June 26, 2011

2011カレッジ・ワールドシリーズ(CWS)は、Bracket 2の決勝、ヴァージニア対サウスカロライナ戦が行われ、サウスカロライナが延長13回裏に相手のエラーでサヨナラ勝ち。サウスカロライナはこれでCWSにおける勝利数を26とし、歴代ベスト10位になった。

2011カレッジ・ワールドシリーズ ロゴ
27日から行われるチャンピオンシップ・シリーズは、フロリダ対サウスカロライナ
決勝に進むのは、フロリダが7回目、サウスカロライナ11回目。フロリダが優勝すれば初優勝、サウスカロライナが優勝すれば2回目の優勝で、去年に続く2連覇。
College World Series - Wikipedia, the free encyclopedia


ヴァージニア先発のダニー・ハルツェンは、打者10人から8三振を奪うという快投ぶり。だが3イニング終えた時点で降板。見ていて最初は突然の降板にびっくりしたが、どうやら今日もともと体調が悪く、コーチのブライアン・オコーナーは「ものすごく明るい将来を控えた若者だし、リスクを犯すわけにいかない」と、最初から短いイニングの登板と決めていたらしい。
降板後のハルツェン自身はあきらかに投げられないことにずっとイライラしていたが、ありがたいコーチである。
Virginia coach Brian O'Connor said. "But my plan coming into the game was for him to have a short stint. He was feeling under the weather today, and he was gutting it out as much as he could. He was in pretty miserable shape after the first inning. And this kid's got a very, very bright future. And I was not going to put that at risk of him feeling under the weather on four days' rest and putting his career in jeopardy."
South Carolina won a 13 inning game to advance to the College World Series Final against the University of Florida | MLB.com: News
under the weather:「体調が悪い」


もしハルツェンの体調が万全だったら明らかに結果は違うものになっていたことだろうが、これもスポーツの勝負のアヤ。
それに、ハルツェン降板後のヴァージニアには勝機が何度となくあった。延長で3度も満塁のチャンスを作りながら、2回もタブルプレーで残塁の山を築いた。敗戦はヴァージニアの自滅である。

それにしても両チーム、攻撃も粗いが、守備のエラーが多すぎる。正直、見ているのがつらいほどの低レベルで、途中で観戦を止めてしまった(苦笑)両チームともドラフトで指名されているプロ予備軍を多数抱えているのだから、もうちょっとしっかりプレーしてもらいたい。


そういう、ちょっと残念な凡戦の中で、見ていて妙に興味ひかれたのは、サウスカロライナの先発のMichael Rothのピッチングのユニークさ。
今年のドラフトでクリーブランドから31順目(全体938位)で指名された左腕なのだが、スリークオーターで投げたり、サイドスローで投げたり、ノラリクラリした変則的スタイルが、かえって妙にそそられる。どこにでも転がっているノーコンの剛球投手よりぜんぜん面白い。クリーブランドはいい買い物をしたと思う。
31st Round of the 2011 MLB June Amateur Draft - Baseball-Reference.com


Michael Rothには、このカレッジ・ワールドシリーズでちょっとしたエピソードが生まれた。

Michael Rothはサウスカロライナ大学の地元出身の選手で、彼の父親DavidはサウスカロライナのGreenville Countyで某外国メーカー(日本車ではない)の自動車ディーラーで働いている。
去年サウスカロライナ大学は悲願のカレッジ・ワールドシリーズ初優勝を飾った記念すべきシーズンだったわけで、Michael Rothは37回1/3を投げて自責点0.97と、初優勝に大きく貢献した立役者のひとりになったのだが、このとき、Michael Rothの父は、会社を休んで応援に行くことができなかった。
Player Bio: Michael Roth - SOUTH CAROLINA GAMECOCKS

今回のサウスカロライナの2年連続のカレッジワールドシリーズ進出で、父Davidは、こんどこそは息子の晴れ姿を見ようと、大西洋岸のサウスカロライナから中部のネブラスカ州オマハまで応援にかけつけているのだが、実は、今回の応援実現のために、勤めていた自動車ディーラーを辞めているのである。

この話題は、最初にMichael Rothが
"My dad had to quit his job to make it out to Omaha."
と、「息子の応援をしようとした父が、会社に失業させられた」というニュアンスでツイートしたことなどもあって、全米レベルのニュースになり、勤務先の自動車ディーラーには400本を越えるファンから抗議電話が殺到したらしい。

Roth didn't expect focus on dad: Pitcher's father quit job to watch son pitch in Omaha | The Post and Courier, Charleston SC - News, Sports, Entertainment

David Roth, Father Of South Carolina Pitcher Michael Roth, Quits Job To See Son Pitch

After Roth’s father quits job to go to CWS, employer takes the heat

もうここまで世間が盛り上がると、会社側もメディアにステートメントを出さないわけにはいかないわけで、こんなニュアンスのコメントを出した。
「Davidは従業員としてよくやってくれていた。今回辞めることになったのは、あくまで彼の個人的な事情と意思だ。会社側としては残念に思っているし、サウスカロライナのカレッジ・ワールドシリーズも応援している。頑張ってほしい。」
資料:会社のステートメントへのリンクを含む記事
Car Dealership Issues Statement on Michael Roth's Dad, David | wltx.com
まぁ、想定内というか、なんとも味気ないコメントだこと(笑)まぁ、こんなものだろう。ちなみに、Yahooの写真でみるDavid父ちゃんは、怒ったらマジに怖そうな、まさに「星一徹」風味のゴツ過ぎる親父さんである(笑)


Michael Rothの父親の雇用問題がどう決着するか、とか、息子のために仕事を辞めてしまうことの事の良し悪しは、まぁ野球とは関係ないことだし、価値観の違いによって判断の分かれることだ。
それはそれとして、Michael Rothの父親のエピソードと、今年4月にジャスティン・スモークの父親キース氏が病気で亡くなられたときの話とあわせると、アメリカ南部の「家族を大切にする気風」がよくわかる。
スモークの父、故キース・スモーク氏も、息子に、野球と同じ重さをもって厳格な礼節を叩き込むタイプの父親だったらしいが、また同時に、息子の活躍を誰よりも喜び、誇りに思う典型的なアメリカ南部の良き父親でもあった。、
見た目の風貌が非常に怖いMichael Rothの父親Davidだが(笑)、たぶん息子の活躍を目を細めて見るときの表情は、故キース・スモーク氏と同じように優しげなのだろう。
結局はこうした息子想いの南部の父親たちが立派な野球選手を育てて全米のMLBチームに送り出しているのだ。家族を思う気風の行き過ぎについて、外部から批判することに歴史的な意義がなかったわけではないが、息子の一生に一度あるかないかの大舞台の応援くらい許してやれないのは、器量が狭いと言われてもしかたがない。


何度も書いてきていることだが、
やはりアメリカにおけるベースボールは、父がグラブを持たせた息子を連れてスタジアムに行くといったファミリー・アフェアーなのであり、ベースボールは、ケン・バーンズが描くように、アメリカの家族を繋ぐ文化的な「ベース」である。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月25日、「2月のサウスカロライナ、父と息子のキャッチボール」。February in South Carolina, a father and his son played catch.







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