April 21, 2013

イチローのバントで前進するサード

トロントでの第2戦は、延長11回の無死1,2塁、イチローがサード、ブレット・ローリーの前に絶妙のバント。ピッチャーの左腕アーロン・ループが最初から間に合わないサードに投げ、これが悪送球になって2点が入り、ヤンキースがこのカード連勝したわけだが、このバントの記録が「犠牲バント」になっているのが納得いかない。
2得点はピッチャーの悪送球の結果として扱われるとしても、バントそのもの記録についてヤンキースは即刻「ヒット」に訂正するよう申し入れるべきだろう。
動画(MLB公式):Baseball Video Highlights & Clips | NYY@TOR: Suzuki hits a sacrifice bunt to drive in two - Video | yankees.com: Multimedia

このバント、たとえピッチャーの送球が悪送球でなくても、サードは間に合わない。

なぜなら、バントの瞬間、「三塁手が反射的に飛び出しているから」だ。だからこそ、記録は「ヒット」であるべきだ。上の動画の50秒過ぎあたりを見れば、イチローのバントの効果で三塁手が数歩勢いよく前進してしまい、そこから慌てて反転し、投手に背中を向けてサードベースに戻ろうとしていることがハッキリわかる。
前に飛び出した三塁手ローリーが、ベースカバーに間に合うようサードに戻るのは、最初から無理なのだ。

投手に背中を向けて三塁に戻る三塁手ピッチャーはまだ背中を向けている三塁手ローリーに送球しようとしている。三塁手のベースカバーは最初から間に合うわけがなかった。三塁での封殺は最初から無理なのだ。

態勢の整っていない三塁手に送球しようとする投手
態勢の整っていない三塁手に送球してしまう投手
三塁手はまだベースについてないのに送球がそれる
悪送球で決勝点が入る



上の最後の1枚で、三塁手があとずさりしながら、送球を捕球しようとしているわけだが、もし三塁手がかろうじて捕球したとしても、サードにスライディングした2塁走者バーノン・ウェルズに簡単にタッチにいけるわけではない。
なぜなら、三塁手の立ち位置は、見た目よりもずっとサードベースから離れた位置だからだ。たとえテレビ画面で見ると、まるで三塁手がサードのすぐ手前のように見える、としても、それはカメラアングルによる視覚的な錯覚だ。

マラソンのテレビ中継で、見た目には2位のランナーがトップのランナーの真後ろを走っているように見えるとしても、実際には「10メートル離れている」なんてことは、よくある。

そしてもちろん、「人間があとずさりする速度」なんてものは、「全力速力で走ってきたランナーが滑り込む速度」よりも、はるかに遅い。

2塁走者バーノン・ウェルズの位置



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