July 03, 2011

今日のセーフコのゲームで、サンディエゴは左投手を先発させてきたが、試合開始前から日本のファンに予想されていたとおりの「貧打」で、9回を1失点に抑えたダグ・フィスターが「完投負け」した。
これでダグの今シーズンの成績はとうとう3勝9敗という数字になってしまったわけだが、防御率は、なんと3.02のハイスコアだ、

いったいどこの世界に、防御率3.02で、9敗もする投手がいるというのか。監督エリック・ウェッジは、無意味な「左右病」のスタメン起用でどこまでダグ・フィスターに迷惑をかければ気がすむのだ。
San Diego Padres at Seattle Mariners - July 2, 2011 | MLB.com Classic


エリック・ウェッジのくだらない戦略のひとつに、「相手の先発投手が左か右かによって、使う選手、特に下位打線のプレーヤーの顔ぶれを大きく変更する」というのがある。
この愚策、「左右病スタメン」とでも呼んでおこう。

シーズン当初は、イチロー、フィギンズ以外は、ほとんどの打順が変更され続けたが、ようやく最近になって、イチロー、ライアン、アックリー、スモークあたりの野手が上位打線として固定されてきてはいる。

だがそれでも、いまもエリック・ウェッジの「左右病」は酷い。

特に酷いのは、相手先発が左投手の場合
日本のシアトルファンの間では、「左投手との対戦では、エリック・ウェッジは勝つつもりがないんじゃないか」とまで言われだしている。


こういう話題が出すとよく、データとはとても呼べない思い込み数字を頭に描きつつ、エリック・ウェッジが左投手に対して組む打線の酷さを擁護しようとする人、あるいは、自分の好きな選手をウェッジが好んで起用するのを擁護しようとするヒトをみかけるが、アホらしいにも程がある。

まぁ、ファンが、根拠になど到底ならない「データもどき」や、単なる自分の好みから、脳内思い込み打線を組むのなら笑って済まされもするが、まさかウェッジ本人も、そういうくだらない思い込みと、根拠のない好みだけで、現実にまったくそぐわない打線を毎回組んでいるのではないか? と心配になってきた。


いくつか、シアトルの打撃に関する「思い込み」の弊害を挙げてみよう。


「シアトルで、最も左投手を打っているのは、
右バッターではなく、左バッター」である

そもそも監督エリック・ウェッジのやりたがる「左右病打線」がおかしいというのは、「シアトルで、最も左投手を打っているのが、右バッターではなくて、左バッター」であることからして、明らかだ
右バッターも右投手を得意にしている打者が少なくない。右打者ミゲル・オリーボの12本のホームランのうち10本が右投手からのもの。右打者ブレンダン・ライアンの対右投手打率は.264で、左投手からの打率は.221しかなく、打点も大半が右投手からのものだ。

左投手を左バッターが打っているという、クリアな、誰の目にも明らかな現実があるにもかかわらず、ウェッジは、たとえば今日の打順でいうと3番に、クリーンアップで打てた試しがない右打者グティエレスを入れている。
これでは打線が機能するわけもない。
ウェッジは明らかに目の前の現実やデータでなく、古くさい野球常識にとらわれて采配している
対右投手の右打者 .227 .275 .317 .592
対右投手の左打者 .222 .308 .354 .662
対左投手の右打者 .225 .279 .336 .615
対左投手の左打者 .263 .314 .332 .646
(数字は順に、打率、出塁率、長打率、OPS)2011 Seattle Mariners Batting Splits - Baseball-Reference.com

左は得意で右が打てない左打者ダスティン・アックリー
40打数12安打
対右投手 32打数6安打 .188
左投手 8打数6安打 .750
Dustin Ackley 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com

問題の解決には、常にハッキリ、明瞭に物事を考えるクセをつけておくことが大事だ。「見えてない問題」というものは絶対に解決しない。だから、いちいちハッキリと定義しておく。
シアトル打線で左投手を打てるのは、むしろ左打者である。この例からも、相手先発投手が左だから、右だからと、打線を組み替え続ける行為は、ことシアトルにおいては、まったく無意味な行為。


「ジャスティン・スモークは左投手に強い、
 わけではない」

実践トレーニング中の有望プレーヤーをあげつらいたいために書くのではないが、くだらない誤解は撲滅しておかなくては気がすまない。
よく「ジャスティン・スモークは左投手に強い」などと、わけのわからないことを強弁したがる人を見る。
ジャスティン・スモークが左投手に強い?(笑)何を根拠に、そういうおかしなことも、したり顔で言い続ければ間違った意見も正しくなるとでも思っているのか。くだらない。実際のゲームで右打席のスモークの「しょっぱさ」を見ていれば誰でも「スモークが本当にパワフルなのは左打席」であることはわかる。
もし、掲示板かなにかで、「ジャスティン・スモークは、左投手に強い」とか公言して得意ぶっている人間を見ても、くれぐれも「そうなんだ」などと納得してはダメだ。くだらないアホウの言うことなど、信じないことだ。

スモークの投手別の打撃データは、打撃データをチラ見している程度だと、「.280打っている対左投手のバッティングのほうが、右投手よりもはるかに優れている」ように見える。
Justin Smoak 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com
だが、「対左投手の打率」という大雑把な数字は、先発投手を打った数字ではない。むしろ、MLBでよく「モップ」といわれる「敗戦処理投手」まで、あらゆるレベルの左投手を含んだ「雑な数字」だ。おまけに、スモークの場合、対左投手の打数が、対右投手よりはるかに少ない。
(これは、監督エリック・ウェッジが、スモークを「苦手にしているはずの右投手のときに、やたらと起用してきた」という意味でもある。ウェッジの先発起用がいかに合理性に沿っていないか、がわかる)

実際、もっと詳しいデータで、スモークの先発投手別の打率を見てみると、相手先発が左投手だろうと右投手だろうと、彼の打率はほぼ2割4分ちょっとしかない。
つまり、実は、スモークの打率は、先発投手に対する数字でいうと、それが左投手だろうと右投手だろうと、関係ない、のである。

くだらない思い込みをこれから聞かなくて済むように、あらためできちんと言い切って、定義しておく。
スイッチヒッター、スモークの現状のバッティングは、シアトル打線が苦手とする左投手先発のゲームで「特別な輝き」を期待できる、と言い切れるほどのデータ的根拠は、世界中どこを探しても存在しない。


「フランクリン・グティエレスは
 左の先発投手が打てる、わけではない」

エリック・ウェッジが何を期待してこの右打者をクリーンアップに入れたりするのか知らないが、彼は以前「クリーンアップのような、プレッシャーのかかる重たい打順は打ちたくない」という意味の発言をしたことでも知られる気の弱いバッターであり、今シーズンの彼の打順別データでもわかるとおり、彼が最も結果を残してきたのは「6番」などの下位の打順であって、「3番」は適任ではない。
Franklin Gutierrez 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com

たしかに彼の対左投手打率は.308で、対右投手の.162よりはるかにいい。
だが、グティエレスも、ジャスティン・スモークで話したこと同じだ。彼は左の先発投手に対しては.231しか打てていない。右の先発投手に対する.182と、たいした差はない。

グティエレスの守備はともかく、彼のバッティングにエリック・ウェッジがどういうレベルを期待しているのか知らないが、ここでハッキリと指摘しておこう。
先発投手を打ちこなせるレベルにないフランクリン・グティエレスの現状のバッティングに期待して、シアトル打線が苦手としている左投手先発ゲームで、彼をクリーンアップに抜擢するのは、明らかに愚かな策。左投手に対するバッティングで彼に期待していいのは、ゲーム終盤のブルペン投手との対戦など、限定されたシチュエーションのみ。


「アダム・ケネディは、左右どちらの投手も打てるのに、
 左投手先発ゲームでは起用されない」

スモークと比較する意味で、アダム・ケネディの「投手別」の打撃について触れておこう。というのも、アダム・ケネディはスモークと非常に対称的な数字が残っているからだ。
Adam Kennedy 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com
ケネディは、先発が右投手のゲームでの先発打率が.273あるのに対して、左投手先発ゲームでは、.222しか打てていない。こういう大雑把な数字だけ見ると、例によって軽率にも「ケネディは左バッターだけに、右投手が得意。右投手専用だ」と思い込む人間が出てくる。
本当に馬鹿につける薬がない。次のことを忘れてはダメだ。
エリック・ウェッジがケネディを先発起用したのは、ほとんど右投手の場合しかない。ケネディの起用ゲーム数と打席数は、対右投手が60ゲーム192打席、対左投手が33ゲームで42打席。つまり、右投手のゲームでは「先発フル出場させている」のに、対左投手のゲームではほとんど「守備固め」とか「代打」とかでしか使われていないのだ。

ウェッジがケネディを右投手のゲーム中心に先発させてきたにもかかわらず、ケネディの右投手全体、左投手全体、それぞれに対する打率そのものは、.270と.263で、ほとんど変わらない。これは素晴らしい。
ケネディのイニング別打率を見ると、ゲーム終盤になってもほとんど打率が下がらないのだが、それを見るかぎり、「ケネディは、右投手先発のゲームでは結果を残してきたのはもちろんだが、先発起用されなかった左投手先発のゲームの代打などでも、彼はブルペンレベルの左投手を、右の先発投手と同じレベルで打ちこなすように努力してきている」という意味にとらえることができる。

エリック・ウェッジのくだらない言い訳をこれからマトモに耳に入れずに済むように、あらためできちんと定義しておこう。
アダム・ケネディは右投手だけしか打てないのではない。右の先発投手はもちろん、マトモにスタメン起用されなかったゲームでも、左投手に対してそこそこの結果を残してきている。だから、先発投手が左だろうと、右だろうと、スタメン起用する価値がある。



今日のサンディエゴとのゲームでも、アダム・ケネディはゲーム終盤になって代打起用されているが、エリック・ウェッジは最近よくこういう中途半端な選手起用をする。
例えばナショナルズとのゲームでは、当時絶不調なのがわかっていたフィギンズを代走をやらせた後、守備にもつかせて、タイムリーエラーを誘発させ、逆転負けしている。
シュアなプレーのできるアダム・ケネディをこんな中途半端な起用で疲労させるくらいなら、なぜスタメン起用するか、最後までベンチに座らせるか、どちらかにすべきだ。(もちろん、本来はスタメン起用すべき)
おまけに今日の下位打線には、ジャック・ウィルソン、ショーン・フィギンズと打てない野手を並べ、おまけに、3番にグティエレスだ。打線が繋がるわけがない。

前の原稿で、「シアトルの打線は、エンジンのかかりが遅く、諦めるのが早い」「その原因は、ゲームになかなか入れない選手がいることだ」と書いたが、こんなハンパな選手起用ではゲームに入れっこない。当然だ。






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