April 02, 2012

Spring Training in Florida今シーズンのダグ・フィスターは登板するたびに2、3、4と、少しずつイニング数を増やしてきたのだが、4月1日STヒューストン戦で6イニングを投げ、4安打(1ホームラン)で、1失点。
初めて先発投手らしいイニング数を投げたわけだが、ピンチはあっても失点はしないフィスターらしい内容で、いつでも本格的なシーズンインができる状態に近づきつつあるようだ。ちょっと四球が多かったのが気にはなるが、ST通算被打率.192なのだから、内容は十分すぎる。
デトロイトの先発ローテーションは、不動のエース・バーランダーはともかく、去年180イニングちょっと投げたが、ERA4.75と、優勝チームのローテ投手とは思えない数字(苦笑)に終わってしまったリック・ポーセロが、このSTでは17イニング投げてERA1.59と好調な滑り出しなために、バーランダー、フィスター、ポーセロの3本柱で今年はかなり行けそうな感じ。
ただ・・、マックス・シャーザーは、今年もちょっとダメかも(苦笑)
Houston Astros at Detroit Tigers - April 1, 2012 | MLB.com Classic

Major League Baseball Stats | tigers.com: Stats


それにしても、デトロイトはよく打っている。

今日はアストロズ、メッツとの変則ダブルヘッダーで、STだから当然チームの主力を2チームに分けてゲームしているわけだが、それでも11安打、13安打と、2試合で24安打。
打率はもともと高いチームだが、ホームランが出やすくなってきたことがスプリング・トレーニングでの得点力を上げている。大怪我をしてしまった去年の打線の功労者ビクター・マルチネスを欠いているというのに、これだから、これは相当打てる。


ただデトロイトは、本来は、地区優勝するためには投打のバランスが必要なチームだと思う。

2011年デトロイトのチーム打率.277は、ア・リーグ3位。ア・リーグ屈指の「ヒットの打てるチーム」のひとつなわけだが、ホームランは169本で、リーグ平均の162本とほぼ変わらない。
デトロイトより打率が高い2チームは、テキサス、ボストンだが、デトロイトのホームラン数は、この打率トップ2と比べ、30〜40本少ない。二塁打数はボストンがずば抜けている。
テキサス、ボストンの本拠地の狭さを考えると、打率上位3チームの打撃力に、実は、大差はない。(実際、パークファクターで補正したOPS+でみると、ホームランの少ないデトロイトが、ホームランでデトロイトを引き離したテキサス、ヤンキースより上位)
打率上位3チームの打撃スタッツの「見た目の差」は、パークファクターの差が現れたにすぎない。
2011 American League Season Summary - Baseball-Reference.com

だが、野球において、チームの立場で最終的に争うのは、「グロス」であって、「得点の数」や「勝ち負け」だ。
OPSのようなデタラメな数値を、やはり欠陥のあるパークファクターで補正することでOPS+に変換して、いくら「デトロイトには、テキサスやボストンと同程度の得点力が備わっていること」がわかったとしても、ワールドシリーズ優勝を目指すコンテンダーの立場としては、試合に負けてしまっては、それは数字いじりに過ぎず、何の意味もない。
前に書いたように「チームの視点」と「プレーヤーの視点」は大きく異なるわけだが、「チームの視点」から見たとき、「補正」という行為に、実はあまり根本的な価値はない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:指標のデタラメさ(OPS、SLG、パークファクターなど)

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年9月3日、チームというマクロ的視点から見たとき、「出塁率」を決定している唯一のファクターは「打率」であり、四球率は無関係、という仮説。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年11月10日、「パークファクター」という数字の、ある種の「デタラメさ」。


ホームラン数の違いは、どうしてもチームの「見かけの得点数」には影響する。
2011年の得点数上位3チームは、打率が高く長打も多いボストン、打率はリーグ平均以下だがホームランの多さで得点力を補ったヤンキース、ア・リーグ最高打率と長打も豊富な逸材溢れるテキサスで、これら3チームが揃ってシーズン850点以上を叩きだしたが、打率は高いのにホームランは平均レベルの4位デトロイトは787点で、上位3チームと比べると、デトロイトの得点は1段階落ちる。(リーグ平均は723点)
この「見た目の得点数」の差が生じる原因は、繰り返しになるが、チームの打力の本質的な差ではなくて、主として「本拠地の違い」でしかない。


では、デトロイトは、「テキサスやボストンとの、見た目の得点数の差」にどう対処しようとしているのか。今シーズンのデトロイトは、「得点をさらに増やしたい」のか、それとも「失点を減らしたい」のか。
もしデトロイトが得点力をあと10%くらい上げることで、ボストン、テキサスに匹敵する得点数を得ようと思うと、本拠地がヒッターズ・パークではない以上、多少予算に無理してでも、他のコンテンダーを上回る多額の投資が必要になる。つまり、単純化して言うと、他のコンテンダーの主軸打者よりも良い数字を残せるスラッガーへの投資が必要になるわけだ。
まぁ、だからこそデトロイトはプリンス・フィルダーに大金を投じてラインアップに加えたわけだが、これはこれでひとつの選択ではある。
(いちおう断っておくと、ブログ主は、フィルダーのいなかった去年でも結構打てていたデトロイトは、なにより先に、あのふがいないブルペンにもう少し手を加えておかないとダメだと思っている)


あくまでデトロイトは「投打のバランス」を見ていかなければならないチームだ。
本拠地のコメリカパークを大改装して、フェンウェイやアーリントン並みの狭いボールパークにでもしないかぎり、デトロイトは「多少相手に打たれて失点しようとも、長打を打ちまくれる打線を作って、相手よりも多く得点を挙げ、打ち勝てる野球」を目指すわけにはいかない。
投打のバランスの必要なデトロイトは、「打率が低く、しかもホームランも20本前後しか打てないハンパなスラッガー」を大金かけて揃えてズラリと並べるような、雑な野球を目指すことはできないと思う。
(これは他の大半のチームも同じだ。だからこそ、守備もできない低打率のハンパなスラッガーの需要が激減、消滅しつつあることに、日本のメディアは気づいていない。ハンパなスラッガーが、下位チームに徐々に移籍し続けて大金を稼ぎ続けられる安易な時代は、事実終わったし、終わって当然だ)

もし、フィルダーがセンターのだだっ広いコメリカパークで思ったほどホームランを打てず(というか、ソロホームランが20本程度増えようが、チームは思ったほど勝てるようになどならない)、フィスターやポーセロの勝ち星が伸び悩むような事態だと、デトロイトの今シーズンのチームデザインは本来の投打のバランスを欠いて、大コケすることになる。
だからこそ、給料の安いダグ・フィスターが先発に加わって、安いコストでチーム防御率が下げられることの意味は、はかり知れないくらい大きい
(勘違いしてはいけないのは、球場が広いことが、投手有利を意味するとは限らないことだ。広いボールパークなら長打は出にくくなるとは限らない。例えばセンターが広いコメリカパークでは、三塁打が非常にでやすい。だからこそ、コメリカパークで、フライを打たせないグラウンドボール・ピッチャー、ダグ・フィスターが投げることに価値が出てくる。)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月31日、「広い球場は、投手有利」というのは、ただの固定観念にすぎない。だからこそ、せっかくグラウンドボール・ピッチャーに変身を遂げたダグ・フィスターを売り払ってまでして外野手を補強してしまうシアトルは、どうしようもない馬鹿である。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年8月1日、「ダグ・フィスターはやたらとランナーを出していた」というのはウソ。最もランナーを出さず、ホームランと四球も出さないア・リーグ屈指のピッチャーが、ダグ・フィスター。



かつての「クッキーカッター・スタジアム時代」なら、どこのボールパークも、たいして変わらない形状だった。だから、ホーム、ビジター、どこのボールパークに行っても、バッターは同じように能力が発揮できたために、チームごとにデザインをカスタマイズする必要度は、今とは比べようがないくらい、格段に低かった。極端な言い方をすれば、どこのチームにいてもGMは常識的にさえやっていればそれなりに成功できた。
リンク:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「クッキーカッター」という単語を含む記事
だが、今の時代、ボールパークはチームによって特性が大きく異なる。
それだけに、クッキーカッター・スタジアム時代が終焉して以降の野球には、それぞれの本拠地の特性に合ったチームデザインが要求されているわけで、本拠地の形状や、ひいては地元ファンの要求する野球の方向性をも考慮したチームづくりくらい、やって当たり前のはずだが、しかし現実を見れば、MLBのチーム全てがそれを忠実にやってのけているかというと、そんなことはない。
中には、数字に強いフリ、投資手法に通じているフリをして、実際には、そのチームにそぐわない、思いつきみたいな机上のチームデザインを平気でやろうとして、何シーズンにもわたって大失敗し続け、言い訳し続けた挙句に、チームを破壊して首になるジェネラル・マネージャーだって、後を絶たない
セーフコのような広めのボールパークを本拠地にしたチームが「守備だけしかできないプレーヤーに大金を払って、攻撃力をまったく犠牲にしてしまい、大失敗する」だの、その反動でこんどは「たとえチームの基本財産となる投手力が大きく下がるのを黙認してでも、先発投手を放出してバッターを集めまくり、何年もかかる長打増加に必死になる」なんていう、バランスを欠いたチームデザインが、どれほど馬鹿げているか。あえて言葉にするまでもない。


広いボールパークを本拠地にするチームが(または平均的なボールパークでもいいが)ワールドシリーズに勝てるチームデザインを、誰かがきちんと発明・確立しないかぎり、狭いボールパーク優位な時代が続いていくのは、野球ファンとして悲しむべきことだと思うから、デトロイトには頑張ってもらいたい。
(そういう意味では、日本のプロ野球で、本拠地がだだっ広いにもかかわらず2連覇を達成できた中日ドラゴンズのチームデザイン手法の持つ価値は、きちんと論ずべき価値があるが、残念なことに、いつも元監督にして天才打者の落合博満氏に対する個人的な好き嫌いだけに話が矮小化されてしまい、きちんと論じられた試しがない)


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