July 24, 2012

a lot better than you think,”
「(イチローは)君らが考えてるより、ずっと優れた選手だよ」
(FOXのシニア・ライター、ケン・ローゼンタールに、ある球団のエグゼクティブが語った言葉。Miami Marlins concede no World Series in 2012, trade players but not typical fire sale - MLB News | FOX Sports on MSN

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イチローのヤンキース移籍を知った日本人が、次にやることは、「他人がこの件をどう感じているかを知ること」だろう。

これがアメリカ人なら、なによりもまず「自分がこの件をどう感じたかを表現すること」を優先するかもしれない。国民性の違いというやつだ。


他人がどう感じているか、やたらと知りたがることの是非はともかくとして、いまの時代、スポーツ新聞の記事やテレビのコメントで垂れ流される他人の意見を鵜呑みにして、それをあたかの自分の意見みたいに吹聴してまわるような馬鹿馬鹿しいことをせずに、他人が感じているディープな感情を垣間見ようと思えば、ブログや短いツイートに表現されたものを読むだけでこと足りるものでもないことは知っておくべきだろう。

以下に例として挙げたのは、Tamblr(タンブラー)という、ちょっとアーティスティックなつくりのブログの多いSNSのツールだが、別に、このツールを宣伝するつもりで挙げるわけではない。

以下の引用例を見てもらって理解してもらいたいと思うのは、アメリカでのリアルな声だ。
彼らがTamblrならTamblrで表わす感情表現のリアルさは、必ずしもあなた方が見ているスポーツ新聞の日本人記者の書きたがる主観だらけの偏向記事と内容が違っているのはもちろんだし、MLB公式サイトのファンのマニアックで作為的なコメントとも、雰囲気がまるで違うことがわかるはずだ。
そういう偏向した人たちは、スタジアムに普通にいるファンではないし、そういう普通のファンの声を代表してもいない。

今回の移籍を他人がどう思ったか、気になるのはしかたがないとして、yahooのトップ記事や、テレビキャスターのコメントに耳を傾けるくらいなら、これを機会に、なんでもいいのだが、いままで経験ことのないコミュニケーションツールにトライして、自分で手間をかけて、リアルな「普通の人の声」を覗いてみてはどうかと思う。


きっと、さまざまな「普通の人」、特に、子供時代にイチローを知ったアメリカの若い世代の野球ファンが、どれほど今回のイチロー移籍を、哀しみ、残念がり、そして嬉しがっているかを知って、驚くことだろう。
こうした若いファン層こそ、次世代の野球を担ってくれる人たちなわけだが、そうした若い層でのイチロー支持率は高い。なぜなら、イチローは「クリーン」だからだ。

10歳に満たない子供の頃にイチローを知ったアメリカ人にとって、イチローがどれほど「特別な存在」なのかを知ってもらいたい。


Tumblrにおけるイチローに関するコメント
(以下の引用は、そのなかから抜粋したもの。ところどころにある太字は、ブログ側で添付したもの)
ichiro | Tumblr

I’ve never understood anything so emotional in a sport before… but the trade off of Ichiro Suzuki from my all time favorite team to my all time least favorite is something like the official resignation of the longest reigning idol in my life. I would be lying if I said I wasn’t chopped full of tears when I first saw him in a Yankees jersey. 11 and a half years doesn’t seem to be enough for what I believe to be the Mariner’s defining player of the 2000’s. I was only 7 years old when Ichiro joined our Emerald City team from across the sea, and as far back as my memories of the game go, they are accompanied with him. I remember my first M’s game, when I walked through the tunnel that opened to the great green field at Safeco Park and I saw Ichiro for the first time. It was a defining moment in my life. To know that I will never again step into that stadium and see him representing my city is a game changer for me. I will never look at my team, or the sport the same again.
私は今までスポーツを感情によって理解することはしてこなかった。いままでは。
でも、イチロー・スズキが私の一番お気に入りのチームから一番好きじゃないチームへトレードされたことは、人生で最も長い間、心を奪われ続けたアイドルと、正式に決別する、みたいな話だった。私はヤンキースのジャージーを着ている彼を最初に見たとき、たとえタマネギを刻んでたと、よくある言い訳をしたとしても、即座に嘘だとバレてしまうくらい、涙でいっぱいになった。11年半の歳月があったとはいえ、私にしてみれば、自分が2000年代マリナーズの絶対的存在と信じているプレーヤーと過ごす時間としては、けして十分だとは言えなかったようだ。イチローが海を渡ってこのエメラルドシティ(=シアトルのニックネーム)に来たとき、私はまだたったの7歳だった。だから、どんなに古いゲームの記憶にさかのぼったとしても、私の野球の記憶には必ずイチローの姿がある。マリナーズの試合を最初に見たときのことを覚えてる。私はセーフコの素晴らしいフィールドに続くトンネルを抜けて、初めてイチローに出会った。私の人生の絶対的な瞬間だった。私は、自分がスタジアムに足を踏み入れ、そこで彼が私の街を代表してプレーするのを見ることはもう無いのだとわかって、天地がひっくりかえる思いがした。私が自分の街のチームを見ることも、また、今までと同じ目線でスポーツを見ることも、もうないだろう。
http://cam-asher.tumblr.com/post/27899295968/ive-never-understood-anything-so-emotional-in-a


I've firmly shut the door to my room so my parents can’t see the tears rolling down my cheeks. This is the end of an era. Ichiro was the first Mariner I actively followed from his arrival here in Seattle. I was but eight years old when he burst onto the scene during the team’s magical 116-win season in 2001. I adored him. Not just for his athletic exploits, but for his character. He was above all, a humble man. He used his earnings not on flashy limos or callgirls as so many superstars now do, but on building a nice home for his parents in Japan.
頬をつたう涙を両親に見られないように、僕はドアを固く閉じた。これはひとつの時代の終わりなんだ。イチローがここシアトルに来て以来、彼は僕が積極的にフォローするようになった最初のマリナーだった。2001年にチームがマジカルな116勝を挙げたシーズンに彼が突然表舞台に踊り出たとき、僕はまだ、たったの8歳だった。僕は彼に憧れの念を抱いた。彼のアスリートとしての業績に対してだけではなく、彼のキャラクターに。特筆しておきたいのは、彼が謙虚な人間であることだ。イチローは、今のスーパースターの大半がそうしているように、けばけばしいリムジンや娼婦に稼いだ金を使うんじゃなくて、日本の両親のために素敵な家を建てることにお金を使ったんだ。

Even after the Mariners got rid of Lou Pinella and began their current tailspin, Ichiro stayed. I remember staying up late to watch him break the single-season hits record, how gracious he was to the crowd―a crowd that had lacked anything to root for during a progression of 90- and 100-loss seasons. He was the only reminder of our glory days. He was the only player who, even as he began to decline, inspired hope and excitement in my eyes. That’s why it hurts so much to see him leave. My hope for the direction that the team’s owners will follow has gone with him.
マリナーズがルー・ピネラを解任して、チームの急降下が始まっても、イチローは留まってくれた。彼がシーズン最多安打のMLB記録を破るのを見るために、夜遅くまで起きていたのを、よく覚えてる。彼が観客に対して、どれだけ礼儀正しかったことか。観客は、90敗とか100敗とか大敗シーズンが続く中で、何に対して熱くなればいいかわからなくなっていた。彼、イチローだけが、栄光の日々を思い起こさせるものだったんだ。彼は、たとえ衰えを感じさせはじめたときですら、僕の目には前向きの希望と興奮を感じさせる、唯一のプレーヤーだった。彼が去っていくのを見て僕が酷く傷ついたのは、そういう理由からだ。チームのオーナーがイチローをサポートしていくという僕のチーム運営に対する希望は、チームを去る彼とともに終わりを迎えてしまった。

Domoarigato, Ichiro-san. Wherever you go, you will always be a Seattle Mariner to me.
「ドウモ、アリガトウ、イチローサン」。あなたがどこに行こうと、常にあなたこそが、「僕にとってのシアトル・マリナーズ」だよ。
College Student Craving Travel • Devastated.


Sad to see you go, Ichiro. Forever my favorite. Thank you for the memories and good luck in NY!
イチロー、あなたが去っていくのを見るのは、悲しい。永遠に私のお気に入りです。思い出をありがとう。ニューヨークでの幸運を祈ります!


You will forever be my childhood idol, even if you play for my home team or not. I wish you well.
たとえあなたが私のホームタウンのチームでプレーしようと、そうでなかろうと、あなたは永遠に私の子供時代のアイドルであり続けるのです。あなたの無事を心から祈っています。
✞ I WAS MADE JUST LIKE THIS ✞ | Ichiro






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  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
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  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
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  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
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