August 14, 2011

今日のレーザービームの前からの話だが、しばらくいろいろな角度で考えてはみた。
だが、やはり、エリック・ウェッジが言う「イチローを常にフレッシュな状態で使いたいから、これからはDHでしばしば使う」なんて発言は、そもそもイチローに対する敬意が根本的に欠けている、余計な邪魔をするなと、このブログでは断言することにした。


むつかしい話ではない。
ノーヒット・ノーランを達成しかかっている先発投手に、ムダに話しかけるな、そして、そういう場面で「休め」などという人間は馬鹿だ、ということだ。
そんな言葉は、これまで10年連続でゴールドグラブをとってきたプレーヤーに言う言葉ではない。疲労を防ぐだの、なんだの、そういう生ぬるいことを言うくせに本音の見えない、なにかにつけてイザとなると弱気な男ウェッジ程度の人間の発する言葉が、本気かタテマエか、議論する必要もないし、考える時間も、もったいない。


最前線でプレーヤーとして10年戦ってくることの厳しさや、本当の意味で結果を出して戦ってきた人間への敬意を知っている人間なら、むしろこういうだろう。
「おまえ、きついか。でも、君の何かがかかったシーズンだろう? なら、俺が見ていてやる。死ぬ気でグラウンドに立って結果を出すところを、俺に見せつけてみろ。」と。

本気で相手に期待している人間なら、「適度に休んで、結果を残してくれればいい」などと、生ぬるいこを言うわけがない。
それくらい、今シーズン以降イチローが達成しようとしているものは、本来、重いものだ。その重みを知る者は、この数十年から100年、現れていない。エリック・ウェッジ程度の実績など、比べ物にならない。

重い目標ならば、潰れることもあるかもしれない。だが、周囲はそれを黙って見守るべきだ。ノーヒット・ノーランを達成しかかってゲーム終盤に差し掛かっている先発投手に、あえてムダな世間話で話かける者など、いない。
最も有効な助力は、「余計なことをしないこと」だ。

今日のレーザービームを見た後でも「たまにDHでやってくれ」なんて、ぬるいことが言える監督は、本気の戦いがどこに行われているか、まるでわかってない指揮官としか、言いようがない。

実質終わったシーズンに、来期のスタメンを確保しようと必死にヒットでアピールしようと目をギラつかせている若者どもの戦いなど、見ていてまったくたいしたことはない。
なぜなら、その程度の戦いなら、いくらでも反復、つまり、やり直すことができるからだ。メジャーでそんな程度の低い「あがき」を人前でやらなくたって、別にマイナーにいたとしても、その程度の戦いならいくらでもできる。そういう取り返しのつく程度の戦いに、たいした意味はない。


他方、イチローがこれからやっていく戦いは根本的に違う。
「後戻りできない戦い」であり、イチローのいる場所にしか存在しない。そして、誰もそれを反復することができないし、メジャーでしか達成できない。

ブログ主は常にイチローのプレーに期待している。そしてイチローは毎試合本気でグラウンドに立っていると思っている。

結果?
ハッキリ言っておこう。
そんなもの、出ようが出まいが、まったく関係ない。知ったこっちゃない。何年も最下位を続けてきて、2009年以降の3シーズンで道すじをつけておくべきだった「再建」にすら既に一度失敗したチームが、「二度目の再建」に手をつけようとしている体たらくなのに、いまさらチームもへったくれもあるか。

結果がどうであれ、イチローに休んでほしいと思ったことは、ほとんどない。むしろ、毎ゲーム延長戦になれば、イチローの打席数が1つでも増えて、守備機会も増えるので、そのほうがいいとすら思っている。
DHの件については、むしろ、イチローがもっと守備をしたいのなら監督室に明日の朝にでも直行して、「俺はDHなんかやりたくない。全ゲーム、守備もやらせてくれ。守備評価も俺のサラリーのうちに入っているということは、守備も打撃同様にオレの仕事であるだけでなく、権利でもある」と、自分の意思を自分の言葉でハッキリ伝えるべきだと思う。

そう。勘違いしている人が多いがイチローは守備につく権利がある。


大事なのは、自分の意思をハッキリ表明すること、
他人の意図、人の都合など気にしないと、自分の中でハッキリ決めること、だ。それが、「振り切った人生をおくる」ことにつながる。


注:馬鹿が勘違いするといけないので、注釈をつけて明確にしておく。
ここでいう「振り切る」とは、バットを全力で振り回すという意味ではない。芥川龍之介の『杜子春』という作品を読めばわかる。「振り切る」、というのは、他人の思いに引きずられることなく誰も到達したことのない境地にまっすぐ、脇目も振らず、突進していくことだ。他人の思いを断つことは、人間として本当に身を切るような思いで、その人自身をさいなむことになるが、それに耐えなければ、誰も達したことのない境地には手が届かないと、芥川は言うのである。







Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です

Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
Categories
ブログ内検索 by Google
ブログ内検索 by livedoor
記事検索
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month