June 07, 2012
動画:Baseball Video Highlights & Clips | SEA@LAA: Ichiro's solo shot adds an insurance run - Video | MLB.com: Multimedia
エンゼルス戦でイチローが4号ダメ押しホームランを打って復調気配を見せたわけだが、ダグアウトに帰ってきたイチローを待っていたのは、チームメイトたちのたくさんのハグだった。
いままでアホほどたくさんのイチローの出場ゲームを見たが、これほどホームラン(あるいは好打)の後でハグまくったイチローを見たことはない(笑)
この、珍しくほのぼのとした事件(笑)でわかったことは、「態度に表わすことこそ滅多にないが、実は、たくさんのチームメイトが、イチローのバッティングを心配していた」ということだった。(イチローに言わせれば、たかが3試合くらいで重くなってんじゃねぇよ、うっとおしい。とのこと。いやー、失礼、失礼 笑)
以下は、イチローにしてみれば「そんなの晒してじゃねぇよ」とイヤがる画像だとは思うのだが、まぁ、チームスポーツなんだし、10年に一度くらい、こういう照れくさい経験があってもいいと思う(笑) いくつか某巨大掲示板から拝借し、のっけておく。
Seattle Mariners at Los Angeles Angels - June 6, 2012 | MLB.com Classic
そもそも、ホームランの後でダグアウトがハグ大会になった一因は、ミゲル・オリーボ。ダイヤモンドを一周してダグアウトに戻ってきたイチローが当惑するのにもまるでかまわず、ヘルメットを脱がしてやるわ、うれしげに肩を叩きまくるわ、ハグしまくるわ、カメラ目線だわで、大騒動だったのが発端である(笑)
続けて、ハグしたのはマイク・カープ、マイケル・ソーンダース、川崎といった面々。普段ありえないようなハグ大会が続いた(笑)
ちなみに、ダグアウトに戻ってきたイチローを最初に出迎えたのは、ヘスス・モンテーロの笑顔。今シーズンの開幕戦を東京で見た人たちなどはわかっていると思うが、試合直前にバッティングゲージに入る前のウオームアップで、イチローの身近にいて軽く談笑などしながら一緒に動いているのは、実は若いモンテーロだったりする。
まぁ、結局のところ、3番から1番に戻って、ホームランをいきなり2本打ったままパタリと途絶えていたイチローのバッティングについて、多くのチームメイトが心配し、ハラハラしていた、ということが非常によくわかったのである(笑)
やっぱりベテランの存在はありがたい、と思わせるミゲル・オリーボの祝福ぶり。
イチローによくバッティングのことを聞きにくる「弟子」のソーンダースも、イチローのホームランを目に見える形で喜んだ。
やたらとチームメイトに喜ばれて、かえってはにかむイチロー
ブログ主がこの4号ホームランを天晴と感じたのは、このホームランがスピードボールをチカラまかせに弾き返したのではなく、チェンジアップを打ったものだったからだ。
チェンジアップという球種は、りきみかえっていては打てない。ちょっとゆとりをもっていないと、あっさりやられてしまう。6月のイチローはちょっと肩に力が入り過ぎていた。
自動車には「ギア」というものがある。
「エンジン」で起きる爆発のパワーを、「ギア」を通じて状況にあった適切な走行能力に変換することではじめて、クルマは自在に走ることができる。
今シーズンのイチローの、守備の素晴らしい身のこなしを見て、疑いなく見てとれるのは、イチローにとっての「エンジン」、つまり「身体能力」そのものは、38歳の今もまったく錆びていないことだ。むしろ今シーズン、体調そのものは非常に好調なのだろう、と思う。
だが、である。
どういう理由でそうなるのかがわからないので困るのだが、そのせっかくのイチローの天才的な身体能力が、うまくプレーに発揮されていないもどかしさがあった。(実はこのことは今日のエンゼルス戦の前にちょっとピンときて、ちょうどブログに書こうとしていた)
クルマをマニュアルギアで運転している人はわかると思うが、走り出した直後の加速においては、ローギアでゆっくり走り始めて、それからギアを上げながらスピードを上げていかないと、いくらエンジンに並外れた最高性能が備わっていても、ギアが適性でないと、高速道路に乗ることができないどころか、まともにスピードを上げることすらできない。
イチローは、車体の重いへヴィなアメリカ車ではなく、軽量だが、高性能エンジンで非常に速度の出る「スポーツカー」だ。
そしてイチローは責任感が強い。
だから、いくら表面的には「僕は3番であろうと、自分らしくやるだけですよ」とコメントしていたとしても、心の内側では、自分に対して非常に高い義務を課してしまう(と、想像される)。
そもそもイチローは、たとえ3番であろうとなかろうと、試合でトップギアに入っている自分を観客に見せることを義務だと常に思っていることだろう。
だからこそ、よけいに肩に力が入ってしまい、すぐにトップギアに入れてしまうようなことも起きるのではないか、と思うのだ。
だが、アスリートは自分でもわからないうちに調子が落ちてしまうことがある。スポーツカーというものは、常にトップギアで走れるわけではない。突然エンジンの回転数が落ちてしまうような、意に沿わないハプニングも起こりうる。
言いたいのは、エンジンがピカピカなのに、なぜか不調な、摩訶不思議な状態のときこそ、トップギアに入れたまま乗り切ろうと無理してはいけない、ということ。
去年も、4月非常に好調に見えたイチローのその後の不調ぶりについては、長いこといろいろ考えたものだが、最近になって最終的にやっと落ち着いたのが、この提案だ。
時に、あえてギアを落とし、ローギアで。
今日の第3打席で、バット先端でかすってスピンする打球が、ショートのエラーを誘って出塁したが、その後でタイムリー、ホームランと、2本のヒットが出た。
いったい何をさして「ローギアのプレー」というのか、ブログ主にもまだハッキリ指摘するなどできないが、よく「きっかけ」という言葉で説明されがちなこういう偶然も、ある意味ひとつの「ローギア」のプレーなのは、間違いない。
なにも、不調だからセフティバントをしたほうがいいと言っているのではない。肩の力を抜く、というほうが、よほど近い。