August 22, 2011

ブリーチャー・レポートというサイトは昔から好きではない。

というのも、このサイト、もともとの出発点が「ブロガーとアマチュアのスポーツライターに、執筆機会を与えるために出発したサイト」なのだから、主観性の濃さが原点だったはずなのに、いつのまにかマスメディア然としてふるまうようになり、あたかも「ウチは大手のスポーツサイトでござい」というような「フリ」をしているのが、どうも気にいらないのである(笑)
客観的というのは、たとえばMLBでいうなら、総本山Baseball Referenceに代表されるようなデータサイト、ESPNFOXのような歴然としたマスメディア系、いつも深い洞察に基づく興味深いレポートを提出してくれるHardball Timesのような重鎮の長文系分析サイトなどを言うのであって、ブログ主に言わせれば、Fangraphでさえ、主観まみれのデータをあたかも客観的にみせている部分も多く、「うさんくさい」と思っているのに、Fangraph以下の客観性しか感じないブリーチャー・レポート程度がマスメディアづらしているのはまったく感心しないのである。


でも、今日はまぁ、そういうブリーチャー・レポートの個人的評価は置いておいて、以下のレポートを読んでみてもらいたい。

これは、クリーブランドの熱心なファンとおぼしきTom HammerというContributor(寄稿者)が、2009年8月に書いた記事。
クリーブランドの2009年は97敗したこの10年で最も酷いシーズンに終わるわけだが、その年の夏にはまだ監督エリック・ウェッジを翌年どう処遇するのか、2010年もクリーブランドの監督を続けさせるのかは、まだ不明だった。
著者は、過去のウェッジの業績をざっと振り返りつつ、「エリック・ウェッジには、チームマネジメントの上で、ハッキリ欠陥があるのだから、クビにすべきだ」と強く結論づけている。ただ、冷静な分析家らしい著者は「自分はウェッジをクビにすべきだと思うが、チームは彼を来年も使うかもしれない」と懸念している。
だが、結果的に、クリーブランドはウェッジをクビにした。ウェッジがクリーブランドの監督をつとめたのは2003年から2009年までだが、優勝したのは2007年のみ。65勝97敗に終わった2009年を最後にクビになった。
クビになる寸前に書かれたこのレポートは、7シーズンにもわたるクリーブランドの監督としてウェッジがやってきたことを、長所も欠点も長期的に眺めてきた人が、ウェッジの指導者としての欠陥を具体的に指摘し、「こんな監督はクビにすべき」と断定していることに、今のシアトルファンが心して読むべきポイントがある。


急いで訳したので誤訳もあるだろうが、それは勘弁してもらうとして、これを読むと、エリック・ウェッジが2011年にシアトルでやってきたチーム運営の問題点の数々が、彼がクリーブランドをクビになった原因そのものであることがよくわかる。

スタメンをいじくり倒したがる
やたらと若い選手を使いたがる。だからといって、
 選手をとっかえひっかえ使うのは止めない

若い選手をやたらとメジャーとマイナーを行ったり来たりさせる
シーズン終盤、妙に肩入れする選手ができると、たとえどんなに成績が悪くても我慢する
毎シーズンのように、シーズン終盤にロスターを完全に分解し、若い選手を使いたがること
それなのに、「次のシーズンにも、前のシーズンと同じことを繰り返して、チームを毎年のようにバラバラにさせて続けること
今シーズンにこのブログで批判してきたことの大半が、ウェッジがクリーブランドをクビになる前にやっていたことだというのがよくわかるのだ。

この著者がエリック・ウェッジの欠陥について指摘した特に印象的な言葉がある。
ウェッジの欠点は、正しいボタンを押していないことだが、それだけでなく、あまりにもたくさんのボタンを押しすぎてもいる

なるほど。これは膝を叩きたくなる。
この1行を読んだだけでも、このコラムを読んだ価値がある。

Cleveland's Late-Season Success Shouldn't Mean More Eric Wedge
Cleveland's Late-Season Success Shouldn't Mean More Eric Wedge | Bleacher Report
By Tom Hammer(Contributor) on August 28, 2009


This just in: The Cleveland Indians are winning ball games late in the season with nothing on the line and a host of young talent in the lineup.
クリーブランド・インディアンスはシーズン終盤に(ポストシーズン進出のような)重たい何かが懸かっているわけではない勝ち星を挙げ、たくさんの若い選手を起用している。

This sort of story lead may pique readers' interest if it wasn't a script that Tribe fans have read all too often the past five or so years.
このストーリーは、過去5年以上もインディアンス・ファンが頻繁に読んできた記事とはちょっと趣(おもむき)が違うから、彼らを憤慨させることになるかもしれない。

Cleveland has won 15 of 25 and is 22-16 since the All-Star break. That is respectable, especially considering the team had the worst record in the AL at the break.
クリーブランドはオールスターブレイク以降、25試合のうち15試合に勝ち、22勝16敗だ。チームが開幕後にア・リーグ最悪の記録を喫したことを考えると、それは尊敬に値する仕事とはいえる。

To call manager Eric Wedge's seat at the break a hot one, is like calling Tom Brady's wife cute. It is an understatement, and for Wedge fans I'm sure they are feeling vindicated from haters who were calling for his head.
オールスター後のエリック・ウェッジの仕事を「なかなかのものだ」程度に評価することは、トム・ブレイディ(=有名NFLプレーヤー)の妻(=スーパーモデル出身で、美人で有名)のことを「そこそこキュートだね」と評するようなもので、それは過小評価というものだし、ウェッジファンにしてみれば、ウェッジの解雇を要求し続けているウェッジ嫌いの人々から、彼の「クビ」を守ったような気になるほどの業績だろう。

Management made a midseason statement that Wedge would finish the season as manager and they would "evaluate" the team and the direction at season's end.
経営陣は、ウェッジが監督としてシーズンを終えることになると、シーズン途中に声明を出している。シーズン終了時には、おそらく今のチームと方向性に「評価」を与えることになるだろう。(ブログ注:だが、実際にはエリック・ウェッジはクビになった)

If the "evaluation" consisted of viewing the team's progress and results from the All-Star break of this 2009 season forward, then it isn't hard to believe that Wedge will be back next season.
「評価」がチームの進歩や、2009年のオールスターブレイク以降の結果から行われるとすれば、ウェッジが来シーズンに戻って来れるという話に確証がなくもない。(ブログ注:evaluationはエリック・ウェッジが頻繁に使いたがる単語のひとつ)

But doesn't this said evaluation really need to look at the full body of work.
だが、評価というものは仕事全体を見て行われるべきものだ。

Throw out the 2007 run to the A.L championship series and the epic collapse in the Red Sox series, and what you are left with is a lot of high expectations, unreached potential and a less then stellar record that consists of terrible starts to seasons and the annual late season, nothing on the line, push.
2007年のア・リーグチャンピオンシップシリーズへの道のりと、レッドソックスとのシリーズの酷い敗北がファンに残したものといえば、強い期待感、未開発な将来性、そして輝かしいとまではいえない程度の実績だ。それらは、それからの酷い数シーズンと、毎年恒例の、何の切迫感もないシーズン終盤への序章だった。

This doesn't get it done in my eyes. I'm tired of seeing the Tribe mentioned as the AL Central favorite only to look at the standings two to three months in and realize that those expectations won't be fulfilled.
こうした現象は、私の見るところでは、(この惨敗した2009シーズンも)まだ終わってない。私自身は、インディアンスがア・リーグ中地区の本命と言われるのを眺め続けることに、飽き飽きしている。数ヶ月順位を見ただけで、そういう期待が実現したりしないことに、すぐに気づかされてしまう。

Why is it that the Tribe's roster is bulging with talent each season, yet it takes an early season collapse, a complete roster over haul and an infusion of even younger players to net a turnaround in terms of wins?
インディアンスのロスターが毎シーズンのように才能で満ち溢れているのにもかかわらず、毎シーズン序盤で崩壊し、ロスターが完全にバラバラに分解され、勝利への転換をもたらすためとかいう理由で、若い選手たちのロスター注入、というプロセスが繰り返されてばかりいるのは、いったいなぜなのだろう?

My answer is that Wedge isn't pushing the right buttons, or more true to the point, is pushing too many buttons in the early parts of the seasons.
私の答えは、こうだ。「ウェッジは正しいボタンを押していない」。そしてもっとポイントを突く真実だと考えるのは、ウェッジが「旬を迎えた、というには早すぎる未熟なボタンを、あまりにもたくさん押しすぎている」ということ」だ。

Starters, be it pitchers or hitters, never seem to find a rhythm and Wedge is left groping for a myriad of line up alterations, frequent calls to the minors and waiver wires and a general over-reactive management style that kills the team's confidence.
ピッチャーであれ、打者であれ、スタメンは自分のリズムを作れているように見えない。ウェッジは数え切れないほどのスタメン修正を試して、暗中模索ばかりしている。マイナーからのコールアップや、ウェイバーでの選手漁りも頻繁だし、ウェッジの何に対しても過剰反応するマネジメントスタイルによって、チームの信頼感は息の根を止められている。

Later in the season, when there is nothing to lose, he displays extreme patience with guys who are struggling. Heck, they are young players who need the experience so why not run them out there each day to learn their lessons.
(ポストシーズン進出の可能性がなくなって)何も失うものは無くなったシーズン終盤であっても、ウェッジは、悪戦苦闘している選手に異常なほどの忍耐をみせる。若い選手たちには経験が必要なのだから、彼らが毎日何かを学ぶことができるよう、なぜ「見切る」ということをしないのだろう。

Lo and behold, what happens is guys who are playing every day, hitting in the same spot, knowing their roles and having a common goal, getting wins, is a dangerous thing in baseball.
選手たちは毎日プレーして、同じスポットで打ち、自分の役割を理解し、共通の目標を持ち、勝利を得ようとするわけだが、その彼らに起こっていることは、野球において非常に危険なことだ。

Case in point, Andy Marte boosts his average 70 points in a span of eight games and this is a guy who was going to be released because Wedge refused to allow him any consistent playing time early in the season.
例えば、アンディ・マルテは、打率を8試合で70ポイントも伸ばしたのに、トレードされそうになった。というのも、シーズン初期にウェッジが彼にプレータイムを与えることを拒否していたためだ。(ブログ注:資料ありAndy Marte Statistics and History - Baseball-Reference.com

Instead, Wedge preferred to bounce Marte back and forth between Triple A and give him 12 to 20 at-bats and then reach the conclusion he can't hit.
ウェッジはマルテを4度もマイナーとの間を行ったり来たりさせ、12から20打席を与え、結局、彼は打てないとの結論に達した。

Unfortunately, it takes the team languishing in the standings for their manager to adopt a style that gives the team the best chance of winning.
ウェッジのマネジメントスタイルは、チームに勝利へのベストチャンスをもたらそうというものではあったが、不幸なことに、チーム順位の退潮をもたらした。

It's for this reason, and several others unmentioned in this article, that I feel the team has to go a different direction in terms of team management.
こうした理由と、この記事では言及してないいくつかの理由から、私はチームマネジメントの観点からみて、チームをもっと違う方向に進ませるべきだと考える。

Even with the loss of team leaders and stars, this team still has enough talent to compete day in and day out. It's time to get someone who can nourish this potential and get the team playing up to their capability.
チームリーダーやスター選手の喪失にあっても、このチームは今もなお、毎日戦えるだけの十分な戦力を保持している。今こそ、潜在的な力を育てあげ、チームの能力を開花させられる人物を連れてくるべき時に来ている。


このコラムの指摘をよく理解するためには、ウェッジが監督をしていたクリーブランド時代の7シーズンに、どういうふうに選手起用が実行され、その欠陥はどこにあったかをよく調べてみないと、よくわからない点もいくつかある。
だが、それでもなお、クリーブランド時代のウェッジのロスターが、どれくらいコロコロ変わったかを、このコラムから知るだけでも、少しは当時のクリーブランドファンのイライラの片鱗はわかるはずだ。

とにかく、このコラムによって、ウェッジがシアトルでみせている選手起用の「シーズン当初なのに、コロコロとスタメンを変える、落ち着きの無さ」と、「シーズン終盤でポストシーズン進出もなくなっているのに、テコでも気にいった選手を動かない意味不明の頑迷さ」の、両方が両方とも、クリーブランド時代から存在していて、しかも、それが当時から既に「監督としての欠陥」として指摘されていたことがわかったのである。

言い換えると、無能GMズレンシックは、選手選定において、ミルトン・ブラッドリーやバーンズなどの「訳あり物件」を多数購入してきただけでなく、監督選定においても「訳あり物件」を購入していたのである。

2009 Cleveland Indians Batting, Pitching, & Fielding Statistics - Baseball-Reference.com






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