June 20, 2012

チェイス・フィールドで行われた2012年6月19日のアリゾナ戦で、イチローが、第1打席でセンター前ヒットを放ち、MLB通算2500安打を達成した。その後も、2本の二塁打を含む4安打2打点の活躍をみせ、延長10回表のダメ押しタイムリーツーベースで接戦を締めくくってみせた。



イチローMLB通算2500本安打達成


動画Ichiro's historic night
Seattle Mariners at Arizona Diamondbacks - June 19, 2012 | MLB.com Video

動画Seattle Mariners at Arizona Diamondbacks - June 19, 2012 | MLB.com Classic

チーム公式サイトIchiro Suzuki back in lineup, collects 2,500th hit | Mariners.com: News

MLB公式サイトSeattle Mariners at Arizona Diamondbacks - June 19, 2012 | MLB.com SEA Recap

ESPNSeattle Mariners vs. Arizona Diamondbacks - Recap - June 19, 2012 - ESPN

Ichiro Milestone: Fourth Fastest To 2,500 Hits | Seattle Mariners

かつてイチローのチームメートだった対戦相手アリゾナの1番打者ウィリー・ブルームクイストの試合直後のコメント

"You can sit and analyze Ichiro's swing until you are blue in the face and you are never going to figure it out," said D-backs shortstop Willie Bloomquist, who spent seven years with Suzuki in Seattle.
イチローのスイングは、たとえ腰を落ち着けて、精も根も尽き果てるまで分析したとしても、けして理解することなんてできないさ。」と、イチローとシアトルで7シーズンを過ごしたダイヤモンドバックスのショートストップ、ウィリー・ブルームクイストは言う。

"He cues the ball off the end of the bat for a double down the line. There is no rhyme or reason for it. You try to play him opposite way a little bit assuming he is going to slap a ball in the hole, and it's a 10-hopper up the middle that gets through.
「彼は、まるでビリヤードのキューでボールを突くみたいにバットの先端を使ってライン際に二塁打を打った。あれを言葉で説明するなんて不可能だ。
もし、イチローがボールを叩きつけてゴロをレフト方向に打って出塁しようとしていると仮定して、(レフト打ちさせない配球をするとか)ちょっと違うアプローチで彼を手玉にとろうとしても、こんどは野手の間をセンターに抜けていく地を這うようなヒットを打たれるんだ。」
(ブログ注:
slap slap hitterは、主にソフトボールなどでよく使われるバッティング用語。左バッターが走り出しながらボールをレフト方向に「大きく跳ねるゴロ」を打ち、出塁する技法。打球が大きくバウンドする点に特徴がある。
hopper:a hit that travels along the ground. 「地を這うような」ゴロのヒットのこと。「大きくバウンドする打球」であるslap hitとは180度対称的な打球)

"That's just the element he brings to the game. You can't cheat too much one way or the other with him, because he is that good, where he is able to find holes and figure out ways to get hit. He hasn't gotten 2,500 hits over here for nothing. He's obviously a craftsman at work all the time when he is up there."
「そういうものにしたって、彼の野球スタイルのほんのひとつの要素に過ぎない。どうにかして彼の目をくらまそうとしたって、うまくはいかない。なぜって、彼は(どんなに包囲網をしこうと、必ず)突破口をみつけ、ヒットを打つ方法をみつけることができるからなんだ。
イチローは、何もしてないのに2500ものヒットを打てたわけじゃないんだよ。彼は言うまでもなく職人だ。常にトップクラスにいるかぎり働き続ける職人なんだよ。」

Ichiro gets to 2,500, spoils D-backs' big game


His 3,778 hits are the third-most among professional players in either country, seven more than Henry Aaron and trailing only Pete Rose (4,256) and Ty Cobb (4,191).
「彼の(日米通算)3778本のヒットは、日米両国を通じて3番目に多い。ハンク・アーロンよりも7本多く、彼の上にいるのはもはや、ピート・ローズ(4256本)、タイ・カッブ(4191本)の、たった2人だけだ。」

Notebook: Ichiro gets 2,500th hit for Seattle » The Commercial Appeal



イチローの2500安打は、試合数ベースで見ると、史上4番目の達成スピードと安易に言う人がいるわけだが、ブログ主の考えは違う

「近代野球の2500安打」においてはイチローが、議論の余地なく、ナンバーワンだ。

これは身内を贔屓して言うのではない。上位3人の時代の野球は、今とはスタイルや試合のシステムも違う。

例えば、上位3人が2500安打を達成した20世紀初頭のMLBは「1シーズンのゲーム数」が、現在のMLBより少ない。また、それらは、セントルイスよりも西にはMLB球団がまったく無かった「MLBのフランチャイズが非常に狭いエリアに固まって限定して存在していた時代の記録」だ。

なにか、現在よりゲーム数が少ない時代に2500安打を達成したほうが偉いとか、勘違いしている人が多数いるようだが、20世紀初頭のMLBはシーズン中の試合の開催密度が現在より低く、また、チームの移動距離の負担もずっと小さい。
そういう「現在より、はるかにのんびり野球をプレーしていた時代の記録」を、「近代野球」に含めて考え、イチローの2500本安打を「達成にかかった試合数では、近代野球では4番目」とするのは、あまりにも安易すぎる。


だから、ブログ主は、たとえ20世紀初頭のMLBの1シーズンの試合数が現在よりもほんの少しばかり少ないにしても、「近代野球における2500安打」というとき、真に「近代野球」と言えるのは、MLBが1950年代以降に西海岸に向かって次々と拡張された結果、「全米全域に球団が点在するようになって、MLBが真の意味で全米レベルでの拡張を終えて以降」を、「近代野球」と考える。

だから、イチローのこの「たった12シーズンでの2500安打達成」という記録の「密度」は、近代野球として初めて達成された快挙といってよく、Unbreakable 今後も破られることはない記録だ。
現実に、連続したシーズンで打ったヒット数は、連続した4シーズンのヒット数から、果ては連続12シーズンで打ったヒット数まで、どこをとっても、イチローがMLB歴代ナンバーワンなのだ

MLB連続シーズン安打数記録(歴代)

連続4シーズン
1位 930本 イチロー (2004-2007年)
2位 918本 Bill Terry (1929-1932)
3位 899本 George Sisler (1919-1922)

連続5シーズン
1位 1143本 イチロー (2004-2008)
2位 1118本 Chuck Klein (1929-1933)
3位 1103本 Bill Terry (1928-1932)

連続6シーズン
1位 1368本 イチロー (2004-2009)
2位 1313本 Willie Keeler (1894-1899)
3位 1301本 Jesse Burkett (1896-1901)

連続7シーズン
1位 1592本 イチロー (2001-2007)
2位 1526本 Jesse Burkett (1895-1901)
3位 1517本 Willie Keeler (1894-1900)

連続8シーズン
1位 1805本 イチロー (2001-2008)
2位 1719本 Willie Keeler (1894〜1901)
3位 1713本 Jesse Burkett (1894〜1901)

連続9シーズン
1位 2030本 イチロー (2001〜2009年)
2位 1905本 Willie Keeler (1894-1902)
3位 1891本 Jesse Burkett (1893-1901)

連続10シーズン
1位 2244本 イチロー (2001-2010)
2位 2085本 Rogers Hornsby (1920-1929)
3位 2074本 Paul Waner (1927-1936)

連続11シーズン
1位 2428本 イチロー (2001-2011)
2位 2293本 Paul Waner (1927-1937)
3位 2265本 Pete Rose (1968-1978)

連続12シーズン
1位 2500本以上 イチロー (2001-2012)
2位 2473本 Paul Waner (1926-1937)
2位 2473本 Pete Rose (1968-197)



試合数ベースでイチローより達成スピードの速い3人の打者のうち、アル・シモンズと、ジョージ・シスラーの2人は、3000本安打を達成しないまま引退している。(シモンズ2927本、シスラー2812本)
イチローが次なる目標として目指す3000本安打という金字塔は、本数として凄い記録なのも確かだが、記録達成スピードとして、とてつもない記録になるのは間違いない。

通算2500安打達成スピード (試合数ベース)

アル・シモンズ   1784試合 1924-1936年
1936年9月14日達成
Al Simmons Statistics and History - Baseball-Reference.com

タイ・カッブ     1790試合 1905-1918年
1918年8月16日達成
Ty Cobb Statistics and History - Baseball-Reference.com

ジョージ・シスラー 1808試合 1915-1928年
1929年5月18日達成
George Sisler Statistics and History - Baseball-Reference.com

イチロー      1817試合 2001-2012年
2012年6月19日達成
Ichiro Suzuki Statistics and History - Baseball-Reference.com

(以下はイチローより達成スピードの遅い選手)

ポール・モリター
1825試合 1938年6月3日達成

ロジャー・ホーンスビー
1846試合 1929年5月7日達成


通算2500安打達成スピード (シーズン数ベース)

イチロー  2001-2012年
        12シーズンで2500安打達成
ジョージ・シスラー 1915-1928年 13シーズンで2653本
アル・シモンズ   1924-1936年 13シーズンで2514本
タイ・カッブ     1905-1918年 14シーズンで2522本



それにしても、今日も今日とて、監督エリック・ウェッジのおかしな選手起用がみられた。

5回表、8-5と3点リードの2死ランナー無しの場面で、ここまで5失点と単調なピッチングの先発ピッチャー、エラスモ・ラミレスに打席が回ってきたのだが、ここで監督ウェッジは、代打は出さずに、投手であるラミレスをそのまま打席に立たせた。(結果は、もちろん凡退)

普通、投手に代打を出さなかったのだから、たとえアリゾナ打線に好きなように打たれまくっている防御率5点台のさえない先発投手であっても、3点リードしたわけだし、交代させずに、もう1イニングくらい引っ張って使う気持ちになったのか? とか、思うわけだが、なんと、ウェッジは、投手のラミレスが凡退し、チェンジになった直後の5回裏に、ピッチャーを岩隈に交代させたのだ。

まぁ、なんというか、長いこと野球も見てきたが、DHのないリーグの試合終盤に、こんなわけのわからない投手起用をする監督を、初めて見た。

DHのない場合の選手起用」ってものが、まったくわかってないままインターリーグに臨んている、としか思えない。
さすが、ダスティン・アックリーのボブルヘッドデーに、当のアックリーをスタメン起用せず、不可解に思った記者に理由を聞かれて「メモするのを忘れた」などと、わけのわからない言い訳をする「イっちゃってる監督」なだけはある。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年5月25日、アックリーのボブルヘッドデーに当のアックリーを先発からはずした理由を聞かれて、「メモし忘れた」と子供だましの言い訳したファン軽視の最高の馬鹿監督、エリック・ウェッジ。



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