March 07, 2014

スプリングトレーニングで田中将大がフィリー戦で初先発してホームランを打たれたと人から聞いて、その人にちょっと聞き返してみた。

打たれたカウントは?
3-1。」

なるほど。
「球種はまちがいなく、ストレートだな。」と、思った。


ホームランを打たれたこと自体はどうでもいい。誰だって、たまには打たれる。
早くメジャーに上がりたいマイナーの若い野手は、昇格アピールのために早めに仕上げてスプリングトレーニングに来ているわけだし、まだ仕上がっているわけではないメジャー契約の投手がいきなり長打を打たれることも、ある意味しかたがない。
なんせ、まだスプリングトレーニングだから、メジャーの投手のストレートにはまだ十分な球威がない。他方、打者は、まだ練習のためのゲームだから、ボールを選んでくるのではなくて、どんどん積極的にスイングしてもくる。特にストレートは狙われやすい。


むしろ、このホームランでブログ主が関心をもったのは、もっと別の点だ。

1.「田中が、まるでキャッチャーのサインどおり投げてしまっていた」ように聞こえたこと

2.「ストレートを投げざるを得ないカウントで、好きなように打たれてしまわないだけの球威のあるストレートが、田中にあるのか、ないのか」それがまだ未知数なこと


日本でなら、かつて来日当時の阪神ブラゼルが日米の野球の違いとしてコメントしていたように、たとえカウントが3-1だろうと、変化球を投げることも多い。

だがMLBでは、このブログで何度となく説明してきたように、「fastball counts」、つまり2-0とか、3-0とか、投手不利なカウントでは、MLBのキャッチャーは問答無用に「ストレートのサイン」を出してくる。そして、投手の側もそれがわかっているから、多くの投手がサインどおりにストレートを投げる。それが「MLBにおける配球のお約束」になっている。(もちろん例外もある)
だからバッターは、「fastball counts」ではストレートだけを狙ってフルスイングしてくる。そして、これもMLBのお約束のひとつだ。

記事例:2010年10月24日、メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」damejimaノート(11) なぜライアン・ハワードは9回裏フルカウントでスイングできなかったのか? フィリーズ打線に対する"Fastball Count"スカウティング。 | Damejima's HARDBALL

記事例:2013年3月8日、Fastball Count、あるいは日米の野球文化の違いからみた、WBCにおける阿部捕手、相川捕手と、田中将投手との相性問題。 | Damejima's HARDBALL


監督ジラルディは、この日の田中について、こんなことを言った。
(We) get him comfortable with our catchers.


どうも意味深に聞こえる。

イチローのヤンキース移籍後の1シーズン半でわかったことは、ジラルディという人間が「コメントをあまり信用できないタイプで、結局のところは『自分のやり方』にとことんこだわりぬく頑固オヤジ」だということだ。
ジラルディは、メディアにどんな柔らかいコメントをしようが、実際には「自分のやり方」にのみ、しつこくしつこくこだわる。そして、たとえ間違いを犯しても、最後まで自分の方法論を変えないし、修正するゆとりを持とうとはしない。

だから、MLBでルーキーでしかない田中にジラルディが求めるのは「おまえはまだ新人だ。だからMLBのキャッチャーのスタイルに従ってくれ」という一点張りになる可能性はけして低くないと、ブログ主は考える。


また、田中の球を受けることになるブライアン・マッキャンの田中評にしても、ブログ主は、どこか上の空な感じ上から目線という印象を受けた。

彼は田中のピッチングについて、こんな表現をした。
as good as advertised
前評判どおりだね


このコメント、あなたなら、どう解釈するだろう。
この例を見てもらいたい。

"Looking at their defense, they are as good as advertised," Manning said.
「彼らのディフェンス見たよ。まぁ評判どおりじゃないのかな。」
Manning: Seahawks defense 'as good as advertised'

これは、第48回スーパーボウルを戦う直前の1月末に、リーグ最強オフェンスを誇るデンバー・ブロンコスのクォーターバック、ペイトン・マニングが、「対戦相手シーホークスのリーグ最強ディフェンス」についてUSA Todayにコメントしたものだ。

今年のスーパーボウルの「試合前予想」では、いうまでもなく、2月の本番でシーホークスがあれほどの大差で圧勝するとは、誰も思っていなかった。
だから、既にスーパーボウルで優勝し、MVP獲得経験のあるマニングにしてみれば、as good as advertisedという表現にこめたニュアンスは、「とりあえず『評判通り』くらいは言っておくけど、まぁ、最後に勝つのは俺しかありえないぜ」という意味の「自信の表れ」であり、as good as advertisedという表現の実際の意味は、「まぁまぁだね。せいぜい頑張んなよな」程度の上から目線のニュアンスであって、「結果が出る前の、決まり文句」、「試合前のリップサービス」でしかない。
(それに、そもそも英語の 'good' という表現には「高く評価する」とか、「非常に優秀だ」とかいうニュアンスはない。「まぁまぁだね」と訳すくらいで、ちょうどいい)


球種の多いダルビッシュもさんざん手を焼いた点ではあるだろうが、田中将大がどのくらい「MLBのキャッチャーと組んだときにに、『オレ流』を貫けるのか」、そこが問題だと思う。

ヤンキースはテキサスよりも遥かに「内部の規律」が硬直的だし、また、田中投手はダルビッシュと違って、どうも性格的に自分から折れてしまいそうな気もする。監督の指示やキャッチャーのサインにただただ従って、打たれた後でストレスを溜めるようなケースが多発するのでは、結局マトモなシーズンにはならない。


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