September 02, 2011

夏になって西地区首位のテキサスを猛追していたはずの8月のエンゼルスだが、もうひとつ追い上げムードの波に乗り切れていない理由が、なんとなくシアトルの4連戦でみえてきた。どうも、こう、鉄壁の緻密さでゲームに臨んでいるはずのマイク・ソーシアらしからぬ「雑さ」が、特に投手に見えるのである。
4連戦初戦に決勝2ランを許した高橋尚といい、自責点2ながら若いバッターに不用意なヒットを許してしまうダン・ヘイレンといい、マイク・カープにシンカーを4連投して決勝2点タイムリーを打たれたスコット・ダウンズといい、こう言ってはなんだが、エンゼルスの野球も大雑把というか、緩くなったものだと思う。
さしもの闘将マイク・ソーシアも、ちょっと年をとったのかもしれない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年8月29日、高橋尚投手の「打たれるべくして打たれた」決勝2ラン。

Los Angeles Angels at Seattle Mariners - August 31, 2011 | MLB.com Classic


7回裏 マイク・カープ
シングル
打ったのは「インローのカットボール」。マイク・カープは何度も書いたように、典型的ローボールヒッターだ。得意球種はスライダーカットボール。苦手球種はチェンジアップ。特に得点圏シチュエーションでの初球打ちなどにも強い特徴がある。
「インローのカットボール」はスカウティングにピッタリあてはまるカープの最も得意な球のひとつだ。投手はダン・ヘイレンだが、初球、2球目と、同じ「インローのカットボール」を続けて投げて打たれたヒットだから、不用意な配球としかいいようがない。

2011年8月31日 マイク・カープ シングル


左打者へのインコースのカットボールといえば、ヤンキースのマリアーノ・リベラがすぐに思い出されるが、前にも書いたことを引用すると、同じ左打者のインコースのカットボールによる配球でも、マリアーノ・リベラなら、こういうふうには攻めない。

リベラの典型的な「カットボール・パターン」は、カットボールを2球連投したりしない。まずカットボールをインコースに投げてえぐっておいたなら、次のボールに選択するのは、カットボールではなくて、「ストレート」だ。
この配球を打者側からみると、インコースをえぐるカットボールで腰を引いた直後に、同じようなコースに同じような球速のボールが来るわけだから、自分では十分に踏み込んで打っているつもりなのに、実際には無意識に腰を引きながらスイングしてしまっている、とか、自分ではストレートをスイングしているつもりなのに、無意識にカットボールにあわせるスイングをしてしまって、ひっかけるようなバッティングになったりしてしまう。
リベラの配球の妙は、100マイル近い豪速球を投げておいてからスプリットで空振りさせるような「大げさな変化」ではなくて、カットボールとストレートの「ほんのわずかな違い」を使って、プロの打者の「素人にはない反射神経」や、「動くカットボールにさえ反射的に対応ができてしまう、プロのバットコントロール」を逆に利用している点だ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月28日、アダム・ケネディのサヨナラタイムリーを生んだマリアーノ・リベラ特有の「リベラ・左打者パターン」配球を読み解きつつ、イチローが初球サヨナラホームランできた理由に至る。


カイル・シーガー
2回裏 二塁打
打ったのは、上のカープと同じ「インコースのカットボール」。ストレート系ヒッター、シーガーが最も得意とする球種であり、コースだ。得意球種がストレート、カットボール、苦手がスライダー。得意コースは、インローとハーフハイト、苦手が、真ん中低めとアウトロー。
このバッターが最も苦手にする「アウトコースのスライダー」に翻弄され続ける様子は、既に一度書いた。
この打席でも、2球目のど真ん中のカーブを見逃している理由は、非常によくわかる。このバッターはゆっくり大きな動きをする変化球についていけないので、こういうボールを最初から諦めているからだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年8月27日、予想通り1ヶ月で燃え尽きたズレンシックとエリック・ウェッジ演出による8月の線香花火大会。1ヶ月で擦り切れるのがわかっているドアマットの取り換えみたいな「マンスリー・リサイクル」の馬鹿馬鹿しさ。

このバッターは、ストレートかカットボールが自分の得意コースのインローやハーフハイトに来るのだけをひたすら待ち受けているような、「定置網の漁師」みたいな打者なのだから、「インコースのストレート系」はもちろんタブーだ。
このヒットを打たれたのは2回裏だが、試合終盤になって集中力が切れてきたときに、結局ダン・ヘイレンのピッチングはどんどん緩んでしまい、打者のスカウティングを無視して、自分の好きな球を漫然と投げ込んでしまうことになって失点した。

2011年8月31日 カイル・シーガー 二塁打 SEAvs.LAA


ダン・ヘイレンについてこうして書いていると、スカウティング関係なくピッチングしているように見えるタンパベイのジェームズ・シールズを思い出した。
いいピッチャーなんだけどな。ジェームズ・シールズ、ダン・ヘイレン。彼らには、クリフ・リーロイ・ハラデイを見ているときに感じる「ピッチング芸術」を感じない。

だから彼らのファンになるところまでいかない。
残念だ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年6月3日、打者のスカウティングを全く頭に入れてなさそうに見えるタンパベイのJames Shields。




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