August 31, 2013

2013年8月30日 イチロー7号逆転2ラン TOP page
Baltimore Orioles at New York Yankees - August 30, 2013 | MLB.com Classic

動画:Video: BAL@NYY: Ichiro tattoos a two-run shot to right field | MLB.com


今日のホームランをリアルタイムで見ることができなかった不幸な野球ファンは、まずは、上の動画を見て、ヤンキースファンの歓声の大きさを耳にすべきだ。4000安打もファンとチームメイトの喝采を受けたわけだが、プレーの価値を決めるのは、ホームランでいうところの本数でも飛距離でもない。「歓声の大きさ」だ。

王貞治氏のファンであるにしても、それでも、ホームランだけが凄いなんて思ったことは、一度もない。どういう経過でとろうと、1点は1点だ。魚を獲って稼いだ1万円も、夜中に道路を掘り返して稼いだ1万円も、デイトレで画面眺めて稼いだ1万円も、かわりない。

今日のイチローの逆転2ランに価値があると思うのは、それがホームランだからではない。スタンドにいる何万という数のヤンキースファンの大半が思わず両コブシを突き上げてしまうような、そういうプレーだったからだ。いざとなったら、打球の飛距離も弾道も、そんなもの、関係ない。それが野球における「9月」という特別な季節だ。
ファンが思わず拳を握りしめるプレーが生まれる場所は、スタンドにボールが消えていく瞬間だけとは限らない。投手の糸を引く豪球、目を疑うようなミラクルな守備、信じられない神走塁。どれでもかまわない。


去年9月にも、こういうホームランが、イチローに、そしてラウル・イバニェスに生まれ、そうしたプレーが、ボルチモアの追い上げで手の内からこぼれかかった地区優勝を再びたぐり寄せた。
資料:Damejima's HARDBALL:2012イチロー・ミラクル・セプテンバー全記録

スタンドの野球好きのファンは、今日のホームランの意味をよく知っている。
このホームランが価値があるのは、直前の負け越してはいけなかったトロントとのシリーズで、不甲斐ない負けを喫してしまったヤンキースが、いまポストシーズン争いをしている直接のライバル、ボルチモアに逆転を許してしまい、スタンドが冷えかかった、その直後のイニングに生まれた逆転ホームランであり、「イヤな流れ」を一瞬で断ち切って勝利を引き寄せ、ポストシーズン進出への希望を繋ぐ、そういう「一撃」だからだ。


ヤンキースのポストシーズン進出にいま必要なのは、人並み程度にはホームランが打てるようになった「勝率5割ちょいの、平均的な、昔どおりのヤンキース」ではない。
ハッキリ言わせてもらって、ヤンキースが3ゲームのシリーズで、3試合に1度くらいの確率で起こるホームラン攻勢で勝ったとしても、残りの2試合を守備の凡ミスと貧打と先発投手のミスで負けて、結局、勝率5割ちょっとをウロウロしたとしても、面白くもクソもない。
結局のところ、そんな勝率ではポストシーズン進出は果たせないし、ポストシーズンに進出できないほど弱体化したヤンキースなら、キャリアに限りのあるイチローが在籍する意味もない。

結局のところ、イチローが「熱く」ならないと、2012年9月ミラクル・セプテンバーの再現はできないと思うし、ヤンキースが本当の意味で熱くならないと思うのである。去年も書いたことだが、イチローのニックネームが "Wizard" なのは、ダテではない。

Ichiro the Wizard

彼、イチローが "Wizard" と呼ばれるのは、NBAの名選手のひとりで、非常に優れたプレーメーカーとして知られ、今年 ブルックリン・ネッツのヘッドコーチに就任したジェイソン・キッドがかつて指摘したように、イチローに「ゲーム支配能力」があるからだ。
Damejima's HARDBALL:2011年6月12日、NBAで初優勝したダラス・マーヴェリックスのジェイソン・キッドが言う『イチローの支配力』という言葉の面白さ。「ランナーとして1塁に立つだけで、ゲームを支配できる」、そういうプレーヤー。
好調な打者を、いじくり倒しては、冷やしてばかりいるジョー・ジラルディ」の目に、今日のホームランがどう映ったのか知らないが、イチローにまかせるべき仕事は、無能なエリック・ウェッジとシアトル・マリナーズがやったような、「イチローに3番という打順と打点を強制する」ような不合理かつ悪質な行為ではなく、イチローを、彼本来の「魔法」を使える「位置」に置くこと、つまり、「ゲームの流れを支配するタクトを振らせること」だ。

その「ゲームを支配する」という「魔法」は、なにもホームランでなくて構わない。守備での目を見張るファインプレー、相手チームを浮足立たせる攻撃的な走塁、相手を惑わせるトリックプレー、なんでもいいのだ。(例えば今日のイチローの2本目のヒットで、ファーストランナー、マーク・レイノルズがサードまで行こうとした(タッチアウト)が、走塁のいいボルチモアへの対抗心が生まれたのは、イチローの逆転2ランの生んだ「これで、いける」という雰囲気による一種の「触発」という魔法だ)

2013年8月30日イチロー逆転2ラン時のライトスタンド

2013年8月30日イチロー逆転2ラン時のライトスタンド

2013年8月30日イチロー逆転2ラン時のライトスタンド


2013年8月30日 イチロー7号逆転2ラン打ったのは、初球の4シーム。イチローのホームランが、往々にして「初球のストレートをフルスイングすること」から生まれることは、イチローファンにとっては「常識」。



Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です

Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
Categories
ブログ内検索 by Google
ブログ内検索 by livedoor
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month