July 19, 2011

テレビがメディアの不動の中心だった時代が終わったことで、全米視聴率が簡単には10%を越えられなくなったのは普通のことだし、MLBのオールスターの6.9%という数字自体は、他の主要スポーツの大規模イベントや人気ドラマシリーズの最終回などと比べても、けして遜色ない数字であることを、前回書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月18日、去年より低かったオールスターの視聴率について (1)6.9%だからMLBは衰退しているとかいう、くだらない議論。いまの日本人の「議論能力」の無さに呆れる


しかし、だ。

この記事 (ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月3日、「ここまでするか」と感じる、2011年オールスター投票の作為。) で、書いたとおり、
例年、250万票から、多くても400万票ちょっとで決まっていたオールスターの外野手の投票数が、700万を越えるような得票を得た選手が出現し、他にも何人か600万票を越える得票を得た選手が数人出現するようなシーズンのオールスターで、「視聴率が前年より下がる」などという事態は、どう考えてもおかしいとしか言いようがない。

2000年代MLBオールスター視聴率の推移
MLB All-Star Game Earns Record Low 7.9 Overnight | Sports Media Watch


あらためて書く。

例年の2倍もの得票を獲得したプレーヤーが出現したオールスターなら、本来なら視聴率が上がるはず。ガクンと下がるわけがない。どうみてもおかしい。
なにか投票結果に「歪み」があったとしか思えない



以下に、「今回のオールスターで、視聴率が伸びた都市」と、その年を含む州を、アメリカの地図にプロットしてみた。
わざわざこんなめんどくさい作業をした意味は、もちろん、「大量に投票があったにもかかわらず、全米で視聴率が下がった『歪んだオールスター』を、テレビで熱心に見たファン層は、どこの街に存在するのか?」を、ちょっと地図上に並べてみて、今回の投票が異常なのかどうか調べたい、ということだ。

もし、「視聴率が急激に上がった都市と、例年にはありえないほどの大量得票を得てオールスターに出場した選手の所属チームのフランチャイズが、一致する」のなら、それは明らかに、自分の応援したい地元のスターを応援するためにファンが大量投票し、その選手がオールスターに出られることになった後は、テレビにかじりついてオールスターを観戦した、という「まっとうな流れ」が確認できることになる。

2011年オールスターで視聴率の上がった地域・都市

都市別のオールスター視聴率
ミズーリ州セントルイス 17.8%
ペンシルベニア州フィラデルフィア +11% up(14.7←13.3)
アリゾナ州フェニックス        +45% (10.6 ←. 7.3)
オハイオ州クリーブランド      +42% (9.5 ← 6.7)
テネシー州ノックスビル       +42% (4.7 ← 3.3)
カリフォルニア州サンフランシスコ +28% (11.1 ← 8.7)
ヴァージニ州リッチモンド      +23% (7.5 ← 6.1)
ペンシルベニア州ピッツバーグ  +21% (8.6 ← 7.1)
サウスカロライナ州グリーンビル  +16% (8.6 ← 7.4)
テキサス州オースティン       +16% (5.7 ← 4.9)
ノースカロライナ州グリーンズボロ +14% (8.3 ← 7.3)


上の結果を見てもらうとわかるが、正直言って、いくつかのハッキリした特徴とともに、オールスターに選出された選手のフランチャイズと、高視聴率の地域がまるで一致しないことを指摘しないわけにはいかない。


数字上の特徴

1)オールスターの視聴率が伸びたのは、THe South Atlantic States(フロリダ州、ジョージア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、バージニア州、ウェストバージニア州 ワシントンD.C.など)のうち、北のエリアに位置する州(ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、バージニア州)で集中的な視聴率アップがみられる。これらはいずれも「アメリカ南部」と言われる地域の州。

2)ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、バージニア州には、メジャーの球団のフランチャイズはまったく無い。だが逆に、マイナーは非常にたくさんある。また、これらの州のカレッジベースボールは近年非常に盛んになっており、野球自体は非常に盛んな地域。

2)サウス・アトランティック以外で視聴率が上がった都市として、サンフランシスコと、テキサス州の州都オースティンがあるが、これらはいずれも去年ワールドシリーズ出場チーム(ジャイアンツ、レンジャーズ)の地元

4)たくさんのオールスター・プレーヤーを輩出した東地区のニューヨークやボストンには、オールスターの視聴率アップとかいう現象は見られない

5)同じく、ボティースタの所属するブルージェイズの地元トロントで大幅な視聴率アップがみられた、という報告は、今のところ発見できない。



数字から推定できること

1)セントルイスはこの9年ほどの間、オールスター視聴率が最も高い数値を示す都市であり続け、「全米で最もMLBオールスターが好きな都市」である。だからセントルイスについて「投票の歪みへの関与」を考慮する必要は全くない。また、サンフランシスコとテキサス州オースティンは、明らかに去年のワールドシリーズの影響から視聴率がアップしたのだと思われるので、これらの都市も考察から除外できる。

2)パイレーツが何シーズンかぶりの首位争いを演じているピッツバーグは、オールスター観戦もひさしぶりに盛り上がって当然のような気もするが、断言できるわけではない。

3)どうしてもオールスターで活躍するボティースタを見たいトロント市民が、オールスターの当日、テレビ中継をテレビにかじりついて見た、と断定できるような視聴率データは、今のところ見つからない。(といっても、カナダの視聴率データを見たわけではない。見たのはアメリカのニールセン程度)
だが、今のところ、トロント市民がオールスター出場がどうみても確定的なボティースタを、オールスターになんとしても出場させようという意図で大量投票するとは、考えにくい。そんな無駄な苦労などしなくても、今年のオールスターで彼は選ばれるだけの成績を残していた。

4)ボストン、ヤンキースファンの大量投票の可能性
大量のオールスター出場者を輩出したボストンやニューヨークはどうだろう。それらの州で「視聴率がハネ上がった」というデータは見られない。
考えられるのは、「彼ら大都市の住民は、大量投票を行って投票結果を左右した事実はあるものの、実際にテレビでオールスターを見ることはしなかった」、もしくは、「数百万票単位の大量投票自体、大都市の住民によるものではない」という可能性が考えられる。
なんせボストンやヤンキースのファンは全米にいるわけだし、なにもボストンやニューヨークの市民がシャカリキに大量投票をするとも思えない。

5)アメリカ南部での謎の視聴率アップ
メジャーの球団がないアメリカ南部のいくつかの都市(ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、バージニア州など)で、視聴率がグンとアップしているのは、目を引く。
理由として思いつくことがあるとしたら、近年のカレッジ・ワールドシリーズにこれらの州がたくさんの有力校を送りだすようになってきていて、これらの州の野球熱がこれまでになく高まりつつある可能性があること。それと、サウス・アトランティックの大学同士の対戦になった今年のカレッジ・ワールドシリーズとオールスターの日程が近接していたことで、これらの州でMLBオールスターへの関心がより高まった、という可能性も考えられなくもない。
だが、その一方で、メジャー球団がある都市での近年のオールスター視聴率がけして改善されてない状況の下で、「メジャーの球団の無い州の視聴率だけが異常に改善される」というのも、違和感が残る。
簡単に言えば、「不自然」だ。

6)外国からの大量投票の可能性
オールスターの投票は大量にあった、にもかかわらず、全米視聴率は下がった、ということは、単純に、「オールスターへの大量投票が行われたのが、アメリカ国内からの投票ではない」という可能性もある。
オールスターの投票は、オンラインでできるために、アメリカ国内からではなく、中米のスペイン語圏はもちろん、中国や韓国、日本など、アジアからでもできる。(今年はMLBが中国マーケットの開拓のために中国国内からのMLBのネット中継を無料開放している、という事情もある)
もし、「アメリカ以外のどこかの国から異常な大量投票があった」という仮説は、「オールスターの投票は非常に多かったのに、アメリカ国内の視聴率は下がってしまう」という矛盾した現象を、スムーズに説明することができる。


まぁ、当然のことながら、何も断定できるわけではない。
だが、こうした邪推ととれないこともない推定は、マスメディアでハッキリ表明されることはない。それでは「自由」ではない。



ブログとしてあらためて言わせてもらう。

これだけ異常な量の票が集まったのに視聴率が下がるのは、納得できない。公開されることなどないだろうが、「州単位」、「国単位」でいいから、投票数を自分の目で確かめてみたいものだ。たぶん、ひと目で「歪み」がわかるんじゃないか。






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