August 01, 2011

ブログ主はもう、言葉と行動の矛盾がはなはだしいズレンシックエリック・ウェッジのインタビューを読まないことにした。
目先をごまかしているだけの、頭の悪い人間たちの言うことに、いちいち耳を傾けなければならない理由はない。


ダグ・フィスターは今の時点で、MLBで「最もラン・サポートの少ない先発投手」である。つまり、フィスターがいくら好投しても、味方は点をとってくれないわけで、それが彼の3勝12敗という不幸な成績に直結していた。
ダグ・フィスターは見た目(=見た目の成績)は悪いが、中身(=ピッチングの質)はしっかりしている。

よくエリック・ウェッジは、まったく意味もなくコロコロ変えてばかりいる自分の野手起用の下手さ加減を棚に上げて、「ベテランがー、ベテランがー」とか馬鹿のひとつ覚えで、お経をとなえ続けているわけだが、グティエレスのような打率2割以下でミリオン単位のギャラをもらっている無能な野手に責任をとらせて真っ先に放出するのならともかく、むしろ、明らかに打線の貧打のせいで勝てない先発投手、それも「チームに残りたい」と明言している投手から真っ先に放出してしまうのだから、このチームの監督とGMの言葉と行動には、なんの一貫性もありえない。
だからもう聞く耳を持つ必要などない。


MLBで最もランサポートの少ない投手 ベスト3
ダグ・フィスター 1.97
ダスティン・モーズリー SD 2.55
ジェイムズ・シールズ TB 2.75
Major League Leaderboards » 2011 » Starters » Batted Ball Statistics | FanGraphs Baseball


獲得する側の球団からすれば、フィスターのような「見た目の成績は悪いが、実はピッチングの中身のいい投手」に、かなりの「お買い得感」があることは、説明するまでもない。


そもそもセーフコは「投手有利のスタジアム」なのだから、もし他のチームにダグ・フィスターのような「たまたまランサポートが少ないだけで、成績が悪く見える先発投手」がいたら、そういう「見た目の悪い投手」こそ率先して獲得してきて投手有利なセーフコで投げさせれば、コストパフォーマンスのいい投手に「化けてくれる」可能性がある。(もちろん、もともとダメな投手をいくらセーフコに連れてきても、ダメなものはダメだが。誰をチョイスするかこそ、本当の手腕だ)

つまり、詳しくは後で説明するが
ダグ・フィスターのようなグラウンドボール・ピッチャータイプで、しかもイニングを食える先発投手こそ、あらゆる点でセーフコ向きの投手なのだ。
なのに、セーフコにフィットしたコストパフォーマンスのいいダグ・フィスターを誰よりも先に安売りするのだから、どこまでマヌケなジェネラル・マネージャーなんだ?、という話になるのが当然だ。



去年から今年にかけてのフィスターの変化には、ひとつ、特筆すべき特徴があって、それは「フライボール・ピッチャーから、グラウンドボール・ピッチャーへの変身」という点。
これが彼にとってどれだけ大きな意味があったか、以下にチラッとメモしておきたい。まず、ちょっとGB/FB(ゴロをフライで割った数字。数字が大きいほど、打球のゴロ比率が高い)を見てみる。

ダグ・フィスター GB/FB
2009 1.06
2010 1.36
2011 1.35

ダグ・フィスター GB%
2009 41.3 %
2010 47.1 %
2011 46.4 %


MLBでは「フライアウトのある一定のパーセンテージは、本来なら長打あるいはホームランだったのが、たまたまアウトになっただけ」という考え方は、かなり浸透している。
だから、「あるピッチャーが、ゴロが急増し、フライが激減した」という現象は、ある程度の範囲で 「ホームランを打たれる可能性が非常に下がった」という意味になる。

ダグ・フィスターの場合を見てもらいたい。見事に今年、昔よりはずっと「フライを打たれないピッチャー」に変身している。
HR/FBは「フライに占めるホームランの割合」、HR/9は「9イニングあたりに打たれるホームランの割合」だが、びっくりするほど今年のダグ・フィスターは数字が改善している。
HR/FB HR/9 ホームラン数
2009 14.1 % 1.62 10本
2010 6.4 % 0.68 13本
2011 4.4 % 0.43 7本


MLBの投手のゴロ率 上位
(カッコ内は HR/FB HR/9)
Major League Leaderboards » 2011 » Pitchers » Batted Ball Statistics | FanGraphs Baseball
ジェイク・ウェストブルック STL 61.6 %(13.5 % 0.93)
チャーリー・モートン PIT 59.8 %(7.6 % 0.40)
デレク・ロウ ATL 59.7 %(7.9 % 0.49)
ティム・ハドソン ATL 57.9 %(8.2 % 0.57)
---------------------------------
フィスター 46.4 %(4.4 % 0.43)

ゴロ率 下位(カッコ内は HR/FB HR/9)
Major League Leaderboards » 2011 » Pitchers » Batted Ball Statistics | FanGraphs Baseball
J.A.ハップ HOU 32.4 %(10.6 % 1.33)
マイケル・ピネダ SEA 32.9 %(7.5 % 0.83)
コルビー・ルイス TEX 33.0 %(12.6 % 1.73)


MLB全体でみると、ゴロ率上位の投手では、例えば、今年快進撃中のピッツバーグのチャーリー・モートンがいる。
2010年のモートンは、HR/FBが18.1 %、被ホームラン15本と、酷いありさまだったが、2011年になってそれが7.6 %、5本と、大幅に改善されてホームランを打たれにくくなり、現在8勝6敗。ピッツバーグの久々の首位争いに十分貢献している。
ピッツバーグは他にも、ジェフリー・カーステンズ、ケビン・コレイア、ジェームズ・マクドナルドと、去年より投手成績が改善した先発投手がいるわけだが、どんなコーチがいるのか知らないが、今シーズンの快進撃は案外ピッチングコーチのおかげかもしれない。
ちなみに、2010年にモートンが打たれた球種は、主にカーブ、チェンジアップといった変化球だったが、今年の彼はストレートを投球全体の75%も投げるようにしており、ピッチングスタイルを大きく変えることが、今年の成功につながっている。


逆に、ゴロ率下位の投手では、フィリーのマイナーからヒューストンに移籍して先発投手になったJ.A.ハップの数字が酷い。ホームラン17本を打たれて、防御率6.01、4勝13敗。アストロズ低迷の原因は、ピッツバーグとは逆に、ピッチングコーチのあまりの無能さにあるのかもしれない。
コルビー・ルイスの数字もあまりよくはない。彼のHR/9は1.7で、ア・リーグで最もホームランを打たれやすいピッチャーが、コルビー・ルイスだ。彼のランサポートは6.20で、ダグ・フィスターの3倍以上ある。ようするに、彼が10勝8敗と勝ち星先行でいられるのは、明らかに味方打線のおかげでしかない。


最後にマイケル・ピネダの将来性について。

ピネダはいまメジャー有数のフライボール・ピッチャーだ。
だから、将来も現状のフライボール・ピッチングのままだとすると、現状のピッチングや数値がどうであれ、将来もっと相手チームに研究されだしたときに、外野が広くてホームランの出にくいスタジアムで投げるのには向いていても、狭いスタジアムでは長打を浴びて大炎上という現象が頻繁に起きる可能性をもっている。
実際ピネダは、広いセーフコでの被長打率は.254と驚異的に低いが、狭いフェンウェイでは被長打率.619、失点7と、長打を浴びてボコボコに打たれている。エンジェルスタジアムは基本的には中立的な球場だが、ここも相性がよくない。
Michael Pineda 2011 Pitching Splits - Baseball-Reference.com


そのピネダが打たれているスタジアムのひとつが、デトロイトのコメリカパークだ。
コメリカパークは、ゲームを見たことのある人ならすぐわかるのだが、とにかくセンターが異常に広い。左中間、右中間も広いし、それだけでなく、センター後方のエリアがまた、やけにだだっ広い。

よく「広いスタジアムだから投手有利」と単純に思われがちだが、コメリカパークに関してはまったく同意できない

むしろ、まったく逆だ。

ブログ主は「コメリカはヒッターズ・パーク」と確信して、いつもゲームを見ている。
なぜなら、コメリカパークのセンターは、あまりに守備でカバーしなければならない面積が広すぎる。そのため、センターの定位置のほんのちょっとはずれた場所にシャープなライナーを打ちさえすれば、すぐに外野を抜ける二塁打、三塁打になってしまう
ESPNのパークファクターデータによれば、コメリカパークは、メジャーで最も三塁打のでやすい球場のひとつだ。
2011 MLB Park Factors - Triples - Major League Baseball - ESPN

つまり「広すぎる外野は、かえって長打を生む」ということ。

だから、もしデトロイト・タイガースにトレードされたのが、去年からグラウンドボール・ピッチャーに変身をとげることに成功したダグ・フィスターではなく、MLB屈指の極端なフライボール・ピッチャーであるマイケル・ピネダだったら、センターの広いコメリカパークでは長打を打たれまくって潰れる可能性がある。(ピネダと同じように典型的なフライボール・ピッチャーで、シアトルからデトロイトに意味もなくトレードされて潰されたジャロッド・ウォッシュバーンにも同じことがいえる。あのトレードは「フライボール・ピッチャーがコメリカには向いてないこと」をまったく理解しない屑トレードだった)


「広いスタジアム」=「投手有利」と決め付けがちだ。
だが、ピネダのような「フライボールピッチャーは、広いスタジアムだからこそ、長打を浴び続ける可能性もある」ということもある。

だとすれば、外野の広いスタジアムで、
どうすれば長打による失点を防げるのか?

1 フライボール・ピッチャーを先発に揃えた場合
マイケル・ピネダのような、カットボールやシンカーの持ち球のないフライボール・ピッチャーを先発にズラリと揃えると、フランクリン・グティエレスのような、打撃はダメでも守備の上手い外野手を、大金を出して雇い、たくさんのフライを捕らせる必要が出てくる。グティエレスの打撃の下手さ、肩の弱さには目をつぶる。

2 グラウンドボール・ピッチャーを先発に揃えた場合
グラウンドボール・ピッチャーを揃えて、フライをできるだけ打たせない。外野手の守備負担を減らすことで、外野手にはある程度バッティング重視の選手を配置できるようになる。


ブログ主は、後者のアイデアのほうが、外野手の打撃を無駄にせず、貧打を解消につながるとは考えるが、それを実現するためには、ダグ・フィスターのようなグラウンドボールピッチャーを安売りして先発投手陣がフライボール・ピッチャーばかりになってしまっては、まるでお話にならない。

セーフコのような「投手有利といわれるスタジアム」だからこそ、ダグ・フィスターのようなグラウンドボール・ピッチャーを放出し、マイケル・ピネダのようなフライボール・ピッチャーばかり残す一方で、守備だけしかできないグティエレスのような外野手を置いておくのが、いかに固定観念にとらわれた馬鹿か、ということが、おわかりいただけただろうか。


もういちど書いておく。

「広い球場は、投手有利」というのは、ただの固定観念にすぎない。投手有利なはずのセーフコであっても、そのピッチャーが持ち球にカットボールやシンカーなどがないフライボール・ピッチャーであるなら、長打を打たれまくる可能性は十分すぎるくらい、ある。


貴重なグラウンドボール・ピッチャーを自分の手で放出し、その一方で、外野の大飛球を処理できない守備の下手な外野手を次々にそろえているシアトルの2011年のトレードが今後どういう風に破綻するか、もう言わなくてもわかるだろう。デトロイトに放出すべきなのは、ダグ・フィスターではなく、コメリカパークの広いセンターの守備にうってつけのフランクリン・グティエレスだ。






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