November 07, 2012
プリンス・フィルダーが2012ポストシーズンで完璧に抑えこまれたこと(そして打順を変更しなかったこと)は、デトロイトの得点力を著しく下げ、ワールドシリーズ制覇を逃す主原因のひとつになったわけだが、ブログ主はフィルダーがまったく打てなかった原因を、「単なる一時的な不調のせい」だとは、まったく思わない。
フィルダーが打てなかった原因は、ハッキリしている。
スカウティングだ。
もっと言うなら、
「アウトコースにおけるフィルダー攻略パターンの発見」、具体的には「バックドアの変化球、特にチェンジアップの使い方」だ。
問題なのは、フィルダー攻略パターンをすべてのチームが発見できたわけではないことだ。実際のゲームで活用できたのは、あくまで「オークランド、サンフランシスコなど、ごく一部のチームだけ」だ。
(この攻略パターンは、来年のレギュラーシーズンでもまだ多少は有効だろうから、やがて他チームにも拡散していくだろう。来年のフィルダーの打撃成績に少なからず影響を及ぼすのは間違いない)
2012ポストシーズンのフィルダーがアウトコースのボール球に手を出しまくって大失敗したことは、例のBaseball Analysticsも指摘している。
Prince Fielder's Tough World Series - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics
いつものことだが、彼らの指摘は、基本的な着眼点はいい。
だが、残念ながら彼らの記事の指摘は、単純に「フィルダーがポストシーズンにアウトコースのボール球に手を出し続けていた」という単純な事実の指摘であって、「ディテール」と「ストーリー」と「配球についての具体性な指摘」のどれもが欠けている。それだけに、内容がなく、つまらない。また、配球のディテールが全く語られていないのも、いただけない。
いったい、この「フィルダーへの徹底したアウトコース攻め」が、いつ、どのチームで始まってたのか、そして、それが他のチームにどういう形で受け継がれ、修正されたのか、そういう「流れ」がまったく明らかになっていないから、面白くない。
また、正確さにも欠けている。フィルダーのスイングした球のデータだけ見ると、あたかもフィルダーが「外にはずれたボール球ばかり手を出しまくった」かのように思えてしまうと思うが、実際には、必ずしもボールになる球ばかり振り回したわけではない。
考えてもみてほしい。
配球として、あのフィルダーに、ただただアウトコースだけを連続して投げ続けていれば、うちとれるだろうか?
いやいや。ヤンキースのラッセル・マーティンの「アウトコース・オンリー・ビビりまくり配球」じゃあるまいし、そんな子供だましの単純なアウトコース攻めだけで、フィルダーのバッティングの調子を根底から崩壊させるところまで追い込めるわけがない。
レギュラーシーズンのフィルダーの得意球種、得意コースを具体的に調べてもらうと、面白いことがわかると思う。
なぜなら、フィルダーはそもそもアウトコースが苦手どころか、むしろ「アウトコース、特に『高め』が大得意なバッター」であること、そして、むしろ過去のデータでみるかぎり、ポストシーズンにあれほど凡退しまくった「チェンジアップが最も得意な球種のひとつ」であることがわかるからだ。
例えば「チェンジアップ」だが、フィルダーは2012レギュラーシーズンに、SLG.563と打ちこなしている。(注:SLG=長打率という指標は根本的な誤りのあるデータだ。だが元資料である下記の記事が使っているために、しかたなく使った)
Prince's Power Outage - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics
フィルダーの得意コースであるはずのアウトコース、得意球種のチェンジアップなのに、なぜオークランドやサンフランシスコは彼を抑え込むことができたのか。ここが明確にならないと、野球を観る本当の楽しみは無い。
このブログの経験値として言えば、「フィルダーが、他チームの巧妙なアウトコース攻めに屈した」という話についてはもちろん賛成するが、だからといってフィルダー攻略のディテールについては、「単純なアウトコース配球で攻略できたわけではない」ことを指摘しておきたい。
最初に「フィルダー攻略パターン」を見つけたのは、たぶんレギュラーシーズン終盤に躍進を遂げ、ついに地区優勝にまで成功した知将ボブ・メルビン率いるオークランド・アスレティックスだろう、と思っている。
今シーズンからア・リーグに移籍してきたフィルダーには、ア・リーグのチームとの対戦データが多くないし、大半のチームが打率.280以上打たれているわけだが、それでも、フィルダーを完璧に抑えこむことに成功したチームが、ひとつだけある。
オークランド・アスレティックスだ。
対戦したほとんどのチームに対する打率が.280以上あるフィルダーが、1割を切るほど徹底的に抑えこまれた対戦相手は、このオークランド以外にない。
10月初旬のオークランド×デトロイト戦。
オークランド先発のジャロッド・パーカーが、フィルダーの好きなアウトコース高め、おまけに彼の好きなチェンジアップを投げて、セカンドポップフライに凡退させることに成功した。しつこく言うが、フィルダーは、「アウトコース高め」も、「チェンジアップ」も得意なバッターだ。
ミゲル・カブレラは、たとえ好きなコースや好きな球種が来ても、それがボールならスイングせずに我慢できるし、また、苦手コースや苦手球種でもライト方向にヒットやホームランにできるとか、とにかく柔軟な対応力をもった天才だ。
だが、ジョシュ・ハミルトン、カーティス・グランダーソンには、それができない。自分の好きなコース、好きな球種を待っているだけ。だからスカウティングされやすい。
Damejima's HARDBALL:2012年10月6日、オクトーバー・ブック 「平凡と非凡の新定義」。 「苦手球種や苦手コースでも手を出してしまう」 ジョシュ・ハミルトンと、「苦手に手を出さず、四球を選べる」 三冠王ミゲル・カブレラ。
Damejima's HARDBALL:2012年11月2日、2012オクトーバー・ブック 「スカウティング格差」が決め手だった2012ポストシーズン。グランダーソンをホームランバッターに押し上げた「極端なストレート狙い」が通用しなくなった理由。
フィルダーのバッティングは、あらゆる方向に打球を打てるミゲル・カブレラとは、まったく違う。
フィルダーはむしろ、「好きなインコースにボールが来ると、それがたとえ狙い続けているストレートではなく変化球であっても、必ず手を出してしまい、空振り三振しまくるカーティス・グランダーソン」に、よっぽど近い。フィルダーは、好きな食べ物を出されれば、思わず手を出してしまう、そういうバッターだ。
「アウトコース」「チェンジアップ」と、目の前に好物を並べられたフィルダーは、それがたとえボール球のアウトコースでも、ボール球のチェンジアップでも、やすやすと振り回してしまう。
「フィルダーが、アウトコース、チェンジアップに我慢できるバッターではないこと」、これが「オークランドの発見したフィルダーの弱点のひとつ」だ。(弱点は他にもある)
この「フィルダーが思わず手を出してしまう配球パターン」は、ポストシーズンでフル活用された。まずは以下のALDSオークランド×デトロイト戦の3打席の凡退ぶりを見てもらおう。
2012年10月10日
ALDS Game4
AJグリフィンvsフィルダー
2012年10月10日
ALDS Game5
スクリブナーvsフィルダー
2012年10月11日
ALDS Game5
パーカーvsフィルダー
オークランドのフィルダー対策をまとめると、基本的には以下のとおり。まずインコースを「見せて」おいて、のちのちのアウトコース攻めを効果的にするあたりが、石橋を叩いて渡る「慎重派」のオークランドらしさを感じさせる。
このオークランド流に始まったフィルダー攻略は、サンフランシスコが進化させ、ワールドシリーズでの遠慮のないサンフランシスコ流のアウトコース攻めとして完成する。
下記に見るように、サンフランシスコ流のフィルダー対策では、慎重なオークランド流の配球では存在していた「インコースの見せ球」すら消えて、コントロールのいい右投手がズラリと揃ったサンフランシスコらしく、徹底したアウトコース攻めのみによって、フィルダーを軽々と空振り三振させてしまうことができるようになった。
サンフランシスコの攻略パターンが成功をおさめたについては、もちろんオークランドに抑え込まれたというフィルダーのトラウマが背景にある。オークランドがフィルダーにある種の「アウトコース・トラウマ」を植え付けることに成功したことで、サンフランシスコはオークランドの攻略パターンをバージョンアップし、さらに深いトラウマに上書きした。
それにしてもサンフランシスコのバッテリーは、まったくたいしたコントロールと度胸を兼ね備えている。なんというか、バッテリーの「格」が、他チームと何ランクか違っている。
だからこそ、ワールドシリーズ終了時に、ポストシーズンのMVPはバスター・ポージーだ、とツイートしたのである。
2012年10月27日
WS Game3
ボーグルソンvsフィルダー
2012年10月27日
WS Game3
リンスカムvsフィルダー
2012年10月28日
WS Game4
マット・ケインvsフィルダー
「インコースのストレート」をただひたすら待っているグランダーソンに、インコースの変化球を投げて。スイングを誘って空振り三振させまくるのが、「グランダーソン・パターン」だったわけだが、アウトコースを待っているフィルダーの場合は、好きなチェンジアップを、好きなアウトコース高めよりも低く、なおかつ、ちょっとだけ外のボールゾーンにわざと投げることで空振りさせることができる。(フィルダーにはアウトコース高めのボールゾーンに投げても、同じ効果がある)
「フィルダー・パターン」のほうが、ちょっとだけグランダーソン・パターンより手がこんでいる。だが、基本発想はほとんど変わらない。
ヤンキースがポストシーズンで手を焼いたデトロイトの1番打者オースティン・ジャクソンも、好きなインコースをひたすら待っているだけのワンパターンなバッターなのはわかりきっていた。だから、ワールドシリーズでサンフランシスコは、ジャクソンのアウトコースだけをひたすら攻めまくって、ジャクソンにまったく活躍の場所を与えなかった。簡単なことだ。
いずれにしても、自分の好きなコース、自分の好きな球種だけをひたすら待ってホームラン、長打にしようとする「フリースインガー系スラッガー」にこそ、攻略パターンの発見は容易だし、効果もびっくりするほど絶大で、しかも長続きする、ということだ。
フィルダーが打てなかった原因は、ハッキリしている。
スカウティングだ。
もっと言うなら、
「アウトコースにおけるフィルダー攻略パターンの発見」、具体的には「バックドアの変化球、特にチェンジアップの使い方」だ。
問題なのは、フィルダー攻略パターンをすべてのチームが発見できたわけではないことだ。実際のゲームで活用できたのは、あくまで「オークランド、サンフランシスコなど、ごく一部のチームだけ」だ。
(この攻略パターンは、来年のレギュラーシーズンでもまだ多少は有効だろうから、やがて他チームにも拡散していくだろう。来年のフィルダーの打撃成績に少なからず影響を及ぼすのは間違いない)
2012ポストシーズンのフィルダーがアウトコースのボール球に手を出しまくって大失敗したことは、例のBaseball Analysticsも指摘している。
Prince Fielder's Tough World Series - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics
いつものことだが、彼らの指摘は、基本的な着眼点はいい。
だが、残念ながら彼らの記事の指摘は、単純に「フィルダーがポストシーズンにアウトコースのボール球に手を出し続けていた」という単純な事実の指摘であって、「ディテール」と「ストーリー」と「配球についての具体性な指摘」のどれもが欠けている。それだけに、内容がなく、つまらない。また、配球のディテールが全く語られていないのも、いただけない。
いったい、この「フィルダーへの徹底したアウトコース攻め」が、いつ、どのチームで始まってたのか、そして、それが他のチームにどういう形で受け継がれ、修正されたのか、そういう「流れ」がまったく明らかになっていないから、面白くない。
また、正確さにも欠けている。フィルダーのスイングした球のデータだけ見ると、あたかもフィルダーが「外にはずれたボール球ばかり手を出しまくった」かのように思えてしまうと思うが、実際には、必ずしもボールになる球ばかり振り回したわけではない。
考えてもみてほしい。
配球として、あのフィルダーに、ただただアウトコースだけを連続して投げ続けていれば、うちとれるだろうか?
いやいや。ヤンキースのラッセル・マーティンの「アウトコース・オンリー・ビビりまくり配球」じゃあるまいし、そんな子供だましの単純なアウトコース攻めだけで、フィルダーのバッティングの調子を根底から崩壊させるところまで追い込めるわけがない。
レギュラーシーズンのフィルダーの得意球種、得意コースを具体的に調べてもらうと、面白いことがわかると思う。
なぜなら、フィルダーはそもそもアウトコースが苦手どころか、むしろ「アウトコース、特に『高め』が大得意なバッター」であること、そして、むしろ過去のデータでみるかぎり、ポストシーズンにあれほど凡退しまくった「チェンジアップが最も得意な球種のひとつ」であることがわかるからだ。
例えば「チェンジアップ」だが、フィルダーは2012レギュラーシーズンに、SLG.563と打ちこなしている。(注:SLG=長打率という指標は根本的な誤りのあるデータだ。だが元資料である下記の記事が使っているために、しかたなく使った)
Prince's Power Outage - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics
フィルダーの得意コースであるはずのアウトコース、得意球種のチェンジアップなのに、なぜオークランドやサンフランシスコは彼を抑え込むことができたのか。ここが明確にならないと、野球を観る本当の楽しみは無い。
このブログの経験値として言えば、「フィルダーが、他チームの巧妙なアウトコース攻めに屈した」という話についてはもちろん賛成するが、だからといってフィルダー攻略のディテールについては、「単純なアウトコース配球で攻略できたわけではない」ことを指摘しておきたい。
最初に「フィルダー攻略パターン」を見つけたのは、たぶんレギュラーシーズン終盤に躍進を遂げ、ついに地区優勝にまで成功した知将ボブ・メルビン率いるオークランド・アスレティックスだろう、と思っている。
今シーズンからア・リーグに移籍してきたフィルダーには、ア・リーグのチームとの対戦データが多くないし、大半のチームが打率.280以上打たれているわけだが、それでも、フィルダーを完璧に抑えこむことに成功したチームが、ひとつだけある。
オークランド・アスレティックスだ。
対戦したほとんどのチームに対する打率が.280以上あるフィルダーが、1割を切るほど徹底的に抑えこまれた対戦相手は、このオークランド以外にない。
対オークランド戦(7ゲームの打率)
.074
Prince Fielder 2012 Batting Splits - Baseball-Reference.com
10月初旬のオークランド×デトロイト戦。
オークランド先発のジャロッド・パーカーが、フィルダーの好きなアウトコース高め、おまけに彼の好きなチェンジアップを投げて、セカンドポップフライに凡退させることに成功した。しつこく言うが、フィルダーは、「アウトコース高め」も、「チェンジアップ」も得意なバッターだ。
ミゲル・カブレラは、たとえ好きなコースや好きな球種が来ても、それがボールならスイングせずに我慢できるし、また、苦手コースや苦手球種でもライト方向にヒットやホームランにできるとか、とにかく柔軟な対応力をもった天才だ。
だが、ジョシュ・ハミルトン、カーティス・グランダーソンには、それができない。自分の好きなコース、好きな球種を待っているだけ。だからスカウティングされやすい。
Damejima's HARDBALL:2012年10月6日、オクトーバー・ブック 「平凡と非凡の新定義」。 「苦手球種や苦手コースでも手を出してしまう」 ジョシュ・ハミルトンと、「苦手に手を出さず、四球を選べる」 三冠王ミゲル・カブレラ。
Damejima's HARDBALL:2012年11月2日、2012オクトーバー・ブック 「スカウティング格差」が決め手だった2012ポストシーズン。グランダーソンをホームランバッターに押し上げた「極端なストレート狙い」が通用しなくなった理由。
フィルダーのバッティングは、あらゆる方向に打球を打てるミゲル・カブレラとは、まったく違う。
フィルダーはむしろ、「好きなインコースにボールが来ると、それがたとえ狙い続けているストレートではなく変化球であっても、必ず手を出してしまい、空振り三振しまくるカーティス・グランダーソン」に、よっぽど近い。フィルダーは、好きな食べ物を出されれば、思わず手を出してしまう、そういうバッターだ。
「アウトコース」「チェンジアップ」と、目の前に好物を並べられたフィルダーは、それがたとえボール球のアウトコースでも、ボール球のチェンジアップでも、やすやすと振り回してしまう。
「フィルダーが、アウトコース、チェンジアップに我慢できるバッターではないこと」、これが「オークランドの発見したフィルダーの弱点のひとつ」だ。(弱点は他にもある)
この「フィルダーが思わず手を出してしまう配球パターン」は、ポストシーズンでフル活用された。まずは以下のALDSオークランド×デトロイト戦の3打席の凡退ぶりを見てもらおう。
2012年10月10日
ALDS Game4
AJグリフィンvsフィルダー
2012年10月10日
ALDS Game5
スクリブナーvsフィルダー
2012年10月11日
ALDS Game5
パーカーvsフィルダー
オークランドのフィルダー対策をまとめると、基本的には以下のとおり。まずインコースを「見せて」おいて、のちのちのアウトコース攻めを効果的にするあたりが、石橋を叩いて渡る「慎重派」のオークランドらしさを感じさせる。
慎重なオークランド流フィルダー対策
1)まずインコースを見せる。アウトコースを待っているフィルダーは、振ってこない。(フィニッシュのアウトコースの球をより効果的するための布石)
2)外に、ストライクになる「バックドア・チェンジアップ」。カウントを追い込む。(フィルダーはカウント0-2からの打率が他のスラッガーと比べても極端に悪い。追い込まれるとまったく打てなくなるタイプ)
3)フィニッシュ
このオークランド流に始まったフィルダー攻略は、サンフランシスコが進化させ、ワールドシリーズでの遠慮のないサンフランシスコ流のアウトコース攻めとして完成する。
下記に見るように、サンフランシスコ流のフィルダー対策では、慎重なオークランド流の配球では存在していた「インコースの見せ球」すら消えて、コントロールのいい右投手がズラリと揃ったサンフランシスコらしく、徹底したアウトコース攻めのみによって、フィルダーを軽々と空振り三振させてしまうことができるようになった。
サンフランシスコの攻略パターンが成功をおさめたについては、もちろんオークランドに抑え込まれたというフィルダーのトラウマが背景にある。オークランドがフィルダーにある種の「アウトコース・トラウマ」を植え付けることに成功したことで、サンフランシスコはオークランドの攻略パターンをバージョンアップし、さらに深いトラウマに上書きした。
それにしてもサンフランシスコのバッテリーは、まったくたいしたコントロールと度胸を兼ね備えている。なんというか、バッテリーの「格」が、他チームと何ランクか違っている。
だからこそ、ワールドシリーズ終了時に、ポストシーズンのMVPはバスター・ポージーだ、とツイートしたのである。
個人的にMVPはポージー
— damejimaさん (@damejima) 10月 29, 2012
サンフランシスコ流フィルダー対策
1)アウトコースの同じコースに、ストレートと「バックドア・スライダー」を連投、ストライクを容赦なく続けて2つとる。
この「同じコースへのストレート・スライダー連投パターン」は、以前指摘した「ストレートとカーブを同じコースに続けて投げる配球パターン」のバリエーションだ。
Damejima's HARDBALL:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(4)「低め」とかいう迷信 研究例:カーブを有効にする「高めのストレート」
2)アウトコース低めに、ボールになるチェンジアップを、「見せ球として」投げる。
オークランドの投手はこの球をフィルダーのアウトコースいっぱいに投げこんでいたが、サンフランシスコはボールゾーンで見せ球として使った。もちろん、この球にフィルダーが手を出して空振り三振することも多々ある。(下記に挙げたWS Game 3でリンスカムが奪った空振り三球三振が典型例)
3)アウトコース一杯のストレートで勝負。
外のチェンジアップを我慢したフィルダーの筋肉は、既に硬直してしまっており、アウトコースと「頭では」わかっていても、「カラダは動かない」。あっさり見逃し三振。
これこそ『硬い筋肉』、『硬いカラダ』が裏目に出る瞬間だ。
2012年10月27日
WS Game3
ボーグルソンvsフィルダー
2012年10月27日
WS Game3
リンスカムvsフィルダー
2012年10月28日
WS Game4
マット・ケインvsフィルダー
「インコースのストレート」をただひたすら待っているグランダーソンに、インコースの変化球を投げて。スイングを誘って空振り三振させまくるのが、「グランダーソン・パターン」だったわけだが、アウトコースを待っているフィルダーの場合は、好きなチェンジアップを、好きなアウトコース高めよりも低く、なおかつ、ちょっとだけ外のボールゾーンにわざと投げることで空振りさせることができる。(フィルダーにはアウトコース高めのボールゾーンに投げても、同じ効果がある)
「フィルダー・パターン」のほうが、ちょっとだけグランダーソン・パターンより手がこんでいる。だが、基本発想はほとんど変わらない。
ヤンキースがポストシーズンで手を焼いたデトロイトの1番打者オースティン・ジャクソンも、好きなインコースをひたすら待っているだけのワンパターンなバッターなのはわかりきっていた。だから、ワールドシリーズでサンフランシスコは、ジャクソンのアウトコースだけをひたすら攻めまくって、ジャクソンにまったく活躍の場所を与えなかった。簡単なことだ。
いずれにしても、自分の好きなコース、自分の好きな球種だけをひたすら待ってホームラン、長打にしようとする「フリースインガー系スラッガー」にこそ、攻略パターンの発見は容易だし、効果もびっくりするほど絶大で、しかも長続きする、ということだ。