todd Tichenorはこのとき、ミネソタのやたらと退場させられることでも有名なガーデンハイアー監督と、控えキャッチャーのマイク・レドモンドを退場処分にしたのだが、この日のミネソタベンチには、悪いことに、DHジョー・マウアーしかキャッチャーがいなかった。
そのためミネソタはやむなく、マウアーをDHからキャッチャーにして守備につかせた。
Morning Juice: Outta here! Tichenor hits an umpire's grand slam - Big League Stew - MLB Blog - Yahoo! Sports
DHが守備につくケースでは以下のルールが適用される。
1) 守備しないDHの選手を、守備につかせることはできる
2) だが、そのかわりに、チームはDHの権利を失う
3) DHがいなくなった以上、そのチームの投手は打席に立たなければならなくなる(実際にはピンチヒッターが出されることがほとんど)
だから、この日のミネソタ側のWrapには、ア・リーグでは見慣れない表記がいくつもある。
Mauer, DH-C
マウアーの右側の記号は守備位置だが、DHからキャッチャーに代わったことがわかる。
Redmond, M, C(退場になった控えキャッチャー)
Henn, P
a-Cuddyer, PH
Ayala, P
b-Buscher, PH
ミネソタは控えキャッチャーのレドモンドが退場になったために、守備の欠けた部分はDHマウアーが守備について埋めたわけだが、打撃のラインアップの欠けた部分、つまり8番の打順を、「DHの権利が消滅した」投手で埋めなくてはならない。
そのためミネソタはブルペンからショーン・ヘン(当時ミネソタに在籍していて、現在はトロント)を登板させただけでなく、打者として8番に入れた。
というのも、DHマウアーが守備についたことで、ミネソタ側の「DHの権利が消滅」してしまい、たとえア・リーグのゲームで、投手であっても、この場合は打順に入れなくてはならないのだ。
そして、この8番という打順は、すぐ裏の7回裏に打順が回ってくるために、もし代打を出さずにおくと、投手ショーン・ヘンは、DH制ア・リーグのゲームなのに、打席に立たなければならなくなる。
(実際には代打が出る。このケースでもマイケル・カダイアーが代打に立った)
さらにやっかいなことに、カダイアーが代打に出たにしても、こんどはカダイアーが投手を兼任できるわけではないわけだから、カダイアーが打席に立った次の守備のイニングになる時点で、カダイアーの打順には投手をいれなくてはならない。
(このケースではカダイヤーの打順に投手アヤラを入れた)
さらにまた、その投手に打順が回ってくることがあれば、またまた代打を出すハメになる。
(このケースでは、投手アヤラに代打ブッシャーを出した)
めんどくさいこと、このうえない。
DHの権利喪失の例
Forfeiting the right to a DHという項目参照。やはりキャッチャーがらみのケースが多い。
Designated hitter - Wikipedia, the free encyclopedia
ただし、
このゲームはこのままでは終わらなかった。
波乱だらけの7回表が終わり、7回裏のミネソタの攻撃になった直後、ストライク・ボールの判定を巡って、こんどはボストン側が猛抗議を行ったことから、なんと、こんどはボストンの監督フランコーナと、キャッチャーのジェイソン・バリテックが退場になったからだ。
ただし、ボストンのベンチには、控えキャッチャーのコタラスがいたために、ボストンはミネソタがDHを失ったような「めんどくさい事態」にはならずにすんだ。(キャッチャーをDHにしたりするものじゃないことが、よーくわかる)
05/28 2009 7回表裏で両チームのキャッチャーと監督4人が退場 ‐ ニコニコ動画(原宿)
そう。
あの両軍監督、両軍キャッチャー、合計4人退場事件のときの球審が、昨日のシアトル・ヤンキース戦で両軍先発投手に10個もの四球を出させた球審Todd Tichenorなのである。
この人の「帳尻癖」、なんとかならないものかね?(苦笑)
ア・リーグでも投手が打席に立つことは、ありうる。
Boston Red Sox at Minnesota Twins - May 28, 2009 | MLB.com Wrap
May 28, 2009 Boston Red Sox at Minnesota Twins Box Score and Play by Play - Baseball-Reference.com
例えば、こういうことだ。
昨日2011年5月27日のシアトル・ヤンキース戦のゲームの球審をつとめたTodd Tichenorのストライクゾーンがやけに狭くて、両軍先発投手ピネダとバーネットが2人で合計10個もの四球を出した、という話をしたばかりだが、奇しくもちょうど2年前の2009年5月28日に、そのTodd Tichenorが球審をつとめたミネソタ・ボストン戦で、こんな事件があった。
この日のミネソタは、これはたまたまなのだが、レギュラーキャッチャーのジョー・マウアーが休養日で、DHとして出場していた。
1-1の同点で迎えた7回表。
先頭打者ジェイソン・バリテックが、珍しくこの日2本目となるホームランを打って1点リードした後、さらに1死1、3塁となって、ダスティン・ペドロイアが犠牲フライを打ち、ボストンがリードを2点に広げたのだが、ホームプレート上でのクロスプレイのセーフ判定を巡って、ミネソタ側が猛烈に抗議した。
球審Todd Tichenorはこのとき、ミネソタのやたらと退場させられることでも有名なガーデンハイアー監督と、控えキャッチャーのマイク・レドモンドを退場処分にしたのだが、この日のミネソタベンチには、悪いことに、DHジョー・マウアーしかキャッチャーがいなかった。
そのためミネソタはやむなく、マウアーをDHからキャッチャーにして守備につかせた。
Morning Juice: Outta here! Tichenor hits an umpire's grand slam - Big League Stew - MLB Blog - Yahoo! Sports
DHが守備につくケースでは以下のルールが適用される。
1) 守備しないDHの選手を、守備につかせることはできる
2) だが、そのかわりに、チームはDHの権利を失う
3) DHがいなくなった以上、そのチームの投手は打席に立たなければならなくなる(実際にはピンチヒッターが出されることがほとんど)
だから、この日のミネソタ側のWrapには、ア・リーグでは見慣れない表記がいくつもある。
Mauer, DH-C
マウアーの右側の記号は守備位置だが、DHからキャッチャーに代わったことがわかる。
Redmond, M, C(退場になった控えキャッチャー)
Henn, P
a-Cuddyer, PH
Ayala, P
b-Buscher, PH
ミネソタは控えキャッチャーのレドモンドが退場になったために、守備の欠けた部分はDHマウアーが守備について埋めたわけだが、打撃のラインアップの欠けた部分、つまり8番の打順を、「DHの権利が消滅した」投手で埋めなくてはならない。
そのためミネソタはブルペンからショーン・ヘン(当時ミネソタに在籍していて、現在はトロント)を登板させただけでなく、打者として8番に入れた。
というのも、DHマウアーが守備についたことで、ミネソタ側の「DHの権利が消滅」してしまい、たとえア・リーグのゲームで、投手であっても、この場合は打順に入れなくてはならないのだ。
そして、この8番という打順は、すぐ裏の7回裏に打順が回ってくるために、もし代打を出さずにおくと、投手ショーン・ヘンは、DH制ア・リーグのゲームなのに、打席に立たなければならなくなる。
(実際には代打が出る。このケースでもマイケル・カダイアーが代打に立った)
さらにやっかいなことに、カダイアーが代打に出たにしても、こんどはカダイアーが投手を兼任できるわけではないわけだから、カダイアーが打席に立った次の守備のイニングになる時点で、カダイアーの打順には投手をいれなくてはならない。
(このケースではカダイヤーの打順に投手アヤラを入れた)
さらにまた、その投手に打順が回ってくることがあれば、またまた代打を出すハメになる。
(このケースでは、投手アヤラに代打ブッシャーを出した)
めんどくさいこと、このうえない。
DHの権利喪失の例
Forfeiting the right to a DHという項目参照。やはりキャッチャーがらみのケースが多い。
Designated hitter - Wikipedia, the free encyclopedia
ただし、
このゲームはこのままでは終わらなかった。
波乱だらけの7回表が終わり、7回裏のミネソタの攻撃になった直後、ストライク・ボールの判定を巡って、こんどはボストン側が猛抗議を行ったことから、なんと、こんどはボストンの監督フランコーナと、キャッチャーのジェイソン・バリテックが退場になったからだ。
ただし、ボストンのベンチには、控えキャッチャーのコタラスがいたために、ボストンはミネソタがDHを失ったような「めんどくさい事態」にはならずにすんだ。(キャッチャーをDHにしたりするものじゃないことが、よーくわかる)
05/28 2009 7回表裏で両チームのキャッチャーと監督4人が退場 ‐ ニコニコ動画(原宿)
そう。
あの両軍監督、両軍キャッチャー、合計4人退場事件のときの球審が、昨日のシアトル・ヤンキース戦で両軍先発投手に10個もの四球を出させた球審Todd Tichenorなのである。
この人の「帳尻癖」、なんとかならないものかね?(苦笑)