October 02, 2013

ポストシーズン進出をかけたタンパベイ対テキサスのワンデープレーオフは、予想どおりタンパベイの勝利に終わったわけだが、なんといってもサイ・ヤング賞投手デビッド・プライスの堂々たるピッチングが光った。
3点リードの9回裏を迎える前、ブルペンではクローザーのフェルナン・ロドニーが肩をつくっていて、テキサスのベンチも、見ているファンも、「ロドニー登場か?」と思ったわけだが、結局監督ジョン・マドンはプライスにゲームを託す英断を下し、プライスはこの大事なゲームをひとりで投げ切ってしまった。この日のマドンとプライスには、さすがに脱帽した。


プライス好投の理由は、なんといってもテキサス打線にストライクゾーンで勝負し続けたことにあるし、しかも彼は安易にアウトローに球を集めるような、逃げのピッチングをしなかった。これが本当に素晴らしい。(詳しいことは下記に挙げたデータを見てもらいたい)

タンパベイの投手たち全体の配球が、「ストレート」と「チェンジアップを使った緩急」という共通のコンセプトを持っていること、そして、先発投手のほとんどがボールになる釣り球を多投するようなワンパターン配球に頼らず、ストライクゾーンで真っ向勝負してくる傾向にあることは、以下の2つの記事で書いた。
参考記事:Damejima's HARDBALL:2013年7月29日、タンパベイとヤンキースのマイナーの差。イチローが投手の宝庫タンパベイ・レイズから打った4安打。

参考記事:Damejima's HARDBALL:2013年8月1日、タンパベイ投手陣の共通した持ち球である「チェンジアップ」に狙いを絞って、ジェレミー・ヘリクソンを打ち崩したアリゾナ。粘りこめばストライク勝負してくれるタンパベイ投手陣。


2013年9月30日のデビッド・プライス

右打者への攻めをリストアップしてみた。(左打者についてはリンク先にデータがある)最も注目してほしいのは、図でいう「右下の部分」、つまり、右打者のアウトローにほとんどドットが無いことだ。
緑色の三角形のドットは「バッターが見逃して、ボールとコールされた球」を意味するが、アウトローにはドット自体ほとんどない。
また、アウトコースのボールになっている球は、その大半が、よくある「低め」ではなく、「高め」に投じられている。このことにも意味がある。というのは、対戦相手のテキサス打線のほぼ全員が「典型的なローボールヒッター」だからだ。デビッド・プライスは、コントロールミスした低めの球を強振されるようなイージーミスを犯さなかった。

2013年9月30日デビッド・プライス対右打者
2013年9月30日 TB vs TEX : BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps


以下に比較のために、ボストン戦におけるヤンキースの先発投手のデータを挙げる。すべて「右打者」に対してのものだ。(左打者へのデータはリンク先にある)
いかにボストン戦のヤンキース投手陣がアウトローに逃げる配球ばかりしているかがわかると思う。


比較1
2013年9月14日 NYY vs BOS
投手:サバシア
9被安打4四球、5失点。

最近のサバシアの勝負弱さは、上のプライスと比較するまでもない。ピンクの楕円で示した部分、つまり、図のアウトコース(=右の部分)と、低め(=下の部分)に、大量のボール球を示す緑色のドットがある。いかに球速の衰えたサバシアがボストンの右打者とマトモに勝負できていないか、ひとめでわかる。

2013年9月14日サバシア対右打者
2013年9月14日 NYY vs BOS : BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps


比較2
2013年8月18日 NYY vs BOS
投手:サバシア
7被安打5四球、6失点。

緑色のドットが、図の右と下に大きく分散して偏っている。配球が「右打者のアウトロー」に偏っていたことが、ひとめでわかる。これで5四球ではどうにもならない。
本来のサバシアの右バッターに対する配球のポイントは、インロー(=図でいう左下)へのカーブでストライクをとれるかどうかにあると思っているのだが、このデータを見る限り、インローにそこそこの数のボール球が、あるにはある。
おそらくは、インローに投げた変化球の多くが「垂れてしまって、コーナーに決めきれていない」あるいは「打者に簡単に見切られるほど、最初から軌道がボールに見えている」のだろうと思う。

2013年8月18日サバシア対BOS右打者
2013年8月18日 NYY vs BOS : BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps


比較3
2013年9月13日 NYY vs BOS
投手:黒田
8被安打2四球、5失点。

このゲームでの黒田は5失点しているが、2四球と、四球数自体は少ない。こういう黒田の登板について「少なくとも丁寧に投げていた」などという、わけのわからない評価を下す人がいたりするが、ブログ主はまったく同意しない。
見てのとおり、図の左側半分にドットがほとんどない。つまり、このゲームの黒田は「右打者のインコース」にほとんど投げていないのである。アウトコースオンリーの逃げの配球であることは、火をみるより明らか。これでバットコントロールのいいボストンの右打者が抑えられるなら誰も苦労しない。
こうしたデータが出現すること自体、珍しい。シーズン終盤に勝ち星がないのも当然だろう。

2013年9月13日黒田対BOS右打者
2013年9月13日 NYY vs BOS : BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps



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