June 13, 2013

最近、どうも球審のストライク・ボールの判定がよろしくない、と感じることがある。ゾーンが広いとか狭いとか、きわどい球の判定がどうこうとか、細かいことを言いたいのではなく、「明らかなストライクなのに、『ボール』と平然とコールする球審がいる」、と感じるのだ。

そういうとき、今日のアンパイアは誰だ?と思って調べてみると、知らない名前のアンパイアだったりする。

単なる偏見かもしれないが、この現象、今シーズンが始まる前にMLBのクルーチーフクラスのアンパイアが3人も同時に入れ替わったからじゃないか、と思っているのだが、どうなんだろう。

2013シーズン前に引退したアンパイア
Derryl Cousins 66歳
Tim Tschida 55歳
Ed Rapuano 52歳

新たに採用されたアンパイア
Vic Carapazza
Manny Gonzalez
Alan Porter

クルーチーフに昇進したアンパイア
Ted Barrett
Fieldin Culbreth
Jim Joyce


2013シーズンのクルーリスト
2013シーズンのクルー表
ソース:2013 MLB Umpire Crew List | Close Call Sports and the Umpire Ejection Fantasy League


今年引退したアンパイアのうち、4,496試合も裁いた御年66歳のDerryl Cousinsは、MLBで33年間も働いた大ヴェテランだから、まぁ、引退といっても、年相応の定年みたいな意味の引退だが、残りの2人、TschidaとRapuanoはまだ50代なのだから、ちょっと早すぎる。


Tim Tchida自身が引退理由をインタビューで語っているのでちょっと訳出しておく。彼は引退理由を「首から上の怪我のため」と言っているわけだが、(彼自身は明言してないが)慢性的な怪我をする原因が「ファウルチップによる強烈な衝撃」にあるのは明らかだろう。
やはりアンパイアは大変な商売だと、あらためて思う。

引用元:Former umpire Tim Tschida 'having a ball' as prep assistant coach - TwinCities.com

BS: You're still a young guy. Why did you retire from umpiring?
まだ若いのに、なぜ引退?

TT: I've had some concussions and some upper-neck injuries over the years. I've spoken to a couple of experts who've said, "You're one hard foul tip away from quality-of-life issues." That was a big part of it. And quite frankly, I'm tired of the travel. Thirty years of running in and out of airports, it was enough. When I came in, the average number of pitches in a major league game was 200. Today, it's 300. Just working balls and strikes alone at the major league level is twice as hard as when I came up. It's so scrutinized, and there's the replay and the talk of changes and all the things that were there. I just thought, "It's time."

長年、脳震盪と首の上のほうの怪我を患ってたんだけど、何人かの専門家に聞いたら、『あと1回強烈なファウルチップを受けたら、それこそ今後の人生がフイになる重大事になる』って言われてね。それが最大の理由さ。
それと、率直に言って、旅に疲れたんだ。なんせ30年間も空港を行ったり来たりしたんだぜ? もう、たくさんだ。
俺がメジャーのアンパイアになったとき、MLBの1ゲームあたりの平均投球数は「200」だったんだ。それが、今じゃ「300」さ。(厳密な判定が要求される)MLBレベルでボールとストライクを判定する仕事をするってことは、俺がこの仕事に就いた時より2倍もハードになってるんだよ。あれこれ人に詮索されるし、今じゃインスタント・リプレイもある。判定の変更について議論もしたりしなきゃなんない。あらゆるものが変わった。で、ふと思ったんだ。『もう潮時だぜ』ってね。

上の記事を引用したClose Call Sportsによれば、Ed Rapuanoの引退理由も、Tim Tschidaと似たような理由らしい。さらに、Brian Rungeにも怪我が原因で引退するのでは、という噂があるらしい。

Meanwhile, Ed Rapuano retired to the position of MLB Umpire Evaluator due to similar injury concerns.
Rumor: AAA Umpire May be Hired, Replacing Brian Runge | Close Call Sports and the Umpire Ejection Fantasy League


Tim Tschidaがメジャーデビューしたのは1986年。ヤンキースでいうと、ルー・ピネラが監督、ドン・マッティングリー、リッキー・ヘンダーソンが現役選手という時代の話なわけだが、以下のデータで見る限り、Tim Tschidaが「俺がMLBに入った頃は、ピッチャーの投球総数は200だった」というのはちょっと大袈裟な数字であって、実際には、「1チームあたり130ちょっと」くらい、「両軍あわせて260くらい」と見るのが妥当じゃないかという気がする。
でも、まぁ、それにしたって、近年バッターが、selective、つまり、ますます球を選ぶようになっているのは事実だ。そして、その背景に「セイバーメトリクスの影響」があるのは、おそらく間違いない。
1980年代末以降の投球数の増加 via Baseball Reference
The average number of pitches thrown per game is rising ≫ Baseball-Reference Blog ≫ Blog Archive

いつもアンパイアの判定にケチをつける記事ばかり書いているが、こういう記事を書いたときくらいは、常にファウルチップの危険に晒され、選球眼ばかりがやたらと強調される嫌な時代にアンパイアをやってくれている人たちへ、感謝の気持ちを思い出しておこう。

お疲れ様。Tim Tschida。
あなたがピッチャーからの不平不満に神経をすり減らしてコールし続けた「MLBで最も狭いストライクゾーン」を、いつまでも忘れないよ(笑)
Which umpire has the largest strike zone?

damejima at 04:53
アンパイア 

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