October 03, 2011

デトロイト対ヤンキースのALDS(ア・リーグ ディヴィジョン・シリーズ)Game 2は、デトロイトのクローザー、ホセ・バルベルデが、2失点と、ヨレヨレの情けないピッチングでようやく9回を投げ切って、デトロイトがタイに持ち込んだ。

9回裏2死1、2塁の場面で、Game 1で満塁ホームラン含む6打点と当たっているロビンソン・カノーを迎えたバルベルデは、ド真ん中に続けて3球もストレートを投げた。
よくまぁ、サヨナラ3ランを食らわなかったものだ(笑) あの場面、カノーがどれもこれもファウルにしてしまって打ち損じていなければ、バルベルデはサヨナラホームランを食らって負け投手になっていてもまったくおかしくない投球内容だった。
Detroit Tigers at New York Yankees - October 2, 2011 | MLB.com Classic


2チームの打線の狙いは対象的で、Game 1に続いてストレート狙いのヤンキースと、外のスライダー系狙いがデトロイト。Game 2終盤で出たヤンキースのソロホームランは、いずれもストレートだ。
クローザーは誰もが速いストレートを多投するから置いておくとして、このポストシーズンでは、ストレートで押す先発投手、ストレート待ちをする打者が目立つ
(ちなみに、フィラデルフィア対セントルイス Game 2に先発し12安打を打たれて負け投手になったクリフ・リーが、4回と6回に、ライアン・テリオに打たれた2本の二塁打、ジョン・ジェイに打たれた2本のタイムリーは、すべてカットボールとストレート。得意のカーブのコントロールが定まらない日のクリフ・リーが打たれる典型的なパターン)


デトロイト対ヤンキースGame 1は、本来は今年のサイ・ヤング賞間違いなしのジャスティン・バーランダー先発だったが、悪天候のために2009年のルール改正が史上初めて適用されて1回終了時降雨サスペンデッドになり、ダグ・フィスターが2イニング目以降を引き継いで、実質的にGame 1先発になった。
結果的に自責点6と打たれたフィスターだが、レギュラーシーズンではあれほどバランスよく変化球を投げて打者を封じ込めていたのに、どういうわけかポストシーズンの初登板ではやたらとストレートで押そうとして、ヤンキース打線のストレート狙いに嵌っている自分を最後まで修正できなかった
フィスターはポストシーズンでの登板経験が無いだけに、ちょっと舞い上がってしまったのかもしれない。いい反省材料にして、次回の登板では期待したい。

Game 1でフィスターの投げたストレート系は、4シーム20%、2シーム39%で、合計59%。率全体を見るだけでは、ストレート系の率そのものはレギュラーシーズンよりやや高い程度に見える。

しかし、細部を細かく見ていくと、かなり実態は違う。
2回裏に無死2、3塁の大ピンチを招いたラッセル・マーティンの二塁打、5回裏に打たれたロビンソン・カノーのタイムリー、大量失点の口火を切った6回裏のマーク・テシェイラの二塁打、同じ回の2死1塁で打たれたデレク・ジーターのシングル。
ゲームの要所で痛いヒットを打たれたこれらの打席では、フィスターは珍しくすべてストレート系だけしか投げていない。要所での単調な配球が裏目に出ているわけだ。(だから逆にいうと、本来の配球バランスと、二度目以降の登板で本来の落着きが取り戻せれば、ピッチングは変わるだろう。そういう意味で、心配はしてない)
特に、大量失点した6回裏の2死1塁の場面で、ジーターをもっと丁寧な配球で打ち取れてさえいれば、大ケガにならなかったかもしれないだけに、もったいなかった。
Doug Fister » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

かたやデトロイトのGame 2先発の速球派、マックス・シャーザーは、6イニングを2安打と好投。
アリゾナにいた頃は、70%どころか75%くらいストレートを投げていた投手なわけだから、このゲームのストレート率63%は、レギュラーシーズンの61.4%よりやや高い程度で、彼にしてみたらまだ低いストレート率といえる。
それでも、負ければ王手をかけられてしまう大事なゲームで、ストレートを待っている打者も多いヤンキース打線に対して、力で押して6イニングを2安打と牛耳ったのだから、なかなか度胸が据わっている。
Max Scherzer » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

フィスターのほうは、もともとコントロールのいいグラウンドボール・ピッチャーという位置づけの投手で、けしてストレートでグイグイ押すタイプというわけではない。かたやシャーザーは元々4シームで押す速球派なのだから、ストレートで押す、といっても、この2人の投手ではニュアンスが全く違う。やはり慣れないことはするものじゃない。


速球派といえば、タンパベイにGame 1で大敗を喫して先行きが危ぶまれたテキサスのGame 2に先発したデレク・ホランドが、5回1失点とまずまずの好投をみせて、テキサスが戦績をタイにもちこんだ。
Derek Holland » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

Tampa Bay Rays at Texas Rangers - October 1, 2011 | MLB.com Gameday

デレク・ホランドは、レギュラーシーズン16勝5敗。
去年のALCS Game 4のヤンキース戦で好投したときに「ア・リーグ西地区のゲームを見るとき、ちょっと名前を覚えておいてほしい投手のひとり」と書いたように、今後に期待するピッチャーのひとりだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月19日、やっぱりデレク・ホランドは、いい。ALCS Game 4。
ただ、16勝5敗という今年の好成績がうれしくないわけでもないのだが、コルビー・ルイスもそうだが、テキサスの先発の成績は打線に助けられたにすぎない部分が多々ある。ホランドの好成績も、やたらとラン・サポートをもらった結果でもあって、手放しに喜べる結果でもない。
去年のポストシーズン、ホランドは、ALCSはともかく、ワールドシリーズでは良くなかったということもあるし、ボストンを逆転してポストシーズン出場を決めて意気上がるタンパベイとの対戦ではどうかなと思っていたら、5回1失点と、まずまずの結果。去年のワールドシリーズ登板がいい経験になっているのかもしれない。
2010 World Series - San Francisco Giants over Texas Rangers (4-1) - Baseball-Reference.com

ただ、テキサスというチームには、常にロン・ワシントンという「不安要素」がつきまとう(笑) この監督は舞い上がったら、ワールドシリーズでみせた、あの無様すぎる継投のようなことをしでかす人物だけに、切羽詰まって何をしでかすかわかったものじゃない。ビジターでは安心はできない(笑)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月15日、まさしく監督の経験の差が出たテキサスのリーグ・チャンピオンシップ第1戦。ロン・ワシントンの「乱心」。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月28日、得点圏のピンチで、いつもインコースから入って大失敗するダレン・オリバーとマット・トレーナーのコンビ。ALCS Game 1とまったく同じ継投ミスをしでかしたロン・ワシントン。


同じ試合で、タンパベイのジェームズ・シールズが5回を7失点。
一度書いているように、シールズはどうも打者のスカウティングを全く参考にせず、自由気ままに投げる投手に見えてしかたがない投手で、ボルチモアの被ホームラン王、ジェレミー・ガスリーや、コルビー・ルイスと並んで、ア・リーグで最もホームランを打たれやすい投手のひとりでもある。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年6月3日、打者のスカウティングを全く頭に入れてなさそうに見えるタンパベイのJames Shields。
シールズは、速球派のシャーザーやホランドと違って、チェンジアップやカーブを多投するピッチャーだが、テキサスからはキャリアで5勝2敗と、対戦成績は悪くはないはずだったが、今回はテキサスの強力打線をかわしきれなかった。
それでも、投げた球種はいつものように、ストレート、チェンジアップを3分の1ずつ、あとの3分の1はカーブとスライダー。どんな状況のゲームであってもマイペースの配球をするのが、いかにもシールズらしい。
James Shields » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball


やはり、大舞台となると投手は自分の力を試してみたくなるものだろうし、ストレートでグイグイ押してみたいとか、はやる気持ち(それは同時に舞い上がっている証拠でもあるが)も、わからないでもない。
打者のほうも、追い込まれるまでは、変化球の甘いストライクに目もくれず、ストレート1本に絞って強振してくる打者も多くみかける。
始まったばかりのポストシーズンは、ある意味、例年どおりのチカラ勝負で始まったようだ。

だが、この状態がずっと続くとは限らない。

2010年のNLCSでは、サンフランシスコがフィラデルフィアにわざと「ストレートで勝負しない作戦」をとることで、ワールドシリーズ連覇に向けてはやる気持ちを抑えられないフィリーズに見事に勝利を収めている。
こうしてみると、あのときの「ストレートで勝負しない」という戦略が、気持ちの高ぶりがちなポストシーズン専用の戦略としては、かなり大胆かつクレバーだったことが、よくわかる。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」damejimaノート(11) なぜライアン・ハワードは9回裏フルカウントでスイングできなかったのか? フィリーズ打線に対する"Fastball Count"スカウティング。


最後までポストシーズンを牛耳るカギは、シャーザー、ホランド、バルベルデにみられる「ストレート」か。それとも「変化球」か。



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