October 24, 2011

童顔のくせに、あまり似合わないヒゲ(笑)をたくわえたデレク・ホランドが、ワールドシリーズ Game 4で素晴らしいピッチングを見せた。(9回も投げたが、1死から次のバッターを四球にしてしまい、降板。まだゲームは続いている その後、テキサスが勝利)
St. Louis Cardinals at Texas Rangers - October 23, 2011 | MLB.com Classic
この日のホランドの勝因は、「ストレートに頼らず、キレのある変化球を決め球にした」こと。(これは同時に、前日のストレートをホームランされまくったテキサスの敗因でもある。いい加減テキサスの投手コーチは頭を使うべき)
例えば、7回表2死で、この日唯一ヒットを打たれているランス・バークマンを見逃し三振に切ったインコース一杯の85マイルの抜いたスライダー。高速スライダーではなく、むしろ、チェンジアップかと思うような軌道で、曲がりながらフワリと落ちるスライダーに、見ていて本当に惚れ惚れしたものだ。


今年のポストシーズンが始まった10月初旬に、「このポストシーズンでは、ストレートで押す先発投手、ストレート待ちをする打者が目立つ」と書いた。
ワールドシリーズにしても、ホームランの打ち合いになったGame 3 などは、投手が誰も彼もアタマに血が上ってしまい、ストレートで押そうとしてはホームランを食らうという、プロ意識に欠けた、つまらない展開だった。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年10月2日、ストレートで押すピッチャーと、ストレートを待つバッターと。ポストシーズン、ストレート勝負のゆくえ。

デレク・ホランド自身、ストレートで押せるピッチャーでもあるが、今日のホランドはまるで技巧派のヴェテランのようなピッチングをみせた。
インコースにボールになる見せ球を投げつつ、アウトコース一杯の球でバッターを追い込んでは、抜いたボールを振らせるという基本パターンで、Game 3の乱打戦で火がついたかに見えたセントルイス打線を、文字どおり撫で斬りにした。
テキサスの投手が「自慢のストレートで押そうとするピッチング」は、セントルイス打線にとっては「カモ」なわけだが、ホランドは非常に落ち着いて、まったくパワーに走らず、緩急を忘れなかった。


2010年のワールドシリーズを見ていた人は、このホランドの「落着き」を支えているのが何か、言わなくてもわかると思う。

「大舞台での失敗」だ。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月15日、まさしく監督の経験の差が出たテキサスのリーグ・チャンピオンシップ第1戦。ロン・ワシントンの「乱心」。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月19日、やっぱりデレク・ホランドは、いい。ALCS Game 4。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月28日、得点圏のピンチで、いつもインコースから入って大失敗するダレン・オリバーとマット・トレーナーのコンビ。ALCS Game 1とまったく同じ継投ミスをしでかしたロン・ワシントン。


2010年ポストシーズンの「ヒゲのないホランド」は、ALDSはよかったものの、サンフランシスコとのワールドシリーズではいいところがなかった。
だが、その失敗を経験に変えて、翌シーズン、こんな素晴らしいピッチングを見せてくれるのだから、野球というのは本当に面白い。


投手の経験にとって「経験」が必要だとはよくある言い方だが、では、「いい投手に必要なのは、どういう経験か?」は、あまり語られない。今日のデレク・ホランドを見てハッキリわかった。「経験の定義」を書きとめておこう。

投手にとって「糧になる経験」とは、ただひたすら惨めに打たれまくることを言うのではない。大舞台、それも、できればワールドシリーズのような最高の舞台で喫した失敗や成功こそ、「好投手になるための経験」と呼ぶことができる。

今日の経験でデレク・ホランドはさらにいい投手になれるのは、間違いない。もっともっと成長して、ア・リーグの貴重なスター・プレーヤーのひとりになってもらいたい。


2011 WS Game 4 6回裏 マイク・ナポリ 3ランホームラン

上は、試合を決めたマイク・ナポリの3ラン。何が素晴らしいって、「初球」を狙ったことだ。

2011ワールドシリーズのテキサスは、たぶん去年ワールドチャンピオンになりそこねて、今年どうしても勝ちたいからだろうが、バッティングの基本方針として「出来る限りボールを見て、早打ちしないこと」を、チームの約束事にして、このワールドシリーズに臨んているような気がしてならない。
だが、ボストンのように、もともとレギュラーシーズンからバッターに待球を習慣づけている「待球型打線」ならそれでもいいが、同じ強打のチームとはいえ、テキサスの場合には「待球」は合わない気がする。テキサスはむしろ調子に乗ってくると手がつけられない打線の「ノリ」が売りのチームだし、あまりにも「ボールを見てばかりいる」と、打線が湿ってきてしまう気がするからだ。
特に、イアン・キンズラージョシュ・ハミルトンなどは初球の甘い球を見逃すことが多く、そのことでセントルイスのピッチャーにカウント的に追い込まれやすくなって、低めの落ちる変化球で凡退させられる原因になっている。

だが、この打席でのマイク・ナポリは違った。初球のインハイのストレートを、彼は明らかに「狙って打った」。

打ったのは、投手交代直後のインハイのボール球のストレート。打ったナポリは「エドウィン・ジャクソンが、自分をダブルプレーに仕留めようとして投げてくるのはわかっていた」と言い、また、打たれたエドウィン・ジャクソンは「ストレートを狙われたようだ」と話した。
よく指導者は「バッターは体を開いて打ってはいけない」というものだが、この場合に限っては、たとえ身体が開かなくても、強引に引っ張ることでヘッドが回り過ぎていたら、打球は左に切れてファウルになっていただろう。
だが、打球はほとんど切れなかった。このあたりをナポリは試合後、こう話した。
「若い頃を思い出してみると常に、俺はパワーヒッターだ、ホームラン打たなきゃって、そんなことばかり考えていたものだったけど、今シーズンは違う。コンパクトに構えて、きちんとミートするためにボールをよく見ることを、ずっと心がけてきた。もうホームランばかり狙ってるわけじゃないんだ
"This year," he said, "I've just been shortening up and just seeing the ball to contact, really. I'm not trying to hit a home run every time. I think back when I was younger, I was always thinking I was a power hitter and had to hit a home run. Now I know it's all right to hit a ball the other way through second and first."

要は、ナポリが言いたいのは、「全力でバットを振り回して打ったホームランじゃないんだよ」ということだ。


この日のナポリのプレーについては、試合を決めたシュアなバッティングだけでなく、バッテリーワークも称賛の対象になった。
デレク・ホランドも、"chemistry"(相性、親和性)という単語を使って、バッテリーワークの良さを褒め称えているし、また、ロン・ワシントンもナポリのリードを絶賛した。
よく「メジャーのキャッチャーはただの『ボールを受けるだけの壁』」などと、いまだに知ったかぶりで発言している馬鹿を見かけることがあるが、こういうインタビューをしっかり目に焼き付けたら、もう二度と人前にしゃしゃり出てこないことだ。
"We have a very strong chemistry with each other," Holland said. "We hang out off the field, on the field. We talk all the time and pick each other's brains and talk about our approach to certain hitters and what to do. He does a really good job of controlling my emotions, making sure I don't get ahead of myself. You probably saw a couple times tonight he was telling me to square up. Especially in-between innings, there were a couple times I'd throw the ball and I wasn't throwing it right where I wanted to. So he was keeping me in check, basically."
Rangers catcher Mike Napoli delivers crushing blow to Cards | texasrangers.com: News


Baseball Video Highlights & Clips | WS2011 Gm4: Holland on his chemistry with Napoli - Video | MLB.com: Multimedia

St. Louis Cardinals at Texas Rangers - October 23, 2011 | MLB.com TEX Recap




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