April 30, 2012

今シーズンのボルチモアがどう変わったのかについて書いた前記事に続き、こんどは、コロラドでは「防御率4点台後半の、パッとしない先発ピッチャー」でしかなかったジェイソン・ハメルが、ボルチモアでどう変わったのかについて、キャッチャーのマット・ウィータースと、ピッチングコーチのリック・アデア、そしてハメル本人の具体的なコメントを見てみる。


ポイントは3つ。

● かつて投げていたが、やめていた2シームを
  移籍後のスプリングトレーニングでモノにできた
● グラウンドボール・ピッチャーへの変身
● コーチ、投手、キャッチャーの意思疎通


以下は、ジェイソン・ハメルが4月初旬に8回までノーヒッターを続けたゲーム後のインタビューだ。
Steve Melewski: Matt Wieters and Rick Adair talk about Jason Hammel
まず、キャッチャーのマット・ウィータースのコメント。
(原文より関係個所を抜粋。以下同様)
"In spring training, you could tell he had good stuff, but you are always constantly working on things. He did a great job of pitching to his strengths and getting a lot of groundballs. "
「スプリングトレーニングで、彼にいい持ち球があることはわかってたといっていいと思うけど、彼は絶えず努力もしてた。今日は彼の強みをより生かすピッチングができてたから、たくさんのゴロを打たせることができた。」


次に、ピッチングコーチのリック・アデア
Steve Melewski: Matt Wieters and Rick Adair talk about Jason Hammel
Did you think the two-seamer would be a big factor for him when the club acquired him after the trade?
"Never thought about it because he threw some four-seamers that actually had two-seam action. With some other things he's done, he's got the ability to get on top of the ball a little easier now. Just going to the two-seamer, it worked out and he's pretty excited about it."
彼をトレードで獲得したとき、2シームが彼の活躍の大きなカギになると思いましたか?
「まるっきり思わなかった。彼は既に2シーム的な動きをする4シームも投げてたわけでね。彼にはもともと楽に2シームを使いこなせるだけの能力が備わってたんだ。だから2シーム使いになろうと決めるだけで、それを実現できたことに、彼はとても興奮してたね。」

What did you see that led you to think you could tweak some things with Hammel to improve his two-seamer?
"Probably the first thing I thought about is he reminded me a lot of Doug Fister. And some things that were done with Doug (when he was his pitching coach in Seattle in 2009-10). It's worked out pretty well with Fister until he pulled his oblique yesterday. But, yeah, they reminded me a lot of each other."
なんらかの調整によってハメルの2シームを改善できると思ったきっかけは何でしたか?
「たしか最初に思ったことというと、ハメルを見てダグ・フィスターを思い出したってことじゃなかったかな。(シアトルのピッチングコーチ時代の2009年から2010年にかけて)ダグとやってたことと似てるんだ。昨日フィスターは筋肉を傷めちゃったけど、彼の場合、かなりいい結果がでてるわけだしね。ハメルとフィスターには強い共通点を感じるよ。



で、これらのことについて、当のジェイソン・ハメルがどう言っているか。
Steve Melewski: Jason Hammel talks about his no-hit bid against Minnesota
"Two-seamer is something I just started using again in spring training. "
「2シームは、(移籍後の)スプリング・トレーニングからまた使い始めた球種なんだ。」
Battled through a couple of control problems for a little bit but the two-seamer helped me out a lot getting sinker, ground ball and quick outs. "
「(今日のピッチングは)コンロトールに若干問題があって苦労もしたけど、2シームが僕を助けてくれたから、低めに球を集めて、ゴロと早いカウントでうちとっていくピッチングができた」
"That is definitely the most of my career," Hammel said of the 16 ground outs."
16個のゴロアウトについて、「間違いなくキャリア最多だろうね」とハメルは言う。
"Just small, small adjustments I made with Rick in my windup and delivery. He said 'I bet you can throw a two-seamer now.' I told him I had pretty much put it in my back pocket in Colorado.
「ワインドアップと投球フォームについて僕が(投手コーチの)リックとやったことは、ちょっとした、そう、ほんのちょっとした調整にすぎなかった。リックが言うには『(こんな、ほんのちょっとの調整で)君は2シームをすぐに投げられるよ。保証する』って言うんだ。だから僕は彼に『(トレードされる前に所属していた)コロラドでは(2シームを)お尻のポケットにすっかりしまいこんでた、それだけさ』って言ったのさ」


上のコメントで特に印象深いのは、2つ。
ひとつは、ピッチングコーチのリック・アデアが、ジェイソン・ハメルのプライドを傷つけないように、むしろ、彼のプライドをくすぐるように配慮しながら、結果的には、ジェイソン・ハメルが自分で「あれは微調整だ」と思っている以上に、彼のピッチングスタイルを大きく改善・変更することに成功していること。
そして、かつて在籍していたシアトルでコーチしたダグ・フィスターの名前を挙げつつ、ジェイソン・ハメルのスプリングトレーニングでの成果について、「かつてダグ・フィスター(との間で成し遂げた成果)を、大いに思い起こさせるものがあった」と述べていることだ。


フィスターの大成がリック・アデアの功績だったかどうかについては、本人の努力や、クリフ・リーという「教師」の存在、デトロイトのコーチの貢献をさしおいて、「移籍先のデトロイトでのダグ・フィスターの活躍は、元はといえば、オレがシアトルで彼を育て上げていたからだ」といわんばかりの自慢話には、多少の違和感というか、我田引水的な贔屓の引き倒しを感じないでもないが、事実、シアトル時代にストレート一辺倒だったブランドン・モローのピッチングを改善しようと、モローにカーブをもっと投げさせようと提案したのは、ほかならぬリック・アデアだったことは、過去のシアトル地元記事からも事実だ。
だから、人によってリック・アデアの評価に差はあっても、ダグ・フィスターのピッチングの幅を広げるにあたってのリック・アデアの貢献を多少なりとも認めるとすれば、ジェイソン・ハメルとのコミュニケーションにおいても、リック・アデアらしいソフトなコミュニケーション能力が生きた、ということが言える。(だからといって、リック・アデアをコーチングの天才と崇めたいわけではない)


要は、普通に対策をして、普通に物事を改善していけば、中にはビックリするほど良化、開花できる素材がある、ということだ。シアトルのように単調な指導ばかりしていれば、どんな好素材も、いずれ役立たずになる。


Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です

Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
Categories
ブログ内検索 by Google
ブログ内検索 by livedoor
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month