June 30, 2011

いまちょっと多忙で時間のゆとりがない。なので、書いていることにきちんとしたまとまりをつけ、そして他人への礼節を十分考慮している時間がない。
言いたいことを行間から汲み取ってもらえると、ありがたい。


ものすごくいい投手陣と、ものすごくダメな打線を同時に持った野球チームは、どういう勝率に落ち着くか?
これが「シンプルな答え」への第一歩だ。


「 5割 」


そりゃ、そうだろう。
投手だけで全試合を勝てるわけがない。また、いくら打撃がヘボでもシーズン全敗はしないものだ。

こういうチームが、何の「工夫」もなく、ただただ漫然とゲームを積み重ねているだけでは、勝率5割を天井にして、5割前後の勝率をフラフラと彷徨うことになる。原因はチームを指揮する立場にあるGMや監督の「ポリシーの甘さ」「自分の目指すべき道が見えていないか、間違っていること」にある。その理由を以下に書く。



ものすごくいい投手陣と、ものすごくダメな打線を同時に持った野球チームは、企業でたとえるなら、「仕入れ金額で、そのままモノを売っているだけの会社」だ。

けしてダメな会社ではない。ダメならとっくに倒産している。
ダメではない理由は、先発投手という「固定資産」は持っているからだ。企業でいうなら「抵当に入れることができる自社ビル」みたいなものだ。
だが、自社ビルがあるために高額な賃貸料を負担せずにすむのをいいことに、仕入れそのままの金額でモノを売っているだけで、「付加価値」にあたるものをまるで産み出せない会社が、成長するわけがない。「利益」が出ないのだから当然である。やがては自社ビル(投手陣)が限界に来れば、自然と倒産する。


「利益」というのは、野球の場合、何だろう。
いうなれば、勝率が負ける率を常に上回るような「良い状態」をつくりだし、貯金が増えていくことだが、何も工夫せず、仕入れ金額そのままでダラダラとモノを売っていては、ダメなのだ。あたりまえだ。
「商売」というものは、仕入れたモノを同じ金額で売るのが目的ではなくて、何か「工夫」をして「付加価値」をつけ、仕入れ金額より高い金額で売り、利益を出すことで、はじめて成り立っている。


いいたとえかどうかわからないが、シアトルの攻撃でヒットが生まれ、ランナーが1塁にいるとする。
ランナーは、得点に化ける可能性のある「資源」だが、チーム打率2割ちょっとのチームの場合は、もし何の工夫もしなければ、この「ランナーという資源」は、ほぼ間違いなく無駄になる。それがたとえ、ノーアウト2塁、あるいは、ノーアウト3塁のランナーでも、だ。同じことだ。いままでの10年で、そういうイライラするシーンを何千回見せられてきたことか。
チーム打率2割ちょっとのチームがランナーに「付加価値をつける工夫」とは、たとえば、打てもしないホームランをジッと待つばかりではなくて、少なくとも進塁打くらいは打ち、必要ならバントをし、四球を選べるような努力もし、投手に球数を投げさせ、走れるランナーは盗塁をくわだて、ベンチはヒットエンドランを仕掛けるなどして、ともかく無策のまま指をくわえてイニングを終わらないようにすることだ。
何も考えずにプレーしていたのでは、ランナーは「常に資源の無駄」に終わる。

仕入れたものをより高く売る工夫、利益の出る商売を成り立たせていく智恵を、「経営」とか「マネジメント」とかいうなら、「経営」とか「マネジメント」が何か仕事をしないかぎり、チーム打率2割ちょっとのチームでは「勝率5割を超える本当の意味の利益の出る商売」は成り立たない。
ものすごくいい投手陣と、ものすごくダメな打線を同時に持った野球チームで、ただ投手が頑張って、野手が凡退するだけでは、「勝率5割を超える本当の意味の利益の出る商売」が成立しないのだ。



シアトル・マリナーズがどういう野球チームか。
それを知るデータは、2つでいい。
細かいデータなど、一切必要ない。

チームの1試合あたりの得点 3.425
チーム防御率 3.26


マリナーズという「会社」は、投手が「3点ちょっと」とられ、打者が「3点ちょっと」とる、そういう「仕入れ構造」のチームだ。
たいていは、「相手に点をやった分」だけ、自分も「点を入れる」。つまり、どこにも利益(=この場合は、試合の得失点の「リード」)が無い。
「ギリギリの商売」だ。仕入れた金額でモノを売っているのと、まるで変わりない。いくら仕事しても、財布に札束が貯まっていかない。
だから勝率はいつも5割が「天井」になる。非常にロジカルな話である。そして「儲けを出せないマネージャー」はクズだ。



防御率というのは、「9イニングでの失点数」に換算した数字だ。だから、9イニングで防御率3点ちょっとがノルマ、という数字の意味は、「先発投手が、6イニングで絶対に2失点に抑える。つまり全部の先発投手の全登板が、クオリティ・スタートである」「リリーフピッチャー全体で、1試合に許される失点は、最大でも1点まで」というような意味になる。

打線に要求される仕事も計算してみる。

先発投手が6イニングで2点以内に抑えているとすると、その試合で打線に求められる仕事は「試合終了までに、得点を最低3点とる」ことだ。これさえできれば、同点ないしはリードして試合終盤を迎えられる。いいかえると、「ゲームをつくる」ことができる。
野球は9人でするスポーツだ。だから、どんなに凡退を繰り返しても、3イニングで打順は一巡する。9イニングで3点とるということは、打順が3回一巡する間に1点ずつ合計3点とれると、その試合で最低限の仕事ができた、という意味になる。打順が一巡する3イニングごとに1点とるということの意味は、野球の場合、たいていは「9人の打者の誰かがホームランを打つ」か、「9人の打者の誰かがタイムリーを打つ」か、「対戦相手が致命的なミスをする」という意味になる。


今シーズンのホームラン数が試合数より多いチーム、つまり、1試合あたりのホームラン数が1.000を越えるチームというのは、ア・リーグでは実は3チームしかない。あのホームランばかり打っているように感じるヤンキースやボストンも、実はホームラン数は試合数より少ない。
ましてシアトルのホームラン数は、80ゲームを消化して53本であり、ア・リーグの下から2番目の少なさだ。
だから、シアトルでは「9人の打者の誰かがホームランを打つ期待値」と、「9人の打者の誰かがタイムリーを打つ期待値」を冷静に比較する必要がある。

だが、さらに言えば、シアトルで「9人の打者の誰かがタイムリーを打つ期待値」は、調べなくても、かなり低い。ましてや「いきなりノーアウトかワンナウトで長打が出て、シングルヒットですぐに点が入る」というような簡単で理想的な形で、簡単に得点できることはほとんどない。

だからこそ、
打者に求められる仕事は、何人かのキープレーヤーを中心に、「ランナーを出す」「ランナーを進める」「ランナーをホームへ帰す」という連続した地味な作業を、チーム全体のタスクとして共有し、共同作業することだ。いまさらこんなこと言わなくてはならないのだから、アホらしいが、できてないのだからしかたない。


ここまでの計算は子供じみた簡単なものばかりだが、「実際のシアトル・マリナーズの自転車操業のゲーム感覚そのまま」であることは、シアトルの実際のゲームをいつも見ている人なら、わかると思う。

このチームがなぜ「自転車操業感覚なのか」といえば、
上に書いたこと全てを達成し続けることは、いくつかの「達成し続けるのはどうみても無理な前提」に立っているからだ。

・先発投手が全登板でクオリティ・スタート達成
・リリーフ投手は絶対に失点しない
・3イニングに1イニングは必ず得点する
・必ず誰かが1試合に1本ホームランを打つ
・ランナーが出たら、必ず得点圏に進める
・得点圏にランナーが出たら、必ずタイムリーが出る
・誰も守備で致命的エラーをしない、鉄壁の守備

こんな前提、どうみても無理がある。

ところが、だ。
その「どうみても無理がある前提」のうち、なんと、先発投手については「ほぼ理想的にこなしてきてしまった」のである。守備も、何人かの選手は合格点だ。

ならば、この企業の経営者、マネジメントに課せられた「仕入れた選手にやらせるべき仕事」は、決まりきっている。

打撃をなんとかする」ことだ。

だが、こんな曖昧な目標では組織は発展しない。従業員というものは漠然とした目標では何をしていいかわからないものなのだ。もっと細かく、具体的に目標とやるべき仕事を設定しないと、プリンシプルとして使い物にならない。たとえば、こうだ。

必要なのは、
・出塁すること。出塁したランナーを進めること。得点圏のランナーを帰すこと。これらのことを、「1試合3点の最低得点を目標に、チーム全体で行っていく共同作業」に協力できる意思と能力のある野手。
・出塁作業では、ヒットを打てる野手。打てなくても「四球」を選ぶ野手。凡退しても、投手に球数を投げさせる選手。
・ランナーを進塁させる意識では、タイムリーを打てる野手。盗塁できる野手。ランナーを進める打撃のできる選手。凡退しても、ダブルプレーにならない野手。
・投手の失点を防止できるほどの守備力を持った野手

必要でないのは、
・「1試合3点の最低得点のためのチーム全体で行う共同作業」に、協力する意思と能力のそもそも無い野手。
・失点につながるような致命的エラーを犯しやすい野手
・シチュエーションにあわせてプレーを変えられる能力がなく、簡単に相手チームのスカウティングの網にひっかかってしまう野手


ここに挙げた目標は、あくまで「たとえ」だが、
使うべき選手、使うべきでない選手くらい、サクっと分類できないで、どうする。

エリック・ウェッジの「選手選び」には、ポリシーが欠けている。相手の投手にあわせてとっかえひっかえしているだけでは、チームのポリシーなど、見えてくるわけがない。相手投手が右投手だろうと、左投手だろうと、そんなのは「どんな野球がしたいか?」にはまるで関係ない。
中核になる選手は、攻守に意識と技術の高いイチローブレンダン・ライアンダスティン・アックリーアダム・ケネディの4人だ。
なのに、ムダに選手起用を間違えまくって、ナショナルズにスイープされ、上昇の機運もあったチームをわざわざ下降線に導いたのは、明らかに監督エリック・ウェッジの責任だ。


そして去年打撃を構築することに失敗したズレンシックは、今年もまた同じミスを犯した。先発投手5人の頑張りでなんとかぶら下がってきたが、そんなアクロバットは、疲労が出てくればすぐに終わってしまう。


そのうちもっと書くつもりでいる。


観客動員数が減少傾向にある原因は、短く言うなら
シアトルの甘ったれたマネジメントの生み出す施策が、チームの現状、チームの解決すべき打撃面の課題と合わず、チャランポランで、ポリシーが甘いからだ。

どこをどうすると、このチームで、イチローをチームの重心からはずし、ペゲーロやグティエレスがバットを自由に振り回して、結果的にフリー・スインガーばかり育てるようなマネジメントが成功するというのだ。
20試合に1本打つかどうかもわからないホームランでも待ちながら試合をしていれば、勝率が5割を越え、若手も育つとでも思っているのか。馬鹿をいうな。

原宿のガキどもを騙すように、キングスコートの客たちにいくらビールを飲ませて騒がせても、チームは勝てるようになど、ならない。
外野で酔っ払って、見境なく選手にブーイングをするような節操の無いファンを必死に集客しまくってまでして、迎合して、観客席を埋めないといけなくなるほど、スタジアムをガラガラにさせてしまった原因は、おまえらの政策がアホウだからであって、イチローの責任でもなんでもない。

かつてのフリースインガーだらけの「城島問題」時代のような、質の悪い、アタマを使わない野球に戻りたいのか。目的の見えない馬鹿な施策を、いったい、いつまで続けば気がすむのだ。

シアトルの地元メディアのアホウどもも、少しは頭を使って、モノを言え。

4点とれば、あとは投手にまかせておけば、ほぼ勝てるチームなんて、球団経営者に与えられた課題としては、どれだけ「軽い」課題であることか。
先発投手のことは投手たちにまかせておいて、打撃だけ改善すればなんとか勝たせることができるような、そんな目標の単純なチームですら勝たせる工夫ができない監督、ゼネラル・マネージャーは、ダメに決まってる
あんたらの工夫が足りないこと、指揮の方針のミスが多すぎること、優柔不断さが低迷の原因になっていることを、もっとよく考えろ。






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