September 09, 2012

2012年9月8日 2回表 イチロー タイムリー二塁打

動画:Baseball Video Highlights & Clips | NYY@BAL: Ichiro swats a double to score Martin - Video | MLB.com: Multimedia
Gameday:New York Yankees at Baltimore Orioles - September 8, 2012 | MLB.com Classic

これはボルチモア第3戦の2回表に、左投手ジョー・ソーンダースからセンターオーバーのタイムリー・ツーベースを打ったイチローの配球データ。左投手のインコースの球を、センター奥までライナーで打ち返したことに、今後のイチローを占う深い意味がある。

下記のデータを見てもらいたい。

これは、今シーズンのイチローの対・右投手と対・左投手に対するホットゾーンのうち、コース別の「打率」を示した図。「低め」の球には、鬼のように強い。

2012年 対・右投手打率(absolute color mode
これは得意コースを赤苦手コースを青で表したもの。
Baseball Prospectus | PitchFX Hitter Profile: Ichiro Suzuki
イチロー 2012年右投手ホットゾーン(absolute color mode)


同じデータを、「得意さの度合い」によって相対的に色に濃淡をつけるRelative Color Modeで見ると、こうなる。
イチローは、キャリア通算で、MLBの投手たちが決め球として非常によく使う真ん中低めの球に鬼のように強いというデータが残っている。さらに、球種で言うと、とあるブログによれば、チェンジアップなどのオフ・スピードの球に非常に強いというデータがある。(資料:Best Offspeed Hitters - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics
そのキャリア通算でみられる「右投手の低め、特に、真ん中低めに滅法強い」という傾向は、2012年もまったく変わっていない。

2012年 対・右投手打率(relative color mode)
イチロー 2012年右投手ホットゾーン(relative color mode)



同じことを、こんどは対・左投手について見てみる。
例えば、インハイに強いことがわかる一方で、インローに広い苦手ゾーンがあることがわかる。

2012年 対・左投手打率(absolute color mode)
Baseball Prospectus | PitchFX Hitter Profile: Ichiro Suzuki
イチロー 2012年左投手ホットゾーン

2012年 対・左投手打率(relative color mode)
イチロー 2012年左投手ホットゾーン(relative color mode)


2007年からこうしたホットゾーンデータを収集しはじめていると思われるBaseball Prospectのデータで、2007年〜2012年のデータを見ると、2007年以降の通算と今シーズンを比べたときの、対・左投手に対する打撃成績の違いは、ホットゾーンに如実に表れている。

2007年〜2012年 対・左投手打率
(absolute color mode)
2007年〜2012年 対・左投手ホットゾーン(absolute color mode)

2007年〜2012年 対・左投手打率
(relative color mode)
2007年〜2012年 対・左投手ホットゾーン(relative color mode)


だが、こういう単純データだけが野球ではない。
こういうデータの断片だけを見て、やれ「イチローは左投手のインコースの球が打てなくなった」だのなんだの言いたがるデータ馬鹿は、日本にもアメリカにも山ほどいるわけだが(笑)、彼らがイチローのことをまるでわかってないということは、よくわかる。

というのも、イチローが「インコースのハーフハイトを苦手にしている」という事実自体は、なにも今シーズンに始まったことではないからだ。
上の2007年〜2012年のデータで見てもわかるが、インコースのハーフハイトのコース別の打率は、.220と、稀代の天才安打製造マシン・イチローにしてはかなり低い数字だった。だから、今シーズンの打率全体が下がったのは事実であるにしても、特別に今年だけがインコースを打てていないわけではない。


ブログ主がむしろ今年のイチローのホットゾーンに驚きを感じるのは、「ボールゾーンの球をヒットにする率が下がっていること」だ。

最近はセイバーメトリクスが幅をきかせるようになったせいか、やたらと打者に一定の出塁率を求める声が大きいが、イチローはもともとそういうタイプではない。(ちなみに、セイバーメトリクスの重要性や真実味が、セイバーが世の中に初めて登場した時代ほどでは無くなりつつあり、むしろ信頼性が低下しつつあることには、大半の人は気づいていない)

確認しておくと、イチローの選球眼は悪いわけではない。むしろ、かなりいいほうだ。

だが、天才というもの特徴は、
枠にはまらないこと」だ。

イチローは、ストライクだろうが、ボールだろうが、かたっぱしからバットに当ててヒットにできる。だから、ホットゾーンで見るとわかることだが、ストライクゾーンをはずれたボール球の打率が異常に高い。
こんなバッター、他にはウラジミル・ゲレーロくらいしか思いつかない。

なのに、最近では、無能監督エリック・ウェッジではないけれども、イチローに、あれをやれ、これをやれ、あれはするな、これもするなと、余計な「常識的な制約」を設けたがる指導者があまりにも多すぎる。
そして、悪いことに、イチローも、その律儀で真面目な性格が災いして、「ストライクだけを振り、ボールを見逃そうとする」ような、つまらない「常識」が働くようになってきてしまっている

それがいけない、と、ブログ主は思う。
天才は常識になど従う必要は、まったくない

どんなコースのボールだろうと、イチロー自身が「打てる!」「ヒットにできる!」と思ったのなら、好きなように振れば、それでいいのである。彼はそういうプレースタイルで野球殿堂に入ろうとしている稀代の天才打者なのであって、常識にまみれた他人がとやかく言うのは筋違いというものだ。

早くそういう「非常識なイチロー」を見たいものだが、今日の左投手のインコース打ちの成功は、イチローのバットがフル稼働する日が遠くないことを物語っている。



それにしても、ヤンキースに対するアンパイアの判定の酷さは、日に日に度を越してきている。
既にイチローへのアウトコースの判定の滅茶苦茶さについては記事にしたが、ああいう「いかがわしい判定」が、イチローに対してだけではなく、ヤンキース全体に行われつつあることを、ニューヨークのメディアも、今日のマーク・テシェイラのダブルプレー判定で思い知ったのではないだろか。
Damejima's HARDBALL:2012年9月4日、レイズ戦球審Tony Randazzoによる、8回表イチローへの2球目のありえない悪質なストライクコール。

このダブルプレー判定については、ニューヨークのメディアの大半はとにかく怒り狂っていて、一塁塁審Jerry Mealsの誤審を名指しで罵っている。(大メディアであるNew York Timesのタイトルと写真だけは冷静な対応だが、それでも本文中では冒頭部分で批判している)

NY Post
9月8日のダブルプレーを誤審したJerry Mealsを罵るNYメディア
Blown call costs Yankees in loss to Orioles; Girardi heated after game - NYPOST.com

Blaming umps is loser talk - NYPOST.com

NY Daily News
Jerry Meals' blown call in 9th inning dooms Yankees to 5-4 loss against Baltimore Orioles - NY Daily News

NY Times
Yankees Lose to Orioles and Drop Back Into Tie for A.L. East Lead - NYTimes.com

2012年9月8日 ボルチモア戦9回表 一塁塁審Jerry Mealsの誤審2
2012年9月8日 ボルチモア戦9回表 一塁塁審Jerry Mealsの誤審3
2012年9月8日 ボルチモア戦9回表 一塁塁審Jerry Mealsの誤審1


しかしまぁ、これでようやく、アンパイアたちがア・リーグ東地区の勝敗を操作したがっているということに、多くの人たちが気づくことだろう。それはそれで、遅ればせではあるにしても、いいことだ。

マトモに勝とうと思ったら、有無を言わせない勝ち方をしないと、クロスゲームでの判定でこれからも繰り返し嫌な思いをすることになりそうなわけだが、現状の投手陣の崩壊ぶりを考えると、なかなか有無を言わせない勝ち方もできない現状なのが辛いところである。


ちなみに、このJerry Mealsというアンパイア、昨年2011年7月26日のピッツバーグ対アトランタ戦延長19回にも、ありえない誤審を犯して問題になっている。
Pittsburgh Pirates at Atlanta Braves - July 26, 2011 | MLB.com PIT Recap

2011年7月26日パイレーツ対ブレーブス戦でのJerry Mealsの誤審

この試合、延長19回裏の満塁の場面で、アトランタのスコット・プロクターがサードゴロを打ち、ピッツバーグの三塁手ペドロ・アルバレスがホームに送球、ホームに突入した三塁走者フリオ・ルーゴはホームプレートの1メートル以上も手前でキャッチャーにタッチされた。
だが、球審Jerry Mealsは、この明らかすぎるアウトを「セーフ」と大誤審して、アトランタをサヨナラ勝ちさせたのである。
この判定が誤審だったことは、後にMLBが公式に認めている。
July 26, 2011 Pittsburgh Pirates at Atlanta Braves Box Score and Play by Play - Baseball-Reference.com

Major League Baseball and umpire Jerry Meals agree Meals made the wrong call in Atlanta's 4-3, 19-inning win over Pittsburgh early Wednesday morning.
MLB acknowledges Jerry Meals' missed call after Pittsburgh Pirates file complaint over 19-inning loss - ESPN





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