November 26, 2011

メープルバットの典型的な折れ方メープル特有の
縦に裂ける
折れ方

メープル(かえで)でできたバットが問題になりだしたのは、鋭利な形状に折れたバットで怪我をする選手、コーチ、ファン、アンパイアが続出しているからであり、既にMLBでは訴訟にもなっていて、日本でも選手にケガ人が出ている。

2008年にMLBと選手会によって行われた第三者による調査では、2008年7月から9月の3か月間に折れたバットは、2,232本。うち、756のケースでは、バットが複数ピースに分割される形で折れている。つまり、756のケースでは、折れたバットがなんらかの形でどこかに飛散した、ということだ。
そしてこの調査で、メープルのバットは、ホワイトアッシュの少なくとも3倍は、バットが複数ピースに分割される形で折れる、ということが判明している、らしい。

The rash of dangerous incidents in the 2008 season prompted an investigation by MLB and the players' union. Scientists from the U.S. Forest Service's Forest Products Laboratory, Harvard University and the University of Massachusetts made some eye-opening discoveries.
From July through September 2008 there were 2,232 bats broken in Major League games. They were collected and analyzed. Of those, 756 broke into multiple pieces. Maple bats were three times more likely than ash to break into two or more pieces.
Major League Baseball should ban maple bats | Tulsa World

資料記事:
カブスの外野手タイラー・コルビンの胸にバットが刺さる
Colvin’s Injury Highlights Danger When Wooden Bats Break - NYTimes.com
この場面の動画→http://chicago.cubs.mlb.com/video/play.jsp?content_id=12243779&topic_id=8878834&c_id=chc
タイラー・コルビンがチームメイトの折れたバットでケガ

LAAトリー・ハンターの折れたバットで女性観客が顔にケガ
Los Angeles Angels' Torii Hunter's broken bat could reignite maple debate - ESPN Los Angeles

Torii Hunter's broken bat hit Kansas City Royals fan in the face | Plog

デビッド・プライスがエイドリアン・ベルトレの折れたバットでケガ
Joe Maddon Renews Call for Maple Bat Ban After David Price Injured
デビッド・プライスがエイドリアン・ベルトレの折れたバットでケガ

球審ブライアン・オノーラがミゲル・オリーボの折れたバットでケガ Ump O'Nora hit in head by broken bat | MLB.com: News
球審ブライアン・オノーラ ミゲル・オリーボの折れたバットでケガ

ブラッド・ジーグラーがマイク・ナポリの折れたバットでケガ
Ziegler's injury revives maple bat debate | oaklandathletics.com: News

ロッテ 伊藤の左すねに折れたバットが突き刺さる
ゲンダイネット

ジャック・カストの折れたバットがクリフ・リーの頭部に当たりそうに
ジャック・カストの折れたバットが
クリフ・リーの頭に当たりそうになり、耳をかすめる


もともとバットをめぐる議論に詳しくないためもあるが、
このニュース、どうも細部がきちんと伝わってこない。

現在出回っている記事によれば、
Major League Baseball ban on the use of low-density maple bats by new players.

資料:Canadian manufacturer on board with MLB low-density maple bat ban - ESPN
と表記されているのだが、どうもこの文面だけでは言わんとしていることがハッキリしない。

例えば、
疑問1) new playerとは「どの範囲の選手」を指すのか
疑問2) densityという単語の意味は、木そのもののオリジナルな「比重」か、それとも「多少の加工を施した後の、密度」を意味するのか
疑問3) 禁止になるlow-densityとは、どの範囲までなのか、数値として既に決まっているのか
疑問4) そもそもメープルのバットは、「低比重のものは折れやすい」が、「高比重のメープルなら、折れにくい」と言えるのか。そもそも「メープルのバット全体が折れやすい」、という事実はないのか

1)についてだが、「既に、バットメーカーに発注してしまって、たくさん在庫を抱えているプレーヤーは、それを使ってプレーするのは許す。だが、新規発注して使うのは、もう禁止にする。だから、実質的には、今後はメープルのバットは使えなくする」、という意味なのか? どうも意味がよくわからない。(まさか、「ベテランさんは使ってもいいが、新人さんは使うな」という意味じゃないよな? 笑)


少し捕捉しておくと、市販されているメープルのバットのdensityはひとつではない。メープル製にも、低比重タイプもあれば、ライアン・ブラウンが使っているような、より高比重なタイプもある。
どうも今回禁止になるのは、低比重なタイプのメープルだけらしいから、バットメーカーさんは表向きは、「メープル禁止? 別にいいんじゃね。ウチが販売してるのは低比重タイプだけじゃないし」とか平静を装ったコメントをしているが、たぶんそれは表向きだけだろう(笑)
なぜって、最初に低比重だけを禁止にしたとしても、来シーズン以降に、より高比重のメープルでもあいかわらず事故が起き続けることがわかれば、やがてメープルバット全体が禁止になるのは、目に見えているからだ。
ただ、メープルバットを全面禁止にしないのは、メープルの使用率が上がってしまっているために、メープルバットを使用禁止にすると、MLBへのバットの供給が追いつかなくなる、という理由もあるらしい。(資料:ユニバーサルスポーツ店長日記 最近のアメリカのバット事情



以下に軽くメープル製バットが使われだした経緯をまとめておく。

もともと使い出したのは、10年ほど前、1999年のバリー・ボンズらしい。バリー・ボンズのホームラン記録で、ステロイドは禁止になったが、メープルバットは禁止にはならなかった、というわけだ。

従来MLBでよく使われてきたバットは、タモの一種で、ホワイトアッシュが中心だったが(他にヒッコリーなどもあるにはある)、ホワイトアッシュは折れやすかった。(たしかにゲームで見ていると、粉々に砕ける感じで折れる)
そこでホワイトアッシュより固く、より遠くに打球が飛ぶ(と、思われている)メープルを、バリー・ボンズにならって使う選手が増えた。ちなみに、イチローも使っているアオダモは、しなりが生じるために、打球を遠くに飛ばす能力は低い(と、ブログなどによく書かれている)。

だが、メープルは、その固さという特性が災いして、折れやすく、また、折れ方がホワイトアッシュやアオダモとまったく違う。
一般的に言えば、折れたバットが、縦に裂けるように、鋭利に尖る形で折れ、その折れたバットが、かなり遠くまで飛んでいって、人体に刺さる事故を起こす可能性が高い、ということだ。


それにしても、来シーズンからはHGH(ヒト成長ホルモン)の判定のための血液検査も実施するというし、血液検査、メープル禁止と、MLBをめぐる状況の変化は、このところちょっと目が離せない。MLBで今なにかが変わろうとしているのは確かだ。




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