April 30, 2012

これまでこのブログで最も多くの記事を書いたシアトルとイチロー以外のチームや選手というと、たぶん、ロイ・ハラデイクリフ・リーが筆頭で、それ以外では、テキサスデレク・ホランドボルチモアバック・ショーウォルターあたりだろうと思う。


まだ4月で、そのうち息切れするとはいえ、ボルチモアが開幕ダッシュを決め、ア・リーグ東地区首位に立つとは誰も予想してなかっただろう(笑)

これまでのボルチモアといえば、早いカウントでの無造作で大振りなバッティング、エラーの多発する守備、ホームランを打たれてばかりの先発投手に象徴されるような、「大いに勢いはあるものの、結局のところ、どこまで行っても雑すぎる野球」だった。

だが、2010年にバック・ショーウォルターを監督に迎え、さらに翌2011年末には、元ボストンGMのダン・デュケットを3年契約でGMに迎えるなど、ボルチモアは着々とこれまでの大雑把過ぎたチーム体質の改善に着手してきた。
その効果は、ついにここにきて目に見える形として現れ始めており、ボルチモアは長年の課題だった投手陣再建にメドをつけつつある。


ボルチモアがチーム改革のために手をつけたポイントは多い。逆にいうと、ここまできちんと手を打たないと投手陣、ひいてはチームなんてものは生き返らないということでもある。

● GMと監督のテコ入れ
● 的確な選手評価のできるスカウト確保
● ピッチングコーチのテコ入れ
● トレードによる先発投手の入れ替え
● 投手の再教育による防御率改善
● キャッチャー、マット・ウィータースの成長
● 配球や持ち球の見直し コミュニケーションの改善
● グラウンドボールピッチャーの育成



GM ダン・デュケット
2011年11月〜
元ボストンGM。ボストンが2004年ワールドシリーズ制覇したチームの人材のほとんどが、このダン・デュケットの手がけた選手たちで、去年までボストンGMだったテオ・エプスタインの手腕など、ほとんど関係ないこと、そして「マネーボール」という映画のくだらなさ(笑)については、既に詳しく書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年11月8日、ボストンの2004年ワールドシリーズ制覇におけるダン・デュケットの業績を振り返りつつ、テオ・エプスタイン、ビル・ジェームス、マネーボールの「過大評価」を下方修正する。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「デュケット」を含む記事


監督 バック・ショーウォルター
2010年7月〜
以下の記事参照。これまで何度も書いてきたので省略。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「バック・ショーウォルター」に関する記事


ピッチングコーチ
リック・アデア Rick Adair
2011年6月就任。
言うまでもなく、2008年から2010年までドン・ワカマツ監督時代の元シアトル・マリナーズのピッチング・コーチをつとめ、ダグ・フィスターブランドン・モロージェイソン・バルガスなどの育成に関わった。2011年以降はボルチモアでブルペンコーチをしていたが、前任者辞任のため昇格。
(ちなみに前任者Mark Connorは、2008年8月にテキサスのピッチングコーチをクビになり、その後就任したボルチモアのピッチングコーチも2011年6月辞任)
Mark Connor Resigns | Orioles pitching coach Mark Connor resigns - Baltimore Sun


talent evaluator
ダニー・ハース Danny Haas
2011年にボルチモアのGMになったダン・デュケットが、就任直後の12月に古巣ボストンから引き抜いてきた。元アトランタのファーム監督だった父親Eddie Haasも、talent evaluator。
この人材がその後のローテ投手のトレード成功にどの程度生きているのかは不明だが、少なくとも、今シーズンのボルチモアのローテーション・ピッチャーがこれまでとはひと味違うのは確か。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年12月20日、テオ・エプスタイン一派の「談合的人事」をバド・セリグが拒絶。それを尻目に、ボストンからスタッフを引き抜いた元ボストンGMダン・デュケットの抜け目なさ。


右腕 ジェイソン・ハメル
3勝0敗 ERA1.73
GO/AO 2.06
2012年2月にコロラド・ロッキーズからトレードで獲得。
放出したのは、2007年から2011年までボルチモアに在籍し、いちおうエース格だった「被ホームラン王」ジェレミー・ガスリー。ハメルの活躍を見るかぎり、コロラドのピッチングコーチはもしかすると無能なのかもしれない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年6月2日、3回という早いイニングで敬遠したバック・ショーウォルターの慎重な「イチロー対策」。ジェレミー・ガスリーの被ホームランの多さ。
ボルチモア移籍後のハメルは、.194の驚異的な被打率。前年2011年のWHIPが1.427と酷いのに対して、2012年のWHIPは、なんと1.000(4月28日現在)。この変身ぶりにはちょっと驚かされる。コロラド時代、QS%が60%を超えたことは一度もないが、ボルチモア移籍後はなんと75%。
この背景にあるのは、2シームを覚えたことによるグラウンドボール・ピッチャーへの転身
Jason Hammel Pitching Statistics and History - Baseball-Reference.com


左腕 チェン・ウェイン
2勝0敗 ERA2.22
GO/AO 0.50
日本の中日ドラゴンズからFA移籍。現状フライボール・ピッチャーなのが気になるし、1.315というWHIPも、ほめられた数字ではないが、それでも、ERA2.22にまとめてくるあたりが、かつて投手王国中日ドラゴンズの主力投手だった経験の豊かさを感じさせる。
もし故障で絶望の和田毅が、MLBで多少なりとも使えるピッチャーだったとしたら、今シーズンのボルチモアの先発投手陣は凄いことになっていたかもしれない。
Wei-Yin Chen Statistics and History - Baseball-Reference.com


正捕手 マット・ウィータース
打率.274 13打点 6ホームラン
2007年のドラフト1位。有望な素質に恵まれ、ベースボール・アメリカのマイナーリーグ年間最優秀選手賞を受賞。2009年5月29日にメジャー昇格したが、期待されたほどの活躍をしたとはいえなかった。
しかし、バック・ショーウォルター監督就任後の2011年は、守備面の大幅な改善、あるいは投手とのコミュニケーションの大きな改善がみられ、セイバー系のうるさ型が選ぶFielding Bible賞を、この賞常連のヤディア・モリーナを抑えて受賞。2012年は、もともと期待され続けてきた打撃面の開花も、可能性が見え始めている。


ここに挙げたボルチモア投手陣再建ポイントのうち、最も大きいと思うのは、「チーム全体のシステムが整ったこと」
もっと具体的にいえば

やたらとホームランを打たれまくり、ア・リーグの被ホームラン王ベスト3に入っていたジェレミー・ガスリーに見切りをつけたこと。

ガスリーとのトレードで誰を獲得するかについて、きちんとした目付け、発掘ができていること。

コロラドから獲得してきたWHIPもERAもけしてよくなかったジェイソン・ハメルを、きちんと再教育し、持ち球や配球を改善したこと。キャッチャーのマット・ウィータースも再教育して、投手とキャッチャーとの間の良いコミュニケーションをキープさせたこと。



こういう作業は、言葉で言うのは簡単だが、ボルチモアがそれを実現するためには、ここまで書いてきたように、目標の見直しと、かなりの数の人材の入れ替えと、再教育が必要。
ボルチモアがやっているのは、「大金かけて良い選手を獲得してくること」でも、「明らかな成績を残した若い選手を放出し、かわりに、欲しい選手を交換してくるような、わかりきったトレード」でもない。
そんなこと、誰でもできて当たり前だ。

「超守備的」だの「育成」だのと称して、貴重な先発投手を放出しまくるのだけが大好きな無能なGMが既に大失敗しているのにもかかわらず、それをクビにもせず、無能な腰ぎんちゃくの監督が、自分の連れてきたピッチングコーチと馴れ合った中途半端なゲームで、スカウティングもできないゲームばかりやって、ホームランを打たれまくり、1番打者が適任のレジェンドには3番を打たせる意味不明の起用を押し付けて3000本安打の大記録さえ故意に遠ざけるような異常なチームとは、ボルチモアは根本的に違う。

何を目的にしているのか、ボルチモアの「テコ入れ」には、周囲からも目指すものがわかりやすく見えている。
(この記事の続編で、リック・アデアやマット・ウィータースの証言から、「ジェイソン・ハメルが、コロラド時代とはどう変わったのか」を具体的に書く予定)


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