October 14, 2013

2013ALDS Game5 Tom Hallionのバーランダー優遇判定
元資料:2013ALDS Game 5 | BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps


これは、デトロイト対オークランドの2013ALDS Game 5における、球審Tom Hallion左打者における判定マップである。例によって、示されているのは「打者の見逃した球の判定」のみであり、「全投球を示す」ものではない。

四角形のドットは、ソニー・グレイ先発のオークランドの全ピッチャー、三角形のドットが、デトロイトのピッチャーの投球(先発ジャスティン・バーランダーとクローザーのホアキン・べノア)を示す。
図は「アンパイア目線」で描かれているため、向かって、左側は三塁側、右側が一塁側である。また、赤いドットは「ストライク判定」、緑色のドットは「ボール判定」を意味する。

黒い実線の大きな四角形は、「ルールブック上のストライクゾーン」、斜線で区切られた四角の部分は、「標準的なMLBの球審の使うストライクゾーン」である。
図をみてわかるとおり、実際のゲームで球審が使う「左バッターのストライクゾーン」は、ルールブック上のゾーンよりも、はるかにアウトコース側が広大にできている。このことは、これまで何度も説明してきたとおりだ。
参考:Damejima's HARDBALL:2010年10月29日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (2)2007年の調査における「ルールブックのストライクゾーン」と、「現実の判定から逆測定したストライクゾーン」の大きな落差。

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さて、図をダブルクリックして、別窓に大きな画像として開いてみてもらいたい。

図の「左側のピンク色の部分」に、非常にたくさんの赤色の三角形が並んでいること、そして、同じエリアの四角形は、そのほとんどが緑色になっていること、がわかる。

これは、「MLB特有の『左バッターのだだっ広いアウトコースのストライクゾーン』と、そのさらに外側のボールゾーン」において、
デトロイトのピッチャーが、左バッターのアウトコースに投げた投球のうち、明らかにボールと思われる4球ほどを含め、かなりのパーセンテージが「ストライク判定」されていること

そしてその一方で、
ソニー・グレイをはじめとするオークランドのピッチャーが、同じく左バッターのアウトコースに投げたきわどい投球では、その大半が「ボール判定」されていたこと
を意味する。

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もちろん、前の記事で書いたとおり、オークランドのALDS敗退の主原因は監督ボブ・メルビンの投手起用ミスにあると思うし、その判断がこのデータによってくつがえることはない。
Damejima's HARDBALL:2013年10月13日、ボブ・メルビンのALDSにおける自滅。相反する「カオス的世界」と「リニアな個人」。


だが、この試合の球審Tom Hallionの判定の酷さについては、後世のオークランドの名誉のためにも、記録のひとつとして残さないわけにはいかない。

バッティング面でいうと、オークランドは右腕バーランダーを打ち崩す目的で、好調の1番ココ・クリスプ以外にも、5番から9番まで、合計6人の左バッターを打線に並べていた。
球審の左バッターのアウトコースの判定がこれほど偏っていたのでは、オークランドの左を並べた打線の狙いが無意味になってしまいかねない。
(ちなみに、バーランダーが「左バッターとの対戦」のほうが三振をとりやすく、四球をだしやすいというデータはあるが、「右バッターより、左バッターに特に弱い」という顕著なデータはない Justin Verlander Career Pitching Splits - Baseball-Reference.com

また、ALDS Game 2で信じがたいほどの快投ぶりをみせていた若いソニー・グレイが、Game 5では一転してランナーを出しまくる不調ぶりをみせた理由にしても、原因の大半は彼自身の「経験不足」や「度胸不足」にあるにしても、球審Tom Hallionのこれほど偏った判定ぶりに左右された部分もあったことを、あえて言い添えておきたいと思う。

とりわけ、グレイはこのゲームで、デトロイトの左バッターの代表である5番ビクター・マルチネスに3安打されている(他に3安打以上した打者はいない)のをはじめ、7番アレックス・アビラと9番ドン・ケリー、2人のバッティングのそれほどよくない左打者に、合計3四球を与えている。
右打者には、ミゲル・カブレラの2ランを除けばそれほど痛打されていないだけに、球審の判定の偏りによって、グレイにかかる左バッターのプレッシャーが非常に大きくなったことは、想像にかたくない。

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ソニー・グレイがこれから経験するMLBは、ときとしてこうしたおかしな判定に遭遇する、やっかいな場所でもある。

ソニー・グレイが今後、豊かな経験を得ることを通じて、こうした判定上の不利にも動じないピッチングのできる、度胸の座った投手に育つこと、さらに、こうしたゲームでは球審の判定の歪みを逆に利用できるほどの狡猾さも身につけること、そして、ヴェテラン球審にさえ「この大投手なら、このコースはストライクとコールしなくてはしょうがないだろう」と思わせるような、バーランダークラスの大投手になることを、祈ってやまない。







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